ふとしたときに漂ってくるキッチンの嫌な臭いは、気になる人も多いのではないでしょうか。臭いが強いと、人を家に招くのも躊躇してしまうでしょう。
キッチン回りの悪臭は、原因を知って対策をすることで、軽減できる可能性があります。そこで今回は、気になる臭いを退治して気持ちよく過ごせるよう、悪臭の原因ごとに対策・防止法を紹介します。この記事を読んで、臭いが気にならない快適なお部屋を目指してみてくださいね。
キッチンが臭い原因
キッチンに漂う気になる臭いの原因は、水回りから発生する臭いと、コンロやオーブンなどの調理器具から発生する臭いに分けられます。それぞれの臭いの原因を見ていきましょう。
【水回り】排水口からの臭い
日々、調理や洗い物の排水が流れる排水口は、悪臭の発生源になりやすい場所です。何かが腐ったような臭いや、下水のような臭いを感じたことがある人も少なくないでしょう。ワンやホースなど排水口を構成するパーツの掃除が不十分なパターンと、破損や隙間が生じているパターンが考えられます。
【水回り】生ゴミの腐敗
生ゴミの腐敗も、代表的な悪臭の原因といえます。特に気温の上がる夏場は、困っている人も多いのではないでしょうか。自宅で調理をするなら避けられないゴミなので、できる限りの対策をして臭いを抑えましょう。
【水回り】布巾の生乾き
見落としがちなのが、布巾の生乾きの臭いです。いつも水洗いだけでは、臭いが発生してしまうことがあります。定期的に対策を行うことが臭い予防のポイントなので、多少面倒かもしれませんが、一手間かけてあげましょう。
【調理器具回り】調理中に飛び散った油汚れの酸化臭
コンロやオーブンなど調理器具の周りや内側は、調理中に飛び散った油が付着します。付いた油をそのまま放っておくと、酸化した油が臭いの原因になることがあるので注意が必要です。
また、飛び散る油のように目で確認しやすいもの以外に、調理中に発生する油と水蒸気が混じった湯気の「油煙」も油汚れの原因となります。天ぷらや焼肉をした際に、キッチンやリビングの床がうっすら油膜を張ったようにツルツルした経験はないでしょうか。油煙による油汚れは、知らず知らずのうちに蓄積するのが厄介なところです。
排水口から漂う臭い対策・防止方法4選
排水口から発生する臭いの対策は2つあり、パーツの掃除と、パーツの正しい設置や破損への対応に分かれます。
排水口のフタやゴミ受け、ワンを定期的に掃除する
まずは、排水トラップを構成しているフタ・ゴミ受け・ワンを定期的に掃除して、清潔に保つことが大切です。見た目はきれいでも、触ってヌルヌルしていたら汚れていると認識しましょう。
フタとゴミ受けを外したら、ワンを左に回して取り出します。それぞれ台所洗剤をつけたスポンジで、すみずみまで洗いましょう。使い古した歯ブラシを活用するのも、おすすめです。
排水口は汚れを溜めると見た目も不快で、触りたくなくなるものです。すると、ますます掃除をしなくなる悪循環に陥ります。私が実践している、掃除のハードルを下げるためのアイデアを以下で3つ紹介するので、参考にしてみてください。
フタを撤去する
フタを撤去すると、掃除を継続しやすい2つの効果があります。
・そもそも掃除するパーツが一つ減る
・ゴミ受けの中が見えるので、きれいに保つ意識が働きやすい
フタがなくなると、日常的な掃除はゴミ受けとワンだけで済むので手間が省けます。さらに、ゴミ受けが常に見えるため、ゴミを溜めない・常にきれいにするという気持ちになりやすいのです。
深いゴミ受けを浅いものに替える
自宅のゴミ受けが深い場合は、浅いゴミ受けに交換するのがおすすめです。筆者の経験上、浅い方が清潔に保ちやすいと感じます。
前提として、ゴミ受けはゴミを溜めるものという意識を捨ててみましょう。後述しますが、生ゴミ臭を防ぐ観点でも、ゴミ受けを生ゴミ入れに使うのはNGです。ゴミ受けが浅ければ容量が小さいので、生ゴミを溜められません。また、浅いゴミ受けは深いものより洗いやすく、ワン周辺に溜まっている「封水」にも接触しにくいので、衛生面でもメリットを感じます。
ホームセンターには各種直径のゴミ受けが並んでいるので、一度探してみてはいかがでしょうか。
ゴミ受けを2個用意し、食洗機を回すたびに一緒に洗う
面倒なゴミ受けの手洗いは、ついつい先延ばしにしてしまうこともあるでしょう。食洗機で食器を洗うついでにゴミ受けも洗ってしまえば、手間要らずです。ただし、ヌルヌルに汚れたゴミ受けを食器と一緒に洗うのは、衛生的にもおすすめしません。
すでにゴミ受けが汚れているなら、先述したような浅いゴミ受けを新調しましょう。その際には、2つ購入するのがポイントです。一方を洗っている最中に、もう一方を排水口にセットする必要があります。
食洗機を回すたびにゴミ受けも一緒に入れれば、1日に1〜3回は洗えるのではないでしょうか。この方法で、筆者の家のゴミ受けは常にピカピカを保てるようになりました。
排水ホースの掃除をする
ワンを取り外すと見えるのが、排水ホースです。排水ホースの壁面に溜まったドロドロの汚れは、悪臭や流れの悪さの原因になります。
汚れが軽ければ、自分で掃除してみましょう。ワンを外したら、フェイスタオルで排水口の入り口を塞ぎます。そのままシンクに60度のお湯を張ったら、タオルをどけて一気にお湯を流す勢いで汚れを押し流します。タオルを排水口に流さないよう、十分に注意して行いましょう。
汚れがひどい場合は無理に掃除せず、専門の業者に依頼することをおすすめします。
ワンが正しく設置されているか、また破損していないか確認をする
排水トラップのワンの役割は、排水口からの臭いや害虫の侵入を防ぐことです。そのため、ワンがズレていたり、破損していたりすると、下水管から悪臭が上がってくることがあります。
ワンが斜めになっていないか、ゆるんでいないかを確認しましょう。経年劣化で破損している場合は、システムキッチンの型番を調べて、新しいものを手配しましょう。
排水ホースと床下の塩ビ管の隙間を防臭ゴムで塞ぐ
排水ホースと床下の塩ビ管のつなぎ目に隙間がある場合も、臭いが漏れる可能性があります。シンク下の収納を確認すると、排水ホースが床下に入っていく部分に、排水カバーが被せられているのが一般的です。排水カバーを外すと見られる排水ホースと、塩ビ管の連結部に隙間がある場合は対処しましょう。
市販の防臭ゴムや防臭キャップ、配管用パテ、隙間補修用のテープなどで隙間を防ぎます。
生ゴミの腐敗による臭い対策・防止方法6選
キッチンの臭いを抑えるには、生ゴミの腐敗臭を防止することが大切です。気温が高かったり、水分が多かったりするほど、生ゴミの臭いは強くなることが分かっています。対策の基本は温度を低く保ち、水分を減らすことです。
生ゴミを濡らさない
かぼちゃのワタや玉ねぎの皮など、濡らさなくて済むゴミは濡らさずに捨てましょう。蛇口の水がかかってしまうので、三角コーナーや排水口のゴミ受けはおすすめしません。
よく水を切る
水分を含んだ生ゴミは、しっかりと水分を絞ってから捨てましょう。水切りネットなどを活用するのも、おすすめです。
新聞紙に包んで捨てる
捨てる前に生ゴミを新聞紙に包むのも、臭い対策には効果的です。新聞紙が生ゴミの水分を吸収し、臭いの発生を抑えられます。
重曹を振りかけてから捨てる
アルカリ性の重曹は酸性の臭い成分を中和するので、悪臭予防の効果が期待できます。また、重曹が生ゴミの水分を吸収する性質も、臭いの抑制に役立ちます。
ゴミ収集日まで冷凍する
ここまでは、生ゴミの水分を減らすための対策でしたが、温度を低く保って腐敗を抑制する観点からは、生ゴミを冷凍する方法もあります。ゴミ収集日まで生ゴミを冷凍庫で保存すれば、臭いは発生しません。
ただ、生ゴミと食品を一緒に保存することに、抵抗を感じる人もいるでしょう。24時間ゴミ出しOKの物件ならいつでもゴミを出せるので、生ゴミ臭に悩まされません。
防臭袋やフタ付きのゴミ箱を使って、臭いを漏らさない
最後に紹介する生ゴミ臭対策は、発生してしまった臭いをシャットアウトする方法です。私は、生ゴミやオムツを入れるために開発された、防臭袋を活用しています。普通のビニール袋は腐敗臭を通してしまいますが、専用に開発された防臭袋はほとんど臭いを感じません。
また、生ゴミを入れるゴミ箱は、フタ付きのものがおすすめです。フタのおかげで臭い漏れが少なくなり、害虫の予防にもなります。
布巾の生乾きによる臭い対策・防止方法3選
清潔に保っているつもりなのに、臭いが発生してしまうのが布巾です。臭いの原因は雑菌の繁殖によるものだと考えられており、対策のポイントは殺菌です。3つの方法を紹介するので、ぜひ実践してみてください。
定期的な煮沸消毒を行う
雑菌の増殖を抑えるには、布巾を定期的に煮沸消毒する方法があります。鍋で沸かしたお湯に、布巾をつければOKです。火傷をしないよう、お湯が冷めてから取り出してください。また、水分を軽く絞った布巾を、電子レンジで1分程加熱する方法もあります。鍋を使うより手間が少ないので、おすすめです。
なお、生乾き臭の原因の一つは、モラクセラ菌という細菌が産出する物質だといわれています。モラクセラ菌は熱に弱く、60℃のお湯で99%以上殺菌することが可能です。モラクセラ菌の除菌に関しては、熱湯ではなく、60℃程度のお湯に20分ほどつける方法でも十分といえます。途中で冷めないよう、差し湯をしましょう。
漂白除菌をする
煮沸消毒以外に、漂白剤で除菌する方法もあります。漂白剤は、塩素系と酸素系に大別されます。塩素系漂白剤は布を脱色させる可能性があるので、色柄ものには使えません。どちらの漂白剤も、指定の濃度に薄め、規定時間布巾をひたします。その後によく洗って漂白剤を落とし、すぐに乾かします。
天日干しをする
紫外線には殺菌効果があるので、天日干しも臭い対策になります。ただし、紫外線の殺菌効果は黄色ブドウ球菌などには有効ですが、先述のモラクセラ菌は紫外線に強いため、あまり期待できません。
天日干しは紫外線の殺菌効果以外に、日光に当てて素早く乾かすことにより、菌の増殖を抑える効果が期待できます。南向きや2面採光の物件であれば、天日干ししやすいのでおすすめです。
調理器具回りの臭い対策・防止方法4選
調理器具回りの油汚れは、その都度こまめに掃除するのが得策ですが、忙しい毎日では難しい場合もあります。本項では、溜まった油汚れを落とす方法や、そもそも汚さない方法も紹介するので、参考にしてみてください。
調理したらすぐに拭き取る
油汚れが最も落としやすいのは付着した直後なので、調理が終わるたびに布巾で拭き取るのが理想的です。表面がフラットなIHコンロであれば、コンロ回りの掃除が億劫になりません。
頑固な油汚れはアルカリ性の「重曹」か「セスキ炭酸ソーダ」を使う
油汚れを溜めてしまうと、布巾で拭いただけでは落ちません。そのようなときは、重曹かセスキ炭酸ソーダを使ってみましょう。どちらもアルカリ性のため、酸性の油汚れを落とせます。
水に溶けにくい重曹は、水1:重曹2〜3の割合で混ぜたペースト状で使うのがおすすめです。コンロやレンジフードなどの油汚れに貼り付けて、30分ほど置いたら拭き取りましょう。ザラザラとしているので、クレンザーの効果もあります。
水に溶けやすいセスキ炭酸ソーダは、水500ml:セスキ小さじ1のスプレー液にすると使いやすいです。セスキ液をベタベタした油汚れにスプレーして、拭き取りましょう。汚れがひどい場合は、キッチンペーパーに染み込ませて湿布すると、汚れが落ちやすくなります。
魚焼きグリルを使う際はアルミホイルや専用シートを敷く
魚焼きグリルはパーツが複雑で大きさもあるので、使用後の掃除が面倒なものの代表格といえます。そのため、できるだけ汚さないように使用するのが一番簡単です。魚焼きグリルを使う際には、アルミホイルや専用のシートなどを敷いてみましょう。汁や油のしたたり、焦げ付きをガードできるので、お手入れがずっと楽になります。
電子レンジ使用後はサッと布巾で拭く
電子レンジやオーブンレンジも、先述の重曹やセスキ炭酸ソーダで定期的に油汚れを落として、臭いを防ぎましょう。使用直後が掃除のチャンスです。庫内に熱や湯気が残っている間は汚れもゆるんでいるので、軽い力で拭くだけできれいにできます。こまめに手入れをすると汚れの蓄積を防げるため、大掃除も必要なくなるかもしれません。
家電付きの住まいに設置されている家電のほとんどが、入居時はクリーニングされた状態です。すでに汚れがこびりついた家電を掃除するのは大変ですが、家電付きの住まいなら心機一転、きれいな状態をキープするだけで済む可能性があります。
原因に合った対処法でキッチンの臭いから解放されよう!
日々料理をするキッチンには、嫌な臭いが発生しやすいポイントが複数あります。臭いの発生源ごとに原因は異なるので、それぞれに適した対策を行うことが大切です。
一見面倒に思える対策も、習慣化してしまうとそれほど負担にならないこともよくあります。キッチンの臭いに悩んでいるなら、今回ご紹介した方法をぜひ実践してみてください。