近年、「ペットを飼うなら小鳥が良い」と言う方も増えており、小鳥の人気が高まっています。環境省によると、全世界の鳥の総種類は約9,000種類と、手乗りサイズの小さな鳥から動物園にいるような大きなオウムまで個性豊かです。
そのなかでも今回は、初心者でも飼育できる種類や、小鳥のペットとしての魅力、選ぶ際の注意点、飼育に必要なものについてご紹介しますのでぜひ参考にしてください。
賃貸物件で鳥を飼育しても大丈夫?
犬や猫よりも小さく手軽に飼える鳥ですが、ペットに含まれるため、鳥を飼いたい場合はペット可の物件を選びましょう。
もし通常の物件で許可を取ることなく鳥を飼育した場合、規約違反に当たるため、強制退去を求められるケースがあります。 また、ペット可ではない賃貸物件に住むことで、においや鳴き声などで周辺住民とトラブルになるケースもあります。
ペット可ではない物件で飼いたいと考えている人は、無断で隠れて飼育をするのではなく、まずは大家さんや管理会社に一度相談してみましょう。
ペットとして鳥を飼育する魅力
近年では、ペットとして小鳥の人気が高まっています。ここでは、小鳥の魅力についてお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
生体価格や飼育費があまりかからない
大型の鳥や珍しいカラー、種類になると高価になりますが、一般的な小鳥は生体価格が1万円未満で購入できるので比較的リーズナブルです。
1羽飼育で1ヶ月にかかる飼育費用は、小鳥の種類やサイズにもよりますが5,000円程です。最初に揃えなければいけないものの数もそれほど多くないため、犬や猫といったペットに比べて初期費用をおさえることができます。
人に懐いてくれる
インコや文鳥など手乗りになる種類は、人懐っこく温厚な個体が多い傾向です。放鳥時には飼い主の肩や腕にとまり「構って!」とアピールをする子も多く、本当によく懐いてくれます。
しかし、小鳥の種類によっては懐きやすい、懐きにくいがいますし、同じ種類でも性格には個体差があります。たとえ懐きやすい種類であっても、手乗りしない場合があるため心構えしておきましょう。
広い飼育スペースを取らない
小鳥は「ケージの中のみで飼育」、または「基本はケージの中で、部屋に放す放鳥の時間を設ける」の2種類の飼育方法があります。放鳥は普段の生活スペースに放すだけなので、特別なスペースを必要としません。
そのため、小鳥用のケージを置くスペースがあれば、十分に飼育スペースを確保することができます。一人暮らしやアパート、マンションにお住まいの人でも飼うことができますよ。
臭いが少なく、毛も抜けない
小鳥は、気になるペットの臭いや抜け毛の心配がありません。犬や猫のような独特の獣臭がなく、基本的には無臭の種類が多いです。小鳥のケージに落ちた糞や食べかすを毎日掃除していれば、臭いが気になることはほぼありないでしょう。
しかし何日も排泄物を放置していると、もちろん臭いが強くなるので、掃除はこまめにすることを心掛けてください。
鳴き声が美しく、おしゃべりができる種類もいる
小鳥の最大の魅力は、鳴き声が美しいことと、なかにはおしゃべりができる種類もいることではないでしょうか。
鳴き声の美しさはカナリアが一番で、歌とも言われるほどさえずりが美しいのが魅力です。
また、小鳥の中でおしゃべりが得意な種類はセキセイインコです。基本的にきれいにさえずるのも、上手におしゃべりするのもオスの小鳥のため、鳴き声やおしゃべりを聞きたい場合はオスの小鳥を選ぶと良いでしょう。
賃貸物件でも飼いやすい鳥5選
鳥も他の動物と同様、種類によって大きさや性格が違います。ここでは、賃貸物件でも飼いやすく、初心者にも向いている鳥を紹介していきます。
文鳥
文鳥は、丸い体に大きなくちばしとその可愛らしい見た目から、ペットとして人気の種類です。人懐っこい性格のため、人間によく慣れ手乗りにもしやすく、初心者におすすめの種類です。
また、大きさが15cm程度と小さめで比較的小さなケージで飼うことができること、飼育スペースをとらないこと、鳴き声が小さくマンションやアパートなどでも飼いやすいことなども人気の理由です。
さらに、複数飼育にも適しており、文鳥同士が寄り添い合っている姿はとても癒されます。
数種類のカラーバリエーションがあり、なかでもホワイトやシナモンが人気です。
セキセイインコ
セキセイインコは、ペットとして飼われるインコの中で人気の種類です。華やかな見た目が魅力的で、青や黄色などが一般的ですが、カラーや模様は豊富にあり、そのバリエーションは5,000種類以上にもなります。
また、小型インコの中でも人懐っこく人間の言葉をまねするのが得意で、短い単語ならすんなり覚え、練習すれば言葉を通じたコミュニケーションを楽しめるのも特徴です。さらに人間への警戒心が薄いため、スキンシップへのハードルが低く、手乗りの育成も容易にできます。
セキセイインコは、成鳥であれば体が丈夫で、寒暖差にも強いため、初心者にも人気の高い種類です。
オカメインコ
オカメインコは、名前の通りおかめ顔(おたふく顔)のような頬がピンク色なことから、オカメインコと名前がついた愛らしい見た目の種類です。
また、頭にトサカのような羽根である冠羽(かんう)が付いており、この冠羽の状態で喜怒哀楽を読み取ることができます。人懐っこく、おっとりしていてマイペースな性格の個体が多いです。
しかし、大きな音に敏感なため、刺激を与えそうな環境は避けて飼育するようにしましょう。
十姉妹(ジュウシマツ)
十姉妹は野生には存在せず、愛玩用に人間の手によって作り出された種類です。大人しく温厚な性格で、コミュニケーション能力も高いため、初心者でも飼いやすいでしょう。
しかし、怖がりな一面があるため、巣を用意してあげて、外部からの刺激から守ってあげる必要があります。また、十姉妹は複数飼育が容易なため、一つのゲージで2羽以上の鳥を飼育したい人におすすめの種類です。
カナリア
カナリアは、美しいさえずりが魅力の種類です。上記の小鳥と比べると、やや警戒心が強く、人間にべたべたに懐くことはありませんが、愛情を込めてお世話をすれば、少しずつ心を開いてくれて手乗りにすることできます。
一方、自立心が強いため、留守番の時間が長くなってもストレスをためにくい傾向があります。また、カナリアは黄色・赤・白など鮮やかな色彩や模様がある種類が多く、存在感があるのも人気の理由です。
飼いやすい鳥を初心者が選ぶ際の4つのポイント
ここでは、小鳥を選ぶときのポイントについて紹介します。
日本の湿度や温度に順応できる種類を選ぶ
日本の気候の温度や湿度に順応できる種類が、病気にかかりにくくおすすめです。それでも、小鳥にとっての適温は25~30℃といわれており、どの種類でも一年を通して環境整備が必要になります。
また飼育に適した湿度は、人間が快適に過ごせる湿度と同様の40~60%です。
小鳥の健康チェックをクリアしている個体を選ぶ
日中でも羽を膨らませて眠っている時間が多かったり、痩せていたり、肛門周りが汚れていたりなどが見られたら、病気の可能性があります。
そのため、以下の小鳥の健康チェックに欠かせないポイントを必ず確認するようにしましょう。
・羽に艶がなかったり、一部抜け落ちていないか
・痩せていないか
・元気はあるか
・肛門の周りが汚れていないか
・日中も羽を膨らませて眠っていないか
・鼻の周りに汚れや、咳やくしゃみをしていないか
・目の輝きや、目ヤニや涙は出ていないか
・見た目にケガなどの異常はないか
しかし丈夫な個体を迎えたとしても、一日でもお世話(エサや水など)を怠れば命に関わります。きちんと毎日欠かさずにお世話をすることが重要です。
流通が多い種類を選ぶ
ペットショップでよく見かける流通が多い種類は、飼育書やインターネット上での情報が豊富なため、初心者でも安心して飼育することができます。一方、流通の少ない種類は情報が少ないうえ、診察してもらえる動物病院が少なくなるのです。
そのため購入する前には、自宅の近くで飼う予定の小鳥を診てくれる動物病院があるか調べてみましょう。
さらに、流通が多い種類はペットショップやホームセンターで取り扱われている飼育用品も豊富です。いきなり珍しい種類をお迎えせず、ペットとして多く飼育されている種類を選ぶと初心者でも安心して飼育できます。
人によくなつく個体を選ぶ
人懐っこく手乗りができる種類を購入しても、同じ種類でも性格に個体差があるため、「飼育してみたら全然懐いてくれない」ということが十分に起こり得ます。どうしても人懐っこい子を迎えたいという場合は、ショップのスタッフやブリーダーと直接話をして、すでに手乗りとして育成され終わった個体を選ぶとよいでしょう。
手乗りになっている小鳥は、雛の時期にペットショップのスタッフやブリーダーによって、しっかりと人間に懐かせていることが多いです。そのため、お迎えしてから懐かない性格だった、手乗りにできなかったという失敗をせずに済みます。
しかし、コミュニケーションやスキンシップをおろそかにしたり、こまめにお世話をしていないと、手乗りではなくなってしまう可能性があります。
鳥を迎える際に必要な手続きや申請
日本で一般的な鳥を飼う場合、特別な届け出は必要ありません。しかし特定外来生物の鳥や希少種の鳥、保護対象の鳥、タカやフクロウなど大型の鳥などの猛禽類を飼育する場合は、国に登録申請を行う必要があります。
また、自治体の条例により、一般的な鳥でも飼育に関する届け出が必要な場合もあるため、必ず購入時に確認するようにしましょう。
購入に必要な書類
ペットショップなどで購入する際は、特に必要な書類はありません。ただ命の責任を負うで、ショップによっては、「販売後の健康状態には一切関知しません」や「いかなる場合も返品には応じません」などの規約を記載した同意書へのサインが必要な場合があります。
もし希少種や保護対象の鳥種、絶滅危惧種に指定されている鳥種などを購入する場合は、免許証やパスポートなど、飼い主の個人情報が確認できる書類の提出が必要になる場合があります。
登録や許可申請が必要な場合の手続き
特定外来生物の鳥や希少種や保護対象の鳥、タカやフクロウなど大型の鳥や猛禽類を飼育する場合には、国に登録申請を行い、登録証を交付してもらう必要があります。
また、この登録証と登録個体の対応関係の強化のため、足環といった個体識別装置の装着が義務化されていますが、販売時にはすでに装着されている場合が多いです。
さらに、自治体によっては騒音や衛生面などの理由で特定の鳥の飼育に制限がかかることがあり、条例により飼育に関する届出が必要な場合もあります。
鳥を迎えるために必要なもの
ここでは、鳥の飼育に必須なグッズを紹介します。
・個体の大きさにあったケージ(鳥かご)
・止まり木
・水飲み
・温度調整グッズ
・巣(十姉妹など一部の種類で必要)
・おもちゃ
・エサ(基本的に小鳥用のペレットを与えつつ、副食として少量の野菜を与えてもいい)
止まり木は、小鳥が止まるだけでなく、かじることでストレス解消にもなったり、握力低下を防いだりという役割があります。その他、ショップのスタッフやブリーダーと相談しながら、その種類に必要なものを揃えましょう。
鳥の飼育にかかる費用の目安
ここでは、鳥の飼育にかかる費用の目安について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
最初に必要になる費用
鳥をペットとして迎え入れる場合、初期費用として生体の購入費用がかかります。インコや文鳥などの小鳥は1,000円台から、フクロウなど大型の猛禽類は10万円台から購入することができます。
ただし、同じ品種でも、カラーや人慣れの度合いにより価格は大きく変動するため注意が必要です。
飼育で定期的に必要になる費用
鳥を飼う上で定期的に必要になる費用は、鳥の種類や飼育環境によって異なります。一般的には、月のエサ代は小型の鳥で1,000~2,000円程度、中型の鳥や大型鳥で3,000~5,000円以上必要です。
冬場は保温のためのヒーターを使うことが多く、保温や照明のための電気代が月に1,000~2,000円程度かかる場合が多いです。
まとめると、一般的な小型の鳥の場合、月々に5,000円~、中型・大型の鳥の場合には10,000円~程度を見込んでおくと良いでしょう。
飼う前に知っておきたい注意点
ここでは、鳥を飼う上で、知っておかなければいけない注意点やデメリットについて解説していきます。
毎日の放鳥と掃除が必要
ケージの中で毎日過ごさせるのではなく、1日に数十分でもいいので、放鳥を毎日してあげましょう。また、小鳥を病気から防ぐためには、清潔な環境で過ごさせてあげることが重要です。
エサ箱の掃除や水の交換を毎日し、定期的なケージの掃除も忘れずにしましょう。
家の中にフンをされることも
毎日の放鳥は私たちの生活スペースで行うこととなり、家の中にフンを落とされてしまうこともあります。小鳥は野生の習性からトイレの場所を覚えることはあまりないので、この習性を理解した上で購入を検討してください。
鳴き声の大きい鳥もいる
小鳥の種類によっては、鳴き声が大きくマンションやアパートでは飼えない鳥もいます。そのため、先ほどお伝えした鳴き声の小さい種類を選ぶようにしましょう。
病気で突然お金がかかることも
犬や猫に比べて飼育費用もリーズナブルだとお伝えしました。 しかし小鳥も生き物ですので、病気になることがあります。そのときは動物病院に連れて行かなければならず、動物病院での治療費は数万円になることも少なくはありません。
賃貸物件の暮らしを鳥の飼育で充実したものにしよう!
今回は、小鳥のペットとしての魅力や初心者向けの種類、選ぶ際の注意点、飼育に必要なものについて紹介しました。
小鳥の寿命は、インコで10~15年、文鳥でも10年近くと長めです。10年後まで責任をもって飼えるかしっかり検討した上で、お迎えするようにしましょう。