賃貸の照明焼けは原状回復の対象?自己負担の場合や予防策など

目次

賃貸で快適に過ごしていたはずが、知らない間に照明焼けの跡ができてしまった…という経験はありませんか?照明焼けは、見た目の問題ももちろんありますが、退去時の原状回復費用にも影響を及ぼすことがあります。

今回は、照明焼けがなぜ起こるのか、その費用負担は誰が負うべきなのか、自分でできる修復方法と予防策までわかりやすく解説しています。照明焼けでお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。

照明焼け・照明跡が残ってしまう理由

賃貸物件に何年か住んでいると、照明焼けや照明跡に悩まされるケースも少なくありません。一方で、その原因については、あまりよく理解していない方が大半です。

以下では、照明焼け・照明跡が残ってしまう原因について、解説していきます。

紫外線による照明焼け

照明から発せられる光には、紫外線が含まれています。特に古いタイプの照明器具は、紫外線を多く発するため、天井の壁紙に照明焼けを引き起こしやすいのです。この紫外線が長時間にわたって当たることで、壁紙の色褪せや変色が生じ、目立つ照明跡となってしまいます。

静電気による照明設置部分の汚損

照明器具周辺の汚れは、静電気によっても引き起こされます。照明を点けたり、消したりする際に発生する静電気が、ほこりや汚れを引き寄せるのです。この現象により、特に照明器具の周囲に、汚れが溜まりやすくなります。時間が経つにつれて、その汚れが固着し、気づいたころには目立つ照明跡が残ってしまいます。

スポンジの劣化による固着

多くのシーリングライトには、本体をしっかりと固定するために、本体の裏側にスポンジがついていることが多いです。そして、そのスポンジ跡が天井に残ってしまうこともあります。

このスポンジがとても厄介で、時間が経過すると劣化や照明の熱で溶けてしまい、落ちにくい汚れとなって固着するのです。また、劣化したスポンジをそのままにしておくと、照明器具を取り外す際に天井にダメージを与え、照明跡を残すことになるでしょう。

照明焼けは原状回復の対象になる?

賃貸で照明焼けが残ってしまった場合、その損傷部分が原状回復の対象となるかどうかが、気になるところです。この問題に関しては、照明を誰が設置したかによってその負担の所在が異なるので、ケースごとに見ていきましょう。

借主負担・・・自分で設置した場合

もし照明器具を借主が自分で設置した場合、その照明焼けや照明跡の修復費用は、原則として借主の負担となります。特に、照明焼けが原因で壁紙(クロス)を貼り替える必要がある場合、その費用の一部、または全額を借主が負担することが一般的です。

クロス貼り替えの場合は一面分の負担をすることが多い

照明焼けや照明跡が発生し、借主が費用を負担する場合、請求の額や計算方法は管理会社や大家さんによって異なります。多くの場合では、照明焼けが発生した箇所の、一面分のクロス貼り替え費用を支払うことになります。

照明焼けによりクロスの貼り替えを伴う場合、影響を受けた部分のみならず、少なくとも一面を新しくしなければなりません。これは、部分的に貼り替えを行うと、色の違いが目立ってしまうからです。そのため、借主は、一面分のクロス貼り替え費用を負担するケースが多いのです。

【注意】居住した年数によって負担額が変わる

照明焼けによる原状回復費用については、居住した年数が長くなるにつれて、借主の負担額が減少することがあります。これは減価償却といって、賃貸物件の通常の使用に伴う経年劣化を考慮して、負担額を調整するためです。

実際に、国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」においても、クロスの償却期間である6年経過時には、クロスの既存価値が1円になるように負担割合を算定すると明記してあります。長く住むほど、負担割合は減少するのが通常といえるでしょう。

参考:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン

大家さん負担・・・照明が設備の場合

一方で、照明が物件の設備としてもとから備え付けられている場合、その照明焼けは大家さんの負担となることが多いです。これは、照明設備自体が賃貸物件に含まれる部分であり、通常使用による劣化とみなされるためです。

照明焼けを自分で修復する方法

照明焼けや照明跡の問題に直面したとき、プロに任せる前に、自分で何とかできないかと考えるのは自然なことです。状態によってはどうしようもない場合もありますが、自分で損傷をカバーできる場合もあります。

ここでは、3つの方法を紹介します。ただし、これらはあくまでも自己責任で判断して、実施してください。万が一、色落ちや損傷した場合は、借主が費用を負担する必要があるので注意しましょう。

住宅用洗剤を使って落とす

最も手軽に試せるのが、市販の住宅用洗剤を使う方法です。例えば比較的強力な洗浄力を持つ洗剤(”ウタマロクリーナー”など)は、照明焼けによる汚れを落とすのに効果的です。使用する際は、洗剤を布に少量取り、優しく拭き取るようにしてください。

ただし、壁紙の材質によっては、色落ちや損傷の原因になることもあるため、目立たない部分でテストすることを忘れないようにしましょう。

塗装をする

洗剤で落とせない場合や、照明焼けがひどい場合は、塗装を行う方法もあります。壁専用の塗料を選び、照明焼けがあった部分を丁寧に塗り直します。ただし、どうしても塗った部分とまわりとで色の違いが出てしまうことがあるので、退居時には請求されることを承知のうえで実施しましょう。

スチームクリーナーで落とす

スチームクリーナーを使う方法も、照明焼けの修復には非常に有効です。高温の蒸気が汚れを浮かせて落とすため、比較的手軽にきれいにすることが可能です。しかし、スチームクリーナーの使用は、壁紙の材質によって避けるべき場合もあります。高温の蒸気が壁紙を損傷させる可能性があるため、使用前には壁紙の耐熱性を確認しましょう。

照明焼けを予防する方法

上記では照明焼けを自分で修復する方法を紹介しましたが、基本的に照明焼けは修復が大変なため、できれば最初から予防したいものです。次に紹介するいくつかの簡単な対策で、この問題を未然に防ぐことが可能です。

LEDの照明を設置する

LEDシーリングライトに交換することは、照明焼けを防ぐ最も効果的な方法の一つです。

LEDは従来の蛍光灯やハロゲンランプに比べて、紫外線をほとんど発しないため、壁紙の色褪せや変色のリスクを大きく減少させます。さらに、LED照明はエネルギー効率が高く、長寿命であるため、経済的にもメリットが大きいです。

スポンジと天井の間に厚紙を挟む

照明器具を固定する際のスポンジと天井の間に厚紙を挟むことも、照明焼けを防ぐ効果的な対策です。これにより、照明器具から発生する熱や静電気が、直接天井に影響を与えるのを防ぎます。また、スポンジの劣化による汚れの固着も防げるため、照明器具の取り外しや交換がしやすくなります。

定期的に取り外して掃除する

照明器具を定期的に取り外して掃除することも、照明焼けの予防に役立ちます。これにより、静電気によって引き寄せられたほこりや汚れを定期的に除去でき、汚れが固着するのを防ぐことが可能です。年に1回か2回程度は照明器具を取り外して、丁寧に掃除することをおすすめします。

日中は照明の利用を控える

できるだけ日中は自然光を利用し、照明の使用を控えることも、照明焼けを防ぐのに有効です。照明の使用時間を減らすことで、照明から発せられる紫外線や熱の影響を抑えられます。また、エネルギーの節約にもなり、一石二鳥でしょう。

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照明焼けの負担区分は、照明を誰が設置したかによって異なる

今回は、照明焼けの主な原因、原状回復費用の負担区分(誰の負担になるか)、自分で修復する方法、予防策について紹介しました。

賃貸物件における照明焼けは、その美観を損ねるだけでなく、退去時の原状回復費用にも大きく影響する問題です。このようなトラブルを未然に防ぐためには、その原因を理解し、適切な対策を講じる必要があります。

最終的に押さえておくべきポイントは、以下のとおりです。

・照明焼けの主な原因は、紫外線、静電気、そしてスポンジの劣化によるものである

・原状回復の負担区分は、照明を誰が設置したかによって異なる

・自分で修復する方法は、住宅用洗剤を使う方法、塗装をする方法、スチームクリーナーなどがある

・予防策としては、LED照明の利用、スポンジと天井の間に厚紙を挟む、定期的な掃除、日中の照明利用を控えるといった方法が効果的である

照明焼けによるトラブルは、事前の対策と適切な知識によって防ぐことが可能です。賃貸物件で快適な生活を送るためにも、今回紹介した内容をぜひ実践してみてください。