【睡眠健康指導士監修】寝る時にエアコンつけっぱなしはOK?ダメ?覚えておきたい就寝時の温度設定

目次

エアコンをつけたまま寝ると快適なのか、それとも体に悪影響があるのか、多くの人が疑問に思うはずです。エアコンの設定次第で睡眠の質を大きく左右することは、すでにさまざまな研究で明らかになっています。

※参考:J-STAGE 空調機器による睡眠環境に関する研究

今回は、睡眠のプロが季節ごとのエアコンの適切な使い方や、快眠を妨げないための具体的な設定方法をご紹介していきます。

寝る時にエアコンはつけっぱなしがいい?

睡眠中のエアコンの使用は、環境や体調に合わせた設定をすることで、快眠をサポートするツールになります。しかし、誤った使い方をすると逆に睡眠の質を低下させる可能性もあります。ここでは、夏と冬それぞれの場合の影響を解説します。

夏の場合

夏の就寝時にエアコンを使用すると、暑さによる寝苦しさを防ぎやすくなります。しかし一方で、冷えすぎた部屋で眠ると体温が下がりすぎてしまい、深い睡眠が妨げられることがあります。

また、設定温度や風量の調整を間違えると体が冷えすぎて風邪をひいたり体調を崩すことがあるため、適切な設定をするのが大切です。

冬の場合

冬はエアコンを活用することで、暖かな室温が一定に保たれるため、快眠に最適な環境を作ることができます。

しかし、エアコンをつけっぱなしにすることで空気が乾燥しやすくなる点に注意が必要です。乾燥した空気の中で寝ると、喉の痛みや風邪のリスクが高まるため、エアコンタイマーの活用や加湿器などを併用することを検討しましょう。

【補足】快眠に必要な要素

快眠を得るためには、適切な室温、湿度、そして睡眠環境を整えることが大切です。特に、寝具や寝る前の過ごし方も睡眠の質に影響を与えるため、寝室だけでなく生活全体を見直す必要があります。

【夏の場合】寝る時のエアコン設定のコツ

夏の暑い夜は、エアコンを活用することで快適な眠りをサポートできます。しかし、設定次第では寝室の冷えすぎによる健康被害を引き起こすリスクもあります。ここでは、夏場のエアコン設定のポイントを解説します。

夏に寝る時エアコンをつけっぱなしにすることで起こるリスク

エアコンをつけっぱなしにすることで、体が冷えすぎるリスクがあります。特に、冷風に直接当たるのは避けたいところです。冷風が当たり続けて体温が必要以上に下がると、眠りが浅くなり、睡眠の疲労回復効果が十分に発揮できなくなります。

また、エアコンの使いすぎで空気が乾燥し、喉の痛みや肌荒れの原因になることもあります。他、手足の冷え、頭痛、だるさ、肩こり、腰痛、といった、いわゆる冷房病の諸症状も出ることがあるため注意しましょう。設定温度や風向きを工夫することが大切です。

睡眠の質を上げるエアコン設定テクニック①設定温度は26-28℃

睡眠の質を上げるための1つ目のポイントは、設定温度を「26~28℃」にすることです。寝苦しさを防ぎながら、体が冷えすぎない温度を維持することが快眠につながります。

また、タイマー機能を利用して、寝入りの最初1時間だけエアコンを使用し、その後は自然な温度変化に任せる方法もおすすめ。眠りはじめの90分が重要だからです。冷えすぎを防ぐためにも、タイマー設定は最大でも3時間にしておきましょう。

睡眠の質を上げるエアコン設定テクニック②風量と風向き

2つ目のポイントは、風量を「弱」または「自動」に設定することです。自動にすると必要な時に風量が増え、エアコン自身で室温を調整してくれます。「中」や「強」では、強い風が体に当たり続ける可能性があるため、なるべく避けるのがおすすめです。

また、冷たい空気は重く、下に沈む性質があります。そのため夏のエアコンの風向きは天井に向けることで、部屋全体を均一に冷やしながら、直接体に冷風が当たらないようにできます。

睡眠の質を上げるエアコン設定テクニック③サーキュレーターと併用

3つ目のポイントは、エアコンと併用してサーキュレーターを使うことです。空気を循環させることで、エアコンの効率を高め、快適な温度を保てます。エアコンの設定温度を少し高めにしても快適さを損なわず、電気代を抑えられ省エネ効果も期待できます。

サーキュレーターがない場合は扇風機でも代用できます。ただし扇風機はサーキュレーターほどの循環能力はありません。そのため、扇風機を壁や天井に向けて空気を反射させるような工夫をすることで、サーキュレーターに近い効果を得ることが可能です。

エアコンと一緒に使いたい家電・グッズ

エアコンをさらに快適に使用するためには、加湿器や冷感寝具の併用がおすすめです。加湿器を使うことで、乾燥を防ぎ、肌や喉の健康状態を保てます。

また、冷感素材のシーツや枕カバーを使うことで、エアコンの設定温度を控えめにしてもひんやり感を得られるため、省エネにもつながります。夏にはリネンやシルク素材の寝具を使うと爽やかな寝心地になりますよ。他、通気性の高いファイバー素材やTPE素材を使った枕やマットレスに買い換えるのもおすすめです。

【冬の場合】寝る時のエアコン設定のコツ

冬の夜はエアコンを使うことで快適な室温を保つことができますが、乾燥対策や適切な温度設定が重要です。ここでは、冬場のエアコン使用時のポイントを紹介します。

冬に寝る時エアコンをつけっぱなしにすることで起こるリスク

エアコンをつけっぱなしにすると、乾燥が進みやすくなります。寝室が乾燥すると、喉の痛みや肌のかゆみを感じることがあります。冬の乾燥した環境では、ウイルスが生存しやすくなるうえ、乾燥により防御機能が低下するため、風邪をひきやすくなるとされています。

また、過剰な暖房は室温が高くなりすぎ、寝苦しさを招いてしまう可能性があります。特に、寝具内が蒸れてしまうと深い睡眠が妨げられるため、室温と湿度のバランスを保つことが大切です。

睡眠の質を上げるエアコン設定テクニック①設定温度は20℃前後

1つ目のポイントは、設定温度を20度前後の「18~22℃」のあいだにすることです。冬場の快眠に適した室温はこの範囲内とされています。設定温度を高くしすぎると、部屋が暑くなりすぎ、逆に寝つきが悪くなることがあるため注意が必要です。

睡眠の質を上げるエアコン設定テクニック②湿度を50-60%に保つ

2つ目は、加湿器を併用して湿度を「50-60%」に保つことです。乾燥した空気は風の原因になったり体に負担をかけるため、適切な湿度を維持することも大切なポイントとなります。

また、加湿機能付きエアコンを使えば、一台で温度と湿度の両方をコントロールすることが可能です。

睡眠の質を上げるエアコン設定テクニック③風向きと風量

3つ目のポイントは、エアコンの風向きを「下向き」に設定することです。暖気は上にたまりやすいため、風を下に向けることで部屋全体を均一に暖めることができ、さらに足元から冷えるのを防げるため、快適な環境で眠ることができます。 その際、顔など肌に直接風が当たらない向きに設定しましょう。

風量は、就寝前に強で一気に暖めるのがおすすめです。その後、自動に切り替え、乾燥を防ぐためにも、長くて3時間タイマーに設定するといいでしょう。

エアコンと一緒に使いたい家電・グッズ

冬の快眠には、電気毛布や湯たんぽの併用がおすすめです。ぽかぽかアイテムを使うことで、エアコンの設定温度を抑えつつ、暖かさを感じることができます。

また、遮光カーテンや断熱シートを使用することで、外気温の影響を減らし、室温を安定させる効果が期待できます。冬のエアコンが苦手な方も多いです。乾燥を極力防ぎたい場合は、なるべくエアコンを使わないような工夫をしましょう。

エアコンがない部屋で寝る時に快眠するコツ

エアコンがない部屋でも、工夫次第で快眠を得ることができます。ここでは、夏と冬それぞれの快眠テクニックを紹介します。

夏の場合

夏場は、冷感素材の寝具などひんやりアイテムを活用しましょう。

・冷感敷パッド

・冷感枕カバー

・温かいパジャマ

・氷枕

・冷却ジェルマット

・扇風機

・サーキュレーター

寝具に冷感素材を使用することで、涼しさを感じやすくなります。温かいパジャマ、氷枕や冷却ジェルマットを使うのも効果的です。入眠には一定まで深部体温を下げる必要があります。夏のひんやりアイテムで体感温度を下げ、快適に眠る工夫をしましょう。扇風機やサーキュレーターを利用して空気を循環させることもポイントです。

冬の場合

冬場は、寝具の保温性を高めることが特に重要です。

・羽毛布団

・フリース素材の毛布

・温感敷きパッド

・湯たんぽ

羽毛布団やフリース素材の毛布を使用することで、効率的に暖かさを保つことができます。また、湯たんぽを布団の足元に置くことで、冷えを感じずに快適に眠ることができます。冷え性の方は、積極的に実践してみてください。

エアコンの設定以外で注意したい、快眠を妨げる要素

エアコンの設定以外にも、睡眠を妨げる要素はいくつかあります。睡眠不足などの睡眠障害に悩んでいる場合は、他の環境や生活習慣を改善することで、より質の高い睡眠を実現できます。

騒音や静音

外から聞こえる車の音、近隣住民の生活音、家電の動作音などの「騒音」は、快眠を妨げる主な要因です。一方で、静かすぎる環境もかえって不安感を引き起こし、眠りを浅くする場合があります。ホワイトノイズや自然音を活用すると良い場合もあります。

部屋に入り込む光の量

光は体内時計に影響を与える重要な要素です。特に夏は早朝の日差しが強く、冬は夕方の光が長く続くため、遮光カーテンを使用して光をコントロールすることが大切です。

また、夜間の人工的な光(スマートフォンやテレビの画面など)を避けることで、メラトニンの分泌を促進し、快眠を得ることができます。入眠を遅らせる可能性があるので、寝る1~2時間前にはデバイスの使用を控えることが理想です。

寝具が不適切

マットレスの硬さが体に合わなかったり、枕の高さが不適切だと、体がリラックスできず睡眠の質が低下します。季節に応じた布団やシーツの素材選びも重要です。

寝る前の食事や飲み物

寝る直前に食事をすると消化にエネルギーが使われ、眠りが浅くなる可能性があります。また、カフェインやアルコールの摂取も快眠を妨げる原因になるため、就寝前の摂取を避けるべきです。

心配ごとやストレス

心理的なストレスや考え事が多いと、リラックスできずに寝付けないことがあります。リラクゼーション法や瞑想などを取り入れることで、心を落ち着かせることが大切です。

運動の仕方

運動は睡眠を促進する効果がありますが、就寝直前に激しい運動をすると体温が上がり、かえって寝付きにくくなります。運動は寝る3時間前までに済ませると良いでしょう。軽いストレッチであればリラックス効果が高まり有効といえます。

生活のリズムの乱れ

寝る時間や起きる時間がバラバラだと体内時計が乱れ、睡眠の質が低下します。毎日同じ時間に寝起きすることが理想です。また、週末の寝だめをすると体内時計が大きく崩れてしまいます。平日休日関わらず、規則正しい生活をすることで睡眠の質を一定に保ています。

寝る時のエアコン設定は環境や自分の体調に合わせて慎重に決めよう!

エアコンの設定次第で睡眠の質は大きく変わります。季節や体調、自宅の断熱状況に合わせて最適な設定を見つけることが、快適な眠りを実現するポイントです。

また、エアコンに頼りすぎると、乾燥による風邪リスクも増加します。対策としては、エアコン以外の寝具や家電を活用することです。さらに快適な睡眠環境を整えるためにも、ぜひこの記事を参考に、より良い睡眠習慣を実践してみてください。