「家に帰るとくしゃみが止まらない」「家でだけ咳や鼻水が出る」といったお悩みはありませんか?家の中でくしゃみが止まらない原因としては、以下の3つが考えられます。
・ハウスダストアレルギー
・寒暖差アレルギー
・シックハウス症候群
今回は、原因ごとの特徴や対策、治療法までを詳しく解説します。今すぐ実践できる対策も紹介するので、自宅で快適に過ごすための参考にしてみてください。
「家に帰るとくしゃみが止まらなくなる」という症状の考えられる原因
ここでは、ハウスダストアレルギー、寒暖差アレルギー、シックハウス症候群について簡潔に解説します。
ハウスダストアレルギー
ハウスダストアレルギーの原因は、ダニの死骸やふん、ほこり、カビ、細菌、繊維くずなどさまざまです。口や鼻、皮膚から身体に入りこみ、くしゃみや鼻水などいろいろな症状を引き起こします。
※参考:J-STAGE「室内環境汚染物質としてのハウスダストについて」
寒暖差アレルギー
寒暖差アレルギーは、急激な温度変化によって自律神経が乱れ、鼻水やくしゃみ、鼻づまりなどの症状を引き起こすとされています。血管運動性鼻炎とも言われており、ハウスダストアレルギーのように原因は特定されていません。7℃以上の気温差で発生しやすいとされ、季節の変わり目や室内外の温度差が大きいときには、注意が必要です。
※参考:兵庫医科大学 保健管理センター
シックハウス症候群
シックハウス症候群は、建材や家具から放出される化学物質が室内空気を汚染し、健康被害を引き起こします。日本では1990年代から、一般住宅において、シックハウス症候群が問題となりました。新築や改築後の家で発生しやすく、目や鼻の刺激、頭痛、倦怠感などの症状が特徴です。
※参考:厚生労働省「科学的エビデンスに基づく新シックハウス症候群に関する相談と対策マニュアル改訂新版」
ハウスダストアレルギーの症状と一般的な治療法
ハウスダストアレルギーの症状と一般的な治療法を詳しく解説します。
ハウスダストアレルギーの症状
ハウスダストアレルギーは、症状が年間を通じて見られ、通年性アレルギーとも呼ばれています。自宅にアレルギーの原因があると、くしゃみや鼻水をはじめとした、鼻や目、呼吸などに症状が見られます。
くしゃみ、鼻水、鼻づまり
ハウスダストアレルギーが発症するきっかけは、人にとって異物であるハウスダストなどを、空気と一緒に吸い込んでしまうことです。身体にアレルギー反応が起きると、ヒスタミンなどの成分が鼻粘膜を刺激して、くしゃみを引き起こし、鼻水や鼻づまりといった症状が見られます。
目のかゆみ、痛み
目のかゆみや痛みも、ハウスダストアレルギーの症状です。アレルギー性結膜炎として知られており、目のかゆみや痛みだけでなく、違和感などを伴う場合もあります。
喘息や呼吸困難
ハウスダストアレルギーがある人の中には、喘息をもつ方もいます。喘息の症状がひどくなると、空気の通り道である気管支が狭くなってしまい、発作や呼吸困難の症状が出る場合もあります。もし発作や呼吸困難の症状が見られたときは、早急に病院受診が必要です。
ハウスダストアレルギーの一般的な治療法
ハウスダストアレルギーの治療法として、まずはアレルギーの原因を避ける、減らすことが重要です。そのうえで、それぞれの症状に応じた薬物治療として、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬などが処方されます。
また、アレルゲン免疫療法という治療を行う場合もあります。これは、アレルゲンを少量ずつ投与し、身体に耐性をつける方法です。アレルギーの原因を避けることが難しい、薬物療法に効果がない、症状が重い場合には、アレルゲン免疫療法が検討されます。
ハウスダストアレルギー対策になる習慣

繰り返しになりますが、ハウスダストアレルギー対策は、アレルギーの原因を除去する、もしくは減らすことが基本です。特に、掃除、洗濯、換気の3つは重要であり、できる限り対策を行いましょう。
掃除でアレルギー物質を取り除く
掃除は、アレルギー物質を取り除くために最も有効な対策です。
<対策>
・ハウスダストは風で舞い上がりやすいため、クリーナーやモップを使った後に掃除機を使用する
・絨毯やラグ、マットなどはできるだけ控える
・物件選びや床のリフォーム時には、掃除しやすいフローリングを選ぶ
・ハウスダストのたまりやすいリビングや玄関、トイレなどは、よりこまめに掃除する
このような対策を中心に、習慣化していきましょう。インテリアを楽しみたくて、絨毯やラグ、畳などを選びたくなりますが、ハウスダストアレルギー対策ならばフローリングが望ましいでしょう。引越しやリフォームを予定している方で、ハウスダストが気になる場合はフローリングを選びましょう。
寝具や布団などもこまめに洗濯する
ハウスダストアレルギーの原因になるダニやカビは、寝具や布団の湿気を好みます。ダニやカビなどの繁殖を抑えるために、以下のような対策を検討してみてください。
<対策>
・寝具のカバー類はこまめに洗濯する
・マットレスや布団は日光にあてて干す
・干せないマットレスなどは壁に立てかけ風通しする
・除湿シートや除湿剤を利用する
使用している寝具や布団に適した方法で、アレルギーの原因を減らしましょう。
定期的な換気を行う
定期的な換気は、室内の空気を新鮮に保つために不可欠です。
<対策>
・天気がいい日は窓を開けて定期的に換気する
・直線上に窓が2つあれば、風が室外→室内→室外へ流れるような通り道を作る
・窓が1つの場合には、扇風機やサーキュレーターを使用する
・HEPAフィルター付き掃除機や空気清浄機の使用する
このような換気方法は手軽にでき、有効な対策になります。習慣化するためにも、偶数時刻に必ず換気するなどのルール作りもおすすめです。
寒暖差アレルギーの症状と一般的な治療法
寒暖差アレルギーはここ数年で、よく耳にするようになりました。ここでは、寒暖差アレルギーの症状と一般的な治療法を詳しく解説します。
寒暖差アレルギーの症状
寒暖差アレルギーは、気温差が原因とされています。例えば、寒い室外から暖かい家の中に入ったとき、くしゃみや鼻水が止まらないなどの症状は、寒暖差アレルギーかもしれません。寒暖差アレルギーは、じんましんや肩こり、頭痛などの症状も見られます。
くしゃみ、鼻水、鼻づまり
寒暖差アレルギーにも、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどのアレルギー性鼻炎のような症状が見られます。さらさらとした水っぽい鼻水で、発熱はほとんど見られません。
寒冷じんましん
寒冷じんましんは、皮膚に冷たい空気や風などが接触することで、かゆみが出ると考えられています。詳しい原因についてはまだはっきりとしておらず、冷たいものに触った直後から数十分の間に発症し、自然と軽減する場合も多いです。
肩こり、頭痛
寒暖差アレルギーは、自律神経のバランスが影響しているため、症状がひどい方の中には肩こりや頭痛が出る方もいます。
寒暖差アレルギーの一般的な治療法
寒暖差アレルギーは原因不明のため、症状を和らげる治療が中心です。かゆみには、抗ヒスタミンを含む内服薬や軟膏、肩こりや頭痛に対しては、筋肉の緊張を和らげる薬や痛み止めなどが選択されます。
寒暖差アレルギー対策になる習慣

寒暖差アレルギーは、気温差を減らす、自律神経を整えることが対策として有効です。習慣化しやすい対策を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
外との温度差を小さくする
室内外の温度差を小さくすることは、寒暖差アレルギー対策として有効です。
<対策>
・暖房の効いた暖かい部屋から、急な外出は控える
・外出の予定がある場合は、暖房を少し低めに設定する、外出の15〜30分前には暖房をオフにする
・外出する際には、手袋やマフラーなどで冷えを予防する
・外出時にマスクを着用し、鼻粘膜への刺激を抑える
室内外の温度差を小さくすることを意識して過ごすことで、自然と習慣化につながるでしょう。
血流をよくする
寒暖差アレルギーに関係している自律神経を整えるためには、血流をよくする必要があります。血流をよくするには、以下のように身体の内側から温めることがポイントです。
<対策>
・飲み物は温かいものを選ぶ
・入浴はシャワーよりも浴槽に浸かる
・お風呂上がりの冷たい飲み物はできるだけ控える
・お風呂上がりのストレッチをする
・筋トレや有酸素運動など適度な運動を取り入れる
血流はすぐに改善しない方も多いため、継続することが大切です。
規則正しい生活を心がける
寒暖差アレルギーの原因である自律神経は、日々の生活と深く関わっています。不規則な生活は、自律神経にとって悪影響を及ぼします。
<対策>
・適切な睡眠時間を確保する
・暴飲暴食を避ける
・ストレス発散や趣味に集中する
いきなり規則正しい生活をはじめるのは難しいため、まずは睡眠時間を確保するなど、取り組みやすいことからスタートするとよいかもしれません。
シックハウス症候群の症状と一般的な治療法
シックハウス症候群は、1990年代より社会問題化し、現在では室内空気に対するガイドラインや建築関係の法制度が整備されています。ここでは、シックハウス症候群の症状や一般的な治療法を解説します。
シックハウス症候群の症状
シックハウス症候群は、皮膚や粘膜、頭痛、吐き気、精神・神経症状などが見られます。基本的には、その環境から離れると改善するとされています。家だけでくしゃみなどの症状が見られる場合には、シックハウス症候群の可能性があるかもしれません。
咳、鼻水、くしゃみ
シックハウス症候群でも、鼻や喉の粘膜刺激症状が見られます。咳や鼻水、くしゃみ、鼻づまりなどがよく見られる症状で、特に鼻づまりの訴えが多いとの報告もあります。
目がチカチカする
目がチカチカする、かゆみ、違和感なども、シックハウス症候群の症状のひとつです。重症度に個人差はありますが、コンタクトレンズを使用している人のほうが過敏になる傾向が認められています。
頭痛、めまい、吐き気
シックハウス症候群には、精神・神経の症状もあり、頭痛を訴える方は多いとされています。頭痛以外にも、めまい、吐き気、倦怠感やだるさ、集中力の欠如などがあります。
皮膚トラブル
シックハウス症候群では、乾燥や赤み、かゆみ、腫れなどの皮膚トラブルも生じます。シックハウス症候群による皮膚トラブルは、男性よりも女性に多いとされています。
シックハウス症候群の治療
シックハウス症候群の治療は、症状に応じた薬物治療が中心です。しかし、原因は室内の空気環境悪化であるため、治療しても完治が難しい場合もあります。シックハウス症候群の症状を改善するためには、室内環境の見直しが重要です。
シックハウス症候群対策になる習慣

ここでは、シックハウス症候群対策になる習慣を3つ紹介します。
定期的な換気を行う
定期的な換気は、ハウスダストアレルギーと同様に、シックハウス症候群にも有効です。
<対策>
・換気時には窓を2つ以上開ける
・換気扇や換気口、サーキュレーター、扇風機を利用する
・窓の近くや空気の流れ道の途中に家具を置かない
・24時間換気システムが付いている物件を選ぶ
シックハウス症候群の原因は、室内の空気環境のため、換気が重要な対策になります。2003年の改正建築基準法では、シックハウス症候群対策として、24時間換気システムが義務化されています。24時間換気システムとは、自動で室内と室外の空気を入れ替えてくれる設備です。物件選びをされている方は、24時間換気システムが設置されているかを確認してみましょう。
家具は刺激臭のないものを選ぶ
シックハウス症候群のリスクのひとつに、ホルムアルデヒドがあります。ホルムアルデヒドには刺激臭があり、安くて水に溶けやすい性質をもち、新築や改装時の建材や家具の防腐剤として使用されていました。そのため、引越し時や家具購入時には注意が必要です。
<対策>
・部屋探しや家具購入では実物を確認し、刺激臭のないものを選ぶ
・購入したい家具などがあれば、材質や加工方法を確認する
このように、部屋選びや家具の購入は、できる限り実物を確認しましょう。
芳香剤や衣類の防虫剤、殺虫剤後は換気する
化学物質は、普段からよく使うものにも含まれています。具体的には、芳香剤や防虫剤、殺虫剤、ワックス、除光液などであり、対策は以下のとおりです。
<対策>
・化学物質が使用されているものの利用を控える
・化学物質が使用されているものを利用した場合は、換気を徹底する
もしシックハウス症候群のような症状がある場合は、できるだけ使用を控えたほうがよいでしょう。
家でくしゃみが出る原因が今回紹介の3つに該当しなさそうな場合は?
家でくしゃみが出る原因が、今回紹介した3つに該当しなさそうな場合は、必ず医師へ相談しましょう。ただし、今回紹介した原因に該当しているように感じても、症状の悪化や長期化、生活に支障がある場合は、早めに受診してください。
病院を受診する際に、下記内容をまとめておくと診察もスムーズです。
<病院を受診する際にまとめておくこと>
・くしゃみ以外の症状
・症状がはじまった時期やきっかけ
・症状の出る場所
・もし特定の場所の場合は自分以外に同じような症状がいる人がいるか
・生活環境の変化(引越しや職場の変更、ペットを飼い始めたなど)
ゆっくりとくつろぎたい自宅で、くしゃみなどの症状が出てしまうと負担になってしまいます。自分でできる対策を実施しつつ、気になる症状がある方は、専門医へご相談ください。
家でくしゃみが出る原因を知り快適な生活を送ろう!
家でくしゃみが出る原因として、ハウスダストアレルギー、寒暖差アレルギー、シックハウス症候群を解説しました。できるだけ快適に過ごすために、今回紹介した掃除や換気、適切な家具選び、規則正しい生活など、無理のない対策からはじめてみましょう。引っ越しを検討されている方は、新居探しをするうえでのポイントとして、ぜひ参考にしてみてください。
※参考1:厚生労働省「科学的エビデンスに基づく新シックハウス症候群に関する相談と対策マニュアルの改定新版(資料)」
※参考2:厚生労働省「科学的エビデンスに基づく新シックハウス症候群に関する相談マニュアル(改定新版)」
※参考3:厚生労働省「アレルギー性鼻炎花粉症」
※参考4:日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会「鼻の症状」