猫があまりにも外に出たがっていると「可愛いそうだから出してあげた方がいいのでは?」と考えてしまう人もいるでしょう。しかし、今後も室内で飼っていくつもりなら、外に出さないことをおすすめします。なぜなら、一度でも外に出してしまうと、その場所も縄張りとみなしてしまうため、パトロールに行けないとストレスを感じるようになるからです。
また、外の世界は猫にとって危険がいっぱいです。交通事故や他の猫との喧嘩、ノミ・ダニ・寄生虫・感染症の感染といった危険にさらされる可能性があります。
そこで今回は、猫が外に出たがる理由や脱走を防止するための対策、脱走してしまった場合の対処法を紹介します。
猫はなぜ脱走したがるのか

外の世界を経験したことのない室内飼いの猫が外に出たがるのには、どのような理由があるのでしょうか。ここでは、具体的な理由を5つ紹介します。
偶発的な脱走
「玄関が開いていた」「キャリーバッグが破損していた」など、ふとしたきっかけにふらっと脱走するケースです。災害時には、家屋の揺れやサイレンなどの大きな音にパニックを起こし、外に飛び出してしまうケースもあります。
偶発的な脱走は防ぎきれない場合もあるため、首輪に迷子札やマイプロチップを装着するなど、万が一のときも見つけられるよう、日頃から備えておきましょう。
ストレス発散のため
「相性の悪い同居猫がいる」「自分の縄張りが脅かされた」「室内環境の変化により合わなくなった」など、生活の中でストレスが積み重なっていくと、刺激を求めて外に出たいという衝動が起きる場合があります。
また、屋内で退屈していて溜まったストレスを発散したいという理由から外に出ようとすることもあるため、日頃からコミュニケーションを取り、ストレス解消してあげましょう。
外への好奇心に駆られて
猫は好奇心旺盛な動物です。そのため、窓から鳥や虫、野良猫などを観察していると外の世界に徐々に興味をもち、好奇心に駆られて脱走したがることがあります。
また、外の鳥や虫を捕獲しようと窓をガリガリしたり、それらが映し出されたTVに反応して飛びかかったりする様子を見たことのある飼い主さんは多いでしょう。猫はハンターとしての本能から、家の外にいる鳥や虫などの刺激に興味をひかれて、外に出たがることがあります。
特に、外で暮らした経験がある猫の場合、外の世界の刺激が忘れられなかったり、外に出て縄張りが広がったりすることで、脱走を繰り返すことが多いです。
発情期における異性への求愛のため
猫は年に2〜3回発情期があります。落ち着きがなくなったり、いつもと違う鳴き声をあげたりして、異性を求め外に出ようとするため注意が必要です。
環境の変化による不安から
猫は環境の変化が苦手で縄張り意識が強いため、「元の環境に戻りたい」「引っ越しをして縄張りが変わってしまい、落ち着かない」という理由から、脱走することがあります。
脱走しやすい猫の特徴と、脱走しやすい要注意時期
猫は外に出たがると聞いたことがあるかもしれませんが、すべての猫が脱走してしまうわけではありません。ここでは、脱走しやすい猫の特徴や猫が脱走しやすい時期について解説します。
脱走しやすい猫の特徴
猫は外に対する興味や生活に対するストレスなどから、外に出たがりやすいです。以下のような特徴をもつ猫は特にそういった傾向が強いため、注意しましょう。
<脱走しやすい猫の特徴>
・外で暮らしたことがある元野良猫や保護猫
・去勢・避妊手術をしていない発情期中の猫
・外の猫と接触しやすい環境の猫
・相性の悪い猫と同居しストレスが溜まっている猫 など
猫が脱走しやすい要注意時期
猫が脱走しやすい季節は春〜夏にかけてです。これは、外猫が発情期を迎える時期と、気温が高くなって飼い主さんが窓や玄関を開ける時期が重なるのが春〜夏であることが理由だと考えられます。
【獣医師監修】猫は家のどういった場所から脱走しやすい?要注意箇所と脱走防止策

猫は体が細くやわらかいため、ほんの少しの隙間から容易にすり抜けてしまいます。猫の脱走経路は、玄関や窓、ベランダがほとんどです。それぞれの場所に合わせた脱走防止策を見ていきましょう。
玄関
飼い主さんが外出時に開け閉めすることが多い玄関は、猫がよく脱走する場所です。どのようなタイミングで脱走するのかを解説したうえで、適切な対策についてお伝えします。
脱走しやすいタイミング
玄関は飼い主さんの外出時や帰宅時、宅配便などの訪問者とやり取りをしているときに、隙をついて脱走することが多いです。特に帰宅時は飼い主さんの足音を聞きつけて玄関で待っている猫が多いため、一気にドアを開けてしまうと、外に飛び出す可能性があります。
玄関の脱走防止策・グッズ
玄関を開け閉めするときは、猫の居場所を確認したり抱っこをしたりするなど、逃げ出さないように注意しましょう。また、柵や室内ドアを設置して、玄関に近づけないようにするのもおすすめです。
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窓
外が温かくなってくると、換気のために窓を開けているご家庭が増えます。しかし、猫は窓から逃げることも多いため、注意が必要です。
脱走しやすいタイミング
窓からの脱走は特に網戸にしているときに、猫が網戸を破ったり、自分で網戸を開けたりするケースが多いです。
窓の脱走防止策・グッズ
網戸を破っても出られないように金属製の柵を取りつけたり、耐久性のある破れにくい網戸に変えたりすることで脱走を防げます。猫が網戸を開けてしまわないように、網戸ストッパーなどを設置しましょう。
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ベランダ
ご家庭によっては、猫がベランダを好きに行き来できるようにしている方もいます。しかし、高層マンションなどのベランダから転落してしまうと命の危険もあります。しっかりと対策を講じることで、猫も人間も安心して過ごせるでしょう。
脱走しやすいタイミング
ベランダは飼い主さんが洗濯物を取り込んでいる際に、いつの間にか猫がベランダに出ていて、柵の隙間からするりと外に出てしまった…というケースが非常に多いです。
ベランダの脱走防止策・グッズ
ベランダの柵の隙間にネットを取りつけることで猫の脱走を防げます。また、ベランダに出る前に、猫を別の部屋に隔離するなどの対策もおすすめです。
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猫が外に出たがるのを予防する方法

愛猫が外に出たいと頻繁に要求してくる場合、どうすればいいのでしょうか。ここでは、猫が外に出たがるのを予防する方法を紹介します。
遊びでストレスを発散させる
室内でもストレス解消できるよう、おもちゃを使って一緒に遊ぶ時間を設けましょう。キャットタワーや動くおもちゃなどを置いて、自分で遊べる環境を作ってあげることも大切です。
同居猫がいる場合は、ストレスがかからないように一人で静かに休める場所を作ってあげましょう。
おやつで気を紛らわせる
家族の誰かが外出やベランダに出る際には、おやつを使って気を紛らわせ、興味をそらしましょう。遠くからおやつの袋をカサカサと鳴らし、自然に窓やドアから引き離し、離れたところでおやつをあげると効果的です。
屋内から外の様子がわかるようにする
猫によっては屋内から景色を眺めるだけで外に出たい欲求が収まったり、縄張りに他の猫が入って来ていないか確認することで落ち着いたりすることがあります。そのため、カーテンを開けて外の雰囲気を味合わせてあげましょう。
猫が日光浴をできるように、日当たりの良い場所に椅子などを設置してあげるのもおすすめです。しかし、外の様子を見ることで余計に気持ちが高ぶってしまうと逆効果になってしまうので、レースカーテンで日光を取り入れつつ、外があまり見えないように工夫しましょう。
去勢・避妊手術をする
発情による脱走を防ぐためには、去勢・避妊手術が効果的です。去勢・避妊手術は脱走を防ぐだけでなく、雄は前立腺、雌は子宮や卵巣の病気の予防にもつながります。
さらに、雌は初めての発情期が来る前に避妊手術をすることで、乳腺腫瘍になる確率を大きく下げられます。
万が一飼い猫が脱走してしまったら?

日頃から愛猫が脱走しないように対策や注意するのはもちろんですが、それでもふとした隙をついて出ていってしまうこともあります。そのようなときに備えて、慌てず冷静に対応できるよう、脱走したときの対処方法を確認しておきましょう。
自宅周辺で猫が隠れやすそうなところを探す
外に出た経験のない猫は、脱走しても遠くには行かずに、自宅のすぐ近くにいることが多いです。そのため、まずは落ち着いて家から半径50〜100m以内を捜索しましょう。特に自動車の下やエアコンの室外機周辺、植木などの隠れやすそうな物陰などにいる可能性が高いです。
愛猫が帰ってこられるように玄関や窓を少し開けておく
猫が自ら帰ってこられるように、玄関や窓を少し開けておきましょう。出入口の近くにいつも食べているエサやおやつを置いておくのも効果的です。
さらに、玄関や庭に愛猫の匂いがついた使用済みの猫砂をまいたり、愛猫が使用しているベッドを置いたりしておくと、匂いを頼りに帰ってこられる場合があります。
保健所や警察、動物病院に愛猫の特徴やマイクロチップ情報を伝える
愛猫が既に保護されている可能性があるため、しばらく捜索しても見つからないときは、保健所や警察、動物病院などに迷い猫の届けを出しておきましょう。
ポスターやSNSを活用する
しばらく探しても愛猫が見つからない場合は、事前に許可を取り、近所のコンビニ・スーパー・動物病院など、近隣の方が多く集まる場所にポスターを掲示してもらいましょう。
最近では、XなどのSNSやお住まいの地域のコミュニティ掲示板を活用して呼びかけるといった方法も有効です。念のために、インターネット上で迷い猫や保護された猫の情報が掲載されている、「迷い猫掲示板」もチェックしてみましょう。
猫が脱走しにくい賃貸物件の条件
前提として、猫が入居できるペット相談可の物件を選ぶ必要があります。
猫が脱走する原因として、ストレスの蓄積が考えられます。そのため、家の中での居心地の良さを考慮して、日光や風など自然を身近に感じられる物件がおすすめです。例えば、日当たりを重視した住まいであれば、家の中で日向ぼっこをしてのんびり過ごせるでしょう。
ただし、窓を開けたままにしておくと猫が脱走する危険性があるため、脱走しないように対策を行い、人間も猫も安心して過ごせる環境を整えることが大切です。
脱走防止対策を万全にして愛猫の命を守ろう
今回は、猫と一緒に暮らしていくときに注意しなければならない「脱走」について詳しく解説しました。猫は脱走してしまうと、最悪の場合、そのまま帰ってこなくなってしまったり、交通事故で命を落としたりする危険性があります。
愛猫の命を守るためには、日頃から脱走しないための対策や出たがらないような予防法を実践し、注意を払うようにしましょう。