「ニットを洗濯したら縮んでしまった」こんな経験はありませんか。ニットの正しい洗い方を知れば、縮みや型崩れを防ぎ、長く楽しむことができます。
今回は、ニットの素材別の洗濯方法や、縮みや型崩れを防ぐコツ、保管方法まで詳しく解説します。正しいお手入れ方法をマスターして、お気に入りのニットを長く美しく着こなしましょう。
ニットの正しい洗い方を見分ける方法
ニット製品の中には、自宅で洗濯できるものが数多くあります。しかし正しい方法で洗濯しなければ生地を傷めてしまい、大切な服を泣く泣く手放すことになる場合もあるでしょう。
まずは、正しい洗い方を見分ける方法を解説します。
洗濯表示を確認する
洗濯表示には、そのニットに適した洗濯方法が記号で示されています。実際には、以下のような情報が含まれています。
・洗濯機で洗えるかどうかを示す「洗濯桶マーク」
・手洗いのみ可能であることを示す「手洗いマーク」
・水洗いができないことを示す「水の入った桶に×」マーク
・乾燥機の使用の可否を示すマーク など
洗濯表示に「家庭での洗濯禁止」のマークが表示されたニットや、革・スパンコールなどの装飾品がついているものは家庭での洗濯が推奨されません。クリーニングに出すことを検討しましょう。
※参照:消費者庁「新しい洗濯表示」
【補足】ニットの素材別・洗う上での注意点
「ニット」とは、厳密には1本の糸で編んで作られた生地のことを呼びます。素材によって、洗濯方法や注意点が異なります。
ニットの素材は大きく以下の3つに分類されます。
・動物由来の素材
・植物由来の素材
・化繊素材
それぞれの素材の特徴や洗い方のポイントについて見ていきましょう。
動物由来の素材
動物由来の素材は、暖かく柔らかい着心地が特徴です。ウールやカシミヤなどを代表する動物由来の素材として知られています。
以下のような素材が動物由来のニットによく使われます。
・ウール(羊毛)
・カシミヤ(カシミヤヤギの毛)
・モヘア(アンゴラ山羊の毛)
・アルパカ(アルパカの毛)
これらの素材は、縮みやすい特性があるため洗濯には注意が必要です。高温に弱いため、家庭で洗濯する際にはぬるま湯での手洗いが推奨されます。
植物由来の素材
植物由来の素材は、さらりとした肌ざわりと通気性のよさが特徴です。以下の素材が植物由来のニットによく使われます。
・綿(コットン)
・シルク(絹)
綿素材は、比較的丈夫で洗濯しやすい特性があります。また、シルクはデリケートな素材であるため、手洗いまたはクリーニングに出すことが推奨されます。
化繊素材
化繊素材は、丈夫で扱いやすい特性を持っています。以下のような素材が化繊のニットによく使われます。
・アクリル
・ポリエステル
・レーヨン など
これらの素材は、縮んだり型崩れしにくく、家庭でも洗濯しやすい特徴があります。お手入れが比較的簡単なので、忙しく洗濯に時間をかけられない人にもおすすめです。
【洗濯表示別】ニットの正しい洗い方
洗濯表示を確認したら、その指示に従って洗濯をしましょう。
・洗濯桶マーク:洗濯機での洗濯可能
・手洗いマーク:手洗いが必要
・水の入った桶に×印:水洗い不可
ここからは、洗濯表示別に正しい洗い方を紹介します。
※参照:消費者庁「新しい洗濯表示」
洗濯機で洗濯可能な場合
洗濯桶に数字が書いてあるマークは、洗濯機で洗濯が可能なことを示しています。数字は、水温の上限を示しています。ここからは、洗濯機で洗う場合の洗い方を順を追って説明します。
STEP1 事前に汚れのひどい部分を部分洗いをしておく
ニットを洗濯する前に、汚れの目立つ部分を部分洗いしておきましょう。
汚れた部分におしゃれ着用洗剤を少量つけ、指先で優しくもみ洗いします。裏側から優しくトントンと叩く方法も効果的です。
特に、襟元や袖口など汚れが付きやすい部分は丁寧に洗いましょう。ニットを傷めないよう、優しく行うことが大切です。部分洗いを丁寧に行うことで、洗濯後の仕上がりがよくなります。
STEP2 ニットやセーターは裏返して畳み、洗濯ネットに入れる
ニットを洗濯機で洗う際は、必ず洗濯ネットを使用しましょう。
ニットを裏返してたたみ、ぴったり収まるサイズの洗濯ネットに入れます。汚れが気になる部分がある場合は、その部分が外側に来るようにたたみましょう。
STEP3 優しく洗えるコースを選ぶ
ニットはデリケートな素材です。型崩れや毛玉を防ぐため、洗う際には水流の弱いコースを選択しましょう。
洗濯機の機種により異なりますが次のようなコースがおすすめです。
・弱水流
・おしゃれ着コース
・ドライコース など
STEP4 脱水を短時間行う
脱水は強い力がかかるため、ニットの縮みや型崩れの原因となることもあります。1分程度を目安に、短めに行いましょう。
また、脱水が終わればできる限りすぐに取り出し、形を整えてから干します。
手洗いマークがある場合
洗濯表示に「洗濯桶と手のマーク」が表示されている場合、手洗いが推奨されます。手洗いは、ニット素材にとっては最もダメージが少なく、長持ちする洗い方です。手順を見ていきましょう。
STEP1 事前に汚れのひどい部分を部分洗いをしておく
手洗いの前に、汚れの目立つ部分に洗剤を塗りこんでおきましょう。
汚れた部分におしゃれ着用洗剤を少量つけ、指先で優しくもみ洗いしたり、裏側から優しくトントンと叩きます。ニットを傷めないよう、優しく行いましょう。
部分洗いを丁寧に行うことで、洗濯後の仕上がりがよくなります。
STEP2 洗面器にデリケート用の洗剤とぬるま湯を混ぜたものを入れ、ニットを浸す
洗面器に洗剤液を作ります。
おしゃれ着用の洗剤を、30度程度のぬるま湯に溶かします。水温が高すぎると、ニットが縮む原因となるので注意しましょう。洗剤液ができたら、ニットを浸します。
STEP3 押し洗いする
ニットを浸したら、押し洗いします。摩擦が起こらないよう、優しく押して洗剤液を馴染ませましょう。
5〜6回行ったら、裏返してさらに5〜6回押し洗いします。汚れが浮き出てきたら洗剤液を捨て、ニットを押して水気を絞ります。
STEP4 優しくすすいでバスタオルで水気を取り、洗濯機で短時間脱水
きれいなぬるま湯を入れ、優しくすすぎます。押し洗いと同じ容量で、水が濁らなくなるまで繰り返しすすぎましょう。
柔軟剤を入れたい場合は、すすぎのあと、一番最後に入れます。バスタオルでニットを包み、ネットに入れて洗濯機で短時間脱水します。脱水の時間は、1分程度が目安です。
洗ったニットの正しい干し方
ニットは伸びたり縮んだりしやすい素材です。そのため、乾燥機の使用は縮みの原因となります。洗濯後は乾燥機は使用せず、干して乾かすようにしましょう。
ニットの正しい干し方を紹介します。
平干しする
ニットは、平らに広げて干すことが基本です。「平干し専用ネット」を使用するか、クッションの上やお風呂のフタなど、バスタオルを広げた平らな部分にニットを乗せて干しましょう。
日陰で干す
日陰で風通しのよい場所で干しましょう。日光があたると色褪せや縮みの原因になることがあるためです。
【注意1】乾燥機は使わない
洗ったあとのニットの乾燥には、乾燥機は使用しません。乾燥機の温度や回転により、ニットが縮んだり、型崩れを起こしたりするためです。必ず自然乾燥させましょう。
【注意2】ハンガーで吊るすと型崩れを起こしやすい
ハンガーでニットを吊るすと、肩の部分が生地の重みで伸ばされ、型崩れしやすくなります。これらの危険性を避けるために、平干しを選択しましょう。
どうしてもハンガーを使いたい場合は、幅広のものを使用したり、袖部分をクロスさせてハンガーにかけたりと、生地に負担がかからないよう配慮が必要です。
ニットを保管する際のポイント
ニットを長持ちさせるには、保管方法が重要です。保管のポイントは以下のとおりです。
・畳んで収納する
・ケースに詰めすぎない
・着用後は休ませる
それぞれ見ていきましょう。
畳んで収納する
ニットは、ハンガーを使用せず、畳んで収納するようにしましょう。生地の重みで伸び、型崩れの原因になるためです。
シワにならないよう丁寧にたたみ、タンスや収納ケースに入れて保管します。
ケースに詰めこむと畳みジワがつくので押さえつけないよう収納する
ニットをケースに詰めすぎると、畳みジワが生じる原因になります。適度な余裕を持って収納することが大切です。
重ねる場合には、重さのあるニットが下に、軽いものが上にくるよう配慮しましょう。
1回着たら数日間休ませると長持ちしやすい
ニットを一度着用すると、汗による湿気を含みます。クローゼットにしまわずに風通しの良い場所に干し、1日〜数日間休ませると長持ちするでしょう。干すといっても、ハンガーにかけず、イスやソファにかけておく方法がベストです。
着用頻度にもよりますが、毎回洗濯すると傷みが早くなるため、洗濯は衣替えの時期に1回と、汚れが気になるときで十分です。
ニットを洗う際のよくある質問・注意点
ここからは、ニットを洗う際のよくある質問に回答します。
Q1. ニットが縮んでしまったら?
A. ニットが縮んでしまった場合、次の方法で伸ばすことが可能です。
・アイロンのスチームを当てる
・毛髪用のトリートメントを溶かしたぬるま湯に30分ほど浸す
素材や縮み方によっては元どおりに戻らないこともありますが、試してみてください。縮みがどうしても直らず、また大切なニットだった場合は専門店で修理を依頼するのも手です。
Q2. ニットの色落ちを防ぐには?
A. 色落ちが心配な場合は、事前に色落ちチェックを行います。目立たない部分に水をつけ、白い布で押さえてみます。
布に色が移った場合、色落ちする可能性が高いでしょう。かなり色が落ちる場合は、家庭での洗濯は避け、クリーニングを依頼しましょう。
Q3. ニットの変色(黄ばみ)を防ぐには?
A. 汗が残ったまま長期間保管していたり、紫外線に長い間当たっていると、ニットが変色することがあります。長期保管する前には必ず洗濯すること、紫外線に長時間当たらないようにすることを心がけましょう。
Q4. ニットの虫食いを防ぐには?
A. ニットに汚れが残ったまま保管していると、そこに虫が引き寄せられ、虫食いが起こります。保管の前にはしっかりと洗濯しておきましょう。
また、服につく虫は湿気を好みます。クローゼットを定期的に換気し、掃除することで、虫を追い出すことができます。長期保管する際に防虫剤を使用することも、虫食い予防につながるでしょう。
ニットの正しい洗い方を知って大事に着こなそう
今回はニットの素材別の洗濯方法や、縮みや型崩れを防ぐコツ、保管方法までを詳しく解説しました。
洗濯の前に洗濯表示を確認し、素材に合わせた洗い方を選ぶことや、手洗いや弱水流で優しく洗濯することなど、 適切なケアを行うことで、お気に入りのニットを長持ちさせることが可能です。
正しいお手入れは、ニットの寿命を延ばすだけでなく、着心地も向上させます。ぜひお気に入りのニットとともに、快適な秋冬を楽しんでくださいね。