限られたスペースの中で、シーンによってフレキシブルに空間を使い分けたい方、暮らしの変化を考慮して家具をレイアウトしたい方にとって、間仕切り家具は最適なアイテムです。
日本の家屋で使われてきた代表的な間仕切りの一つに、襖があります。襖は用途に応じて開閉したり取り外したりできるため、ときには個室、ときには大広間としてフレキシブルに空間を変化させることが可能です。
襖は開放して風通しの良い空間を作れることから、湿度の高い日本の気候やライフスタイルにも合っており、古くから日本文化として親しまれてきました。 昔の家のように大勢が家に集まり宴をすることはなくなりましたが、現代においてもホームパーティーを開催したり、ライフステージの変化によってお部屋のレイアウトの見直しや変更をしたりすることはあるでしょう。
今回は、そんな間仕切り家具について解説し、具体的な商品や活用方法をご紹介します。間仕切り家具のメリットを知り、取り入れることでお部屋の不便さや悩みが解決するかもしれません。ぜひ、快適なお部屋作りの参考にしてみてください。
間仕切り家具とは
空間を仕切ることができる家具です。間を仕切ることで視線を遮り、見せたくないものを隠したり、空間を分けることで新たにお部屋を作ったりできます。
通常の家具との違い
通常の家具は片側のみ綺麗に仕上げられていて、一方から使用するように作られているのが一般的です。しかし、間仕切り家具は両面とも綺麗に仕上げがされていて、両側から収納できる商品もあります。
間仕切り家具は大きく2種類!
間仕切り家具は、大きく分けて「収納家具タイプ」と「パーテーションタイプ」の2種類があります。種類ごとにメリット、デメリットもありますので、それぞれのタイプを見ていきましょう。
収納家具タイプ
収納家具タイプは家具で間仕切るため、置き家具であれば工事などを伴わずに置ける点がメリットです。賃貸物件にも気軽に取り入れやすく、レイアウト変更もしやすいアイテムといえます。
シェルフタイプ
飾り棚としても人気のシェルフタイプは、間仕切り家具としても優秀といえます。シンプルなデザインが多いため、比較的どんなインテリアスタイルにも合わせやすく、サイズのバリエーションも豊富です。オープンのままで使用したり、サイズが合えば別売りのボックスや引き出しを組み合わせたりもできます。
・シェルフタイプの商品例
カウンタータイプ
キッチンの手元の生活感を隠したいときや、キッチンとダイニングを分けたいときに使います。食器棚やキッチン周りの収納を増やしたいときにも便利です。収納の天板が使える商品であれば、できた料理を一時的に並べたり、インテリア小物でディスプレイしたりするのも素敵でしょう。
・カウンタータイプの商品例
ハンガーラックタイプ
個室でベッド周りなどのプライベートスペースを隠したいときに、ハンガーラックの付いた間仕切りがあると便利です。ウォークインスペースが欲しいときにも使えますね。
・ハンガーラックタイプの商品例
ディノス ブルックリン風間仕切り収納 ハンガー2段 幅60cm
書棚タイプ
書棚タイプは省スペースのため、奥行きの取れない場所におすすめです。スペースがない場所は、オープンタイプが一番奥行きの浅さからおすすめでき、扉を付ける場合は引戸をおすすめします。
・書棚タイプの商品例
パーテーションタイプ
パーテーションタイプは家具ではなく、布やパネルなどで空間を間仕切り、開閉できる商品です。取り付けに下地を伴い、それぞれの商品に合わせた施工方法があります。取り付けを検討する際には、付けたい場所に取り付けられるかどうかの確認が必要です。
パーテーションタイプは収納家具と比較すると、見た目がすっきりとして間仕切りが邪魔にならない点が魅力といえます。また開閉もできるので、間仕切りしたいスペースをすべて仕切ることが可能です。パーテーションタイプにもさまざまな種類があり、見た目だけでなく使い勝手も違いますので、具体的にご紹介します。
・パーテーションタイプの商品例
パネルドア式
パネルドア式は建築と一体化してすっきりとした見た目で、床から天井まで間仕切りしたい場合に向いています。格納方式と出入りの方式によって異なるので、種類ごとにご紹介します。
折戸
パネルのどの位置からも出入りすることが可能です。引戸のように開いたときに扉を引くスペースがいらないので、コンパクトに畳めて、開口分を大きく取れます。大きな家具を搬入するときに便利です。
引戸
片手でも開閉がしやすく、開き戸のように扉を開くスペースが不要です。好きな位置で戸の開け閉めを調整できるので、少しだけ開けたり大きく開口したりもできます。
折戸+引戸
折戸と引戸の組み合わせで、一部は引戸で出入りができ、邪魔なときは全体を折戸形式で畳める商品です。幅のある空間を間仕切りしたいときに適しています。
移動収納+開き戸タイプ
閉じたときは一部が開き戸になり、間仕切りしないときにはパネルを1枚ずつ畳んで、端に収納することが可能です。移動収納+開き戸タイプは機密性が高くなるので、空間をきっちり分けたいときに適しています。
それぞれパネルの面材の種類も選べますので、空間に合わせてコーディネートしてみてはいかがでしょうか。採光窓は透明または半透明なものを選べますので、圧迫感を軽減して間仕切りしたい場所には最適です。
ロールスクリーン式
ロールスクリーン式は上部にすっきり巻き上がるので、開けているときのロールも邪魔にならず、開口面を大きく取ることが可能です。間仕切りとして使う場合、基本は表裏のわかりづらい生地で選定しますが、生地の中には遮光機能や映写スクリーンとして使用できる生地もあります。設置場所や目的によって、機能を重視して選ぶのも良いでしょう。
ロールスクリーンは左右に隙間が空きますので、防音対策には向きませんが、さっと目隠ししたいときやエアコンの効率を高めたいときに簡単にできる対策の一つです。
・ロールスクリーン式の商品例
アコーディオンカーテン式
お部屋の間仕切りといえば、アコーディオンカーテンを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。アコーディオンカーテンは間仕切り戸として作られた商品ですので、お部屋を間仕切りしたいときに最適な商品です。ジャバラ状になっていて、横方向に移動します。開閉時はコンパクトに畳むことが可能です。
グリップが付いているので、引戸のように軽い力で開閉できます。また、生地や機能も選べますので、合わせて検討してみてください。遮光機能や防汚機能などは、子ども部屋の間仕切りにもおすすめです。
・アコーディオンカーテン式の商品例
ガラス戸式
パネルドアと同様に、扉のようなすっきりとしたデザインで、床から天井まで間仕切ることができます。ガラス戸式であれば、明るさを保つことが可能です。
さらにガラスは高級感があり、枠を黒で選べば海外インテリアのようなスタイリッシュで洗練された印象を作れます。ガラスは視線が抜けますが、防音性はありますので、家族の気配を感じながら間仕切りしたい場所にも最適です。
一方で割れる可能性もあり、重さも少し出ますので、安全性の高い商品を選び、正しい施工方法で設置しましょう。割れるのが心配という方は、ガラス部分がアクリル系樹脂になっている商品もありますので、合わせて検討してみてください。
・ガラス戸式の商品例
間仕切り家具のメリット
種類も豊富でさまざまな使い方ができる間仕切り家具ですが、どんなメリットがあるのかまとめてみました。
レイアウトの自由度が高い
間仕切り家具は気軽に移動ができるため、お部屋の模様替えなど自由にレイアウトを変更できます。軽量で持ち運びがラクなパーテーションであれば、急な来客にも一時的に対応ができて便利です。
空間を仕切ることができる
ワンルームなど仕切りのない空間でも間仕切り家具を置くことで、動線を取りながら用途に応じてお部屋を分け、半個室空間が作れます。限られたスペースでも間仕切り家具を使えば、リビングにパソコンコーナーを作ったり、つながったワンルームでも半個室の寝室を作ったりすることも可能です。
お部屋の模様替え・引越しにも対応できる
模様替えがしやすいことは、気分転換できるだけでなく、 多種多様な暮らしに対応できることを意味します。コロナが流行り、在宅でのワークスペースが必要になりましたが、少し前には誰も予測していなかったことでした。そういった突然の状況の変化が起きたときも、模様替えで対応できることもあります。
また、間仕切り家具は撤去しやすく移動もできるので、引越しのときにも対応しやすいでしょう。間仕切り家具は、通常の家具としても問題なく使えるので、引越し先でもスペースに合わせて再利用できます。
間仕切り家具の注意点・デメリット
間仕切りで空間をふさぐとスペースが小さく分けられるので、部屋が狭く見えたり、圧迫感を覚えたりする場合もあります。デメリットもしっかり理解して使用しましょう。
音や声が漏れる
壁と違い、間仕切り家具は動線確保のため、一部の空間が空いてしまう場合もあります。目線が隠せても、声などの音、匂いが漏れてしまいます。遮りたい状態が視線なのか、音なのか、それ以外のものか、認識したうえで計画しましょう。
高さのあるものだと圧迫感が出てしまう
間仕切ることで空間が仕切られますので、高さがあるとより圧迫感が出てしまいます。圧迫感を出したくない場所では、低い家具を選ぶと良いでしょう。また高さがあっても、オープンシェルフのように抜け感があるものであれば、圧迫感が軽減されます。
壁に固定することができない
間仕切り家具を置く場合、壁面に固定できないことが多いため、高さのある家具は倒れたときに危険があります。上部で突っ張るか、転倒防止のアジャスターなどの耐震グッズを活用して地震への対策も検討しましょう。
また上部に扉がある場合は、扉が開いて中のものが落ちないよう、揺れたときにロックがかかる耐震ラッチ付きの商品を選ぶか、付いていない場合は扉に合った耐震ラッチを取り付けるようにしましょう。
間仕切り家具の選び方とポイント
ここからは、具体的にどのような基準で間仕切り家具を選んだら良いか、選ぶ際のポイントについて、いくつかレクチャーしていきます。
仕切りたい空間や用途に応じてサイズを選ぶ
まず、間仕切り家具を選ぶ際には、視線を遮りたい物や空間、その目的によって間仕切り家具の種類やサイズを選びましょう。 例えばキッチンに間仕切り家具を置く場合、キッチン台の手元だけを隠せれば良いのであれば、天井までの高さは必要なくなります。どこまで視線を遮るかサイズの目安を決めて、間仕切り家具に収納したい物や使い勝手を検討してみましょう。
収納として使う場合の注意点として、収納している物を取り出すために必要な寸法や動線も考えなければいけません。家具の大きさにプラスして、収納から物を出すときのスペースが収納前面に必要となります。
開き戸や引き出しの場合は、扉や引き出しが開くスペースを考えましょう。一般的には、通常の部屋における畳数プラス1.5畳くらいのスペース、または収納前のスペースが80cm〜の寸法を目安に検討するのがおすすめです。
このように、お部屋に収納付きの間仕切り家具を希望する場合は、ゆとりを持って広めの畳数を選んでおくこともポイントになります。お部屋を選ぶときに、面積が広めのお部屋をチェックしてみてください。
一方「生活の場所とキッチンを分けたい」などあらかじめ明確な要望がある場合は、間仕切り家具を使って仕切るより、始めからキッチンとお部屋が分かれている1Kの間取りを選ぶのが良いでしょう。家具分のスペースを取らなくて良いので、お部屋が有効に使えます。
お部屋のイメージに合わせて選ぶ
間仕切り家具のデザインや素材は、お部屋のインテリアに合うものを選びましょう。間仕切り家具は面積も広くなりますので、ベースカラー(壁や床の色)かアソートカラー(家具やカーテン、ドアなどの建具色)に合わせると自然な印象になります。お部屋のテーマやインテリアテイストが決まっていれば、そのテイストに合わせて間仕切り家具も選びましょう。
収納したいものによってサイズを選ぶ
本や書類、衣類など収納したいものが決まっている場合は、その物に合わせてサイズを選びましょう。間仕切り家具の収納を上手く使うことで、空間を有効活用することが可能です。
例えば、本の種類によっても最適な本棚は変わります。文庫本は小さいサイズで148×105mmですが、A4サイズの場合は297×210mmです。大きすぎてもデッドスペースができて使いづらいですし、小さいと収納したいものが入らなくなってしまいます。
扉がある場合には、収納の奥行きと実際に収納できる内寸のスペースは違いますので、収納したいものが間仕切り家具に入るかも確認しましょう。
限られたスペースでもおしゃれに間仕切るアイデア
空間が限られた場合でも間仕切り家具を上手く使えば、おしゃれに快適に間仕切ることが可能です。限られたスペースでも、おしゃれに間仕切るアイデアをご紹介します。
収納をオープン棚にして飾り棚にする
収納できるオープンラックは背がないため、圧迫感なく空間を間仕切ることができます。両面どちらからでもディスプレイできますので、一方がふさがっているときにも便利です。収納としてだけでなく、飾り棚として使えばお部屋のおしゃれ感もアップしますよ。
旅先で買ったお土産や洋書を置いたり、季節によってディスプレイを楽しんだりするのも素敵ですね。観葉植物も飾ると雰囲気がとても良くなります。サイズのバリエーションも多いので、お部屋にあったサイズを選んでみてくださいね。
ソファの背面にコンソールテーブルを置いて空間を分ける
ダイニングとリビングを分けたいときにおすすめなのが、ソファの背面にコンソールテーブルを置くレイアウトです。コンソールテーブルは、壁などにつけて使う奥行きの浅いテーブルです。ソファの背面にぴったりつけて、高さがある植物やインテリア小物を飾ることで、目線を遮りゆるやかに空間も分けられます。
お部屋に入ったときに、最初に目に入る物がお部屋の印象を左右しますので、おしゃれに飾られたインテリア小物が目に入るとお部屋の印象も良くなりますよ。 コンソールテーブルはスリムなものだと奥行き20cmくらいからありますが、周りの空間にゆとりがあると綺麗に見えます。コンソールテーブルを置く予定があれば、あらかじめ広めのお部屋を選ぶと良いでしょう。テーブルの高さは、ソファの背と同じくらいの高さがおすすめです。
飾り棚にもなるおしゃれなハンガーラック
さらに、省スペースで間仕切りしたいときにおすすめの家具はハンガーラックです。おしゃれなデザインも増えていて、ハンガーを掛けるだけでなく棚として使うことができ、さまざまな種類の商品が出ています。
実用的な使い方はもちろん、小物やフォトスタンドを飾ったり、ディスプレイ棚としても使ったりできますよ。1Kのように、限られた空間を間仕切りしたいときにぴったりのアイテムです。圧迫感がなく間仕切れるので、選択肢の一つとして検討してみてくださいね。
間仕切り家具と相性の良い暮らし方
ここからは、間仕切り家具をお部屋で実際にどのように使うのかという活用例をお話して、間仕切り家具と相性の良い暮らし方をご紹介します。
子ども部屋に間仕切りがある暮らし
お子様が成長する中で、兄弟で一緒に使っていたお部屋を分けたいという要望も出てきます。そんなときにおすすめなのが、間仕切り家具です。間仕切り家具があれば、机やベッドからの視線を隠すだけでも半個室のような空間を作れますので、プライバシーが保たれて勉強も集中しやすくなるでしょう。
子ども部屋に相性が良い間仕切り家具は、場所を取らない書棚タイプの間仕切りやパーテーションタイプです。書棚タイプは収納としても使えるので、本棚を置くスペースが不要になります。しっかり間仕切りしたい場合は、アコーディオンカーテンを検討するのも良いでしょう。アコーディオンカーテンは遮光の生地もあるので、生活リズムが違ってもストレスになりづらいでしょう。
子ども部屋は子どもが巣立つと使わなくなる点から、あまりお金をかけずに簡単に間仕切りしたい場所でもあります。間仕切り家具を使えば、不要になったら間仕切りを撤去して、一部屋として使える点も良いですね。
書斎に間仕切りがある暮らし
家で仕事をすることが増えて、書斎を作られる方も増えてきました。専用のお部屋がなくても、空きスペースがあれば間仕切り家具を使って書斎を作ることができます。
寝室は個室のため、仕事や読書にも集中しやすく書斎を作りやすいお部屋の一つです。ベッドが見えないように目線の高さである本棚などの間仕切り家具を使えば、収納も兼ねた書斎スペースになります。「夜遅くまで仕事をしたいけれど、パートナーが寝ているので部屋を明るくできない」という場合は、パーテーションタイプ で天井まで間仕切りしてしまう方が良いでしょう。
また、書斎を家族で共用している場合にも間仕切り家具は有効です。机と机の間に間仕切り家具を置けば、個室のようなワークスペースを作ることができます。
書斎は、机と椅子があればできてしまうので、省スペースでも作りやすい空間です。空きスペースを活用すれば、憧れの書斎が作れますよ。
リビングに間仕切りがある暮らし
また、お子さんが小さくて目が離せないときは、リビングにワークスペースを作るのもおすすめです。家事の合間にもお仕事ができるので、時間を有効に活用できます。
リビングの間仕切り家具には、オープンシェルフが良いでしょう。適度に仕切られながら圧迫感がなく、リビング空間のインテリアとして自然になじみます。視線が少し抜けていれば、お子様の様子を見られて安心ですね。
カウンターチェアにすれば場所も取らず、収納したときもコンパクトなので、長時間座らないときには合わせて検討してみてください。
レイアウトを気軽に変えられる間仕切り家具を検討してみては?
以上、間仕切り家具についてご説明しました。イメージしていたより間仕切り家具の種類も多く、活用の幅も広がったのではないでしょうか。
レイアウトを気軽に変えられる間仕切り家具は、ご紹介したニトリやIKEA、ディノスの商品以外にも多数あります。天然の無垢材を使用した高級感のある本棚やたっぷり収納ができる両面収納の商品、和室との相性が良い和風テイストの間仕切り家具など、高さの低いものから天井までの高さの商品もあります。天井までの高さの商品を選ぶときには、くれぐれもお部屋の天井高さを確認してから商品を選んでみてくださいね。
また、間仕切り家具として販売していなくても、間仕切りとして使用できる家具もあります。間仕切りとして検討する場合は、商品背面の仕上げやビスなどが見えないか確認しましょう。
今回はご紹介していませんが、簡単に間仕切りしたい場合は、オフィスで使われる可動式のパーテーションも便利です。下にキャスターが付いて移動がしやすいので、急に間仕切りが必要なときに使えますよ。用途に合わせて気に入ったデザインを選んで、お部屋を素敵にコーディネートしてみてくださいね。