賃貸物件を借りる時に加入する保険って必要?借家人賠償責任保険を正しく理解してうまく活用しよう!

目次

賃貸物件を借りる際に不動産会社から加入をすすめられるのが、借家人賠償責任保険です。しかし、賃貸物件における借家人賠償責任保険の必要性がわからない人もいるかもしれません。

本記事では、元保険会社勤務で1級ファイナンシャル・プランニング技能士の私が、借家人賠償責任保険の重要性や概要などを解説します。

借家人賠償責任保険と個人賠償責任保険、修理費用補償との違いについても紹介するので、借家人賠償責任保険に関して不安や悩みを持っている人はぜひ参考にしてみてください。

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借家人賠償責任保険とは

借家人賠償責任保険とは、賃貸物件を借りる際に加入する保険です。偶然な事故によって賃貸物件に損害を与えてしまった際、大家さんなど物件オーナーへの法律上の損害賠償責任を補償します。

借家人賠償責任保険に加入していないと、例えばボヤを起こして賃貸物件に損害を与えてしまった際、大家さんへの損害賠償を自分で負担しなければなりません。賠償額は高額になることも多いため、借家人賠償責任保険は重要といえます。

「借家人賠償責任保険」と「個人賠償責任保険」「修理費用補償」はなにが違うの?

「個人賠償責任保険」と「修理費用補償」は、借家人賠償責任保険と混合されやすいものとして挙げられます。

修理費用補償は、借家人賠償責任保険とセットで加入するものです。保険会社によっては借家人賠償責任保険を契約すると、自動で付帯される場合もあります。一方で、個人賠償責任保険は借家人賠償責任保険とは違う保険で、別に契約が必要です。

それぞれの違いを表にまとめました。

借家人賠償責任保険修理費用補償特約個人賠償責任保険
補償相手大家さんなどの貸主大家さんなどの貸主他人(特に限定なし)
補償対象借用戸室の損害借用戸室の損害日常生活における他人の身体や他人の財物への損害
補償するもの法律上の賠償責任契約責任法律上の賠償責任

それぞれの違いの詳細を説明します。

「借家人賠償責任保険」と「個人賠償責任保険」の違い

借家人賠償責任保険は、賃貸物件に損害を与えた際に、原状回復費用を大家さんから損害賠償請求されるリスクに備える保険です。

例えば「ストーブの消し忘れでボヤを起こし、壁紙やフローリングが焼損した」「洗濯機のホースが外れて部屋が水浸しになり、フローリングを汚損させた」などの場合に、貸主に対して発生する法律上の賠償責任を補償します。

一方で、個人賠償責任保険は、日常生活における他人の身体や財物に損害を与えた場合に被る、法律上の損害賠償責任を補償する保険です。例えば「自転車に乗っていて人とぶつかりケガをさせた」「買い物中に誤って店の品物を割ってしまった」などが補償対象となります。

「賃貸物件も他人の財物に該当し、個人賠償責任保険で補償されるのではないか?」と思うかもしれませんが、個人賠償責任保険では借りている不動産(賃貸物件)は補償対象外です。そのため、賃貸物件に損害を与えてしまった際のリスクは、借家人賠償責任保険で備える必要があります。

「借家人賠償責任保険」と「修理費用補償」の違い

借家人賠償責任保険と修理費用補償の違いは、法律上の賠償責任を補償するか、契約上の責任を補償するかです。

借家人賠償責任保険は、オーナーに対する法律上の賠償責任を補償します。一方で、法律上は賠償責任を負わないものの、賃貸借契約上は居住人の自己負担で復旧が必要なものも存在します。

例えば、玄関のドアや窓ガラスの損壊は、入居者が復旧する必要は法律上ありません。ただし、入居者とオーナー(大家さんなど)との賃貸借契約によっては、入居者が玄関のドアや窓ガラスを復旧するように義務付けられている場合があります。

法律上は入居者が賠償責任を負わないものの、賃貸借契約上は入居者が自己負担を強いられることが想定される事故例は、以下のとおりです。

・空き巣が部屋に侵入して玄関の鍵を壊され、ドアが閉まらなくなった

・飛び石により窓ガラスが割れた

上記のような費用は借家人賠償責任保険では補償されず、修理費用保障特約を付帯することで補償可能です。

玄関のドアや窓ガラスの復旧は修理費用も高額になるため、万が一に備えて修理費用補償もセットで加入しておいた方が安心でしょう。

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借家人賠償責任保険で補償される内容

今までの説明でも借家人賠償責任保険について解説しましたが、あらためて借家人賠償責任保険の補償内容をまとめます。

①借用戸室の損壊により負う貸主への法律上の損害賠償責任

借家人賠償責任保険は、賃貸物件に損害を与えてしまった場合に、貸主(オーナー)への法律上の損害賠償責任を補償する保険です。具体的に補償される事故の種類は、以下が挙げられます。

・火災・水災・落雷や破裂もしくは爆発

・風災、雹債や雪災

・盗難

・給排水設備事故の水濡れ

・車両または航空機の衝突

・建物外部からの物体の衝突

・騒擾または労働争議

・その他偶然な破損事故など

上記のとおり、さまざまなリスクに備えられますが、一般的に想定されるリスクは「ストーブのつけっぱなしや寝たばこによるボヤ」「洗濯機のホースが外れていることによる浸水」などでしょう。

②借用戸室の損壊により負う貸主への契約上の責任

借家人賠償責任保険にセットで付帯する修理費用補償(保険会社によっては自動付帯)は、法律上の賠償責任はないものの、オーナーとの賃貸借契約上、居住人が修理しなくてはいけない費用を補償する特約です。

代表的なものとしては、窓ガラスや玄関のドアの損壊などがあります。賃貸借契約の内容は物件ごとに異なるので、ぜひ自分が借りる物件の賃貸借契約を確認してみてください。

借家人賠償責任保険は加入すべき?

今まで借家人賠償責任保険の概要を説明しましたが、借家人賠償責任保険には加入すべきなのでしょうか?借家人賠償責任保険に加入する必要性を解説します。

①保険は高額なリスクに備えるもの

保険は、万が一の際に損失が高額になるものにかけるのが原則です。損害が起きても1万円しか損失が発生しないのであれば、わざわざ毎月の保険料を支払って保険に加入する必要性は薄いでしょう。

ただし、損害が高額になるものには保険が必要です。借家人賠償責任保険は、万が一の際に損失が高額になる代表例でしょう。家を燃やしてしまった場合の賠償額は高額です。

借家人賠償責任保険に加入し、高額なリスクに備えましょう。

②借家人賠償責任保険への加入が入居条件になっていることが多い

不動産会社は、借家人賠償責任保険への加入を入居条件としている場合が多いです。その場合には、そもそも加入しないという選択肢自体がありません。

自分で借家人賠償責任保険を選ぶ場合の注意点

賃貸物件を借りる際には、自分で借家人賠償責任保険を選ぶこともあるでしょう。自分で借家人賠償責任保険を選ぶ際の注意点を紹介します。

相見積もりをとって保険料を比較する

同じ借家人賠償責任保険でも、保険会社によって保険料は異なります。保険料を抑えるためには、数社で相見積もりをとって比較しましょう。

ただし、保険は事故が起きたときに初めて役に立つものです。その際には、保険代理店や保険会社と相談・やりとりをすることになります。普段からの付き合いなどで信頼できる保険代理店や保険会社があるのであれば、そこで契約をしてもいいかもしれません。

不動産会社や大家さんに保険金額を確認する

オーナーによっては、借家人賠償責任保険の保険金額は3000万円以上などの決まりを儲けている場合があります。そのため、事前に不動産会社や大家さんに対して、契約すべき借家人賠償責任保険の条件などがないかを確認しておきましょう。

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借家人賠償責任保険の疑問をFP1級の私がお答えします

借家人賠償責任保険の疑問を、元保険会社勤務でFP1級の私がお答えします。

借家人賠償責任保険の相場料金はいくら?

借家人賠償責任保険の保険料は保険金額や物件により異なりますが、月数百円が相場です。

ただし、借家人賠償責任保険は家財などの火災保険とともに契約することが一般的なため、ほかの補償内容によっても保険料は異なります。ぜひ数社で相見積もりをとって、最適な保険会社を探してみてください。

大家さんの火災保険で補償できる?

ボヤを起こした賃貸物件の入居者が借家人賠償責任保険に入っていなくても、オーナーが火災保険に加入していれば、オーナーの火災保険で建物の修理費用が補償されることもあります。

ただし、ボヤを起こした責任が入居者にあることは変わりません。そのため、保険会社は大家さんに保険金を支払ったあとに、そのお金を入居者に請求する場合があります。

大家さんの火災保険で補償されるから、入居者が借家人賠償責任保険に入らなくてもいいという考えは危険です。

自分の過失でも補償される?

入居者の過失により賃貸物件に与えた損害は、借家人賠償責任保険で補償可能です。ただし、補償対象となるのは、偶然な事故のみとなっています。故意に部屋を改造した場合などは、その費用を借家人賠償責任保険で補償することは不可能です。

水濡れで下の階に被害を与えた場合は補償される?

水濡れを起こして下の階に損害を与えた場合は、借家人賠償責任保険ではなく、個人賠償責任保険で補償します。

借家人賠償責任保険は、あくまでも借用戸室に損害を与えた場合の損害を補償するものです。そのため、階下のほかの人の物件に被害を与えた場合は補償対象外となります。

これらのリスクに備えたい人は、個人賠償責任保険への加入を検討しましょう。

借家人賠償責任保険に加入していなくてもお部屋は借りられる?

賃貸物件の入居条件として、借家人賠償責任保険への加入が義務付けられていることが一般的ですが、オーナーが認めてくれる場合は、借家人賠償責任保険に加入せずとも賃貸物件は借りられるでしょう。

ただし、借家人賠償責任保険は万が一に備える重要性の高い保険なので、加入をおすすめします。

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借家人賠償責任保険の加入を検討しよう

借家人賠償責任保険は、賃貸物件に損害を与えてしまった際の賠償責任を補償できる保険です。賃貸物件に住む人には、欠かせない保険と言えるでしょう。

借家人賠償責任保険に加入し、賃貸物件での安心な生活を送ってみてください。