「温活」という言葉を聞いたことはありますか?私が子どものころ、母親から「身体を温めなさい」とよく言われたものです。
風邪を引くことが少なかった私は、何が原因で丈夫だったのかはっきりと分かりません。しかし、冬になると母がよく生姜湯を作ってくれて、そのおかげで身体がポカポカになり、快適に就寝していた記憶があります。母親が「身体を温めなさい」と言って生姜湯を出してくれたことが、私にとっての温活の始まりだったのかもしれません。
温活という言葉は、2000年代後半から広く使用されるようになりました。主に冷え性に悩む女性の間で注目され、健康や美容の観点からも注目されるようになりました。温活にはさまざまな効果が期待されています。
温活は日常の中で取り入れやすく、習慣化するのも比較的簡単な活動ですので、誰でも実施しやすい内容となっています。これから温活について解説しますので、ぜひ参考にしていただき、健康で快適な生活を送ってくださいね。
「温活」とは

「温活」とは、身体を温めることで健康を維持し、冷えを改善するための活動を指します。特に冷え性に悩む女性におすすめの活動です。
冷えは、体調不良や美容トラブルの原因となります。例えば、冷えによって生理痛が悪化し、肌荒れやむくみが生じることがあるでしょう。このような体調の悩みを改善する方法として、温活が非常に期待されています。
身体の冷えは季節を問わない?冷えの原因
冷え性対策というと、寒い冬にするものと思われる方もいらっしゃるかもしれません。実は冷え性は冬だけの問題ではなく、季節を問わずに発生します。もちろん暑い夏にも当然発生します。
例えば、エアコンの効いた室内での長時間の滞在などによる冷え性が挙げられます。特に広いオフィスや高層階のビルでは窓を開けられません。そのため、冷房が必要となり、暑さを急速に冷やすために設定温度が低めにされることがあります。
ちなみに、私も現在のオフィスのデスクはエアコンの風が直接当たるため、暑がりで代謝の良い私であっても常に長袖で過ごしています。
その他の原因としては、運動不足やストレス、不適切な食事が挙げられます。これらの原因が重なると血行が悪くなり、体温が低下しやすくなります。女性に冷え性が多いとされているのは、一般的に女性が男性に比べて筋肉量が少ないため、冷えやすい傾向にあるからです。
温活をするメリット
温活を日々の習慣にすることで、得られるメリットはいくつかあります。
まず、温活によって血行が促進されると、手足の冷えが改善されます。例えば生姜湯を毎日飲む、就寝前に温かい湯船に浸かるといった習慣は冷え性の緩和が期待できます。血液循環が良くなると、身体全体に酸素と栄養が行きわたるので、疲れにくくなり、エネルギーが増します。
さらに、身体を温めることで免疫力が向上します。風邪やインフルエンザなどの病気にかかりにくくなるといわれています。代謝を促進し、食べたものがエネルギーに変わるため、基礎代謝をしっかり維持しやすくなります。その結果、太りにくくなる効果も期待できます。
身体の冷えが引き起こす問題
身体の冷えが引き起こす問題について、確認していきましょう。
免疫力が低下し風邪・感染症のリスクが増える可能性がある
身体が冷えると、血液循環が悪くなり、免疫細胞の働きが低下します。その結果、免疫力が弱まり、風邪やインフルエンザ、その他の感染症にかかりやすくなります。特に季節の変わり目や冬場は、体温が低下しやすく、これにより病気のリスクが増大します。
倦怠感・下痢・月経不順・不眠など様々な不調を感じやすくなる
冷えが続くと、全身の血流が滞りやすくなり、身体にさまざまな不調を引き起こします。倦怠感が増し、疲れやすくなります。
また、消化器官の働きが鈍くなることで、下痢や腹痛などの消化器症状が現れることもあります。さらに、冷えが続くとホルモンバランスが乱れやすくなる女性にとっては月経不順や生理痛の悪化、不妊の原因にもつながることがあります。また不眠の原因にもなります。
新陳代謝が悪くなり美容面で悪影響が考えられる
身体が冷えると、新陳代謝が低下し、美容面でさまざまな悪影響が考えられます。例えば、肌のターンオーバーが遅くなり、乾燥肌や肌荒れ、シミやくすみの原因となります。
また、血行不良によって顔色が悪くなり、くすんだ印象を与えやすくなります。さらに、冷えはセルライトの形成やむくみを引き起こし、ボディラインにも悪影響を及ぼします。
血行不良は冷えにより血管が収縮し、血行が悪くなります。酸素や栄養が十分に行き渡らず、肌のくすみや顔色の悪さを引き起こします。冷えによってリンパの流れが滞り、老廃物が体内に溜まりやすくなり、排出不良となります。これがセルライトの形成やむくみの原因となります。
正しい温活の仕方【衣服・グッズ編】

ここからは、正しい温活の方法について見ていきましょう。
身体を温める「温活」を効果的に行うためには、衣服やグッズの選び方が重要です。冷えやすい部分をカバーする方法や、素材にこだわった服の選び方、温活をサポートするグッズについて紹介します。
身体の中で冷えやすい部分をカバーする
身体の中で冷えやすい部分として、首、手首、足首の「三首」が挙げられます。これらの部位は血管が表面近くを通っており、特に冷えやすいため、しっかりとカバーすることが大切です。
対策のポイントを押さえておくことで、効果的に冷えを防ぐことができます。
ネックウォーマーやマフラー
寒い日の通勤や外出時には、ネックウォーマーやマフラーを巻いて首を温めましょう。首を温めることで全身の血流が良くなり、冷えを防ぐことができます。例えば、ウール素材のマフラーを使うと、保温性が高く暖かさを長時間保てます。
リストウォーマー
オフィスでのデスクワークや自宅でのリラックスタイムには、リストウォーマーを使って手首を温めましょう。手首を温めることで、指先まで温かさが伝わりやすくなります。手先が冷えて仕事に集中できないときには特に効果的です。
レッグウォーマーや靴下の重ね履き
寒い日の外出時や就寝時には、レッグウォーマーや靴下の重ね履きで足首をしっかり温めましょう。足首を温めることで、足全体の冷えを予防できます。例えば、ウールの靴下を重ね履きすることで、足元から全身を温めることができます。
寒い冬の季節になると、私はレッグウォーマーを必ず愛用しています。どうしてもソックスだけだと、地面に近い足元の冷えを感じてしまいますが、これを使用することで、緩和されて足が冷えづらくなると感じるようになりました。
温活のための服は素材にこだわる
温かさを保つためには、服の素材選びが重要です。以下の素材を使った服を選ぶことで、効果的に体を温めることができます。
ウール
ウールは保温性が高く、湿気を吸収しても温かさを保つ特性があります。冬のセーターや靴下にウール素材を取り入れると、冷えを防ぐのに効果的です。例えば、ウールのセーターは寒い日の外出時に最適です。
保温効果のある特殊素材のインナー
保温効果のある特殊素材のインナーは、薄くても高い保温性を発揮します。日常的に取り入れやすいアイテムであり、特に冬のインナーとして重宝します。例えば、ユニクロから販売されている薄手のヒートテックシャツはアウターの下に着てもかさばらず、暖かさを保てます。
シルク
シルクは肌触りが良く、温かさを保ちながらも通気性があるため、下着やパジャマに適しています。特に肌が敏感な方にはおすすめです。例えば、シルクのパジャマは夜間の冷えを防ぎ、快適な睡眠をサポートします。
温活をサポートしてくれるグッズを取り入れる
温活をさらに効果的にするために、便利なグッズを取り入れることもおすすめです。現代ではさまざまな便利アイテムがありますが、まずは鉄板のグッズは押さえておきたいところ。グッズは、手軽に使えるため日常生活に取り入れやすいです。
カイロ
使い捨てカイロや充電式カイロは、ポケットに入れるだけで簡単に体を温めることができます。特に外出時に便利で、寒い日に使い捨てカイロをポケットに入れておくと、手が冷えるのを防げます。
腹巻
お腹や腰を温めることで、内臓の働きをサポートし、全身の冷えを予防します。薄手の腹巻は服の下に着用しても目立ちません。デスクワーク中に腹巻を使うことで、冷えを感じることなく快適に過ごせます。
電気毛布や温熱シート
寝るときに使うことで、体全体をじんわりと温め、快適な睡眠をサポートします。特に寒い季節におすすめです。冬の夜に電気毛布を使うことで、ベッドに入った瞬間から暖かさを感じることができます。
正しい温活の仕方【お風呂編】

お風呂は体を温め、リラックスするための重要な時間です。正しい方法でお風呂を楽しむことで、効果的に温活を行い、冷えを防ぐことができます。ここでは、ぬるめのお湯に浸かる方法や半身浴、入浴剤の活用について詳しく説明します。
ぬるめのお湯にある程度長く浸かる
お風呂に入る際は、ぬるめのお湯に長く浸かることがポイントです。具体的には、38~40度のお湯に15~20分ほど浸かるのが理想的です。
熱めのお風呂に入るほうが温まるのでは?と思われるかもしれませんが、体に負担をかけずに血行を促進し、体全体をじんわりと温めてくれるのが、温くてちょうどよい温度の38~40度になります。
夜のリラックスタイムに、お風呂に38度のお湯を張り、ゆっくりと浸かりましょう。お気に入りの本や雑誌を持ち込んで、20分ほど読書を楽しむと、体がしっかり温まり、心身ともにリフレッシュできます。
下半身の冷えが目立つときは半身浴をする
下半身の冷えが気になる場合は、半身浴がおすすめです。半身浴は、みぞおちあたりまでお湯に浸かる方法で、全身浴よりも心臓への負担が少なく、長時間温まることができます。下半身を集中的に温めることで、血行が良くなり、冷えが改善されます。
半身浴を行う際は、30分程を目安としましょう。半身浴中はお気に入りの本を読んだり、リラックスできる音楽を聴いたりすると、さらに効果的です。お湯の温度が下がってきたら、適宜熱いお湯を足して温度を保ちましょう。
入浴剤を活用する
入浴剤を活用することで、さらにお風呂の効果を高めることができます。入浴剤には、血行促進や保温効果のある成分が含まれているものがあります。特に、炭酸ガスが含まれる入浴剤は、血行促進効果が期待できます。また、生姜エキス配合の入浴剤を使えば、体の芯から温まります。
お風呂に入れる際は、説明書に従って適量を入れ、ゆっくりとお湯に浸かってください。
正しい温活の仕方【食事編】

日々の食事は、体を温めるための重要な要素です。体を温める食材を積極的に取り入れることで、冷えを防ぎ、健康を維持することができます。体を冷やす食材についても知り、バランス良く食事をすることが大切です。
バランスの良い食事を心がける
体を温める食材として、根菜類やスパイス類が効果的です。例として、下記の食材を積極的に摂りましょう。
根菜類とおすすめメニュー
<根菜類の例>
・大根
・人参
・ごぼう
・里芋 など
<おすすめメニュー>
冬の夕食に、根菜たっぷりの豚汁やけんちん汁を作ってみましょう。体がしっかり温まります。
スパイス類とおすすめメニュー
<スパイスの例>
・生姜
・ニンニク
・唐辛子 など
<おすすめメニュー>
お昼に、生姜をたっぷり使った生姜焼きや、誰とも会う予定がない場合はニンニクを効かせたペペロンチーノを取り入れてみてください。
温活に適した飲み物を飲む
温活において、飲み物の選び方も重要な要素の1つです。体を温める効果のある飲み物を積極的に取り入れましょう。
生姜湯
生姜は強力な温め効果があり、体の芯から温まります。例えば、朝食に生姜湯を取り入れると、1日のスタートを温かく切ることができます。お湯にすりおろした生姜と蜂蜜を加えるだけで簡単に作れます。
ハーブティー
カモミールやシナモンを含むハーブティーは、リラックス効果と温め効果があります。例えば、夜のリラックスタイムに、カモミールティーを飲んでみましょう。体が温まり、安眠をサポートします。
ほうじ茶
ほうじ茶はカフェインが少なく、体を温める効果があります。食後にほうじ茶を飲むことで、胃腸を温め、消化を助けます。
体を温める食材や飲み物を意識して選び、バランスの良い食事を心がけることで、冷えを防ぎ、健康的な生活を送ることができるでしょう。
正しい温活の仕方【運動編】

温活を効果的に行うためには、適切な運動を取り入れることが重要です。起床時、入浴後から入眠前、そして仕事中でも行える運動を紹介します。
起床時に行いたい温活向け運動
まずは、身体が固く冷えがちな起床直後に行いたい温活向け運動を紹介します。
ストレッチ
ベッドから起き上がったら、まず全身を伸ばすストレッチを行いましょう。両手を上に伸ばし、背伸びをするようにして体を伸ばします。血流が促進され、体が温まります。
次に、前屈をして背中と脚の裏側をしっかり伸ばします。ゆっくりと息を吐きながら行うことで、リラックス効果も得られます。
ラジオ体操
起床後にラジオ体操第一を行うことで、全身の筋肉を動かし、血行を促進します。特に寒い季節には、体を温める効果が高まります。
ラジオ体操第二も取り入れると、さらに効果的です。実はラジオ体操を真剣に実施をすることで必要な体全体の要素を動かすことになるので、かなり有効的な運動です。朝からしっかりと体を目覚めさせることができます。
入浴後から入眠前に行いたい温活向け運動
入浴後の体が温まった状態を維持しながら、リラックスして眠りにつくための運動を紹介します。
ヨガ
シャバーサナ(屍のポーズ)でリラックスします。仰向けに寝て、全身の力を抜き、深呼吸を繰り返します。これにより、体全体がリラックスし、入眠しやすくなります。
次に、チャイルドポーズを行います。膝を曲げて正座し、前屈して両腕を前に伸ばします。背中や腰を伸ばし、深呼吸をすることで、体がリラックスします。
軽いストレッチ
お風呂上がりに、首や肩のストレッチを行いましょう。首をゆっくり回し、肩を上げ下げすることで、血行を良くし、リラックス効果を得られます。足首を回す運動を行います。
床に座り、片足ずつ足首をゆっくり回すことで、足の血行が促進され、冷えを防ぎます。
仕事中でも行える気軽な温活向け運動
デスクワーク中でも簡単にできる運動を取り入れることで、体を温め、冷えを防ぐことができます。
椅子での足踏み
椅子に座ったまま、片足ずつ足踏みを行います。これを1分間続けることで、足の血行が促進され、冷えを防ぎます。
さらに、つま先とかかとを交互に上げ下げする運動も効果的です。ふくらはぎの筋肉が刺激され、血流が良くなります。
肩回し運動
肩を前後にゆっくり回す運動を1分間行います。これにより、肩周りの血行が促進され、体が温まります。
また、肩を上げて耳に近づけ、そのまま5秒間キープし、ゆっくり下ろす運動もおすすめです。緊張がほぐれ、リラックス効果も得られます。
このような運動を日常に取り入れることで、効果的に温活を行い、冷えを防ぎ、健康的な毎日を過ごすことができます。自分に合った運動を見つけ、続けることが大切です。
生活環境も重要!?「住む温活」のポイント

快適な生活環境を整えることは、健康や快眠のために欠かせない要素です。その要素につながりのある「温活」。実は忘れてはいけない重要なポイントなのです。日々の暮らしの中で冷えを防ぐことができる、体を温める工夫ができる住まいを選ぶことは、より健康的で快適な毎日を手に入れることができます。
それでは、実際に体を温めるための住まい選びのポイントとは何でしょうか?
「床下暖房」の部屋で体の冷えを防ぐ
床下暖房は足元から部屋全体を温めるため、冷えを防ぐのに非常に効果的です。
リビングや寝室に床下暖房を導入することで、常に温かい環境を保つことができます。特に朝起きたときや夜寝る前に、足元が冷えていると感じることがなくなり、快適に過ごせます。
床下暖房を使うことで、エアコンよりも自然な暖かさを感じることができ、空気の乾燥を防ぐこともできます。これにより、肌の乾燥や喉の痛みも軽減されます。
「南向き」の部屋で日光を浴びてセロトニンの分泌を促す
南向きの部屋は、日当たりが良い傾向にあるため、自然光をたくさん取り入れることができます。日光を浴びることは、体温を上げるだけでなく、セロトニンの分泌を促し、心身の健康にも寄与します。
朝起きたら、カーテンを開けて部屋に日光を取り込みましょう。朝の光を浴びることで、セロトニンの分泌が促され、気分がリフレッシュし、1日のスタートを快適に切ることができます。
また日中、南向きの部屋で過ごす時間を増やすことで、自然な光の温かさを感じることができ、体全体が温まります。特にリビングや書斎など、長時間過ごす場所を南向きにすることで、日中の冷えを防ぐことができます。
「浴室乾燥機」と「追い焚き」機能付きのお風呂で冷えを防ぐ
浴室乾燥機と追い焚き機能は、バスタイムを快適にし、体をしっかり温めるのに役立ちます。お風呂の時間を温活の一環として効果的に利用できます。
浴室乾燥機を使うことで、お風呂に入る前に浴室全体を温めておくことができます。寒い季節でも、浴室に入った瞬間から温かさを感じることができ、体の冷えを防ぎます。また、お風呂上がりにも使って、湿気を取り除き、カビの発生を防ぐこともできます。
追い焚き機能があれば、入浴中にお湯が冷めてしまってもすぐに温め直すことができます。長時間の入浴を楽しむ際に、いつでも適温を保つことができ、体全体をしっかりと温め続けることができます。
住まい全体が温活に適した環境になり、冷えを防ぎ、健康的な生活を送ることができます。適切な生活環境を整えることは、温活を成功させるための重要なポイントです。
正しい温活とは何かを知って冷え知らずの身体に!
温活を始めることで、冷え知らずの健康的な身体を手に入れ、毎日を快適に過ごしましょう。
健康で美しい体を保つために、今回紹介した内容をできる範囲から実践してみてください。日常生活に積極的に温活を取り入れることで、心身ともに元気な毎日がきっと送れるはずです。