鏡は、家の中のさまざまな場所に設置されています。鏡が曇っていると姿が見えにくくなったり、顔色が悪く見えたりするだけでなく、部屋の中もうっすら暗く感じてしまうものです。
今回は、鏡につきやすい汚れの種類や汚れに合わせた掃除方法、どうしても落ちない黒いシミの正体についてご紹介します。正しいお手入れ方法でピカピカの鏡を維持したい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
鏡が汚れる主な原因
鏡のある場所によって、つきやすい汚れの種類が変わり、効果的な掃除の方法も異なります。鏡につきやすい一般的な汚れは、次の4種類です。
・化粧品の油分や皮脂
・水アカ
・ほこり
・歯磨き粉
まずは、それぞれの汚れの原因や特徴について紹介します。
化粧品の油分や皮脂
化粧品や皮脂などの油汚れは、化粧をする際に使うドレッサーの鏡や手鏡につきやすい汚れです。化粧品が付着したり、手指の油分が鏡についたりすると、鏡が曇ったような状態になります。乾拭きで簡単に拭いただけでは取れません。
水アカ
水アカ汚れは、水道水をよく使う洗面所や浴室の鏡に付着します。水滴がついて乾くと水分は蒸発しますが、水道水に含まれるカルシウムやケイ素、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル成分が残ります。ミネラル成分が空気中の酸素や二酸化炭素、鏡についた成分と結びつき、頑固な水アカへと変化していくのです。一度鏡に頑固な水アカがつくと、簡単には落とせません。
ほこり
ほこりも鏡が汚れる原因のひとつです。出入りの頻繁な玄関や服の脱ぎ着の多い室内では、人の出入りや更衣により、服や床に溜まっていたほこりが舞います。
空中に舞ったほこりは静電気により鏡に付着し、鏡の写りを悪くします。
歯磨き粉
洗面所の鏡の前で歯磨きをする方が多いでしょう。鏡の前で歯磨きをすると、歯磨き粉が鏡に飛び散り、白い斑点模様の汚れがついてしまいます。
乾燥すると固まるため、時間が経つにつれて落ちにくい汚れへと変化します。
化粧品の油分や皮脂で汚れた鏡の掃除方法
次に、汚れの種類別に適切な掃除方法を紹介します。ドレッサーの鏡や手鏡などは、化粧品や皮脂による油汚れがつきやすい状態です。化粧品や皮脂汚れのついた鏡には、重曹スプレーが活躍します。
STEP1. 新聞紙や古布を濡らす
鏡の掃除には、新聞紙や古布を使うと便利です。まずは、使用する新聞紙や古布を流水やスプレーボトルに入れた水で濡らしましょう。
STEP2. 重曹スプレーを作る
酸性の油汚れ掃除には、アルカリ性の重曹が効果的です。重曹は一般的に、粉のままでも掃除で活用できます。しかし研磨作用があり、鏡掃除の場合には表面を傷つける可能性があるため、水に溶かした重曹スプレーを使用しましょう。
水500mlに対し、重曹小さじ2杯をスプレーボトルに入れて混ぜると、重曹スプレーが完成します。
STEP3. 重曹スプレーを鏡に吹き付け、拭き取る
作成した重曹スプレーを鏡に吹き付け、濡らした新聞や古布で拭き取ります。汚れがひどい場合は、スプレー後に5分ほど時間を置くと、汚れが浮きやすくなります。
水アカで汚れた鏡の掃除方法
水アカで汚れた鏡の掃除方法について解説します。水アカはアルカリ性の汚れです。掃除には、クエン酸水やお酢など酸性の洗剤を利用しましょう。
STEP1. クエン酸スプレーを作る
スプレーボトルに水100mlとクエン酸小さじ1/2を入れて混ぜ、クエン酸スプレーを作成します。クエン酸が手元にない場合は、お酢での掃除も可能です。お酢を使う場合には、スプレーボトルに水とお酢を1対1の割合で入れて混ぜましょう。
STEP2. クエン酸スプレーを鏡に吹き付ける
作成したクエン酸スプレーを鏡に吹き付けます。クエン酸水が乾かないよう、ラップやペーパータオルを貼りつけてパックするとより効果的です。
STEP3. 鏡を拭く
クエン酸パックをして1時間ほど放置したら、使用したラップやペーパータオルでこすりましょう。最後に乾拭きをして水滴を拭き取ることで、新たに水アカが蓄積することを防ぎます。
ほこりで汚れた鏡の掃除方法
玄関や室内に置かれた姿見など、ほこりで汚れた鏡の掃除には新聞紙を使った方法がおすすめです。新聞紙にはインクの油分が含まれており、この油分が鏡に膜を貼り、ほこりを寄せ付けにくくする効果が期待できるためです。
STEP1. 新聞紙を濡らす
新聞紙に水をスプレーして、まんべんなく濡らします。
STEP2. 新聞紙で鏡を拭く
濡らした新聞紙で鏡を拭きます。新聞紙に使われているインクには、汚れを吸着する効果が期待できます。ゴシゴシと力を入れすぎると鏡の表面が傷ついたり、跡が残ったりする可能性があるため、優しく拭きましょう。
STEP3. 乾拭きする
ほこりが取れたら、柔らかい布やマイクロファイバークロスなどを利用し、水分を拭き取ります。水分を拭き取りつつ磨くことで、鏡が輝きを取り戻します。
歯磨き粉で汚れた鏡の掃除方法
洗面台の鏡は、歯磨きやうがいの際に飛び散った水や歯磨き粉の汚れがつきやすい場所です。歯磨き粉は時間が経つと固まってしまうため、柔らかい布などを使ってできるだけ早い段階で拭き取りましょう。
STEP1. マイクロファイバークロスや柔らかい布を少し濡らす
マイクロファイバークロスや柔らかい布を少量の水で濡らします。濡らしすぎると、今度は拭き跡や水アカが鏡に残りやすくなるため、少しで十分です。手指消毒用のアルコールが洗面所にある方は、アルコールを吹き付けてもよいでしょう。
STEP2. 鏡を拭く
濡らした布やマイクロファイバークロスで、鏡を優しく拭きます。歯磨き粉が固まり、取れにくい場合は、何度か繰り返しましょう。
STEP3. 乾拭きする
最後に、乾いた布やマイクロファイバークロスで乾拭きします。
鏡を掃除するときの注意点
鏡を掃除する際には、鏡自体を傷つけないことと、使用する洗剤の取り扱いについて注意しましょう。ここでは、鏡掃除をするときの注意点について解説します。
鏡をなでるイメージで、汚れを拭き取るように心がける
汚れが気になるからと言って、ゴシゴシと力まかせにこすったり、研磨作用のある洗剤で磨いたりすると、鏡が傷つく危険性があります。傷がつくと傷に汚れが入り込み、汚れが取れなくなってしまいます。汚れの性質に合わせて適した洗剤を使うことで汚れを浮かせ、優しい力で掃除しましょう。
ポイントは、汚れを中和させる洗剤を選ぶことです。油や皮脂の汚れは酸性であるため、重曹やセスキ炭酸ソーダなどのアルカリ性の洗剤で落とせます。水アカはアルカリ性の汚れであり、クエン酸やお酢などの酸性洗剤が効果的です。
重曹やクエン酸の使用時は「素手で触らない」「換気をする」ことを心がける
アルカリ性の重曹やセスキ炭酸ソーダ、酸性のクエン酸は、鏡掃除に便利なナチュラル洗剤です。基本的に優しい洗剤なので、触れることで体に悪影響を及ぼすことは少ないでしょう。しかし、肌の弱い人は、素手で触れると肌荒れを起こす場合もあります。肌荒れが気になる方は、ゴム手袋をつけて使用すると安心です。
また後述しますが、クエン酸は他の洗剤と混ざると有毒ガスが発生する場合もあります。万が一に備えて、換気扇を回しておくことをおすすめします。
酸性洗剤と塩素系洗剤を混ぜない
水アカ掃除に活躍する酸性のクエン酸やお酢は、塩素系の洗剤や漂白剤と混ぜると有毒ガスを発生させます。塩素系洗剤を使ってカビの掃除や漂白をしている最中に、クエン酸や酸性洗剤を使用すると誤って混ざってしまうことがあるため、注意が必要です。塩素系の洗剤を使用するときは、ほかの洗剤と併用せず、必ず単体で使用しましょう。
掃除をしても落ちない「黒いシミ」は一体なに?
鏡を長期間使用していると、端の方から黒いカビのような汚れが広がってくる場合があります。これはカビではなく、鏡に塗装された金属部分が湿気により腐食したものです。業界用語で「シケ」とも呼ばれます。
鏡が錆びてしまった場合は、復旧できません。換気をして錆びないように注意すること、防錆加工がされている鏡は、加工が剥がれないように優しく扱うことが大切です。
賃貸物件で鏡に錆が広がってしまった場合は、自己判断で買い替えずに、まずは大家さんや管理会社に相談しましょう。
鏡をキレイな状態のまま保つ方法
鏡の汚れは、溜まれば溜まるほど頑固な取れにくい汚れへと変化します。普段から環境を整えたり、軽い掃除を習慣化したりすることにより、汚れの程度を軽くして、掃除の手間を大きく減らせるでしょう。
ここからは、鏡をキレイな状態のまま保つためのポイントを紹介します。
定期的に汚れを取り除く
普段から鏡に汚れや水分がついたら、すぐ拭き取るようにしましょう。鏡に汚れや水滴が残ったまま放置していると、汚れが固まったり、他の成分と反応したりと、頑固な落としにくい汚れへと変化していきます。
鏡のそばにマイクロファイバークロスやアルコールスプレーを設置し、汚れに気づいたらすぐ拭き取るようにしてみてください。アルコールはすぐに揮発するため、拭き跡が残りません。
曇りに効果のあるグッズを活用する
鏡の曇りに効果的なグッズを活用する方法もおすすめです。曇り止め効果のある市販のスプレーやシートは、鏡の表面をコーティングし、水滴や汚れが鏡につきにくくします。そのため、普段のお手入れが楽になります。
空気を乾燥させる
鏡に塗装された金属部分が湿気により腐食される「シケ」を予防するには、鏡のある部屋の空気を乾燥させると効果的です。定期的な換気により湿度を飛ばし、金属が錆びにくい環境を作りましょう。浴室乾燥機や換気システムがあると便利です。
柔軟剤でほこりが鏡につくのを防ぐ
鏡へのほこりの付着を防ぐには、洗濯用の柔軟剤が活用できます。柔軟剤には静電気を防止する成分が含まれており、ほこりを寄せ付けにくくするためです。
バケツ1杯ほどの水に数滴の柔軟剤を入れてよく混ぜ、その水に浸して固く絞ったタオルやふきんで鏡を拭くだけで塗布できます。
鏡を掃除して、部屋も気持ちも明るくしよう!
今回は、鏡のつきやすい汚れの種類や汚れに合わせた掃除方法、どうしても落ちない黒いシミの正体について紹介しました。鏡がピカピカと輝いていると、部屋全体が明るくなったような印象を与えられます。
鏡の汚れは、軽いうちに掃除をすれば簡単に落とせます。ぜひ鏡磨きを毎日の習慣に取り入れてみてください。