床下収納にカビが生えてしまった、という経験はありませんか?せっかくの収納スペースなのに、カビの発生で使いづらくなってしまうのは残念なことです。床下収納は便利である一方、その構造上カビが発生しやすいという特徴を持っています。
今回は、床下収納にカビが発生する原因や効果的な掃除方法、カビを防ぐための対策、床下収納に向いているもの・向いていないものについて解説します。
「床下収納にはカビが発生しやすい」と言われている理由

床下収納とは、一般的にキッチンや洗面所などの床に設置された収納スペースのことです。縦に深く収納できることが特徴で、普段使わないものや季節品の保管に便利です。
床下収納は便利ですが「カビが発生しやすい」という問題があります。カビが発生する条件は主に以下の4つです。
・水分
・酸素
・温度(20~30℃)
・栄養源となる汚れ
床下収納はこれらの条件が揃いやすい環境にあるため、カビが発生しやすいのです。原因をさらに詳しくみていきましょう。
湿気が溜まりやすいから
床下収納はその構造上、室内の他の場所よりも湿気が多くなりがちです。 普段頻繁に開けることが少ないため、空気の循環が少なく、湿気がこもりやすくなっています。
とくに梅雨や時期の夏場は、室内の湿度が高まることで床下収納内の湿気が増えていきます。水分が十分に存在し、温度も高くなるため、カビの繁殖に最適な環境となってしまうのです。
床下収納に向かないものを保管しがちだから
私たちが「床下収納に向いていないもの」を知らずに保管してしまうことによって、床下収納にカビが発生することもあります。たとえば、湿気を含むものや湿気を引き寄せやすいものを床下収納に入れると、カビの原因となります。
とくに注意が必要なものが食品です。食品は湿気を含みやすいだけでなく、カビの栄養源にもなります。開封済みの食品や、賞味期限の近い食品は床下収納には向いていません。
構造上の問題から
床下収納にカビが発生しやすい原因として、建物の構造も挙げられます。住宅の造りによっては、床下収納が土壌やコンクリートに近い位置にあり、そこから湿気の影響を受けやすくなっているのです。
また、床下収納に使われている材質もカビの発生に影響します。たとえば、木材などの有機物を多く含む素材はカビの栄養源になりやすいでしょう。
床下収納のカビを放置するリスク
床下収納にカビが発生した場合、放置するのは危険です。カビは時間の経過とともに繁殖し、収納内から床材や壁にまで広がってしまう恐れがあるためです。
健康面でも大きなリスクがあります。カビの胞子は空気中に浮遊し、吸い込むことでアレルギー症状や呼吸器系の疾患を引き起こすことも考えられます。
また、床下収納に食品を保管している場合、カビが食品に移り、気づかずに口にしてしまうと食中毒を起こすという危険性も存在します。とくに小さなお子さんやお年寄り、ペットにとっては重大な健康被害につながる恐れもあるため、カビを発見したらすぐに対処しましょう。
床下収納に実際に発生したカビを取り除く方法
床下収納にカビが発生してしまった場合、早急に対処しましょう。ここでは、次亜塩素酸ナトリウムを使った掃除の方法を詳しく解説します。
準備するもの
まずは準備するものを紹介します。
・次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素4%未満のもの)
・スプレーボトル
・ゴム手袋
・マスク
・ゴーグルまたはメガネ
・古い布やキッチンペーパー
・長袖の汚れてもよい服
カビ掃除の手順
カビ掃除の手順を見ていきます。
①掃除の準備をする
まず、ゴム手袋、マスク、ゴーグル、長袖の衣類を身に着けます。次亜塩素酸ナトリウムは刺激が強いため、皮膚に触れないようしっかりと保護しましょう。また、窓やドアを開けて換気を十分に行います。
②床下収納の中身を全て取り出す
床下収納の中に入っているものを全て取り出します。このとき、収納していたものにもカビが生えていないかをチェックしましょう。カビが生えているものは別途対処が必要です。
③次亜塩素酸ナトリウムを希釈する
次亜塩素酸ナトリウムと水を1:5の割合で希釈し、スプレーボトルに入れます。市販のカビ取りスプレーを使用する場合は、そのまま使用できるものもあります。商品のパッケージをチェックしましょう。
④カビにスプレーし、放置する
希釈液をカビの生えている部分にしっかりとスプレーし、15~20分ほど放置します。カビの根まで液体が行き渡るように十分な量をスプレーしましょう。
⑤カビを拭き取る
時間が経ったら、古い布やキッチンペーパーでカビを拭き取ります。カビが完全に除去できていない場合は、再度スプレーして放置し、拭き取る作業を繰り返します。
⑥乾燥させ、中身を元に戻す
カビを除去したあとは、床下収納内をしっかり乾燥させます。中身を戻す前に、底に新聞紙を敷き、除湿剤を置くとよいでしょう。
物は詰め過ぎず、できるだけ縦に収納することをおすすめします。取り出しやすく、内部の状態も確認しやすくなります。
床下収納掃除の注意点
掃除に次亜塩素酸ナトリウムを使用する際は、以下の点に注意が必要です。
・有害なガスが発生するため酸性タイプの洗剤と絶対に混ぜない
・皮膚や目に入らないよう必ず保護具を着用する
・使用後は十分に換気し、成分が残らないようにしっかりと拭き取る
・カビ取り作業後は、手や顔をよく洗う
・腐食の原因となるため金属部分には使用しない
カビはある程度繁殖すると急速に増えていくため、早い段階での対策が重要です。とくに食品を収納している場合は、目立ったカビがなくても定期的に掃除をすることをおすすめします。
床下収納のカビを防ぐポイント

カビが一度発生すると、除去する手間と時間がかかります。そこで大切なのが「予防」です。
ここでは、床下収納にカビを発生させないための効果的な対策を紹介します。日常的に取り入れやすい方法ばかりなので、ぜひ実践してみてください。
定期的に換気する
換気は、床下収納のカビ対策で基本的・効果的な方法です。定期的に収納の蓋を開けて空気を入れ替えることで、湿気が溜まりにくくなり、カビの発生を抑えられます。
とくに湿度の高い梅雨時期や夏場は、週に1~2回程度は蓋を開けて空気を循環させましょう。たった5分の換気でも効果があります。
除湿剤を設置する
湿気の多い床下収納は、除湿剤を置くことで効果的に湿度を下げられます。市販の除湿剤やシリカゲル、珪藻土を用いた除湿グッズなどを収納内に設置しておきましょう。なお、除湿剤は水分を吸収し続けると効果が薄れてくるため、定期的な確認と交換が必要です。
また、除湿剤の代わりに備長炭を置くという方法もあります。備長炭は湿気を吸収するだけでなく、消臭効果も期待できるため、食品などを保管する床下収納におすすめです。使用後の備長炭は、天日干しすることで繰り返し使えます。
モノを詰め込まない
床下収納にモノを詰め込みすぎると、空気の流れが悪くなり、湿気がこもりやすくなります。収納する量は、スペースの8割程度までに抑えるようにしましょう。
また整理整頓も重要です。いつ何を入れたのかわからなくなるほど乱雑に収納していると、定期的なチェックが難しくなります。収納するものは種類ごとに整理し、取り出しやすく、状態を確認しやすくしておくことがカビ防止につながります。
カビの生えやすい食品は入れない
キッチンの床下収納には、食品を保管する方も多いでしょう。しかし、カビの生えやすい食品は床下収納には適していません。
とくに以下の特徴をもつ食品には注意が必要です。
・開封済みの食品
・湿気を吸いやすい食品(小麦粉、パン粉など)
・賞味期限が近い食品
・生鮮食品
これらの食品は床下収納には入れない方が無難です。また食品を収納する場合は、必ず賞味期限をチェックし、期限切れのものを放置しないようにしましょう。
洗剤やアルコールで定期的に掃除をする
カビを防ぐための基本は、床下収納スペースを清潔に保つこと。少なくとも年に1回は、収納しているものを全部出して、隅々まで掃除する習慣をつくりましょう。
汚れが頑固で取りにくい場合は、中性洗剤を薄めたもので拭き掃除し、その後しっかりと水拭きして洗剤が残らないようにします。消毒用アルコールによる除菌もおすすめです。
新聞紙を敷く
床下収納の湿気対策として、「底に新聞紙を敷く」という方法も効果的です。新聞紙には湿気を吸収する性質があるためです。
床下収納の底全体に新聞紙を敷き、その上にモノを置くようにしましょう。湿気を吸い取った新聞紙は1~2ヶ月に一度、または湿っていると感じたら交換します。湿った新聞紙をそのまま放置すると、逆にカビの発生源になってしまうので注意が必要です。
新聞紙の代わりに、珪藻土マットや除湿シートを使用する対策もおすすめです。
床下収納に向いているモノ

カビを発生させないためには、収納するものの選び方も重要なポイントです。床下収納に向いているものを具体的に紹介します。
長期保存ができるモノ
床下収納は基本的に食品の保管には向かない場所ですが、どうしても食品を収納したい場合は、長期保存が可能なものを選びましょう。以下のような食品なら比較的安心です。
・未開封の缶詰や瓶詰め
・缶飲料や瓶飲料
・味噌や梅干しなどの保存食
・非常食
いずれの場合も定期的に状態をチェックし、賞味期限を確認することを忘れないようにしましょう。
乾燥食品
カップ麺やインスタント食品、乾物、調味料など、比較的湿気に強い乾燥食品も床下収納に向いています。ただし、密閉容器に入れて保管する、未開封のものだけを入れるなど、湿気対策をしっかり行いましょう。
レトルト食品など
レトルトカレーやパックご飯などのレトルト食品も、床下収納での保管に向いています。収納する場合には定期的にチェックし、賞味期限が近づいているものは早めに使うようにしましょう。
未開封の水や油
ペットボトルの水や食用油も、未開封であれば床下収納に向いています。とくに災害時用の保存水などは使用頻度が低くかさばるため、床下収納に保管しておくと便利です。
ただし、水や油は重いので、取り出しやすい場所に配置するか、比較的軽量のもののみを選ぶようにするとよいでしょう。
使用頻度が少ないもの
床下収納に食品以外を入れる場合は、普段あまり使わないものを選択しましょう。たとえば、以下が適しています。
・季節限定の調理器具や食器
・来客用の食器
・未開封のストック品
ただし、使用頻度が低いアイテムはカビが発生していても気づきにくくなります。3ヶ月に一回程度は収納の中身を取り出して状態を確認し、収納庫内も掃除しましょう。
軽量のもの
床下収納は、出し入れの際に屈んだり、持ち上げたりする必要があるため、重いものを収納すると取り出す際に大変です。軽量なものを選ぶことがポイントです。
ティッシュペーパーやトイレットペーパー、キッチンペーパー、ゴミ袋など、軽くてかさばるものは床下収納に向いているといえます。
床下収納に向いていないモノとおすすめの収納箇所
床下収納には向いていないものと、それらをどこに収納すべきかについて紹介します。これらは基本的に、「床下収納に向いているもの」とは正反対の特徴を持つものばかりです。
腐りやすいもの
床下収納は湿気がこもりやすく、温度管理も難しいため、腐りやすい食品の保管には適していません。たとえば、野菜、果物、肉、魚などの生鮮食品や開封済みの食品は、床下収納に入れると腐敗のリスクが高まります。
これらの食品は、冷蔵庫や冷凍庫、または風通しのよいパントリーや食器棚などに保管しましょう。傷みやすい食品は、目につきやすく取り出しやすい場所に置き、早めに使い切ることが大切です。
賞味期限が短いもの
床下収納は「たまに開ける」程度の利用が適しています。そのため、賞味期限が短いものを入れておくと、うっかり期限切れになってしまう可能性があります。
賞味期限が短いものは、キッチンカウンターの上や、手の届きやすい棚など、日常的に目につく場所に保管するとよいでしょう。
使用頻度が高いもの
毎日使用するものを床下収納に入れると、頻繁に屈んで取り出す必要があり、煩わしく感じるようになります。たとえば日常的に使う調理器具、よく使う食器、普段の衣類などは、床下収納には向いていません。
使用頻度が高いものは「キッチン用品なら作業台の近くの引き出しや棚」「日用品なら使用する場所の近くの棚」というように、手の届きやすい場所に収納することがポイントです。
重いもの
床下収納は屈んで物を出し入れする必要があるため、重いものを収納すると腰や膝に負担がかかります。とくに大量の缶詰や飲料水、本、金属製品など、重量のあるものは避けるべきです。
重いアイテムは、棚の下段やキッチンカウンター下、背の低い収納庫のような、取り出す際に負担のかかりにくい場所に収納しましょう。
床下収納に発生するカビは正しい対策で予防しよう
床下収納は便利ですが、湿気がこもりやすくカビが発生しやすい環境です。カビを見つけたら早めに対処すること、定期的に予防することを心がけましょう。
カビを予防するためのポイントは以下のとおりです。
・定期的な換気と掃除を行う
・除湿剤を設置する
・モノを詰め込みすぎず8割程度までに留める
・床下収納に適したアイテムのみ収納する
ポイントを押さえて、清潔な床下収納を維持しましょう。