みなさんは自身の睡眠についてどのようなお悩みをお持ちでしょうか?私たちが過ごしている現代では、SNSの普及や高度な仕事を求められることが多くなってきており、昼と夜の区別がつかなくなってきています。
また、日本は世界一睡眠時間が短い国と言われているのです。このような背景から、私たちは5人に1人が睡眠の悩みを抱えていると言われています。みなさんの中にも「なんとなく睡眠の質が浅い」「もっとぐっすり寝たい!」と思う方はいるのではないでしょうか。
そこで今回は、睡眠の質が下がる原因や、睡眠の質を上げる方法を紹介します。こちらの記事を読むことで、睡眠の質を上げる方法がわかるようになるでしょう。本コラムが参考になれれば幸いです。
睡眠の質の重要性
睡眠の質が悪いと、物事に動じやすくなります。みなさんもよく眠れなかった、睡眠が浅かった日は「なんだか今日はうまくいかないなぁ」と感じたことがあるのではないでしょうか。
物事に動じやすくなると、さまざまなデメリットが生じてしまいます。仕事のパフォーマンスが上がらなかったり、周囲の人たちと言い争いになってしまったり、トラブルに冷静に対応できなかったりします。
そのため、このようなデメリットを避けるためにも、睡眠の質を上げることがとても重要です。私たちが軽やかにいきいきと過ごすためにも、睡眠の質を上げましょう。
睡眠の質が下がる原因や理由

睡眠の質が下がる原因やその理由とはなんでしょうか?ここでは、主な原因を3つご紹介します。
カフェインやアルコールを摂取しすぎている
寝る前にカフェインやアルコールを飲んでしまうと、睡眠の質が悪くなってしまいます。これらは覚醒作用があるため、寝るときに体内に残っていると深く眠れません。
寝る前のお酒はイメージしやすいですが、寝る前にお茶を飲んでいる人は気をつけたほうがいいでしょう。お茶にもカフェインが入っており、しかも飲みやすいため、思っている以上にカフェインを摂取してしまうことが多いです。
そのため、睡眠の質を下げないためにも、カフェインやアルコールの摂取には気をつけましょう。できるならば、夕方以降はカフェインを取らないことが理想的です。
自律神経が切り替わっておらず、脳が興奮状態に陥っている
眠る際に自律神経が切り替わっていないと、睡眠の質が下がります。言い換えると、眠る前にリラックスできていない状態です。
先ほどのカフェインにも通じていますが、興奮したまま寝てしまうと、眠ることはできても睡眠の質が悪くなります。とくに眠る前にスマホを使用すると、私たちが感じている以上にリラックスとは真逆の状態になってしまうのです。眠る1時間前には、リラックスを意識するようにしましょう。
体や脳に疲労が溜まっていない
睡眠の質の良さを表現するときによく例えられるのが、弓矢です。矢を後ろに引けば引くほど、飛距離は伸びます。この飛距離を睡眠の深さとするならば、後ろに引く距離はどれぐらい体が疲れているかに例えられます。
運動習慣がない人たちは、睡眠の質が悪く感じている傾向にあり、そもそもあまり体が疲れていません。先ほどの弓矢の例えとすると、飛距離が伸びていないと言えます。
ここでポイントなのが脳の疲労ではなく、体の疲労であることです。テレワークが普及してきた現代では、体をしっかりと疲れさせて、夜にはぐっすり眠るという人がさらに少なくなっているでしょう。良い睡眠を得るために、適度な運動習慣を身につけることが重要です。
睡眠健康指導士の私も実践している!睡眠の質を上げる方法8選
睡眠の質を上げる方法はたくさんありますが、睡眠健康指導士としてとくに試していただきたい方法を8つご紹介します。
お風呂に浸かるようにする

お風呂に浸かることで、睡眠の質を上げられます。これは、お風呂に入ることによって体温を下げられるからです。人間は眠るときに深部体温が低いと、深い睡眠に入れます。
お風呂に入ると、一度上がった深部体温を元に戻そうとすることで、深部体温を下げるようになります。シャワーの場合は皮膚といった表面しか温まらず、深部体温が下がりません。お風呂に入ることは、睡眠の質を高める方法としてかなり効果が高いので、毎日入ることをおすすめします。
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考えていることを紙に書き出す
ベッドに入ってさあ眠ろうというときに頭に考えごとが湧いてきて、眠れなくなってしまった経験はあるはずです。この考えごとは自分で気づくことはまれで、実は考えごとに呑まれていたと後から気づきます。もしかしたら、気づいていないまま寝ているのが当たり前になっているかもしれません。この状態では、睡眠の質が悪くなってしまいます。
そこで手軽に試せる方法が、考えていることを紙に書き出す方法です。思いついたことを紙に書き出すことはとても有効なので、ぜひ習慣化しましょう。
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日光に浴びる時間を確保する

私たちは朝方に日光を浴びることで、体内時計をリセットする性質があります。ポイントは、日光を浴びてから14〜16時間後に眠気を誘うメラトニンが分泌されることです。
日光を浴びるのは目覚めを良くするためとも言われていますが、実は寝るときにも大きい役割を果たしています。そのため、起きたら窓際や外に出て、日光を浴びるようにしましょう。
米軍式睡眠法を実践する
睡眠の質を高める方法として、米軍式睡眠法があります。これは体の脱力・深呼吸・イメージを行うことで、眠気を誘う方法です。とくに体の脱力は睡眠の質を良くします。
以下に基本的なやり方を説明します。
①仰向けに寝る
仰向けに寝た状態で、大の字になるように腕と足を横に広げるようにして横になりましょう。
②ゆっくり深呼吸を行う
深呼吸を行いながら、ゆっくりと息を吐きます。吐く息に意識を集中させ、徐々にリラックスしていきます。
③身体の部位ごとに力を抜いていく
頭から始めて、頭部、顔、首、肩、胸、腕、腹部、腰、脚、足の順に意識を向けていきます。それぞれの順に力を抜いていき、緊張を解きほぐしましょう。
④頭の中を空っぽにする
身体の力を抜いたリラックスした状態で、静かで穏やかな場所や風景を思い浮かべます。頭の中を空っぽにして、複雑なことを考えないよう意識しましょう。
米軍式睡眠法は一般的に10分程度で効果が現れると言われています。ただし、個人によって効果は異なる場合もあります。睡眠環境や体調に合わせて適切な睡眠法を見つけることが大切ですよ。
認知シャッフル睡眠法を実践する
カナダの科学者が考案した入眠法です。単語を一つ思い浮かべ、その一文字目から連想される単語を思いつくだけ考えます。
例えば「すいみん」であれば「す」からはじまる単語を思い浮かべ、思い浮かばなくなったら次の字の「い」からはじまる単語を思い浮かべるといった方法です。単語を思い浮かべるうちに、ネガティブな考えから離れられるので、有効な入眠法となります。
温かい飲み物を飲む

温かい飲み物を飲むことで、体温が一時的に上がります。解説したように、体温が上がると体は深部体温を下げるようになるため、睡眠の質に重要な深部体温の低下につながるのです。
また、温かい飲み物はリラックスにもなります。ホットミルクやお気に入りのハーブティーを選ぶと効果的でしょう。
適度に運動を取り入れる
こちらも解説したように、良い睡眠を得るためにはある程度の体の疲れが必要です。まったく運動していないなと思った方は、15分の散歩からはじめて、徐々に運動習慣を身につけるようにしましょう。
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寝る前のスマホやパソコンを控える
スマホやパソコンといった電子機器は控えるようにしましょう。
ブルーライトも覚醒作用がありますが、より悪影響なのがスマホの操作です。スクロールという行為は大量の文章が目に入るため、脳が興奮してしまいます。寝る前は同じ文字を見る行為でも、スマホは使用せず読書がおすすめです。
睡眠の質を上げるお部屋の作り方

普段過ごしているお部屋を工夫することで、睡眠の質を上げることが可能です。どのようなことを取り入れれば良いのかをご紹介します。
暖色の光を取り入れる
電球が開発されてからまだ150年ほどしか経っていないため、私たちは夜間の煌々とした強い光に対応できていません。しかし、現代で夜にまったく光がない状況で過ごすのは難しいでしょう。
そこで、夜間は暖色の光を取り入れるようにしましょう。白色ではなく、暖色の光を取り入れることで、自然と眠りに入りやすい環境を作り出せます。
香りを取り入れる
嗅覚を刺激することはとても有効です。匂いを嗅ぐことでリラックスを促し、良い睡眠をとれます。主にラベンダーが睡眠に良いと言われていますが、自身が好む香りでも十分です。もし迷った場合は、ラベンダーの匂いを取り入れてみましょう。
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十分な換気を行う
寝室の空気がよどんでいると、睡眠の質が下がってしまいます。とくに私たちの呼吸によって出される二酸化炭素が多いと、睡眠に影響が起きることが報告されています。そのため、眠る際には寝室の空気の入れ替えを行うようにしましょう。
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日光を浴びやすいお部屋を作る
より良い睡眠をとるには、日光を浴びることが大切だとお伝えしました。例えば、眠るときはカーテンをしないといった工夫が有効です。朝の光は睡眠にとても重要と言えます。前の部屋では陽当たりが悪く、南向きの部屋に引っ越しすることで、自然と睡眠の質が良くなったこともありました。
ベッドと枕に気を遣う
オーダーメイドの枕を買ったのに、なんだかうまく睡眠がとれていないという方も実は多いです。この原因は、ベッドと枕の相性です。店頭でのベッドと自分のベッドは同じではありません。
例えば、柔らかいベッドと柔らかい枕の組み合わせは、体全体が沈みすぎてしまい、寝返りが打ちにくくなることもあります。このように、枕が良質なものでも、合わせる寝具によっては逆効果になってしまうのです。ベッドと枕の相性に気をつけましょう。
睡眠の質を上げるためのサポートグッズ5選
さまざまな方法を紹介してきましたが、ここでは睡眠の質を上げるサポートグッズを5つ紹介します。
睡眠をサポートするアプリ
睡眠をサポートする睡眠アプリはたくさんあります。例えば、眠気を促す音楽を流すアプリや、先ほど紹介した認知シャッフル睡眠法の単語を読み上げるアプリ、心を落ち着かせる瞑想アプリなどです。
無料機能が付いているアプリも多いので、試してみて自身に合うアプリを探してみましょう。
スマートウォッチ
スマートウォッチは、心拍数や重力センサーを使用して、自身の睡眠の質を可視化できます。ダイエットでは自分の体重を記録することが有効なように、睡眠の質を良くするには睡眠を記録することも大事です。
値段もお手頃なスマートウォッチがあるので、検討してみる価値はあります。
冷却ジェルシート
頭寒足熱という言葉があるように、頭に熱が籠っている状態では睡眠の質が悪くなります。言い換えれば、頭の熱を下げれば睡眠の質が良くなります。そこで手っ取り早いのが冷却ジェルシートです。
おでこに貼ることで、気分もリフレッシュされるうえによく眠れるようになります。
光目覚まし時計
最近の目覚まし時計は音でなく、強い光で起こす時計が出ています。
解説したように、人間は強い光を感じてから、約14〜16時間後に眠気が来るようになっています。そのため、この時計を使うことで目覚めを良くするだけでなく、夜に眠る際の睡眠の質を上げることが可能です。
スマホが触れなくなるようにするためのグッズやアイテム
寝る前のスマホ使用は、睡眠に悪影響を与えることを解説しました。しかし、なかなかスマホを我慢することを難しく感じる人もいると思います。
そこで、スマホを一時的にかごの中に入れて、使用できなくするグッズを活用してみましょう。筆箱の中にスマホを入れ、南京錠で開けられないようにして、南京錠の鍵を別の部屋に置いておくのも有効です。
睡眠の質を高めて深い眠りにつこう
この記事では、睡眠の質を高める方法について紹介しました。睡眠の質が悪いと、物事に動じやすくなり、さまざまなデメリットが生まれてしまいます。
そのためにも、睡眠の質を高めて深い眠りにつくことは、私たちがいきいきと暮らしていくうえでとても大切です。