「朝起きるのが苦手」「遅刻が怖い」と感じている方は生活リズムが崩れているのかもしれません。寝坊をしてしまうと、職場の評価が下がったり友人からの信頼を失ったりする可能性があります。社会人としては絶対に遅刻したくないところですが、特に一人暮らしの場合は起こしてくれる人はいないため、自分で対処する必要があります。
今回は寝坊をする原因や適切な対策法を紹介していきます。また、一人暮らしでも安心して朝を迎えられるように具体的な寝室環境づくりを提案。睡眠に対する不安を取り除いて、寝坊癖を改善しましょう。
寝坊をしてしまう主な原因
寝坊をしてしまう主な原因には、環境的要因、精神的要因、病的要因などさまざまです。
睡眠時間が足りない
単純に睡眠時間が足りてないのかもしれません。
成人においてはおよそ6~8時間の睡眠が必要とされています。それより短いと睡眠不足の可能性があります。また、睡眠が足りてない場合、次にとる睡眠ではより長い睡眠時間が必要となってしまうため、悪循環に陥ります。
※参考:厚生労働省 いい睡眠の概要
寝室の環境が整っていない
寝室の環境次第では寝坊の原因になってしまいます。
睡眠時には睡眠時の適した温度と湿度があり、暑い夏や寒い冬など場合によっては冷房・暖房機器、加湿器などで調整する必要があります。また、インテリアの色使いも睡眠の質を左右する要素のひとつです。
ストレスを抱え込んでいる
ストレスを抱え込んでいると入眠しにくくなり睡眠の質が悪化するため、寝坊に繋がってしまう可能性があります。ストレスは寝坊の精神的要因のひとつです。
疲労が溜まっている
体に疲労が溜まっていると朝起きるのが辛くなってしまいます。前日に激しい運動をしたり、仕事で連日疲れていると感じている場合は、疲れを残さないためにも早めの就寝を心がけてください。
なんらかの病気が潜んでいる可能性がある
その寝坊には病気が潜んでいるのかもしれません。睡眠時無呼吸症候群や概日リズム睡眠障害といった医学的要因が考えられる場合は、早めに専門医の診断を受けましょう。
※参考:e-ヘルスネット
生活習慣の改善から試みる、寝坊対策5選
寝坊対策には、生活習慣の改善がシンプルかつ有効です。
睡眠を普段から十分にとる
普段から十分に睡眠をとることを心がけてください。当たり前のことですが、普段の睡眠が足りてないことが睡眠負債となっているかもしれません。成人では6~8時間の睡眠が必要です。
毎日同じ生活リズムにする
寝坊しないためにも毎日同じ生活リズムにすることが大事です。特に週末の寝だめは厳禁。平日の疲れや睡眠不足を補おうと週末に長く寝てしまうと、週明けに寝坊する可能性が高まってしまいます。
眠る前の行動に気を付ける
寝る前のスマホいじり、激しい運動、飲酒、コーヒーなどカフェインの摂取はNG行動です。心あたりがある場合は、意識して気を付けてみてください。
また、もし寝る前に喉が渇いたら、常温の水にとどめておきましょう。冷たい水は体を目覚めさせてしまう可能性があります。浄水器付きの物件でしたら追加費用なく美味しい常温の水が飲めるでしょう。
朝起きたら太陽光を浴びる
朝起きたら太陽の光を浴びましょう。太陽光は睡眠において非常に重要です。光を浴びてから約15時間後に、睡眠誘導作用のあるホルモン「メラトニン」の分泌が促されます。
メラトニンが分泌され始めると、約1~2時間後に眠りにつきやすくなりますが、朝に太陽光を十分に浴びていなければこのメラトニンが十分に分泌されず、眠気が来にくくなってしまいます。
寝室は、朝日がたっぷり入りやすい南向きの部屋にすることをおすすめします。
予定より30分以上早く起きる習慣を身につける
朝どうしても寝坊するなら、予定より30分以上早く起きる習慣を身につけてみてください。起きなければいけない時間をギリギリに設定してしまうと、少しでも遅れたら大きな寝坊となってしまいます。
例えば、出かける1時間前に起きているなら、それより30分早い1時間半前に起きるのを習慣づけることで、寝坊リスクを下げられます。
モノや環境の改善から試みる、寝坊対策4選
次に、モノや環境改善でできる寝坊対策を紹介します。
睡眠に適切な室温・湿度にする
寝るときの布団の中が寒すぎたり暑すぎたりはしてないでしょうか。室温や湿度を適切に設定することで睡眠の質は改善できます。
室温は夏場なら約26度、冬場なら16~19度、部屋の湿度は1年を通して約50%が理想的と言われます。この室温や湿度を保つことで、寝床内温度を33±1度に保ちやすくなり快眠に繋がります。
そのためにも、寝室にはエアコンが必須。夏場は「25~28度」冬場は「18~22度」を目安にして調整してみてください。
外からの音が気にならない環境にする
寝室に響く音は、最大でも40デシベル以下になっていなければ、睡眠に悪影響を与えるといわれます。人の話す声で約50~60デシベル、外を走る車の音は55~75デシベルほど。寝室が1階にある場合には、外から聞こえる騒音に睡眠を邪魔されやすくなります。
神経質な方は不安感が増したり雑念で寝つきにくくなるため、寝室は2階以上にある方が快適に眠りやすいです。できれば防音効果が期待できるお部屋がベスト。隣の部屋やお隣さんへ迷惑かけずにすみます。
光目覚まし時計を使う
光目覚まし時計とは、アラームではなく光によって起床を促してくれる目覚まし時計のこと。(アラーム機能を搭載しているものもあります)設定した起床時間が近くなるとライトが少しずつ光りはじめ、時間には明るい光になって自然な目覚めに導いてくれます。
アラーム音の出る目覚まし時計は確実に起きられるので、絶対に寝坊できないときには必需品。しかし実は、大きな音で起きると寝起きがあまり良くありません。
光目覚まし時計であれば、太陽光と同じ効果が期待できます。光が入りにくい部屋で寝ている方は光目覚まし時計を活用してみましょう。
寝具や寝室インテリアを中間色にする
睡眠を改善するには寝具や寝室インテリアの色選びも大切です。
青や赤、黄色などの原色よりも、ベージュやグレーなど温度感の少ない落ちついた色合いで統一することで、リラックスしやすい空間をつくれます。
睡眠のプロが教える、ぐっすり眠れる寝室環境の作り方
ぐっすり眠れる寝室環境の作り方のポイントは「光」「音」「温度・湿度」「清潔さ」「寝具」の5つです。
真っ暗よりもほの暗い程度の暗さを意識する
なにも見えないほど真っ暗にするよりも、ほの暗い寝室の方がよく眠れるといわれます。ほの暗さというのは、月明かり程度の光が適当です。遮光カーテンは使わずに、月明かりが入るようにカーテンを少し開けておくのがおすすめです。
また、豆電球は睡眠の質を下げるといった528人を対象にした研究結果もあります。意外かもしれませんが、豆電球は睡眠には適さない光なのです。その研究では、豆電球をつけて寝た人は、真っ暗にして寝た人より、約1.9倍ほど中性脂肪の数値が高いという結果でした。ダイエットや健康のためにも豆電球の使用は控えましょう。
参考:奈良県立医科大学の研究「夜間の豆電球使用が肥満・脂質異常症のリスクになる可能性を示唆」
周りの音が聞こえてくるなら耳栓を使う
外の車の音、電車、人の歩く音や声、となりの部屋の物音など睡眠を妨げる音はたくさんあります。どの音も睡眠を阻害するといわれる40デシベルを超えているため、耳栓を使って防音対策をしましょう。
室温と湿度を調整して快適な空間に
先述していますが、室温は夏場が26度、冬場は16~19度が快適な温度です。エアコンを適宜使って室温を調整しましょう。扇風機は風が直接体に当たると体調を崩す原因となるため、使う場合は首振り機能を活用して風を分散させてください。
湿度は約50%ほどが理想的。加湿器や除湿器を使って湿度を調整しましょう。調湿機能のあるエアコンだと室温も湿度も調整でき、一石二鳥です。
ホコリや匂いなど衛生面に気を付ける
寝室は常に清潔さを保ちましょう。毎日寝室の窓をあけ換気をおこない、ホコリが溜まらないよう掃除機をかけることを徹底してください。
快適な寝具を使う
寝具は毎日直接触れるものです。なるべくシーツや掛け布団は吸湿性や放湿性に優れたもの、マットレスは寝返りしやすく体への負担が軽いもの、枕は首の頸椎や肩に負担のかからないものを選んでください。
また、ヘたっているマットレスや敷布団を使い続けていませんか?心当たりのある場合は今すぐ新調することをおすすめします。
なにをしても起きられないなら病気かも?不眠症セルフチェック
ここまで紹介した方法を意識しても寝坊をしてしまう、という人は、不眠症を疑い医療機関への相談を検討してみましょう。
世界保健機関(WHO)による「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」が作成した世界共通の不眠症判定法「アテネ不眠尺度」を使ってセルフチェックをしてみてください。
【セルフチェックの内容】
1.布団に入って眠りに就くまでどれくらいかかった? □0点:すぐに眠れた □1点:いつもより少し時間がかかった □2点:いつもよりかなり時間がかかった □3点:非常に時間がかかった、もしくは眠れなかった |
2.夜間に睡眠から目覚めることはある? □0点:問題になるほどではなかった □1点:少し困ることがあった □2点:かなり困っている □3点:深刻な状態、もしくは全く眠れなかった |
3.起きたい時間より早く目覚め、それ以上眠れなかったか? □0点:そのようなことはなかった □1点:少し早かった □2点:かなり早かった □3点:非常に早かった、もしくは全く眠れなかった |
4. 希望する起床時間より早く⽬覚め、それ以上眠れない問題について □0点:そのようなことはなかった □1点:少し早かった □2点:かなり早かった □3点:非常に早かった。もしくは眠れなかった |
5.睡眠時間全体について、足りていますか? □0点:十分足りている □1点:少し足りない □2点:かなり足りない □3点:全く足りない、もしくは全く眠れなかった |
6.全体的な睡眠の質は? □0点:満足している □1点:すこし不満 □2点:かなり不満 □3点:非常に不満、もしくは全く眠れなかった |
7.日中の気分は? □0点:いつも通り □1点:少しめいった □2点:かなりめいった □3点:非常にめいった |
8.日中の眠気について □0点:全くない □1点:少しある □2点:かなりある □3点:激しい |
4点未満なら睡眠障害の心配はありません。4~5点ならやや疑いあり、6点以上は不眠症の疑いが強くなるので、適宜医師への相談をおこなってください。
寝坊グセを改善して焦らない生活を送ろう!
寝坊の原因は主に疲労などの身体的要因、ストレスなどの精神的要因、睡眠障害などの病的要因の3つに分かれます。身体的、精神的要因であれば、本ページで紹介している対処法を実践して改善してみましょう。
また、どんな対策をしても寝坊が治らない場合は睡眠障害も考えられます。その場合は早めに専門医の診断を受けてください。
寝坊をしないためにも、日頃から生活習慣や睡眠環境を整え、余裕のある生活を送りましょう。