「コンポストを自宅で作ってみたい!」「コンポストを家で作るメリットって何だろう?」とお考えの方はいらっしゃいませんか?
コンポストは、自宅で簡単に作れます。ごみを減らせるため、ごみ出しの手間やごみ袋代を削減することが可能です。
今回はコンポストで堆肥を作るメリットや、自宅で作れる段ボールコンポストの作り方をご紹介します。コンポストで作った堆肥を家庭菜園やガーデニングに活用すれば、地球にやさしい豊かな生活が送れるでしょう。
「コンポスト」とは
「コンポスト」とは、食べ物の残りやくずなどの生ごみを堆肥に変える仕組みです。微生物が含まれた土に生ごみを入れると、生ごみが分解・発酵し、堆肥へと変化します。
捨てられるはずだった生ごみが活用されるため、環境問題解決の観点から注目されています。またコンポストは身近にあるもので作れるため、家庭でも簡単に実践することが可能です。
コンポストで生ごみが堆肥に変わる仕組み
コンポストは自然の力を活用して、生ごみを堆肥に変化させます。微生物の含まれた土に生ごみや落ち葉を入れると、微生物が酸素を使って二酸化炭素や水に分解し、堆肥が作られる、という仕組みです。
自然界では、動植物の死骸が分解されるまでに約1〜2年かかります。その一方で、コンポストは発酵しやすい環境が整えられているため、約1〜2ヶ月で堆肥が完成します。酵母菌や乳酸菌、放線菌、納豆菌など、人に無害な微生物が分解を早めてくれるのです。
コンポストのメリット
コンポストは、自分や家庭、地球にとってそれぞれメリットがあります。順番にご紹介します。
自分や家庭へのメリット
コンポストには、普段の生活がより豊かになるヒントが詰まっています。
生ごみを捨てなくて良い
家庭から出される可燃ごみのうち、約40%が生ごみです。生ごみを排出しなければ、40%のごみを削減できると言えるでしょう。さらに、ごみを出す手間が省けるだけでなく、ごみ袋代の節約にもつながります。
栄養豊富な堆肥を自分で作れる
コンポストで作った堆肥には、栄養がたっぷり含まれているため、元気な作物や植物を育てられます。化学肥料にも栄養が含まれていますが、微生物の餌になる有機物が含まれていません。そのため、土に与えると微生物が減少し、病害虫に抗えない弱い作物になる可能性があります。
作った堆肥を家庭菜園や花の栽培に活用できる
コンポストで作った堆肥は、家庭菜園やガーデニングに活用できます。堆肥を土に混ぜると、保水性や排水性、通気性が高くなり、より良質な土に変わります。
堆肥でできた野菜や果物はおいしく、安心して食べられる
コンポストで作った堆肥には有害物質が含まれていないため、安心安全な農作物を育てられます。
堆肥で作る家庭菜園でおすすめの野菜は、栽培の手間が少ないルッコラやベビーリーフです。通年を通して栽培でき、3週間から1ヶ月半で収穫できます。採れたての野菜を使った料理を楽しむのも良いでしょう。
自治体の補助が受けられる場合がある
コンポストを導入する際に、お住まいの自治体から補助金がもらえる可能性があります。例えば、東京都千代田区では、生ごみ処理機の購入金額に3分の2を乗じた額(上限3万円)の補助が受けられます。東京都三鷹市では、購入金額の2分の1の額(上限は2万円)の補助を受けることが可能です。
コンポストを購入する際は、お住まいの自治体に補助金制度があるかを調べてみてください。
地球へのメリット
ごみが焼却処理されると、二酸化炭素が発生します。生ごみをコンポストで活用すれば、排出されるはずだった二酸化炭素がなくなり、地球への負荷が軽減されます。
コンポストの種類
コンポストにはたくさんの種類があるので、自宅にあった種類を選んでみてください。
設置型コンポスト
下部を畑や庭に埋めるタイプのコンポストです。中に生ごみや落ち葉を入れると、2〜3ヶ月後に堆肥ができあがります。
回転式コンポスト
樽のサイドから生ごみを投入し、取っ手を持って回して樽を回転させます。回転により、酸素が効率良く行きわたり、堆肥作りが促進されます。
密閉型コンポスト
密閉できるコンポストの容器に、生ごみと「ぼかし」と呼ばれる米ぬかや発酵促進剤を入れ、生ごみを発酵させます。その後、生ごみを分解させるために土に移して、1ヶ月ほど寝かせます。
段ボールコンポスト
名前のとおり、段ボールを使用したコンポストです。段ボールは通気性が良く、生ごみの水分を飛ばしたり、発酵に必要な空気を通したりとコンポストに適した材料です。手軽にそろえられる材料で作れるため、家庭向きと言えるでしょう。
バッグ型コンポスト
専用のバッグに基材と生ごみを入れ、混ぜて放置するだけで堆肥ができあがります。ファスナーが付いているため、虫が入り込みません。悪臭が発生しない作りなので、マンションやアパートでも安心して堆肥が作れます。
電動生ごみ処理機
生ごみを入れて放置するだけで、堆肥の元になる乾燥処理物ができあがります。基材を用意したり、かき混ぜたりする手間が省けるのがメリットです。自治体からの補助金が出る場合もあります。
ミミズコンポスト
ミミズと基材が入った容器に生ごみを投入します。ミミズが生ごみを食べて分解することにより、堆肥ができあがります。ミミズが食べられない柑橘類や玉ねぎ、にんにくなどは入れられません。
気軽にお家でできる!段ボールコンポストの作り方
家にある材料だけで作れる、段ボールコンポストの作り方をご紹介します。
STEP1. 必要な道具を準備する
必要な材料は、次のとおりです。
・段ボール箱(中敷きあり)
・設置台(網台など)
・虫除けカバー
・ガムテープ
・スコップ
・基材
STEP2.基材と水を混ぜる
段ボールに基材と水を適量入れて、混ぜ合わせます。基材は強めに握って、軽く固まるぐらいの固さにしましょう。通気性を良くするために網棚などに乗せ、地面から5cm程度浮かせるようにします。
STEP3. 細かく刻んで水をよく切った生ごみを用意する
生ごみは細かく刻んでおくと、分解が早く進みます。
STEP4. 生ごみを投入し、基材をよくかき混ぜる
段ボールに刻んだ生ごみを入れ、基材とよく混ぜます。投入できる生ごみの目安の量は、1日あたり基材25リットルに対して500グラム程度です。
STEP5. 毎日かき混ぜて熟成させる
1日1回生ごみを入れて、かき混ぜます。3〜6ヶ月繰り返せば、堆肥のできあがりです。
基材が乾燥している場合は、水を入れてかき混ぜます。途中で白カビが発生する場合もありますが、発酵の証拠なので特に問題はありません。発酵が進んでいると、温度が20〜40度になり、温かくなります。
コンポストに入れて良いもの
家庭の大抵の生ごみを堆肥に育てられるコンポストですが、生ごみの中でも「入れて良いもの」と「悪いもの」があるのはご存じでしょうか。
また、一部生ごみはコンポストに入れることで堆肥の完成度を上げる役目を果たしてくれます。まずは、コンポストに入れてもいいもの、おすすめのものをご紹介します。
野菜や果物のくずや皮
生ごみが発酵するには水分が必要です。生ごみには水分が含まれているため、コンポストに最適な材料といえます。正しく世話をしていれば、他の生ごみよりも臭いが抑えられる点も嬉しいポイントです。ただし柑橘類の皮は分解されにくいほか、殺菌効果があるため、微生物に悪影響を与える可能性があります。(詳しくは後述します)
卵、卵の殻
卵の殻は分解されて形がなくなることがないため、入れてはいけなかったのかと焦りがちですが、カルシウムが土に溶け出すので、入れても問題ありません。不安であれば、ミキサーなどを使って粉々にしましょう。
コーヒーかす、お茶殻
コーヒーかすやお茶殻を入れると、臭いや虫が発生しにくくなります。また土の中に隙間を作るため、水はけが良くなります。
米やパンなどの炭水化物
もしコンポスト内の水分が多くなった場合は、パンやパン粉を入れると水分を吸い取ってくれ、水分量を調整できます。
コンポストに入れてはいけないもの
何でも入れられるように思えるコンポストですが、一部の生ゴミは入れてはいけません。代表的なNGのものとして、以下があります。
生肉、生魚
含まれているタンパク質が発酵する際、臭いの原因になる可能性があります。また、このタンパク質の発酵臭は虫を呼び寄せると言われており、衛生面でもおすすめできません。
骨、貝殻
絶対にNGというわけではありませんが、卵の殻同様に分解されにくく、卵の殻以上に硬いため分解まで年単位でかかる可能性があります。長期的にコンポストを育てていく、という場合のみ、少量入れるくらいに留めることをおすすめします。
柑橘類、玉ねぎ、トウモロコシの皮
他の野菜果物の皮に比べて油分が多い関係で、分解されにくい傾向にあります。柑橘類に関しては殺菌効果でせっかく堆肥にするために働いてくれる微生物に悪影響を与えてしまう可能性があるので、できれば避けましょう。
他にも、漬物や味噌など塩分が強いものは堆肥に向かないので入れない方がいいでしょう。
コンポストでよくあるトラブルと対策
非常にエコで便利なコンポストですが、作成や扱いに慣れるまではトラブルがつきものです。ここからは、トラブルごとの対策をご紹介します。
悪臭が漂うトラブルと対策
生ごみの分解が上手くできていないと、悪臭が出てきます。よく混ぜると内部に空気が行きわたり、臭いがなくなっていきます。さらに、落ち葉や干し草を加えると、臭いを吸収させることが可能です。
虫が湧くトラブルと対策
発酵促進剤やお酢を活用しましょう。発酵促進剤を入れると、土が高温になって虫が死滅します。さらに生ごみの分解も進むので、一石二鳥です。
また、スプレーボトルにお酢を入れて吹きかけると、虫を駆除できます。虫はお酢の臭いが嫌いなため、予防にもつながります。
コンポストの手入れができないトラブルと対策
旅行や帰省で自宅を離れ、コンポストの手入れができない場合は、雨のあたらない風通しの良い場所にコンポストを置きましょう。コンポストは温度が下がり、休眠状態になります。
再開したいときは、かき混ぜてから生ごみを入れましょう。
地球にやさしいコンポストを実践してみては?
コンポストのメリットや、段ボールコンポストの作り方をご紹介しました。コンポストを作るメリットは、次のとおりです。
・生ごみを捨てなくて良い
・栄養豊富な堆肥を自分で作れる
・作った堆肥を家庭菜園や花の栽培に活用できる
・堆肥でできた野菜や果物はおいしく、安心して食べられる
・自治体の補助が受けられる場合がある
・焼却処理しなくて良いので、二酸化炭素排出量が抑えられ、地球にやさしい
段ボールコンポストは、自宅で簡単に作ることが可能で、すぐに生活に導入できます。コンポストで生ごみを排出しない、地球にやさしい生活を始めてみてはいかがでしょうか?