メゾネットタイプの賃貸物件はおしゃれなイメージがある一方、「住みにくい」「不便」だという意見も少なくありません。メゾネットタイプの賃貸物件を希望する方は、事前にメリット・デメリットの双方をチェックし、自分に合った住まいなのかどうか一度考えてみましょう。
今回は、メゾネットタイプの賃貸物件のメリット・デメリットについて解説します。また、メゾネットタイプはどんな人に向いていているのか、具体的な特徴も併せて紹介していきますので、メゾネットタイプに興味がある方はぜひ参考にしてください。
メゾネットタイプの賃貸物件とは
一般的に1住戸に2層以上の階層がある集合住宅をメゾネットといい、テラスハウスやタウンハウスと呼ばれる物件もメゾネットタイプになります。仮に複数の階層があっても1住戸が独立している場合はメゾネットとはいわず、一戸建てとして扱われます。
メゾネットタイプの賃貸物件は、各住戸同士が壁でくっついているのが特徴です。マンションタイプの場合は隣同士だけでなく、上下も連なっている構造になります。
ロフトや一戸建てとの違い
ロフトと呼ばれる空間は、建築基準法上では「小屋裏物置」と呼ばれます。あくまでも小屋裏(屋根裏)空間の有効利用であって、居室の扱いではありません。そのため前述の「階層」には当てはまらず、メゾネットには該当しません。
※参考 世田谷区 「小屋裏物置等の取扱い」
また、一戸建ては一つの独立した構造であり、集合住宅でもないため、こちらもメゾネットとは扱われないということを押さえておきましょう。
【結論】「メゾネットタイプはやめたほうがいい」という意見は嘘?本当?
メゾネットは不便だという意見はたしかにありますが、必ずしも「メゾネット=不便」というわけではありません。また住む人のライフスタイルや家族構成によって、使い勝手の感じやすさも異なります。
メゾネットタイプといっても物件ごとに条件が異なりますので、自分にとって使いやすい間取りや配置なのかを見極め選ぶことや、不明な点を大家さんや不動産会社の人に確認をし解消することが重要といえます。
メゾネットタイプの賃貸物件に住むメリット
ここからは、私が実際に住んでみて感じた「メゾネットの良さ」を紹介していきますので、入居後のイメージを膨らませる際の参考にしてみてください。
メリット①:戸建て感覚の玄関アプローチ
メゾネットタイプの賃貸物件は、戸建て感覚で使える玄関へのアプローチが魅力です。集合住宅は各戸の玄関が通常横並びで、玄関部分に個人的なものを置くことは基本的に禁じられていますが、メゾネットタイプ(テラスハウスなど)は玄関が戸建てのように独立しているため、鉢植えなどを置くことができるケースもあります。
私自身、アプローチ部分に寄せ植えした鉢を置いて、ガーデニングを楽しんでいました。また多くの場合、メゾネットタイプのポストは各住戸に備え付けられていることが多いため、集合ポストまで取りに行くような手間もかかりません。
メリット②:駐車場への動線が短いことが多い
特に買い物帰りなど荷物が多いとき、小さい子どもがいると目を離すこともできず苦労することになるでしょう。しかし、マンションタイプなど世帯数が多い集合住宅に比べて、メゾネットタイプは駐車場への動線が短いケースが多いです。また、玄関のすぐ脇が駐車場というケースも少なくありません。
実際に私自身が住んでいたところも、駐車場から玄関までの動線が短いタイプでした。私の目が届く範囲で荷物を運び入れることができたので、買い物も比較的楽にできたと実感しています。
メリット③:リビングと寝室が離れている可能性が高いこと
小さなお子様を持つ方は、子どもの寝かしつけに苦労することが多いです。しかし、メゾネットタイプの賃貸物件は、のように玄関やリビングなどの居住空間と寝室が離れている場合があります。れば、仮に遅い時間に家族が帰ってきても物音に対して過敏になる必要はありません。
私が住んでいたところは1階に玄関やリビング、キッチンなどの水回りがあったため、2階で寝ている子どもを起こしてしまうという心配はありませんでした。
メリット④:階下への物音の配慮が必要ないこと
小さいお子様がいると、特に階下の居住者へ足音などが迷惑となっていないか心配になることも多いのではないでしょうか。メゾネットタイプで1・2階を専有している場合、階下に部屋がないので足音などを気にする必要がありません。また、3階以上がないテラスハウスなどであれば、上階の足音が聞こえてくることもないでしょう。
上記のように防音性や動線に関するメリットが大きいといえるので、これらに魅力を感じるという方は「テラスハウス」「メゾネットタイプ」などの賃貸物件を探してみてはいかがでしょうか。
メゾネットタイプの賃貸物件のデメリット
ここまでメゾネットタイプのメリットについて紹介してきましたが、もちろん注意しなければならないデメリットもあります。メリット・デメリットの双方をチェックして、実際に住むかどうか決めるようにしてください。
デメリット①:洗濯物を干すのが大変
一般的に、洗濯機が1階で2階のベランダに洗濯物を干す場合は、重い洗濯物を持って階段を上らなければなりません。家族の人数が多いとその分洗濯物の量も増えるため、なるべく運びやすい洗濯カゴを使うといった工夫が必要になります。
デメリット②:階段の危険性
小さいお子様を持つ方の場合、階段は非常に危ない場所になります。場合によっては転落などの事故が発生してしまう可能性があるので、お子様の年齢に応じてベビーゲートなどで対策しましょう。
デメリット③:階段があることによって面積が狭くなる
フラットな間取りのタイプのお部屋と専有面積が同じでも、メゾネットタイプは階段部分に面積が取られるため、実際にはその分狭くなります。部屋の広さを重視する場合、間取り図だけではなく内見のときに実際の広さをよくチェックしておく必要があるといえるでしょう。
メゾネットタイプがおすすめの人
ここまでメゾネットタイプのメリット・デメリットについて解説しましたが、具体的にどんな人におすすめといえるのでしょうか。次項で挙げる特徴をチェックして、1つでも当てはまっているようならメゾネットタイプの賃貸物件への入居を検討してみてください。
おすすめの人①:戸建て感覚を味わいたい人
将来戸建てに住みたいと検討している方は、メゾネットタイプの賃貸物件への入居をおすすめします。お隣と壁を挟んでつながってはいますが、戸建てに近い感覚で住むことができるので、将来一戸建ての間取りや配置、レイアウトなどを検討する際に活かすことができるでしょう。
おすすめの人②:1階と2階で使い方を変えたい人
1階は生活する空間、2階は寝室と分けることができるため、小さいお子様を持つ方や帰宅時間が遅くなるご家族がいる方にもおすすめといえます。足音などの生活音が寝室まで届かないため、夜遅い時間の食事・入浴もストレスなく行えます。
そのほかにも1階を仕事スペース、2階を居住スペースとして使いたい方にもおすすめです。最近はテレワークの普及によって自宅で仕事をする方が増えているため、自分の仕事内容に応じて部屋の使い方を考えてみてください。
おすすめの人③:こだわりのある家に住みたい人
メゾネットタイプの賃貸物件は、一般的な集合住宅に比べてこだわった造りや仕様になっていることが多くあります。螺旋階段やシースルーの階段が設置されているところや、全体的に洗練されたデザインになっているところも少なくありません。
私自身もおしゃれな雰囲気や戸建てのような佇まい、収納が充実しているなどが気に入ってメゾネットタイプの賃貸物件を選びました。人とは違った住まいに憧れを持つ方は、メゾネットタイプの賃貸物件がぴったりといえるでしょう。
メゾネットタイプの賃貸物件を内見する際のポイント
最後に、内見するときに確認してもらいたいポイントを3つご紹介します。住んでから後悔しないためにも、実際に住んだときのイメージを膨らませながら内見に臨むようにしてください。
内見ポイント①:家事動線
まずは家事の動線を確認しましょう。具体的には、洗濯機の設置場所と洗濯物を実際に干す場所との距離などが挙げられます。
また、キッチンと洗濯機、浴室はなるべくまとまっているほうが便利です。内見の際は実際に生活するイメージを持ち、部屋のレイアウトを確認しながら見てみることをおすすめします。
内見ポイント②:音の問題
メゾネットタイプは、上下階の音は気にする必要はありませんが、左右の住戸の生活音が気になる場合があります。メゾネットタイプの賃貸物件は木造や軽量鉄骨造になっていることが多いため、鉄筋コンクリート造などのマンションと比べると音が聞こえやすい傾向にあります。
内見の際は隣の生活音が聞こえるかどうか耳を澄まし、壁を軽くノックしてみましょう。壁をノックして軽い音が聞こえてきた場合、音が伝わりやすい構造の可能性があります。
内見ポイント③:駐車場や駐輪場の空き区画
駐車場や駐輪場を利用したい場合は、空き区画の有無と実際にどの区画が使えるのか事前に確認することをおすすめします。部屋数に対して駐車場が足りない場合、敷地外で探すことになります。
また、「住戸から一番近い区画が使えると思ったら、一番奥の使いづらい区画しか空いてなかった」というトラブルも少なくありません。物件によって異なりますが、区画選に関するルールが定められているところもあるので事前に確認しましょう。
上記のように、メゾネットタイプの賃貸物件の内見にはいくつか注意しなければならないポイントがあります。部屋探しをして希望の住まいが見つかったときは、自分が気になる項目をあらかじめリストアップしてから内見に臨むようにしてください。
メゾネットタイプの賃貸物件も候補のひとつに入れてみては?
メゾネットタイプの賃貸物件には、メゾネットにしかないメリットや魅力がたくさんあります。もちろんデメリットや注意点もありますが、それも家族構成やライフスタイルによってそれぞれ異なり、場合によってはあまり気にならないというケースも少なくありません。
もし引越しを検討される場合は、メゾネットタイプの賃貸物件も候補に入れて部屋探しをしてみてください。内見に行って実際にチェックしてみれば、メゾネットに対するイメージが変わるかもしれません。