上がり框(あがりかまち)って?誰でも見たことがある玄関のあの場所のメリット・注意点!

目次

玄関にある上がり框(あがりかまち)は、家の外と内を分ける重要な部分です。高さや形状によって利便性や安全性が大きく変わり、住まい選びにおいて見逃せない要素となります。一方で、どのような高さやデザインが適しているのか悩む方も多いのが現状です。

今回は、上がり框のメリットや注意点、物件ごとの特徴について詳しく解説します。安心して快適な住まいを選ぶための参考にしていただければ幸いです。

上がり框とは

上がり框(あがりかまち)とは、玄関で靴を脱いでから家の内部に上がる際にある段差部分を指します。この部分は家の外と内を明確に分ける役割を果たしており、衛生面や生活動線の観点から重要な存在です。

上がり框は、日常生活の快適性と衛生を支える重要な役目として、多くの住宅で利用されています。

物件別上がり框の目安

物件タイプによって、上がり框の高さやデザインには違いがあります。この章では、物件タイプごとの特徴を具体的に解説します。

アパート

アパートの上がり框の高さは「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」に基づき、一般的に11cm以下がおすすめです。玄関がコンパクトに設計されていることが多いため、使いやすさと安全性を考慮して段差が低めに設定されています。

この高さは靴の脱ぎ履きがスムーズにできる一方で、玄関スペースが限られているため、上がり框が簡素な場合もあります。

例えば一人暮らし向けの物件では、スペースを有効活用するために上がり框を低く抑えたり、靴箱を兼ねた設計が採用されることがあります。アパートの上がり框は、限られた空間を工夫して活用する機能性が特徴です。

※参考:国土交通省「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針|P3」

マンション

マンションの上がり框は、デザイン性や高級感を重視したものが多い特徴があります。上がり框の高さについては、「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」において、アパート同様11cm以下が推奨されています。

しかし、現実的には20〜25cm程度の高さで設計されることが一般的です。これは、玄関を広く見せる効果や靴の脱ぎ履きをしやすくする利便性を考慮しています。

例えば、ファミリー向けマンションでは玄関スペースが広く、上がり框にはタイルや石材といった高級感のある素材が多く採用されています。一方で、段差が高い場合、高齢者や小さな子どもにとって転倒のリスクが高まるため、安全対策が求められます。

一戸建

一戸建ての上がり框は自由度が高く、家族構成やライフスタイルに合わせた設計が可能な点が特徴です。「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」では、上がり框の高さは18cm以下が推奨されています。

例えば、小さな子どもがいる家庭では、段差を低く設定して安全性を重視したり、高齢者がいる場合は手すりを設置して段差の昇降を楽にする工夫が見られます。

また、木製や石材など、好みに応じた素材を選びやすいことも一戸建ての魅力です。デザイン面でも、玄関全体の雰囲気に合わせたオリジナルな設計が実現できます。

上がり框のタイプ

この章では、上がり框に使用される主な素材やデザインの種類についての特徴をわかりやすく解説します。

上がり框で使われる主な素材

上がり框で使われる主な素材は、以下の3つです。

・木製

・石材

・タイル仕上げ

それぞれ詳しく解説します。

木製

木製の上がり框は、温かみのある見た目と足触りの良さが特徴です。自然素材ならではの質感が、玄関全体を柔らかい雰囲気にします。

例えば無垢材を使用した場合、木目の美しさが際立ち、ナチュラルなインテリアに最適です。一方で、湿気や傷に弱い面もあるため、定期的なお手入れが必要です。

木製は、家族の温かみを感じられる玄関を作りたい方に向いています。

石材

石材の上がり框は、高級感と耐久性に優れています。大理石や御影石などの素材が多く使用され、玄関に重厚感をもたらします。これらの石材は、デザイン性と機能性を兼ね備えた選択肢として人気があります。

大理石は美しい光沢を持ち、高級ホテルのような印象を与える一方で、表面が滑りやすいため、安全性には注意が必要です。一方、御影石は耐久性が高く、傷がつきにくい特徴があり、ペットや子どものいる家庭でも安心して利用できます。

また、これらの素材は汚れが目立ちにくく、掃除の手間を軽減する点でも優れています。高級感を重視し、デザイン性にこだわりたい方に特におすすめの素材です。

タイル仕上げ

タイル仕上げは、耐久性と清掃のしやすさが特徴です。汚れに強く、防水性が高いため、玄関をいつも清潔に保てます。

例えばモザイクタイルを使用すると、デザイン性が高まり個性的な玄関を演出できます。一方、目地の汚れが目立ちやすいことがあるため、定期的な清掃が必要です。手入れが楽で機能性を重視する方に最適です。

上がり框の主な形状

上がり框の主な形状は、以下の4つです。

・直線タイプ

・斜めタイプ

・L字タイプ

・変形タイプ

それぞれ詳しく解説します。

直線タイプ

直線タイプは最もシンプルな形状で、どのような住宅にも馴染みやすい点が特徴です。特に限られたスペースを有効活用できるため、アパートや狭い玄関の物件に適しています。

例えばスペースが限られるアパートの玄関では、直線タイプを採用することで動線を確保しつつ、玄関の圧迫感を軽減できます。また掃除がしやすく、メンテナンスの手間も少ない点も魅力です。

無駄のないデザインや、機能性を重視する方におすすめの形状です。

斜めタイプ

斜めタイプは玄関が広く見える効果があり、靴の脱ぎ履きがしやすいのが特徴です。段差を緩やかにすることで、高齢者や子どもが安全に利用できます。

バリアフリーを意識した住宅に最適な形状です。

L字タイプ

L字タイプの上がり框は、段差を複数方向から利用できるため、利便性に優れています。玄関での動線が確保しやすく、靴の脱ぎ履きが同時に行えるため、大人数の家族がいる場合に特に便利です。また、L字の形状は空間を広く見せる効果もあります。

機能性と快適性を両立した設計を求める方に、最適な選択肢です。

変形タイプ

変形タイプの上がり框は、住宅の間取りやデザインに合わせたオーダーメイドの形状が特徴です。狭い玄関や特殊な間取りの住宅にも柔軟に対応できるため、空間を最大限に活用することが可能です。またデザイン面でも個性を反映させやすく、他にはないオリジナリティを追求できます。

例えば、独特な形状の玄関を持つ一戸建てやリノベーション住宅では、変形タイプを採用することでデザイン性を高めつつ実用性を確保できます。

自分だけの特別な玄関空間を作りたい方におすすめの形状です。

上がり框がある物件のメリット

この章では、上がり框がある物件の具体的なメリットについて詳しく解説します。

玄関の清潔感を保ちやすい

上がり框の段差があることで、玄関から室内へ砂やほこりが入りにくくなります。これは靴を脱いだ際に自然と汚れが段差で遮断される仕組みによるものです。

例えば雨の日に泥がついた靴を脱いだ際も、汚れがリビングまで広がるのを防げます。また、上がり框があることで、玄関を掃除する際も汚れが限定的になり、短時間で清掃が終わる点も魅力です。

上がり框は、清潔な住環境を維持するための重要な役割を果たしています。

段差に座りながら靴の脱ぎ履きができる

上がり框の段差は、靴の脱ぎ履きを座って行うことができるため、大変便利です。特に高齢者や子どもなど、靴の脱ぎ履きに不安定さを感じる人には大きな助けとなります。

雨の日に濡れた靴を脱ぐ際でも、段差に座って体を安定させながら行えるので、安全かつ快適です。また、段差に腰を掛けながら荷物を整理するなど、日常の小さな動作にも活用できます。

上がり框は、利便性を高める工夫として有用です。

玄関のインテリアが楽しめる

上がり框を活用することで、玄関のインテリア性を高めることができます。段差の部分をおしゃれな木材やタイルで装飾することで、来客時に玄関の印象を良くすることが可能です。

例えばモダンな住宅では石材を使用し、高級感を演出するケースがあります。また、段差部分に間接照明を取り入れることで、夜間でも柔らかい光が玄関を照らし、安全性とデザイン性を両立させることが可能です。

上がり框は、インテリアを楽しむ工夫の一環としても注目されています。

なお、シューズボックスを備えた物件は、高齢者にも優しい設計が特徴です。靴の収納スペースを重視した住まいをお探しの方は、快適な住環境を提供する物件をご検討ください。

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上がり框がある物件の注意点

この章では、上がり框のある物件で気を付けるべき点を解説します。

高齢者や子どもは転倒の恐れがある

上がり框の段差は、高齢者や子どもにとって転倒のリスクを伴います。段差があることで靴の脱ぎ履きがしやすい反面、つまずきやすい点に注意が必要です。

特に高齢者や小さな子どもは段差を認識しづらく、足を引っ掛けて転倒することがあります。段差が高めに設計されている上がり框では、靴を履く際に体を前傾させた瞬間にバランスを崩してしまう事故が起こりやすい傾向です。

リスクを軽減するには、以下の対策がおすすめです。

・滑り止めシートを敷く

・手すりを設置

家族全員が安心して利用できるよう、安全性を考慮した物件選びが求められます。

掃除がしにくい場所になりやすい

上がり框周辺は、掃除がしにくい場所になりがちです。段差の構造上、ほこりや砂が溜まりやすく、掃除機やモップが届きにくいことがあります。

玄関は外部から汚れが持ち込まれる場所であるため、上がり框の角や隙間に砂や泥が入り込みやすい点が課題です。解決するには隙間掃除用のブラシを使用したり、掃除しやすい素材を選ぶといった工夫をしましょう。

掃除の手間を軽減するための対策を取ることが、快適な暮らしにつながります。

空間が狭く感じられる

上がり框の配置によって、玄関全体が狭く感じられることがあります。段差部分が大きい場合、靴を置くスペースが減少して圧迫感を生じることがあるためです。特に玄関スペースが限られている物件では、段差が玄関の動線を妨げる要因にもなります。

例えば狭いアパートの玄関で段差が広く設けられている場合、靴や傘などの収納スペースが削られることがあります。この問題を解決するためには、以下のような対策が有効です。

・段差をコンパクトに設計

・玄関収納を工夫する

・限られたスペースを有効活用する

玄関の空間の広さや使い勝手を十分に考慮し、快適に利用できる物件選びを心がけることが大切です。

上がり框の段差がきつい場合に置きたいグッズ

この章では、上がり框の段差がきつい場合に置きたいグッズを3つ解説します。

玄関用のスロープ

玄関用のスロープは、段差を緩やかにすることで安全性を高めるアイテムです。特に車椅子やベビーカーを使用する場合には、段差が障害となることを軽減できます。

滑り止め加工が施されたスロープであれば、雨の日でも安心して使用できます。選ぶ際は、段差の高さに合った長さのスロープを選び、素材は軽量で移動がしやすいものがおすすめです。

スロープを設置することで、段差のリスクを軽減し、玄関のバリアフリー化を実現できます。

滑りにくい玄関マット

滑りにくい玄関マットは、段差による転倒を防ぐのに効果的なアイテムです。特に玄関周辺は靴の脱ぎ履きで足元が不安定になりやすいため、安全性を確保する工夫が求められます。

例えばゴム製の滑り止めが付いたマットを使用すれば、移動時の転倒リスクを大幅に減らすことが可能です。さらに防水性のある素材を選ぶことで、雨の日でも清潔で安全な状態を保てます。

手すり

上がり框付近に手すりを設置することで、段差の昇り降りが格段に楽になります。特に高齢者や体の不自由な方にとっては、手すりがあることで安心感が増し、安全な動作が可能です。

階段手すりと同じ高さで設置された手すりであれば、体を支えながら段差を登ることができます。さらに、デザイン性の高い手すりを選べば、玄関のインテリアにも馴染む点が魅力です。

手すりは安全性と利便性を兼ね備えたアイテムとして、玄関をより快適にします。段差の少ない設計や、玄関の安全対策が整った住まいをお探しの方は、安心して暮らせるバリアフリー物件を検討してみてください。

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上がり框の役目を知って後悔のない物件選びにつなげよう

上がり框は、玄関の利便性やデザイン性を高める重要な役割を果たします。清潔感を保ちやすいことや、靴の脱ぎ履きを快適に行える点、インテリア性の高さなど、生活を豊かにする多くのメリットがあります。

一方で高齢者や子どもの安全性に配慮した設計や、掃除の手間、空間の使い勝手といった注意点も考慮することが必要です。これらを正しく理解し、自分や家族のライフスタイルに合った物件を選ぶことで、快適で安心な住環境が手に入ります。

住まいは日々の暮らしを支える基盤であり、人生の質を左右する重要な要素です。今回の記事を参考に、満足度の高い住まいを見つけるための第一歩を踏み出してみてください。