【獣医師監修】今人気の「チンチラ」を飼いたい!幸せにするために覚えておきたい飼い方

目次

最近、賃貸でも飼うことができる小動物がペットとして人気が高くなってきています。なかでも「チンチラ」は愛くるしい見た目から、とても人気です。

チンチラの飼育に興味はあるものの、「飼育難易度が高そう」「何を用意すればよい?」といった感じで躊躇している人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は動物病院で勤務している獣医師の私が、チンチラの特徴や種類、飼育に必要なもの、飼育ポイント、注意点などについて解説します。飼育を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

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チンチラはどんな動物?

チンチラは、南米原産の『げっ歯目チンチラ科チンチラ属』に分類されるげっ歯類の動物です。

さらに、オナガチンチラ・タンビチンチラ・コスチナチンチラの3種類に分けられ、日本でペットとして流通しているのは主にオナガチンチラになります。

近年人気があるチンチラは、体長約25cmで丸っこい体型に大きな丸い耳が特徴的。活発な性格をしており、走り回ったり、高くジャンプしたりします。また、チンチラは警戒心が強い動物ですが、慣れると人に撫でられに来るようになる子もいます。

チンチラの特徴

ここでは、さらに詳しくチンチラの特徴について見ていきましょう。

夜になると活発に動く

チンチラは夜〜早朝にかけてケージ内を走り回ったり、回し車で遊んだり活発に動く、夜行性の動物です。逆に昼間の時間帯は寝ている場合が多いので、無理やり起こしたりせず、静かに休める環境を作ってあげるようにしましょう。

歯が伸び続ける

チンチラは、すべての歯が一生伸び続ける常生歯のげっ歯類です。通常はエサとして食べる葉を噛むときに上下の歯がすり合わさり、少しずつ削られ、丁度良い歯の長さを維持できるようになっています。

臭いが少ない

チンチラは糞尿以外はほとんど臭いがなく、体臭が少ない動物です。そのため、初心者の方でも飼いやすいといえるでしょう。

鳴き声が小さい

チンチラの鳴き声は小さいため、マンションやアパートなどでも騒音で隣の住人に迷惑をかける心配がない動物です。

運動や砂浴びが好き

チンチラはとても活発な動物で、ケージ内を走り回ったり、回し車で遊んだり、砂遊びをすることが大好きです。特に後ろ足が発達していて、60~70cmもジャンプすることができます。

また、前足には4本の指と2本の偽指があり、器用に物をつかんだり運んだりできるのも特徴です。

ストレスや温度変化に敏感

チンチラは暑さや湿気に弱いため、温度変化に敏感な動物です。またストレスが原因で、さまざまな不調が現れます。温度・湿度管理を徹底し、寝ている間の騒音や明るさなどにも気を遣ってあげましょう。

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チンチラの主な種類

チンチラには、さまざまなカラー(被毛の色)があります。ここでは、チンチラの主な種類(カラー)についてご紹介します。

スタンダードグレー

全身が青みがかったグレーの被毛に覆われているのが「スタンダードグレー」で、チンチラの中でも比較的よく見かけるカラーです。胸元からお腹の部分にかけて被毛が白くなっています。 単に「グレー」と呼ばれることもあり、相場価格は20,000〜35,000円程度です。

モザイク(パイド)

全体的に白地で、頭部や背中にグレー、または他の色が混ざった模様が「モザイク(パイド)」です。耳の色やグレーの入り方には個体差があります。白地の部分が多いほど希少で値段は高くなり、相場価格は65,000〜80,000円程度です。

ブラックベルベット

真っ黒ではなく、スタンダードグレーよりもさらに暗い黒っぽい被毛で覆われているのが「ブラックベルベット」です。 胸元からお腹の部分にかけての被毛は白く、耳やしっぽにも白い毛が混じっている個体も存在します。「ブラックベルベット」の相場価格は40,000〜55,000円程度です。

バイオレット

全体的にスタンダードグレーよりも淡いグレーの被毛に覆われているのが「バイオレット」です。 腹部は白く、耳は黒っぽくなっている個体もいます。希少価値が高いので、相場価格は65,000〜90,000円程度です。

ブラックエボニー

全身が暗い黒色の被毛で覆われているのが「ブラックエボニー」です。 ブラックベルベットとの違いは、お腹の部分の被毛まで黒いことで、耳や胸元に明るめの被毛が生えている個体はあるものの、真っ黒な個体ほど価格は高くなる傾向があります。「ブラックエボニー」の相場価格は50,000〜65,000円程度です。

ホワイト

全身が白色の被毛で覆われ、黒い目をしているのが「ホワイト」です。なかには、耳や足先が黒っぽくなっている場合もあります。「ホワイト」は希少な種類なので値段は高額になりやすい傾向にあり、相場価格は60,000〜80,000円程度です。

シナモン(ベージュ)

全身が薄茶色の被毛で覆われ、赤い目をしているのが「シナモン」です。お腹の毛は白く、歳を重ねると耳に模様が現れます。「シナモン」の相場価格は35,000〜50,000円程度です。

また、シナモンと同じ毛色で、黒い目をしている個体は「ベージュ」と呼ばれることがあります。

チンチラの入手方法

チンチラはペットショップやブリーダー、里親になりお迎えしましょう。毛の色にこだわりたい場合や、幼体から育てたい場合には、ペットショップやブリーダーからのお迎えがおすすめです。

幼体から育てたほうがチンチラはなつきやすくなりますが、生後約3ヶ月まではとても繊細なため、できるだけ生後半年前後でお迎えしましょう。

また、チンチラの里親募集もネット上や地元の情報誌などで随時行われていますが、「過去にチンチラを飼育した経験がある方」などの条件が設けられている場合があります。初めてチンチラを飼う方は、ペットショップやブリーダーからのお迎えを検討した方が良いかもしれません。

チンチラの飼育に必要なアイテムと初期費用

チンチラを飼うために必要なアイテムをすべて揃えると、初期費用は40,000円程度必要です。ここでは、チンチラを飼う時に必要なアイテムを紹介していきます。

ケージ

チンチラは基本的にケージの中で飼育します。ケージ内で自由に動くことができるよう、体のサイズに対してゆとりがある幅60cm×奥行き45cm以上のものがおすすめです。幅60cm×奥行き45cm以上だと、チンチラがケージの中を自由に動くことができます。

ある程度成長したら、上下運動ができるようにケージ内にステップを設けて運動不足を解消してあげましょう。

床材

衛生面や安全性を考慮し、ケージ内に床材を敷くのがおすすめです。床材の種類には、木製スノコや布製マット、プラスチック・樹脂製スノコなどさまざま。ケージのサイズや飼育スタイルに合うものを選ぶようにしましょう。

巣箱(寝床)

巣箱とは、ケージ内に設置する小さな家のような箱で、巣箱は床に置くタイプと天井からつるすタイプの2つがあります。チンチラは夜行性なので、巣箱があればその他の時間帯に安心して寝ることができるのです。

エサ(牧草・ペレット)

チンチラの主食は牧草で、ペレットで足りない栄養を補います。牧草にはチモシーやアルファルファ、オーツヘイなどさまざまな種類がありますが、手軽に入手しやすいチモシーが低カロリーかつ繊維質も豊富でおすすめです。

食器・給水器

牧草やペレットを入れる食器をケージの中にセットし、常に食べられる環境を作ってあげることが重要です。また、チンチラは1日に40mlほどしか水を飲みませんが、給水器もケージの中に取り付け、いつでも水を飲める環境にしておきましょう。

ペットシーツ

チンチラのなかにはトイレを覚える個体もいますが、基本的にケージ内のどこでもしてしまいます。そのため、ケージの下にトイレシーツを敷いておきましょう。トイレシーツには、犬猫用やうさぎ用のペットシーツで十分です。

砂浴び用のケース・専用の砂

チンチラには砂浴びをする習性があるため、砂浴び用のケースと専用の砂(チンチラダスト)を用意しましょう。砂遊び用の砂は公園などの砂で代用せず、きちんと殺菌された専用の砂を使用することが大切です。

回し車・ステップ

運動不足の予防や解消のために、ケージ内に回し車やステップを設置します。回し車は体を痛めないよう、体の大きさに適切したサイズを確認してから用意しましょう。

かじり木

ケージの中にかじり木を取りつけると、伸びてくる歯を削ったりストレスを解消したりといったことに役立ちます。

ペットキャリー

チンチラを動物病院に連れて行く時などの移動にはキャリーケースが必要です。キャリーケースは、小動物用や猫用のものを選びましょう。

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チンチラの飼い方

ここでは、チンチラの飼い方について解説しますので、お迎えを検討している場合には是非参考にしてください。

必ず1日1回食事を与える

チンチラは食事の時間が決まっていないので、常に牧草とペレットをケージ内に常備しておく必要があります。 そして常備している餌は、毎日必ず取り替えるようにしてください。 

毎日飲み水を交換する

餌と同じように、チンチラがいつでも新鮮で清潔な水を飲めるよう毎日交換しましょう。

ケージを定期的に掃除する

チンチラは犬や猫と違って、基本的にはトイレの場所を覚えられません。そのためケージ内のあちこちでトイレをしてしまうので、臭いの原因にならないよう定期的に掃除するようにしましょう。

また不衛生な状態にしておくと、体調不良やさまざまな病気になりやすくなるため、掃除は欠かさないことが大切です。

基本的には毎日散歩や砂浴びをさせてストレスを発散させる

ケージに閉じ込めてばかりではなく、運動不足やストレス解消のために定期的に散歩の時間を設けるようにしましょう。 ケージから出すと走り回る子もいれば、落ち着く場所を見つけてリラックスする子もいるので、その子の性格に合わせて散歩をさせてあげてください。

また、砂遊びにはチンチラの皮脂腺から出るラノリンという油を適切な量に保ち、汚れを落とす効果があります。1日に30分から1時間ほどを目安に、砂浴びをさせましょう。

砂浴びは人間で言うところのお風呂のようなもので、体臭や皮膚病の予防にもつながるので、チンチラにとっては欠かせない日課です。

健康そうにみえても、年に一度は健診を受ける

チンチラも犬や猫同様に、体調を崩したり、病気にかかったりすることがあります。そのため年に一度は健診を受け、病気の早期発見・早期治療に努めるようにしましょう。

チンチラを飼う際の注意点

チンチラを飼う際にはさまざまな注意点があります。注意点を理解し、チンチラが快適に過ごせるよう配慮してあげましょう。

過度に触ったり、無理やり起こしたりしない

チンチラは夜行性のため、飼い主が起きている時は本来寝て過ごす時間帯です。過度に触ったり、無理やり起こしたりしてしまうと、ストレスを感じて体調不良に繋がることもあるため控えるようにしましょう。

体が濡れないよう配慮する

チンチラに水浴びやシャンプーは必要ありません。チンチラは非常に湿気に弱く、水に濡れると大きなストレスを感じるだけでなく、うまく体温調節ができなくなってしまうのです。そのため万が一、体が濡れてしまったら、タオルで丁寧に水気を拭いてあげるようにしましょう。

かじられると困るものは片付けておく

チンチラを室内で散歩させる場合、ビニール袋や紙、輪ゴム、細かいプラスチック製のパーツなど誤って飲み込んでしまいそうなものは、あらかじめ片付けておきましょう。

また、チンチラが電気コードをかじってしまうと感電や火災などの事故につながる恐れがあるため、行動範囲内に電気コードを設定するか、カバーをつけるなどの対策が必要です。

快適な温度・湿度を保つようにする

チンチラは、気温が高すぎると熱中症に、低すぎると疑似冬眠状態になり、最悪の場合には死に至る危険性もあります。そのため、チンチラが過ごしやすいと感じる温度15〜24℃、湿度30〜40%に温湿度計を置いてしっかりと管理するようにしましょう。

エサやおやつを与えすぎない

ペレットやおやつを食べすぎて、牧草をあまり食べないようになると、チンチラが体調不良に陥ってしまうことがあります。そのため、主食である牧草以外のペレットやおやつを与えすぎないよう注意しましょう。 

チンチラの寿命とかかりやすい病気

ここからは、チンチラの寿命とかかりやすい病気について解説します。

チンチラの寿命

チンチラの平均寿命は、個体差はありますが10年前後といわれています。また、長いと20年ほど生きることもあるようです。 

かかりやすい病気

チンチラは日頃のケアを怠ると様々な病気にかかりやすくなるリスクを抱えています。ここでは、チンチラがかかりがちな代表的な病気を紹介していきましょう。

熱中症

本来、寒く乾燥した地域に生息しているチンチラは、暑さや湿気に弱い動物なため、熱中症にかかりやすい傾向があります。

熱中症になっても、犬のように舌を出してパンティングするといった兆候が見られないため、突然倒れ命にかかわるケースも少なくはありません。そのため、チンチラを飼育する際には直射日光に当てず、室温や湿度の管理を徹底しましょう。

不正咬合

不正咬合とは、チンチラのように生涯伸び続ける歯を持つげっ歯類に多く見られる、前歯や臼歯が伸びすぎてかみ合わせが悪くなる病気です。主な原因は遺伝や食生活といわれています。

不正咬合の際はよだれや食欲不振、体重減少などの症状が現れるため、そのような症状が見られる場合は早めに動物病院に相談しましょう。

下痢・便秘

チンチラは便秘になりやすい体質です。そのため、ペレットやおやつを与えすぎず、繊維質が豊富な食事内容を守り、適度な運動を日々心がけるようにしましょう。

また、ジアルジアや条虫といった寄生虫が原因で下痢を起こすことがあります。下痢を放置しておくと低血糖や脱水などにつながり危険なため、いつもより便が柔らかいと感じたときには、早めに動物病院を受診しましょう。

皮膚糸状菌症

皮膚糸状菌症とは、真菌(カビ)の一種である皮膚糸状菌の感染により起こる皮膚炎です。特に幼齢や高齢、免疫力が下がっているときなどになりやすいといわれています。チンチラだけでなく、ウサギや犬、猫、人間にも感染することがあるため、飼い主や同居しているペットに移らないよう注意が必要です。

チンチラが快適に暮らせるお部屋の特徴

ここからは、チンチラが快適に暮らせるお部屋の特徴をご紹介します。引っ越しをきっかけにチンチラの飼育も考えているという方は、ぜひ物件選びの参考にしてください。

ペット可のお部屋

ペット不可の賃貸では、基本的にはチンチラを飼育することはできません。

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エアコンが設置されている、また設置ができるお部屋

チンチラは暑さに弱く、温度変化に敏感な動物のため、適温をエアコンで維持してあげることが必要です。そのためエアコンが設置されている、また設置ができるお部屋を選ぶようにしましょう。

ただ、エアコンの風が直接ケージにあたってしまうと、極端な温度変化でチンチラが体調を崩してしまいます。どこにエアコンが設置されているかなど、設置場所の確認も重要です。

騒音や振動が少ないお部屋

チンチラは夜行性のため、周りが活動する日中はほとんど寝て過ごしています。そのため、騒音や振動があると安心して眠れず、ストレスを感じてしまうのです。騒音や振動が少ないお部屋が理想的といえます。

なにかをあったときに駆け込める、動物病院が近くにあるお部屋

チンチラに対応している動物病院はあまり多くありません。そのため、チンチラを飼育するなら、チンチラになにかあったときに駆け込める動物病院が近くにあるお部屋が理想的です。

愛情をこめてチンチラをお部屋で飼育してみよう!

今回は、チンチラの特徴から飼い方の注意点についてまでを解説しました。

チンチラは賢く、人に慣れると自分からコミュニケーションをとろうと近づいてくることもある可愛い動物です。飼い主の顔を覚えるので、毎日撫でたり話しかけたりしていると、名前を呼べば近付いてきてくれるようになるかもしれません。

チンチラの飼い方のポイントをおさえて、是非チンチラとの楽しい生活をスタートさせてください。