日差しの強い夏や秋が過ぎて冬になると、日焼け止めはもう必要ないと感じる人も多いのではないでしょうか。日差しが弱まる冬は、つい日焼け止めを忘れてしまいがちです。しかし、紫外線は季節を問わず降り注いでおり、ダメージを蓄積させないためには、冬でも紫外線対策が必須です。
そこで今回は、冬の紫外線対策についてお伝えします。日焼け止め以外の対策方法も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
日焼けの原因
日焼けは、紫外線が原因で起こる皮膚の炎症症状です。紫外線は、体の中でビタミンD(骨を強くするカルシウムの吸収を増やす栄養素)を作るために必要なものですが、紫外線を浴びすぎると皮膚が炎症を起こしてしまいます。
紫外線は波長によりいくつか種類に分けられ、日焼けには主にUV-AとUV-Bが関係しています。
UV-Aとは
UV-Aは、波長が315~400nmの紫外線です。後で述べるUV-Bよりも波長が長く、肌の奥深くまで届きます。
UV-Aを浴びると、肌でメラニン色素が作られ、皮膚の色が褐色になります。この反応が「サンタン」という日焼けです。また、肌の弾力を保つ成分であるコラーゲンやエラスチンを変性させ、たるみを引き起こす原因にもなります。
UV-Bとは
UV-Bは、波長が280~315nmの紫外線です。波長が短く、大気中のオゾン層で吸収されますが、一部は地表に届き、皮膚に影響をおよぼします。
UV-Bはエネルギーが強く、肌の細胞を傷つけて炎症を起こします。炎症で肌が真っ赤になる反応は「サンバーン」という日焼けです。
冬でも日焼け止めは必要?

紫外線は年間を通して降り注いでいるため、冬でも日焼け止めが必要です。しかし、紫外線の強さは季節や時刻、天候によって大きく変わるので、季節に合った対策が必要になります。
以下では、季節による紫外線やその対策の違いについてお伝えします。
夏と冬の紫外線の違い
紫外線の量は、夏が多く、冬は少ない傾向がみられます。冬は、夏と比較して1日の日照時間が短いものの、日中に降り注ぐ紫外線の量は、1日の紫外線全体量の80~85%を占めます。そのため、紫外線量が比較的少ない冬でも、対策は必要といえるでしょう。
夏と冬で使う日焼け止めの違い
日焼け止めは、年中同じものを使っているという人も多いのではないでしょうか。夏と冬では、紫外線量や強さが異なるため、日焼け止めも季節によって使い分けるのがおすすめです。
夏は日差しが強く、紫外線も多く降り注ぐため、日焼け止めは紫外線を防ぐ強さが大きいものが選ばれます。反対に冬は紫外線量が少ない季節ですが、空気が乾燥しているため、紫外線も防ぎつつ、乾燥にも対応する日焼け止めが選ばれます。
では、具体的にどのような日焼け止めを選べば良いのでしょうか。
冬に適した日焼け止めの選び方
冬は紫外線量が少ない季節ですが、空気が乾燥しており、肌がダメージを受けやすい状態です。夏と同じ日焼け止めを使っていると、肌への負担が大きく、肌荒れを引き起こす可能性があるため、季節によって使い分けると良いでしょう。
以下では、冬に適した日焼け止めの選び方について解説します。
使うシーンに合った強さのものを選ぶ
日焼け止めに記載されているSPF*・PA*の数値を確認し、使う場面で使い分けましょう。
・SPF*:Sun Protection Factorの略。UV-Bを防ぐ指標で、数字が大きいほど効果が強い
・PA*:Protection Grade of UV-Aの略。UV-Aを防ぐ指標で、+の数が多いほど効果強い
日常生活を送る程度であれば、SPF10~30・PA+~+++の日焼け止めで対策が可能です。スキーやスノーボードなどのウインタースポーツをするときは、SPF50・PA+++以上の日焼け止めを選びましょう。雪は紫外線を多く反射し、紫外線の影響を受けやすいためです。
日焼け止めの効果が強いほうが安心と思うかもしれませんが、効果が強いほど肌への負担も大きくなります。そのため、使う場面に合った日焼け止めを使うことが大切です。
低刺激で保湿力の高いものを選ぶ
冬は空気が乾燥しているため、肌も乾燥しやすく、刺激に対して敏感になっている可能性があります。肌のうるおいをにがさないために、保湿成分が含まれているものを選ぶと良いでしょう。代表的な保湿成分は、セラミドやコラーゲン、ヒアルロン酸などがあります。
また、日焼け止めには「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」の2種類があり、以下の特徴があります。
<紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の特徴>
・紫外線吸収剤:紫外線エネルギーを吸収し、別のエネルギーに変えて日焼けを防ぐ
・紫外線散乱剤:微粒子で紫外線を反射し、日焼けを防ぐ
とくに紫外線吸収剤は、肌への負担が大きいです。できるかぎり、紫外線吸収剤を使用していない日焼け止めを選ぶと良いでしょう。
日焼け止めを塗る際のポイント

場面に合った日焼け止めを選んでも、正しく使わないと意味がありません。間違った使い方をしていると、日焼けを防げず、肌に負担をかけてしまいます。
以下のポイントを意識して、日焼け止めを塗るようにしましょう。
説明書に書かれた量を守って使用する
本体やパッケージを確認し、記載された量で日焼け止めを塗るようにしましょう。極端に日焼け止めの量が少ないと、紫外線を十分に防げない可能性があります。また、使用時に肌をこすりすぎてしまい、負担をかけてしまう危険もあるため、決められた量を塗るようにしてください。
顔に塗る場合の目安量は、以下のとおりです。
<日焼け止めを顔に塗る際に目安量>
・クリーム状の日焼け止め:パール2粒分
・液状の日焼け止め:1円玉2枚分
日焼け止めを塗る前にスキンケアをする
日焼け止めを塗る前にスキンケアを行い、保湿された状態で日焼け止めを塗りましょう。冬は空気が乾燥し、肌の水分が奪われやすい状態です。肌のバリア機能が低下して、肌荒れなどのトラブルの原因となる可能性があります。
スキンケア後に日焼け止めを塗ることで、紫外線ダメージだけでなく、乾燥も防げます。十分な保湿を心がけましょう。
重ね塗りをする
重ね塗りをすることで塗り残しを防げるので、日焼け止めの効果が高まります。顔に塗る場合は、パール1粒分の量をおでこ、鼻、ほほ、あごにおいてから丁寧に塗り、その後にパール1粒分を追加して同様に重ね塗りしましょう。
2回目の日焼け止めを塗る前に、手のひらで日焼け止めをなじませておくと、効果がさらに高まります。
こまめに塗り直す
日焼け止めは、汗や衣服の摩擦が原因で効果が薄れてしまうため、2~3時間を目安に塗り直すのが良いでしょう。しかし、冬は夏のように大量に汗をかく場面は少ないため、夏ほど気にしすぎる必要はありません。目安時間や肌の状態を確認して、必要に応じて塗り直してください。
ただし、冬でもスポーツなどで大量に汗をかいた場合は、時間が経っていなくても塗り直す必要があります。
日焼け止め以外にもできる冬の日焼け対策
日焼け止め以外にもできる対策は、次のようなものがあります。
<日焼け止め以外にもできる冬の日焼け対策>
・日傘をさす
・服で肌をおおう
・帽子をかぶる
・サングラスをかける
衣服や日傘などで、皮膚に到達する紫外線の量を減らすことが可能です。生地は色が濃く、編目がつまったもののほうが、紫外線を防ぐ効果が高いといわれています。目の紫外線対策にも関心が向けられるようになっており、サングラスや紫外線カットの眼鏡も普及しています。
日焼け止めと併用して対策することで、紫外線を防ぐ効果が高まるでしょう。
冬でも日焼けに注意が必要!私が実践している日焼け対策
「冬でも日焼け止めが必要なのは分かったけれど、つい対策を忘れてしまう…」という人も多いのではないでしょうか。私も同じで、娘を出産してからゆっくりできる時間がとれず、日焼け止めをつい忘れてしまうことがあります。そんな私が実践している日焼け対策を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
日焼け止め機能入りの化粧下地を使う
日焼け止め機能のある化粧下地を使うことで、塗り忘れを防げます。また、塗る種類が少なくなるため、時短にもつながります。どうしても時間がないときに、とりあえず化粧下地だけ塗って出発するときでも、紫外線対策はできているので安心です。
目のつくところに日焼け止めを置く
とにかく目のつくところに日焼け止めを置いて、塗り忘れることがないようにしていました。筆者は朝に洗顔後、そのまま着替えをするため、洗面台に日焼け止めを置いています。
また、チューブタイプではなくポンプタイプを選び、日焼け止めを塗るまでの手間を省いたのも大きなポイントです。自分のルーティンを確認し、その場所の近くに日焼け止めを置いておくと塗り忘れを防げます。
ミストなどを使用して塗り直す
スプレーやミストタイプの日焼け止めを使用することで、塗り忘れが減りました。メイクの上からシュッと吹きかけるだけで良いので、忙しくてなかなか日焼け止めを塗り直す時間がない人にもおすすめです。
冬に日焼けしてしまった場合のケア方法

紫外線対策をしていたものの、うっかり日焼けしてしまうこともあるでしょう。冬は空気が乾燥しており、肌のバリア機能が低下しやすい時期です。バリア機能が低下すると、少しの刺激で肌荒れを引き起こします。
また、紫外線を浴びた肌の内側では、シミのもととなるメラニンが生成されはじめます。日焼けをしたらすぐにアフターケアをして、被害を最小限にとどめることが重要です。
以下では、冬に日焼けしてしまった場合のケア方法を紹介します。
肌を冷やす
日焼けは紫外線でやけどをした状態なので、まずは肌を冷やしましょう。冷やすことで、肌の炎症が収まりやすくなります。濡れたタオル、氷袋やタオルでくるんだ保冷剤を肌に当てて、肌を冷やすと良いでしょう。日焼けした肌はデリケートな状態のため、やさしく当てるようにしてください。
保湿する
紫外線を浴びた肌は水分が失われやすくなっているため、しっかりと保湿することが大切です。化粧水をたっぷりと含ませたコットンを顔に当ててパックすると、肌をこすらずに保湿を行えます。手で直接保湿する場合はパッティングせず、手のひらでやさしくなじませるようにしましょう。
水分やビタミンを意識して摂る
体の内側からも水分を摂るようにしましょう。日焼けした肌は水分を求めているため、外側からだけでなく、内側からも積極的に水分を補給してあげてください。
また体の中では、日焼けした肌を修復するために必要な栄養素も多く利用されます。とくに、ビタミンを積極的に摂るようにしましょう。必要な栄養素のはたらきや含まれる食品は、以下のとおりです。
【栄養素の主なはたらきや多く含まれる食品】
栄養素 | 主なはたらき | 多く含まれる食品 |
---|---|---|
ビタミンA | 皮膚や粘膜の機能を維持する | かぼちゃ・にんじん・トマト・しそなどの緑黄色野菜 |
ビタミンC | メラニンの生成を抑えるコラーゲンの生成を助ける | ブロッコリー・ピーマンなどの緑黄色野菜グレープフルーツ・オレンジなどの柑橘類 など |
ビタミンE | 血流を良くし、肌の新陳代謝を高める | アボカド・大豆・ごま・ナッツなど |
※参考:厚生労働省eJIM
実は家の中にいても日焼けすることも?冬の在宅中の日焼け対策

外出時は紫外線対策を行っている人でも「家の中では必要ないのでは」と思う人もいるのではないでしょうか。しかし、紫外線は家の中まで届くため、外出の有無に関係なく紫外線対策が必要です。
以下では、冬の在宅中の日焼け対策をお伝えします。
室内でも日焼け止めを塗る
室内でも日焼け止めを塗るようにしましょう。紫外線のうち、UV-Aは窓ガラスも通過するため、家の中にいても紫外線の影響を受けています。
日焼け止めは、日常紫外線を防げる程度のもの(SPF10~30・PA+~+++)で十分に対策可能です。2~3時間を目安に、状況をみて塗り直すようにしてください。
UVカット加工の服を着る
UVカット加工の服を着て対策することも、良い対策です。また、色が濃い服のほうが紫外線を通しにくいといわれています。テレワークなどで日中同じ部屋にいることが多い人は、このような服を着ておくと安心です。
UVカット加工のカーテンをつける
UVカット加工のカーテンに替えれば、日中に降り注ぐ紫外線の量を減らせます。遮光カーテンと違って、部屋の明るさを適度に保ちながら、紫外線対策を行える点がメリットです。
窓ガラスにUVカットシートを貼る
窓ガラスにUVカットシートを貼るのも良いでしょう。無色透明のシートのため、部屋の明るさは変わりません。賃貸物件などに住んでいる人でも、手軽に紫外線対策ができます。先ほど述べたカーテンと合わせて対策をすれば、紫外線の量を大幅に減らせるでしょう。
家具を窓から離す
紫外線の影響を避けるため、机などの家具はできるだけ離しましょう。日中家にいる時間が長い主婦や在宅勤務の人は、作業する机が窓際にあると、知らない間に大量の紫外線を浴びているかもしれません。また、家具自体も紫外線の影響で劣化がすすんでしまいます。
自分の肌だけでなく、大切な家具を守るためにも、家具はできるだけ窓から離しておくようにしましょう。
冬でも日焼け対策をしっかりしよう
紫外線は、家の中でも外でも常に降り注いでいます。紫外線から肌を守るためには、冬でもしっかりと日焼け止めを塗って対策することが大切です。今回お伝えした日焼け止め以外の方法も参考にして、自分に合った日焼け対策を行いましょう。