駅や公園、家の近くで、群れを作っている鳩を見かけることがあるでしょう。平和のシンボルでもある鳩ですが、フンや羽、鳴き声などの鳥害に悩まされることでも知られています。
鳩の害については、私も私も身をもって体験しています。会社の建物に鳩が入り込んでしまい、フンをされるなど大変な思いをしました。そこで、鳩が入り込まないように提案し、対策したことがあります。そのときの経験のおかげで、自宅のベランダをキジバトのすみかにされそうになったときは、巣作りをあきらめさせられました。
そのような経験を踏まえ、実際に鳩を追い払った経験のある私が実際に効果のあった鳩の対策や逆に効果のなかった対策などをご紹介します。
鳩(ハト)に関する基本知識
鳩は、身近な場所でもよく見かける、クルッとしたまん丸の目が特徴的です。鳩はどのような種類と特徴があるのか、順番にご説明していきます。
よく見かける鳩の種類
日本には、13種類の鳩がいるといわれています。その中でも多く目にするのは「ドバト」と「キジバト」です。
ドバト
公園や駅などに、群れで生息している鳩です。見た目の特徴としては、灰色、白、黒っぽい色までさまざまな個体があり、首に緑色の光沢があるものが多いです。
近寄ってもすぐに逃げず、人懐っこさを感じさせます。「クックー、クルックー」の鳴き声が特徴的です。
キジバト
羽に黄色のウロコ模様があるのが特徴で、1羽かツガイで行動をしています。本来は山を生息地としていましたが、今は市街地でも多く見かける種類です。
「デデーポポー、デデーポポー」という独特の鳴き声に、聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。
鳩の繁殖力
鳩は繁殖力が高く、春・秋にかけて長い繁殖期があることが特徴です。また環境によっては、冬でも繁殖することがあります。
鳩がベランダに住みつくと困る5つのこと
どこででも見かける鳩は、身近ゆえに困ったことがあります。それは、人がいる建物のベランダでも遠慮なく住みつくことです。鳩がベランダに住みつくと困る5つのことをご説明します。
洗濯物やベランダが羽やフンで汚れる
鳩は、ベランダのちょっとした隙間に住みつくことがあります。せっかく干した洗濯物が、フンや羽で汚されてしまうこともあるでしょう。
お住まいを選ぶときは、室内でも洗濯物が干せるようなっている物件を選んでおくと、安心してすごせます。
鳴き声に悩まされる
ドバトもキジバトも、人がいる建物をすみかにすることがあります。お住まいを鳩のすみかにされると、鳴き声にも悩まされることになります。早朝から独特のリズムで鳴くキジバトの鳴き声は、耳ざわりに感じる方も多いのではないでしょうか。
一度でも鳩の鳴き声に悩まされた経験がある方は、防音効果のある物件を選んでおくと、ストレスが少なくすごせるでしょう。
人に感染する病原菌やカビやノミ、ダニの温床になる
鳩の羽にはノミやダニが寄生し、フンには肺炎を引き起こすオウム病などの病原菌・寄生虫・カビがついていることがあります。ノミやダニは、咬まれることでかゆみやアレルギー症状、鼻炎などを引き起こす原因になるでしょう。
鳩のすみかにされてしまうとフンや羽毛でちらかり、人に害のある菌や生物の温床となってしまいます。お年寄り、乳幼児がいるご家庭では、とくに注意したいところです。
卵やヒナが生まれてしまうと簡単に取り除けない
鳩が住みつき巣を作り、卵やヒナが生まれてしまうと困ったことになります。鳩は鳥獣保護法で保護されていますので、許可なく卵やヒナを取り除けません。
鳥獣保護法とは、許可なく野生の鳥や獣を捕まえたり、傷つけたりすることを禁止する法律です。鳩も、保護すべき野生の鳥として対象となっています。そのため、ヒナが巣立つまで羽毛やフン、鳴き声に悩まされることになってしまいます。
鳩がベランダに住みついてしまう理由はなに?
鳩がベランダに住みついてしまうのは、どのような理由からでしょうか。順番にご説明していきましょう。
天敵から身を守れるから
鳩の天敵としては、鷹、ノスリ、カラスなどの雑食、肉食の鳥、猫、蛇などが挙げられます。ベランダやバルコニーは鳩が隠れる場所が多く、人への警戒心が強い天敵も近寄らないため、居心地のいいすみかとなってしまいます。
巣を作れるスペースが十分あるから
鳩は、室外機、屋外に置いた洗濯機の後ろや雨戸の戸袋ほどのスペースがあれば、巣を作れます。木の枝を雑に置いた程度の巣でも、満足して卵を産むこともあるほどです。ベランダに、枝や羽毛が散乱していたら注意しましょう。
スペースを広く、物陰は少なくすることで、鳩はすみかに選びにくくなります。お住まいを選ぶときは、屋外に物陰ができない室内洗濯機置場のある物件も、選択肢に入れておくとよいでしょう。
たまに停留する鳩への対策2選
鳩はすみかとして、安全そうな建物を探していることがあります。最初に下見にきますので、その段階で鳩をよせつけない対策をしておくことがベストです。次のような対策が有効な手段となります。
手すりにテグスワイヤーを設置する
鳩はベランダやバルコニーの手すりに止まり、安全で巣が作れそうな場所か確認をする行動をします。したがって、鳩が止まりにくいように、手すりにテグスワイヤーを設置することが有効な手段です。
テグスワイヤーは手すりに設置することになりますので、落下に十分注意する必要があります。
CDや模型の鳥をぶら下げる
CDなどの光るもの、模型の鳥をぶら下げることで、鳩が寄りつくことを防ぎます。鳩が見慣れてしまうと効果がなくなるうえ、建物の見栄えも悪くなるので、一時的な手段とするのがよいでしょう。
日常的に停留する鳩への対策5選
普段から鳩がよく止まる状況では、いつ巣を作り始めるかわかりません。なるべく早く、鳩にとって居心地の悪い環境につくりかえる必要があります。次のような対策が有効です。
防鳥用のスパイクを置く
剣山のような防鳥用のスパイクも有効な手段です。手すりや雨戸の戸袋の上、室外機の裏など、なるべく居心地が悪くなるような環境にすることで、すみかにすることをあきらめやすくなります。手すりの上にスパイクを設置するときは、落下に十分注意しましょう。
鳩用の忌避剤を使う
鳩が嫌う臭いを発する忌避剤を使うことも有効です。手すりや室外機の上などに塗ることで、効果を発揮します。手軽でケガや事故も少ない対策手段の一つです。
ハッカ水を入れた洗面器を置く
忌避剤も効果的ですが、ハッカの臭いも効果的です。ハッカ水を入れた洗面器やグラス、コップ、バケツなどをベランダに置いておくことで、効果を発揮します。
賃貸物件にお住まいの人は、ベランダに直接撒かないように注意しましょう。撒くことで、下を歩いている通行人にかかったり、ベランダの床の色が落ちたりするなどの恐れがあります。ハッカ水を必ず容器に入れたうえで置きましょう。
防鳥ネットでベランダへの侵入を防ぐ
ベランダに入ってこられないように防鳥ネットを設置することは、最も有効な対策の一つとなります。ただし、鳩が入れる隙間を作らないことが大事です。
以前何度か確認したことがありますが、鳩はネットの隙間を見つけると、そこから出入りするようになります。また、防鳥ネットを設置するときは高所での作業となることもあるため、ケガや落下に十分注意が必要です。
鷹匠(たかじょう)に依頼する
鷹匠(たかじょう)とは、鷹を飼いならし、鷹で狩猟や害鳥駆除を行っている人のことです。鷹匠へ依頼するのにはお金がかかりますが、鳩の天敵である鷹を用いて追い払えます。
「ここは安全なすみかや休息地ではない」と錯覚させることにより、ベランダに停留する鳩への効果が期待できます。
ベランダに住みついた鳩への対策方法は?
鳩は一度すみかに決めて巣を作ってしまうと、なかなかあきらめません。鳥獣保護法で保護されていることもあり、卵やヒナを許可なく取り除けない点も対応に悩まされます。そのような状況になってしまったら、プロに相談することがベストな選択です。
鳩対策で重要なのは「フンを放置しない」こと!
私は自宅のベランダを鳩のすみかにされそうになったとき、フンを放置しないことを続けました。2週間ほどの時間がかかりましたが、何とか鳩がすみかにすることをあきらめてくれました。
こまめに鳩のフンを掃除すべき理由
鳩はフンのあるところを安全な場所と認識しているようです。また、フンは人に害を及ぼす病原菌、カビの発生だけでなく、悪臭の原因や美観も損ねます。フンや羽などがベランダに落ちていたら、すぐに掃除をしましょう。
鳩のフンの掃除方法
鳩がいない隙に木の枝や羽を取り除き、フンを掃除します。フンには病原菌があるため、掃除には入念な準備をしてから作業しましょう。フンの掃除方法の手順は、次のとおりです。
STEP1. 必要なものを準備
清掃のために必要なものを準備します。使い捨てのビニール手袋、マスク、アルコール除菌スプレーもしくは漂白剤、ビニール袋、ティッシュもしくは新聞紙を用意しましょう。
STEP2. フンを取り除きやすいようにふやかす
アルコール除菌スプレー、もしくは漂白剤などの水分でフンをふやかしておきます。直接フンにはさわらないようビニール手袋を装着し、フンの粉塵を吸い込まないようにマスクもしておきましょう。
アルコールと漂白剤はまぜると危険なので、一緒に使わないように注意が必要です。
STEP3. 新聞紙やティッシュで取り除く
ふやかしたフンを新聞紙、ティッシュで取り除き、ビニール袋に入れて口を縛っておきます。ふき取ったところは、アルコール除菌、漂白剤などで殺菌しておくとよいです。
【注意】鳩を追い払うのに効果的”ではなかった”対策
フンや羽を掃除する以外に試したことで、効果がなかった対策をご紹介します。
猫よけ用の短いスパイクシートの設置
これは、ホームセンターで簡単に手に入るものです。プラスチックの短いトゲトゲは効果がありそうに見えますが、そのトゲトゲの上に木の枝を積んで巣を作ろうとして、効果はありませんでした。設置をするなら、防鳥用の長いスパイクがついたものにしましょう。
追い払う行動
威嚇などの行動をしなくても、近づくだけで鳩は逃げます。簡単にできる行為なのでやってしまいがちですが、そのときだけ鳩は警戒して逃げて、すぐに戻ってきてしまうのです。鳩はすみかに決めてしまうと簡単にあきらめないため、効果は期待できません。
鳩が住みつく前に対策を行おう
鳩が私の自宅のベランダをすみかにすることをあきらめたのは、マメに掃除をしたことが大きな理由です。また、ベランダはメンテナンスしやすいスペースがあり、隠れやすい場所が少なかったことも理由に挙げられます。
鳩は一度すみかに決めてしまうと、なかなかあきらめません。お住まいを選ぶなら、鳩が住みつきにくく、なるべく影響を受けない環境にしたいところです。もしも鳩が住みついてしまい、被害がある状況なら、自分で対策をせず、プロに相談することが最良の選択となるでしょう。