「部屋に植物を飾りおしゃれにしたい、癒されたい」と考えている方は多いと思います。一般的によく見かける観葉植物とは違い、他とは一風変わった植物が飾られていると一気にお部屋のおしゃれ感がアップしますよね。訪れたお客様の目を釘付けにするでしょう。しかし、「すぐに植物を枯らしてしまう」「植物の育て方が分からない」と不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、育てやすくグリーンアイテムとしても人気のアロエについて詳しく解説します。初心者の方にもおすすめな種類や植え方など、花屋勤務歴13年の私が、経験や実演を盛り込んで解説しているので、アロエが気になる方はチェックしてみてください。
アロエとは
アロエは、暑さや寒さにも耐えられる強くて丈夫な多肉植物に属します。その種類は300種類も400種類以上もあり、多種多様な姿が人気の植物です。
アロエの特徴は、水分をたっぷり含んだ肉厚な葉にとげとげがあるとてもユニークな姿です。管理の手間がかからないため、初心者の人にも育てやすいでしょう。
アロエが初めて日本に上陸したのは鎌倉時代といわれ、江戸時代には薬用として効果があることが初めて紹介されています。
「一般社団法人日本アロエ化学協会」の研究によると、「アロエには、科学の研究データに基づいた多種類の貴重な成分が含まれている」といわれ、私たちの身近な生活用品に活用され、今後も多方面で活用される可能性を持っている植物といえます。
お店で見かけやすい代表的なアロエの種類
アロエは、花屋の定番商品といえるくらい食用から観賞用まで店頭に並んでいます。その中から4つの種類を以下に紹介します。
キダチアロエ
茎がくねくねと自由奔放に伸びてユニークな姿になります。日本の気候に順応し、だれもがよく知るアロエです。薬用や食用に利用できます。民家の庭先や街なかの花壇で野生化している姿もよく見られます。
アロエベラ
食用が有名でスーパーフードとしてテレビで取り上げられてから、一気に流通が広がりました。身近な食品や化粧品等の原料として使われています。まっすぐ伸びた姿が個性的で観賞用としても見応えがあります。
アロエノビリス|不夜城
観賞用として広く流通している種類です。コンパクトサイズで室内向きなので、ちょっとしたグリーンインテリアとして人気があります。
アロエサポナリア|明鱗錦
別名シャボンアロエと呼ばれ、名前のとおり葉肉をすりつぶすと石鹸の泡のようになります。魚の鱗のような斑点模様が個性的です。薬用や食用に利用できます。
花屋勤務歴13年の私が紹介したい、アロエの魅力
花屋でも人気のアロエですが、その魅力を説明していきましょう。
暑さ寒さにも強く育てやすい
アロエは、普通の植物よりも暑さ寒さに強い傾向にあります。一人暮らしで部屋の気温を考慮する余裕がなくても、丈夫に育ってくれるのは嬉しいポイントです。
ただし、アロエがいくら暑さ寒さに強くても、真夏日・真冬日といった高温と低温の続く季節の部屋は厳しい環境と言えます。そこで室内でアロエを育てるときの暑さ対策、寒さ対策として厚手の遮光・遮熱カーテンをおすすめします。
効果として以下のことが挙げられます。
・真夏日は窓外からの西日を遮光し、締め切った部屋の急激な高温化を防いでくれる
・真冬日は窓外からの冷気を遮断し、部屋の低温化を抑え保温してくれる
厚手の生地と遮光・遮熱仕様は、締め切った部屋で急激な温度変化を緩和してくれるアイテムです。外窓からの熱や冷気がアロエに直接当たらないようにしましょう。
管理の手間がかからない
アロエは南アフリカからアラビア半島などの温暖で乾燥台地の気候が原産地なので、あまり水分を必要としません。鉢が完全に乾いたらたっぷり与えるくらいがちょうどよいでしょう。
大きくなりすぎた場合でも、簡単に自分の好みの大きさに剪定できるので初心者でも失敗なく育てやすい植物です。
グリーンインテリアになる
見た目はとげとげでくねくね曲がっていて、なんだかいかつい印象のアロエですが、そのユニークな姿や独特の雰囲気をかもし出す不思議な魅力は、今人気沸騰中のビザールプランツといえるでしょう。
値段も比較的手に入れやすい価格帯です。珍しい種類になると高額になる種類もありますが、多肉植物にはよくある傾向といえます。大きさや種類により、あくまでも参考程度になりますが、私がよくいく花屋さんでは5号鉢でキダチアロエは1,000円くらい、アロエベラは1,200円くらいで販売されています。興味をもって値段が気になったら、お近くのホームセンターや花屋さんに問い合わせてみてくださいね。
私も一人暮らしの殺風景な部屋でアロエを育てたことがありました。成長する過程で成形される姿は唯一無二で、自由奔放な姿はとてもおもしろく部屋のアクセントになりました。
ぜひ、グリーンインテリアとしてアロエを手軽に手に入れ、おしゃれな部屋にしてみませんか。
真冬でも個性的な花が楽しめる
真冬に朱色や黄色の花を咲かせ、一風かわった個性的な花を楽しむことができます。これを書いている1月の真冬の今も花ざかりです。
花の咲き方は枝の中心から一本の花の茎がまっすぐ伸び、先端に一つだけ花をつけます。確実に昆虫や鳥などに見つけてもらい、次の世代へつなぐ植物の知恵ということでしょうね。
健康や美容に良い万能薬として使える
アロエベラは、健康や美容に良い効果が期待できる成分があると言われています。また、アロエをヨーグルトに入れていることが知られていますよね。女性にうれしいアンチエイジング効果もあるといわれ、化粧品にもそのエキスが活用されています。
このように、身近なスーパーフードとして知られ、健康や美容において多方面で活用されています。近ごろでは、アロエベラは食用としてスーパーで手に入るようにもなりました。
江戸時代のベストセラーでアロエの薬用効果が書かれた文献があるように、昔から「医者いらず」と言われ、家庭での常備薬として重宝されていました。現在でもちょっとした火傷や傷の塗り薬や胃の具合が悪いときには、胃薬の代用として透明の葉肉の部分を食するなどして使われています。
ただし、傷口には効果的ですが、かぶれる人もいるので注意が必要なことを覚えておきましょう。
アロエの育て方
ここからは、アロエの日頃のお世話で必要なアイテムや植え方などを、実際の流れを含めて解説します。
準備するアイテム
準備するアイテムは以下のとおりです。
・鉢
・はさみ(ガーデニング用)
・スコップ
・水差しかジョウロ
・土
・園芸用手袋
・鉢底ネット
・軽石
・肥料(液肥 or 置き肥)
・薬剤・殺虫剤
鉢は好きな鉢を用意しましょう。はさみはガーデニング用がおすすめです。葉や茎を切れ味のよいハサミで切ることで切り口を傷みにくくします。
土は多肉・サボテン用あるいは観葉植物用の用土で簡単に植えることができます。花と野菜の土でもできますが、アロエ用の土に少し改良が必要になります。土は植物が元気に成長するうえで大事な要素です。本来の自生地と同じような土選びをすることが、うまく育てるための大事なポイントです。
軽石は水はけをよくしたり、鉢底ネットの代わりとして使えます。中サイズでよいでしょう。
薬剤・殺虫剤は観賞用のアロエの場合のみ使用しましょう。アロエベラを食用にする場合は、肥料や薬剤・殺虫剤の使用には留意が必要です。肥料は有機系がよいでしょう。薬剤・殺虫剤は口に入るものなので、使用しないことをおすすめします。
アロエの鉢植え方法
基本的なアロエの鉢植え方法を、画像付きで紹介します。順番に見ていきましょう。
1.今回はアロエベラを鉢植えする形でご紹介しましょう。
2.鉢底ネットを鉢の底にセットします。
3.その上に軽石を、鉢底ネットが見えなくなる程度に薄く敷き詰めます。
4.用土を1/3程度入れ、アロエの高さを大まかに決めます。
5.アロエが不安定なときは、スコップで仮支えしてあげると作業がはかどります。
6.葉の付け根が土に埋まらないくらいに用土を入れます。
7.鉢の大きさにもよりますが、ウォータースペース用に3~5cmほどの隙間を残してください。
8.大きめのアロエは植えた直後は不安定なので、支柱で支えてあげましょう。
9.植えた直後は、アロエもダメージを受けているので根が落ち着くまで日当たりのよい場所で静かに見守ります。1週間は水をやらないようにし、完全に用土が乾いてから水をあげましょう。
アロエの挿し木、挿し穂の場合は基本的には同じですが、挿し木・挿し穂の切り口を完全に乾かす下準備を忘れないようにしてください。アロエの切り口が乾いたら育苗ポットに7〜10cm程挿し込んで植えてみましょう。
アロエの日々の管理
アロエの日々の管理は以下のとおりです。
日光にあてる時間
4時間から6時間くらい直接日光があたる時間があれば正常に生育します。
水のやり方
4月から10月の育成期は、用土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るくらいたっぷりと与えましょう。11月から3月頃の低温期は休眠期に入るので断水し、乾燥気味に育てましょう。
温度管理
気温が10℃を下回ると生育が鈍くなります。真夏日の日中や真冬日の夕方から朝方にかけては、アロエの置き場所を窓辺から離れた部屋の中ほどに、エアコンを使うときには冷風・温風が直接アロエに当たらないところに置くようにしましょう。
通気性(風とおし)
通気性のよい場所とは、自然に風が通り抜けるところです。明るい日差しがふりそそぎ、風とおしのよい戸外がおすすめで
室内の場合は、窓をあけ換気すると空気の対流ができるので風とおしも良くなります。部屋の窓に2面採光があるとより効果的ですね。
アロエを育てる上でよくある疑問
ここからは、アロエを育てる上でよく質問に挙がるものをご紹介していきましょう。
アロエの「鉢増し」とは?
鉢増しは、根鉢を崩さないでひと回り大きい鉢に植えることです。根鉢も崩さないので古い根もそのままの状態での植え方になります。
用土は元の鉢のものを使い、足りない分は新しい用土を入れて使います。鉢から鉢への移動なので、初心者でも簡単に作業ができます。
アロエを増やすには?
アロエの増やし方には以下の3つの方法があります。
・株分け
株分けは、失敗が少ない方法で初心者におすすめの方法です。アロエの株元に小さな子株が出てきます。植え替えのときに子株を手で引っ張ると、簡単に取り外せますよ。
・挿し木・挿し穂
挿し木・挿し穂は、伸びすぎた茎を剪定したものを使って挿し木・挿し穂をとります。一度にたくさんの数をとれるので、アロエをたくさん増やしたいときに向いています。土に挿す部分の皮をきれいに取り除きましょう。
・種まき
初心者には少しハードルが高いですが、種まきで発芽した苗はオリジナルの種類が出てくるサプライズもあるので挑戦してみる価値はあります。また日本で生まれ育つので、その土地の気候に適した性質を持ちやすいとも言われています。
アロエの夏越しのポイントは?
夏の日差しを受けても勢いよく成長しますが、炎天下の直射日光やコンクリートからのふく射熱に長時間さらされると、葉焼けの原因になります。
真夏日の直射日光は避け、半日陰で管理しましょう。アロエベラやキダチアロエは多湿には弱いので用土が過湿にならないように、水やりは用土がしっかり乾いた状態で、気温が下がる夕方に与えましょう。
アロエの冬越しのポイントは?
アロエは11月から3月頃の低温期に休眠期に入ります。休眠期には断水し、乾燥気味に管理します。
寒さにも強いアロエですが、日中暖かい日差しがあたる出窓や部屋の中ほどに置くとよいです。お迎えして初めての冬超しの場合や外気温が5℃以下のときは、室内で管理してあげましょう。
そのほか、アロエを育てる上での注意点
花屋勤務のときの失敗や、お客様からの相談によくあった事例を解説します。
植え替えで枯らしてしまう恐れがある
梅雨時期にアロエを植え替えた結果、根付く前にアロエが腐って枯れた、というケースです。アロエは乾燥を好む多肉植物です。植え替える時期は長雨や湿気が多い梅雨の時期を避けたほうが良いでしょう。
水を毎日あげると逆に元気がなくなる
水やりは毎日おこなわず、表面の土がしっかり乾いたときにたっぷり与えるくらいにしておきましょう。
害虫や病気により葉っぱが黒くなることがある
葉が黒くなる理由には環境やお世話の状況など、複数の要因が関わってくるので断定することは難しいです。とはいえ、発生する理由のめぼしをつけることもできます。
例えば、水のやりすぎや長雨が直接かかると細菌による病気になりやすいです。夏の日差しが強すぎて、葉焼けをおこし変色することがあります。まずはアロエの状態を調べて、お近くの花屋さんやホームセンターの園芸のプロの方にたずねてみることをおすすめします。
アロエを育てるのに向いている環境の住まい
最後に、アロエを育てるのに向いているお部屋について解説します。
2面採光・3面採光の住まい
アロエを室内で元気に育てるためには、明るくて風とおしが良い傾向にある南向き東向きの2面採光・3面採光の部屋がおすすめです。
私が一人暮らしの時に住んでいた部屋の間取りは、あまり陽の入らない向きの1DKで3面採光でした。バルコニーに面した高窓と2つの窓のお陰で、風通しはとても良かったです。しかし日差しが入る時間帯が短く、植物はもっぱらバルコニーでガーデニングしていました。
室内でアロエや植物を育てるには、南向きや東向きの2面採光・3面採光から日光が差し込むお部屋が向いていると実感しました。
出窓がある住まい
アロエを室内で育てる際、特に冬は日照不足になりやすいので、出窓がある物件はアロエにとって良い環境といえます。日中お天気の良い日に出窓に置いて日光浴をすると、アロエはご機嫌になり苦手な冬を乗り越えてくれるでしょう。
ただし、夜間は外気が急激に下がり出窓も低温になるので、夕方には部屋の中ほどに移動させましょう。出窓のような日当たりのよい場所はアロエが安定して元気に育つために必要な場所となります。ぜひ、出窓のある物件でアロエを育ててみませんか。
ベランダ(バルコニー)のある住まい
ベランダでは自然の光がふりそそぎ、風が吹き抜けとても気持ちがよいですよね。アロエにとって、春から秋にかけての生育期にベランダやバルコニーの屋外にいることはとても良い環境です。
室内ばかりではどうしても日照不足になりやすく、ひょろひょろと頼りない姿になりがちですが、屋外でしっかり日光を浴びると丈夫なアロエに育ちますよ。厳しい冬を乗り越える体力も備えることができるでしょう。
ベランダやバルコニーのある物件は、屋外で丈夫なアロエを育てるのにおすすめの物件といえます。
日々の生活にアロエを取り入れよう!
アロエに何より必要なものは、明るいお日様の日差しと吹き抜ける心地よい風。この2点に尽きます。お日様が入る南向き、東向きの部屋は冬でも日中の日差しが入りアロエを安心して育てることができます。
グリーンインテリアとして出窓に飾ったり、お気に入りの鉢や鉢カバーにすることで殺風景な部屋からオシャレな部屋に様変わりするでしょう。健康や美容に興味がわいて食してみたくなった方は、ベランダでのガーデニング栽培で完全無農薬・有機栽培のアロエベラを育ててみるのもおすすめです。自分で育て収穫する楽しみも味わうことができますよ。
ぜひ、アロエを日々の生活に取り入れてみてくださいね。