家の中で、鼻がムズムズする、咳が出る、目がかゆいなどの症状に悩まされていませんか?その原因は、ハウスダストかもしれません。生活する中で切っても切れない関係にありますが、少しの工夫を行うことで、ハウスダストを減らすことが可能です。
そこで今回は、深刻な健康被害にあわないためにも、効果的な清掃方法や、ハウスダスト対策におすすめのグッズを紹介していきます。
ハウスダストとは
ハウスダストとは、目に見えない微細なホコリのことです。その中には、ダニの死がいなど、アレルギーの原因にもなる物質がたくさん含まれています。これらはとても軽く、家の中で人が動くだけで舞い上がるため、気づかないうちに吸い込んでいる可能性があります。
ハウスダストに含まれている物質
ハウスダストに含まれている物質は、以下のとおりです。
<ハウスダストに含まれている物質>
・ダニの死がい・フン
・カビ
・花粉
・細菌
・人の皮膚片
・ペットの毛
・繊維のくず
・食べかす
・排気ガス
・たばこの煙
これらが空気中を漂っていることを考えると、ぞっとするかもしれません。
ハウスダストを放置することで引き起こす身体への影響
人は、アレルギー物質が体内に入ると、過剰な免疫反応を起こします。それによって、くしゃみや咳、かゆみなどの症状が現れ、日常に支障をきたすこともあります。ハウスダストが原因で、アレルギー疾患に悩まされる人も少なくありません。
それでは、代表的なアレルギー疾患を説明します。
参考:東京都保健医療局
喘息(ぜんそく)
アレルギーなどが原因で、気道が慢性的な炎症を繰り返します。呼吸時にヒューヒュー・ゼーゼーといった喘鳴(ぜんめい)や、咳や痰、呼吸困難などの症状が出るのが特徴です。
アレルギー症状
ハウスダストが体内に入ることで、くしゃみや鼻水、目のかゆみ、充血などのつらい症状が出てきます。アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎と呼ばれ、ハウスダストが原因物質となった場合、通年症状に悩まされる可能性があります。
アトピー性皮膚炎の悪化
アトピー性皮膚炎とは、皮膚のバリア機能が低下し、かゆみや湿疹を伴う病気です。ハウスダストに肌が触れることで、皮膚の状態が悪化します。余計に異物が侵入しやすい悪循環に陥ることで、治りにくくなってしまうのです。
これらのアレルギー疾患になると、完治させることは難しいといわれています。また、花粉症と異なり、ハウスダストのアレルギー疾患は季節に関係なく、通年悩まされるのが苦しい理由です。
ハウスダストがたまりやすい主な場所
目に見えないハウスダストですが、家の中にはハウスダストがたくさん潜んでいます。どういったところにたまりやすいか、理由と共に見ていきましょう。
寝室
ダニは、人の垢(あか)や毛髪、フケをエサにして暮らしています。布団やマットレスは繊維が密集しているため、ホコリがたまりやすい場所です。エサも多く落ちていることから、ダニが好む環境がそろっています。
体温で温められた空間は、ダニにとってパラダイスです。そのため、ダニが増殖し、死がいやフンも多く潜んでいます。
カーテン
窓の結露でカビが発生しやすいうえに、大きいものは頻繁に洗えないため、ホコリやダニもたまりやすい状態です。また、外気からのアレルゲンが付着していることもあり、室内に知らずに持ち込んでいる可能性もあります。
布製のソファ・カーペット
布製品は繊維のくずが発生するため、ホコリもたまりやすいです。また、ソファやカーペットは人が多く接触するうえ、食べかすも落としている可能性があるので、ダニを繁殖させてしまうアイテムといえます。ダニの死がいやフンを増やしてしまうことから、布製は避けるのが無難です。
本棚
紙の集まるところにも、ハウスダストはたまりやすくなっています。カビやホコリをエサにする害虫が潜んでいることもあるので、湿度が高くなりやすい本棚は注意が必要です。
浴室・洗面所
湿度が高く、カビが発生しやすい場所です。さらに、髪の毛やタオルなどの繊維くずも落ちていることから、ハウスダストがたまりやすい空間の一つといえます。こまめな掃除を心がけましょう。
押し入れ・クローゼットの中
衣類を収納する場所は布製品が多く、繊維くずやホコリがたまりやすくなっています。また、換気をこまめにしないと湿度が高くなります。ダニが増殖し、ハウスダストのたまり場になりやすいので、注意が必要です。
照明器具・テレビなどの家電
照明や家電は静電気を帯びやすく、ハウスダストが吸い寄せられるため、気づけばホコリでいっぱいになる場所です。大掃除に限らず、ホコリを取り除きましょう。
ハウスダスト対策に効果的な掃除方法
家の中には目に見えないハウスダストがたくさん潜んでいますが、どうやって取り除くべきなのでしょうか。アレルギーを発症させないためにも、可能な限りハウスダストを減らしたいところです。
しかし、誤った掃除方法をしてしまうと、かえってハウスダストをまき散らしてしまう危険性もあります。そうならないためにも、効率的な掃除方法を紹介しますので、参考にしてみてください。
朝一番に掃除を行う
ハウスダストはとても軽いので、舞い上がるのは一瞬です。しかし、落ちるときはゆっくりと時間をかけて落ちる特徴があります。そのため、人が寝静まった時間に、日中舞い上がったハウスダストがゆっくりと床に落ちていくのです。
床にたまったハウスダストを舞い上げてしまう前に掃除をするのが、最も効率的にハウスダストを取り除く方法といえます。そのためには、朝一番の床掃除がおすすめ。部屋の四隅や壁際にハウスダストがたまりやすい傾向がありますので、隅から掃除をしていきましょう。
上から下へ向かって掃除を行う
ホコリは、上から下へと落ちていきます。そのため、目線より高い位置から掃除を始め、上から順に掃除をすると二度手間がなく、効率的にホコリを取り除くことが可能です。
まず、照明やカーテンレールなど目線の高いものから、次に棚などの家具・家電の上の掃除、最後に床の掃除をすると良いでしょう。
「ドライモップ→掃除機」の順番でハウスダストを取り除く
掃除機を先にかけると、排気でホコリを舞い上げてしまいます。そのため、ドライモップで静かにハウスダストを吸着させた後に、掃除機をかけましょう。このときも、ハウスダストがたまりやすい部屋の四隅や壁際から行うほうが、より効果的です。
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いきなり水拭きはNG
いきなり濡れた雑巾などで、ホコリがたまっている場所を水拭きするのはやめましょう。一見きれいになっていると思われがちですが、実はハウスダストを含んだ汚れを広げているだけの可能性があります。
まずは、ハンディモップなどで静かにホコリを吸着させます。このときにハタキを使用すると、逆にハウスダストをまき散らしてしまうのでやめましょう。乾拭きでホコリを取り除いた後、雑巾や除菌シートなどで水拭きをすれば、ハウスダストの広がりを最小限にできます。
換気は、掃除が終わってから行う
掃除を始める際に、窓を開けていませんか?換気をしながら掃除を行いがちですが、室内に入ってきた風の力で、ハウスダストを舞い上げる結果になってしまいます。掃除が終わってから換気を行うほうが、ハウスダストを最大限取り除くことが可能です。
日常的に取り組めるハウスダストの対策方法6選
ハウスダストに囲まれた部屋で生活している感覚があるのはイヤですよね。ちょっとした工夫を行うことで、ハウスダストを除去することが可能です。
ここでは、日常的に取り組めるハウスダストの対策方法をご紹介します。今すぐ実践できるものもあるので、ぜひ試してみてください。
①定期的な掃除を行う
ハウスダストに最も効果的なのは、こまめな掃除です。定期的に掃除を行うことで、アレルギー疾患を防げます。
とはいえ、忙しい毎日を過ごしていると、掃除する時間をとれないことも多いでしょう。その場合は、少しでもハウスダストがたまりにくい、掃除がしやすい部屋にしておくと、楽に過ごせます。
例えば、布製品のアイテムを減らしたり、畳よりもフローリングを選んだりするのがおすすめです。フローリングのほうがドライモップや水拭きがしやすく、ハウスダストがたまりにくいため、掃除が楽になります。
②こまめに換気を行う
ダニやカビが増殖しやすいのは、じめじめとした湿度の高い空間です。それを防ぐには、こまめな換気を行いましょう。部屋を換気し、新鮮な空気を取り入れることにより、室内のホコリやダニ、カビの増殖を防げます。
風通しを良くするためには、窓の数や位置も大切です。とくに、1つの部屋に対して2箇所以上の窓が設けられている「2面採光」のお部屋がおすすめです。2面採光の部屋は風の通り道ができるので、効率良く換気ができます。また、採光もとれる日当たりの良い部屋であれば、じめじめした部屋にならないので、ダニやカビに強い空間になります。
また、最近は、24時間換気システムの住まいが増えてきています。窓を開けなくても、常に新鮮な外気を取り込み、室内の空気を外に排出する仕組みです。窓が開けにくい密集した地域でも、安心して換気ができる環境になります。
こまめな換気で、ハウスダストをためないよう心がけましょう。
③布製品(寝具やカーテンなど)の定期的な洗濯を行う
布製品はホコリがたまりやすいので、定期的に洗濯を行いましょう。とくに布団シーツや枕カバーなど、ダニが好む毛髪やフケが付着するものは、放っておくとダニの死がいやフンでいっぱいになっていることもあります。ダニの死がいやフンは洗濯で落とせるので、健康が損なわれる前にこまめに対策をしましょう。
定期的な洗濯が負担にならないよう、室内の洗濯空間を整えておくと良いですよ。
④布団や毛布、シーツを干す
布団や毛布など頻繁に洗えないものは、ダニの繁殖を抑えるために天日干しを行いましょう。ただし、布団を乾燥させることでダニの嫌がる環境を作れますが、完全に退治はできません。ダニを退治するには、50℃以上の高温が必要とされるため、ドラム式洗濯乾燥機の使用がおすすめです。
ドラム式洗濯乾燥機を持っていない方も、しっかりと布製品を乾燥させるのがハウスダストを増やさないコツです。外に干せない日は、浴室乾燥機や室内干しができると安心です。室内干しにすれば、花粉やPM2.5 を付着させずに干せるので、外からのアレルギー物質からも守れます。
⑤小麦粉やお菓子などをきちんと密封をして管理する
小麦粉にも、ダニなどの害虫が住んでしまうことをご存じでしたか?でんぷんや旨み成分を狙って害虫が侵入し、そのまま食べてしまうとアレルギー症状が出る可能性もあります。開封した食品はきちんと密封して、冷蔵庫などで保管しましょう。
⑥室温は20~25度、湿度は50~60%を保つ
季節によって、快適な温度環境は変わります。湿度が高くなるとカビやダニが増えやすくなり、逆に乾燥しすぎると細菌などが活動しやすくなるのが特徴です。そのため、厚生労働省は「建築物環境衛生管理基準」というものを定めています。日常の生活においても、室温は20~25度、湿度は50~60%を保つことで、ハウスダスト対策を行うことが可能です。
エアコンや空気清浄機などを活用しながら、快適な室温や湿度で生活をしましょう。
ハウスダスト対策におすすめのグッズ
時間をかけず、簡単にハウスダスト対策ができると便利です。生活に取り入れると良い、ハウスダスト対策におすすめのグッズを紹介します。
空気清浄機
目に見えないハウスダストは、掃除で取り除くには限界があります。そこで役に立つのが、空気中のハウスダストを吸い取ってくれる空気清浄機です。高性能なフィルターが搭載されているものも多く、効率的に部屋の空気をきれいにし、ハウスダストから私たちを守ってくれます。
ロボット掃除機
こまめに床掃除をしたいけれど、モップや掃除機を何度もかける暇がない…という方も多いのではないでしょうか。そこで便利なのが、ロボット掃除機です。朝や帰宅前など、部屋を歩いてハウスダストを舞い上げる前に自動掃除をセットしておけば、常に気持ちの良い部屋を使えます。
ダニ対策が施された寝具類
ダニも通り抜けができないほど、繊維の目が非常に細かい布地や、縫い針・縫い方が工夫された寝具が販売されています。毎日使う寝具は、最もダニが繁殖しやすいアイテムです。なるべく「防ダニ加工」と表記がされているものを選ぶようにしましょう。
布団クリーナー、布団乾燥機
布団やマットレス専用のクリーナーは、振動でダニを浮かび上がらせ、吸引する優れものです。温風やUV機能付きで、ダニを弱らせる効果がある商品もあります。
ただし、生きているダニはかなり手強いので、布団乾燥機との兼用がおすすめです。布団乾燥機の熱で退治してから、布団クリーナーで吸引すると、非常に効果があります。
ダニ対策シート
ダニ対策シートは、ダニを誘い込み、閉じ込める効果があります。布団やソファの間に挟み込むだけなので、簡単にハウスダスト対策になります。殺虫剤ではなく、植物由来や食品添加物で作られているものも多く、毎日側に置いておいても安心です。
ハウスダスト対策を日頃から行おう
ハウスダストは、とにかくためないことが最も大切です。しかし、目に見えないものなので、なかなか対処しづらくて困るのも事実です。
まずは、ハウスダスト対策がしやすい部屋にして、ハウスダストをためないように工夫するのがおすすめです。簡単に活用できるアイテムもありますので、アレルギーで悩まされないためにも、効率良く快適な生活をしましょう。