一人暮らしを始めるにあたってさまざまな物件を探していると、時折「オール電化対応」の住まいを見かけることがあるかと思います。便利なイメージがあるオール電化ですが、一人暮らしの場合は月々どれぐらいの電気代になるか、気になるのではないでしょうか。
そこで今回は、一人暮らしオール電化デビューを考えている方や、今の住まいからオール電化の物件に引っ越しを検討している方に向けて、一人暮らしの電気代と節約方法を紹介します。
オール電化とは
オール電化とは、住宅に必要なエネルギーを電気で賄っているシステムのことです。キッチン・空調・給湯なども電気機器が使用されることで、ガスを使用せずに生活できます。
例えば、以下のような設備です。
<オール電化の設備>
・キッチン:IHクッキングヒーター
・空調:エアコン・蓄熱ヒーター・床暖房など
・給湯:エコキュート・電気温水器
オール電化にすることで、メリットがいくつかあります。具体的なメリットに関しては後述するので、ぜひ参考にしてみてください。
オール電化の一人暮らしにかかる電気代はいくら?
一人暮らしでオール電化の場合、毎月どのくらいの電気代がかかるのでしょうか。ここからは、オール電化住宅の電気代に関して、オール電化とそうでない場合の両方のパターンをご紹介します。
【世帯人数別】オール電化住宅の電気代の平均月額
以下の表は、関西電力にて公表されている、世帯人数別の電気代の平均額です。
【世帯人数別のオール電化住宅における電気代の平均月額】
世帯人数 | 電気代の平均額 |
---|---|
1⼈暮らし | 10,777円 |
2⼈家族 | 13,406円 |
3⼈家族 | 14,835円 |
4⼈家族以上 | 16,533円 |
※参考:関西電力
表を見ると、約10,700〜16,500円の幅で推移していることがわかります。ただし、電気代は契約している電力会社の料金プランや住んでいる地域、毎月の使用状況によって異なるため、あくまで参考程度にとどめておくことが大切です。
気になる方は、電力会社の公式サイトなどにある、電気料金のシミュレーションなどを活用してみるとよいでしょう。
オール電化ではない場合の一人暮らしの電気代平均月額はどのくらい?
オール電化でない場合の電気代・光熱費の平均は、どれくらいなのでしょうか。以下の表は、総務省統計局が公表している「家計調査 家計収支編 2023年 世帯人員・世帯主の年齢階級別」の情報をもとに、平均額をまとめたものです。
世帯人数 | 区分 | 電気代の平均額 | ガス代の平均額 | 光熱費 (電気代+ガス代) |
差額 |
---|---|---|---|---|---|
1⼈暮らし | 一般住宅 | 6,726円 | 3,359円 | 10,085円 | |
オール電化 | 10,777円 | 0円 | 10,777円 | 692円高い | |
2⼈家族 | 一般住宅 | 10,940円 | 4,971円 | 15,911円 | |
オール電化 | 13,406円 | 0円 | 13,406円 | 2,505円安い | |
3⼈家族 | 一般住宅 | 12,811円 | 5,591円 | 18,402円 | |
オール電化 | 14,835円 | 0円 | 14,835円 | 3,567円安い | |
4⼈家族 | 一般住宅 | 13,532円 | 5,284円 | 18,816円 | |
オール電化 | 16,533円 | 0円 | 16,533円 | 2,283円安い |
表を見ると、光熱費(電気代+ガス代)の総額は、約10,000〜約18,800円の幅で推移していることがわかります。電気の使用量が多くなる世帯ほど、オール電化物件にすることで、光熱費の節約につながるでしょう。
オール電化の物件に住むメリット
オール電化物件に住むメリットとして、主に以下の5つがあります。
<オール電化物件に住むメリット>
・火災のリスクを減らせる
・災害時や断水時でも水が使える場合が多い
・災害時に迅速な復旧が期待できる
・キッチン周りの掃除がしやすい
・時間帯によっては電気代を安く抑えられる
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
火災リスクを減らせる
オール電化物件に住むことで、火災のリスクを減らせます。ガスと違って、直接火を使用しなくなるためです。
例えば、オール電化住宅で料理をする場合は、ガスコンロでなく、IHクッキングヒーターが用いられます。ほかにも、エコキュートや電気温水器、エアコンなどが活用されますが、すべて火を使うものではありません。
電気機器の中には、消し忘れたときのための自動防止機能が搭載されたものもあるため、お年寄りの方が住んでいるご家庭にも便利です。
災害時や断水時でも水が使える場合が多い
オール電化に設けられる電気温水器・エコキュートは、お湯を沸かして保温し、給湯時にお湯を使えます。給湯機器に一定量のお湯が溜まっているため、災害時や断水時でも水を確保できるのがメリットです。
万が一の場合に備えたいご家庭も、オール電化物件は選択肢の1つといえるでしょう。
災害時に迅速な復旧が期待できる
オール電化物件は、災害時でも迅速な復旧が期待できます。電気・水・ガスなどのライフラインの中で、電気の復旧は比較的早いとされているためです。
また、オール電化物件にお住まいの方の中には、太陽光発電や蓄電池を導入していることも増えてきました。太陽光発電・蓄電池を導入することで、万が一に備えて電気を蓄えられるため、災害時でも問題なく電気を使えます。
キッチン周りの掃除がしやすい
オール電化物件で活用されるIHクッキングヒーターは、形状が平らであることが特徴です。そのため、簡単に汚れを拭き取れます。
例えば、ガスコンロの場合、汚れを取り除くために、五徳や天板などの部品を除けることもあるでしょう。 オール電化物件の場合、キッチン周りの掃除が楽にできるのもメリットです。
時間帯によっては電気代を安く抑えられる
オール電化物件向けの電気料金プランは、時間帯によって電気代が変わります 。基本的には、夜間帯の電気料金単価が安くされているのが特徴です。
そのため、消費電力の大きい家電などの利用を夜間に集中させることで、電気代を安くできる可能性があります。具体的な節約方法は後述するので、ぜひ参考にしてみてください。
オール電化の物件に住む際の注意点
オール電化物件の注意点は、主に以下のとおりです。
<オール電化物件の注意点>
・電気代が高くなりやすい時間帯がある
・停電が発生すると電化製品が使用できなくなる
・物件の断熱性能を確認する
それぞれの注意点について、詳しく解説します。
電気代が高くなりやすい時間帯がある
オール電化住宅向けの電気料金プランは、基本的に昼間と夜間にわけて、電気料金単価が設定されています。なかでも、昼間の電気料金単価が高く設定されているプランが多いため、使用するタイミングに注意が必要です。
もし在宅ワークなどで、昼間も家で電気を使う方の場合、電気代が高くなる恐れがあります。自分の生活スタイルも考慮したうえで、オール電化向けのプランと契約するのかを判断することが大切です。
停電が発生すると電化製品が使用できなくなる
オール電化はすべて電気で賄っているため、停電が生じると電化製品が使えなくなります。停電したら復旧するまで待つ必要があるため、ときには不便さを感じる可能性もあるでしょう。
ただし、電気の復旧は比較的早いとされています。長期間停電することは、ほとんどないと考えてよいでしょう。
物件の断熱性能を確認する
物件の断熱性能を確認しておくことも大切です。断熱性能が悪いと、暖房・冷房を使用する際の効率が悪くなり、余分な電気代の発生につながります。
同じ使い方でも、電気代が高くなるのは非常にもったいないですよね。事前に物件の断熱性能を確認し、オール電化にしても無駄が生じにくい物件かどうか判断しておくことが大切です。
オール電化の物件がおすすめの人
オール電化の物件がおすすめの人をまとめると、以下のとおりです。
<オール電化の物件がおすすめの人>
・安全性を求めている人
・昼の電力使用量が少ない人
・掃除や支払いの手間を省きたい人
ここからは、それぞれの内容について詳しく解説します。
安全性を求めている人
オール電化物件の場合、火を使う機会が少なくなります。ガスコンロの代わりに、IHクッキングヒーターを使うためです。
IHクッキングヒーターには、高い火力を持ちつつ、火力調整が簡単という特徴があります。ほかにも、切り忘れの防止機能や空焼き時の自動OFF機能など、安全面に関する機能を持ち合わせているのも魅力です。
ただし、搭載されている機能は、メーカーや機種によって異なります。購入時にどのような機能が搭載されているか、確認しておくとよいでしょう。
昼の電力使用量が少ない人
オール電化向けの電気料金プランは、夜の電気料金単価が安く設定されています。逆に、昼間の料金単価は割高な可能性が高いため、昼の電力使用量が少ない方におすすめです。
例えば、昼間は仕事や学業で家を留守にしている、夜は帰宅して電気を多く使うなどの生活スタイルであれば、オール電化向けの電気料金プランが向いています。オール電化物件にお住まいの方は、自分のライフスタイルを踏まえながら選ぶとよいでしょう。
掃除や支払いの手間を省きたい人
オール電化物件の場合、ガスの使用をなくせるため、毎月の支払いを電気代のみにできます。そのため、支払いの手間を省きたい方にもおすすめです。
また、オール電化物件に設けられるIHクッキングヒーターなどは、掃除が簡単なのも特徴です。掃除の手間を省きたい方にも、おすすめといえるでしょう。
オール電化の一人暮らしで電気代が高くなるのはどんな時?
オール電化の物件で一人暮らしをしていても、以下に該当する場合は電気代が高くなりやすい傾向にあります。
<オール電化の一人暮らしで電気代が高くなりやすいケース>
・料金プランが自分の生活スタイルに合っていない
・古い家電を使用し続けている
・消費電力が大きい家電を使いすぎている
どういったときに電気代が高くなりやすいのか把握しておくことで、無駄な電気料金の発生を防ぎやすくなります。それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
料金プランが自分の生活スタイルに合っていない
まず考えられるのが、料金プランが自分の生活スタイルに合っていないケースです。オール電化物件を踏まえ、自分のライフスタイルにプランが合っていないと、無駄な電気代が生じて高くなります。
例えば、在宅ワークなどで昼間に電気を多く使用し、夜はあまり電気を使わない方であれば、オール電化向けプランの割高な部分だけ利用することになります。ほかにも、一人暮らしの方がファミリー向けプランを契約した場合も、同様です。
自分の生活スタイルや電気の使用状況に合わせて、電気料金プランを利用するとよいでしょう。
古い家電を使用し続けている
製造から年数の経った古い家電を使用し続けていると、無駄な電気代の発生につながります。 新しい家電のほうが、省エネ性能に優れているためです。
また、古い家電の場合、経年劣化による性能低下が生じることもあります。年数がかなり経ったものを使用している場合、買い替えもご検討ください。
消費電力が大きい家電を使いすぎている
消費電力の大きい家電を使いすぎている場合、電気代の高さにつながります。電力の使用量が、直接電気代に影響をおよぼすためです。
電気代の体系は、基本料金と電力量料金で構成されています。加えて、再エネ賦課金や燃料費調整額が影響します。なかでも電力量料金は、電力の使用量に対して、電気料金単価を掛け合わせることで算出される料金です。電力の使用量が多くなると、電気代は高くなります。
消費電力の大きい家電(暖房器具など)を使い続けると、電気代が高くなりやすいため、ご注意ください。
オール電化の一人暮らしで電気代を節約する方法
オール電化住宅で一人暮らしする場合、電気代を節約するための方法は、主に以下のとおりです。
<オール電化の一人暮らしで電気代を節約する方法>
・電気の料金単価が安い夜間に電気を使用する
・エコキュートの設定を見直す
・オール電化向けの電気料金プランを選ぶ
それぞれの節約方法について、詳しく解説します。
電気の料金単価が安い夜間に電気を使用する
電力会社が提供するオール電化向けの電気料金プランは、夜間の電気料金単価が安く設定されています。そのため、可能な限り夜間に電気を使うことで、電気代の節約が期待できるでしょう。
例えば、以下のような工夫がおすすめです。
<夜間に電気を使用するための工夫>
・夜間にお湯を沸かして保温ポットで保存する
・タイマーを夜間に設定して家電製品を利用する
・スマホ・タブレットの充電などを夜間に行う
生活リズムを崩しすぎない範囲で、夜間に電気の利用を集中させることが大切です。タイマー機能がある家電などであれば、活用することで効率よく利用できるでしょう。
エコキュートの設定を見直す
エコキュートの設定・使い方を見直すことで、電気代を節約できる可能性があります。使い方の工夫によって、無駄な消費電力の発生を抑えられるためです。
例えば、エコキュートの見直しには、以下のようなものがあります。
<エコキュートの見直し>
・湯量設定を「おまかせモード」にする
・お湯を使わない日は「昼間休止設定」にする
・不在時は「沸き上げ休止設定」にする
・保温不要のときは「ふろ自動」をOFFにする
・使用履歴をチェックして無駄がないか確認する
エコキュートの節約方法は、意識するだけで簡単に実践できるものばかりです。どれか1つだけでもいいので、今日からでも実践してみてください。
オール電化向けの電気料金プランを選ぶ
電力会社の多くは、オール電化向けの電気料金プランを提供しています。 通常のプランが合っていないと感じる方は、電気料金プラン・電力会社の切り替えもおすすめです。
電力会社の切り替えは、上手くいけばライフスタイルを大きく変えずに、電気代を節約できます。逆にいえば、電気料金プランが合っていないと、節約方法を実践したところで、大きな効果が期待できなくなります。
現在、契約している電気料金プランが本当に自分に適しているか見直し、必要に応じてオール電化向けプランへの切り替えをご検討ください。
オール電化で一人暮らしをする際は電気代について知っておこう
今回は、オール電化物件で一人暮らしする際の電気代について解説しました。一人暮らしの電気代の目安は10,777円です。1万円を超えてはいますが、通常の物件向けの電気料金プランと契約するよりも、電気代を節約できます。
また、オール電化物件に住んでいるからといって、必ず安くなるわけではありません。電気料金プランや家電の使い方を見直すことで、電気代の節約につながります。
オール電化物件には、火災のリスクを減らせたり、掃除の手間を省けたりするメリットもあるため、ぜひ検討してみてください。