乾燥する冬場、髪の静電気が気になる方は多いのではないでしょうか。「整えても髪がすぐぼさぼさになってしまう」「髪が服や顔にまとわりつくのが嫌」など、不快に感じてしまうことでしょう。
静電気は、見た目が悪くなるだけでなく、髪のダメージや頭皮トラブルの原因になります。
今回は現役美容師である私が、冬の静電気が髪に与える影響とそのケア方法をご紹介します。今日から始められる簡単な習慣も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事を読めば、静電気が髪に与える影響やその原因、さらにはプロが教える対策方法を詳しく理解できます。
髪の毛に静電気が発生する5つの原因
静電気の発生は、髪質や環境によって大きく変わります。以下では、特に冬場に髪が静電気を帯びやすくなる主な原因を、5つに分けて解説します。
静電気を帯びやすい髪質
髪質によっては、特に静電気を帯びやすい場合があります。ここでは、細毛・軟毛とくせ毛の2パターンに分けて、静電気が起きやすい髪質について解説します。
細毛・軟毛
細い髪の毛や軟毛は表面積が大きいため、摩擦の影響を受けやすくなります。髪の毛同士がこすれ合って摩擦が起き、摩擦量に比例して静電気もどんどん増していくのです。そのため、摩擦量の多くなりやすい細毛・軟毛の人は、静電気が発生しやすいといえます。
くせ毛
くせ毛の方は髪が曲がりくねっているため、髪の毛同士がこすれる表面の摩擦も増えやすくなります。そのため、くせ毛の場合も静電気を帯びやすくなります。「くせ毛は広がりやすい」といわれるのは、静電気の発生により髪同士が広がるからというのもあるでしょう。
過剰なブラッシング
ヘアブラシで髪の毛をとかした際に、ボワッと髪の毛が広がってしまった経験はありませんか?これは、髪に発生した静電気によって起こる現象です。
髪を何度もブラッシングすることにより摩擦が起こり、静電気が発生します。特にプラスチック製のブラシを使うと、より多くの静電気を生み出してしまいます。毎日使用するヘアブラシの素材を厳選して、静電気が起きるのを予防しましょう。
空気の乾燥
冬場は空気が乾燥するため、髪の毛も水分を失いやすくなります。水分が不足した髪はまとまりづらく、摩擦が起きやすくなり、静電気を引き起こす原因となります。室内の湿度が減りすぎないように、加湿する習慣をつけるとよいでしょう。
静電気を起こしやすい衣類を着用している
ウールやポリエステルなどの衣類は、特に静電気を帯びやすい素材です。これらの衣類と髪の毛が触れることで摩擦となります。冬場は服選びが大変な季節でもありますが、素材も考慮して洋服を選びましょう。
自宅に静電気がたまる材質が多い
例えば、コーティングされたフローリングやビニール製品のインテリアなど、静電気が発生しやすい材質を多く使った家では、髪の毛にも影響をおよぼす可能性があります。
また、ヘアケアを行う場所に、上記のようなビニール素材やプラスチック製品を多く置いている場合も、静電気の発生の要因となります。プラスチック製のヘアケア製品を使用している場合などは、洗面台など水回りの湿度が高めの場所でヘアケアを行うと、静電気の発生を抑えられるでしょう。
静電気が髪におよぼすデメリット

髪に静電気が発生すると、見た目だけでなく、髪の健康にも悪影響があります。ここでは、静電気が髪に及ぼす主なデメリットを4つご紹介します。
髪のダメージに直結する
静電気は、髪のキューティクルを剥がす原因になります。キューティクルが剥がれると、髪が傷みやすくなり、切れ毛や枝毛の発生にもつながります。さらに悪化すると、髪の内部にある栄養も漏れやすくなり、髪がやせ細る原因になることもあるのです。髪に静電気が発生すると傷むというのは、こういった経緯があるためです。
また、髪のダメージが蓄積されると、修復するにも時間がかかります。ダメージ毛は静電気の影響を受けやすくなってしまうので、負の連鎖となってしまうこともあります。
頭皮トラブルの原因になる
静電気が頭皮に刺激を与えると、かゆみや乾燥が悪化し、フケや頭皮の炎症が引き起こされる可能性があります。
頭皮トラブルが起こると、皮脂の分泌のバランスも崩れる原因になります。かゆみだけでなく、頭皮の匂いが気になってしまうこともあるので、避けたいところです。
抜け毛や薄毛の原因になる
静電気によるダメージは髪だけでなく、毛根にも影響します。これらを放っておくと、抜け毛や薄毛につながることもあります。
髪に静電気が発生すると起こるデメリットというのは、将来的に頭皮環境にも影響があるといえるでしょう。
「髪のダメージに直結する」で解説したように、ダメージの影響から抜け毛や薄毛へと発展していく場合もあるので、注意が必要です。
抜け毛や薄毛は、直接的なヘアの見た目にも大きく影響します。予防策はさまざまですが、静電気の発生を抑える意識をすることも、予防策の1つになると知っておくとよいでしょう。
ヘアセットが崩れる
静電気によって髪が広がると、ヘアセットが崩れやすくなります。また、朝のスタイリングがうまくいかない原因にもなります。
忙しい朝の時間帯にヘアセットが決まらないと、1日を気持ちよく始められない人も多いでしょう。「今日のヘアセットはなぜか決まらない…」と感じたときは、静電気の影響を考えてみてください。
ヘアセットに使用しているブラシを、静電気の発生しづらい素材のものに変えてみるのもおすすめです。木製のヘアブラシや、静電気の発生を抑えるコーティングがされているものなどもあるので、検討してみてはいかがでしょうか。
髪に静電気が発生した際の対処法

静電気が発生した場合、すぐにできる対処法を知っておくと安心です。ここでは、髪に静電気が発生してしまったときに、抑える方法を3つご紹介します。髪の健康を守るために、簡単に実践できるものばかりなので、ぜひ覚えておきましょう。
髪をまとめる
髪をまとめることで、髪の毛同士の摩擦軽減につながり、静電気の発生を抑えられます。外出時にサッとまとめ髪ができるように、ゴムやヘアピンを少量持ち歩くとよいでしょう。髪が広がって気になるときに、静電気を予防できます。
また、そのときに使用するヘアアイテムも、静電気の発生が起きにくいものを選ぶようにしましょう。
流さないトリートメントで保湿する
乾燥した髪に流さないトリートメントを使うことで、髪の毛に水分を補給し、静電気を防げます。
洗い流さないトリートメントは、クリーム、オイル、スプレータイプ(シャバシャバした水のようなもの)など、さまざまなテクスチャーがあります。特にオイルタイプのものは、保湿性が高いものが多いのでおすすめです。
静電気抑制スプレーを使う
スプレータイプのものは、髪に直接スプレーして使えるため、手を汚さずにサッと静電気対策ができます。特に、外出先での静電気対策に使いやすいでしょう。持ち歩きタイプの少量サイズの静電気抑制スプレーもあるので、自分に合うものを探してみてください。
ただ、直接地肌についてしまうとかゆみが発生してしまうこともあるので、静電気スプレーのつけすぎには注意しましょう。またスプレーは、屋外や換気ができる環境で使うようにしましょう。
【美容師監修】髪の静電気を予防するのに効果的な5つの習慣

静電気を根本的に防ぐためには、日常生活の中での習慣を見直すことが重要です。ここでは、静電気の発生を予防する効果的な習慣を5つ紹介します。
保湿成分を含んだシャンプーやトリートメントをたっぷり使う
水溶性コラーゲンやヒアルロン酸など、保湿成分が入っているものを選んでみてください。髪に潤いを与えることで、静電気の発生を抑えられます。
部屋を加湿して湿度を上げる
加湿器を使って部屋の湿度を50〜60%程度に保つことで、髪の乾燥を防ぎ、静電気の発生を予防できます。特に冬は、部屋の湿度が下がりやすいです。髪だけでなく、肌が乾燥することも髪の静電気発生につながるので、湿度を保つことは大切になります。
静電気が起こりにくいブラシを使う
木製やイオンコーティングされたブラシを使うことで、摩擦を抑えて静電気を防止できます。部屋ブラシには、コームタイプやブラシタイプなどがあります。持ち歩きの際はコンパクトなコームタイプを選ぶなど、用途に合わせていくつか持っておくと便利です。
スタイリングの仕上げに静電気防止スプレーを使う
ヘアスタイリングの最後に静電気防止スプレーを使うと、外出中の静電気を防げます。朝にスプレーをしておくと8時間ほど効果が持続するタイプのものなどもあるので、1つは持っておくことをおすすめします。外出時に気になる静電気による髪の広がりを、朝のスプレーで抑えられるのは嬉しいでしょう。
持ち歩きサイズのスプレーなどもあるので、静電気が気になる冬の外出の際はかばんに入れておくというのもおすすめです。
服や枕カバー、シーツなど天然素材に変える
ウールやポリエステルではなく、綿やシルクなどの天然素材を普段の生活に取り入れることで、髪に発生する静電気を抑える効果も期待できます。天然素材のものは、髪の毛だけでなく肌にも優しいのでおすすめです。
さらに、ヘアセットを毎日している人の場合などは、自宅の環境にこだわってみてもよいでしょう。大きな窓で空気の入れ替えがしやすかったり、洗面台が独立していたりすると、静電気発生を抑えるためのヘアセットがしやすくなります。
髪の静電気対策をして乾燥しがちな冬を快適に過ごそう
髪の静電気は冬の大敵ですが、正しいケアと習慣を取り入れることで防げます。普段使っているシャンプーやトリートメントの成分を確認する、ヘアケアに使用しているブラシやスプレーなどを静電気抑制タイプのものに変えるなど、この冬の静電気発生に向けて準備するとよいでしょう。
また、髪質や生活環境を見直し、保湿や摩擦を意識したヘアケアを行うことも大切です。この記事を参考に、今年の冬は静電気知らずの美しい髪を目指して、快適に過ごしてみてください。