共働き夫婦の中には、家計管理や貯蓄のやり方に悩んでいる夫婦もいらっしゃるでしょう。それぞれの財布から必要に応じて生活費を捻出したり、どちらか一方に任せていたりするなど、家計管理や貯蓄のやり方は夫婦それぞれです。
今回は、共働き夫婦におすすめの家計管理や、貯蓄の方法を解説します。生活費の決済や貯蓄の方針などで揉める可能性を減らすためにも、ぜひ最後までご覧ください。
共働きのお金の管理方法

はじめに、共働き夫婦のお金の管理方法を4パターンに分けてご紹介します。それぞれのメリット・注意点を解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
【おすすめ】「共有口座」と「貯蓄口座」を組み合わせた管理方法
共働き夫婦に特におすすめのお金の管理方法が、共有口座と貯蓄口座を組み合わせたものです。夫婦の収入を生活費の決済用の共有口座と、貯蓄専用の貯蓄口座に分けて管理する方法になります。
共有口座と貯蓄口座を組み合わせて管理する際のメリット・注意点は、以下のとおりです。
メリット | 注意点 |
---|---|
予算管理がしやすくなる家計の支出が視覚化される無理なく貯蓄ができる | 管理が煩雑になる手数料の負担が大きくなる |
最大のメリットは、予算管理がしやすくなることです。夫婦それぞれのお給料を「貯蓄」「生活費」「お小遣い」に分けることで、毎月の支出をコントロールしやすくなります。
一方で注意点は、複数の口座を使用するため、管理の手間がかかる点です。お給料が振り込まれる口座から、共有口座・貯蓄口座へと資金を移動させる必要があります。金融機関によっては自動送金のサービスがあるため、毎月必ず振込や入出金を行う必要はないものの、手間であることには変わりありません。
また、手数料が発生する機会が増える点もデメリットです。出金や振込などを多くする場合には、手数料の負担が大きくなります。
【おすすめポイント】
・予算管理がしやすい
・無理なく貯蓄ができる
共有口座とは
共有口座とは、その名の通り、複数人で共有して使用する口座です。夫婦の生活費など、複数人の支出を管理する際に使用します。
先ほどの例では、生活費を決済するために共有口座を使用しています。食費や家賃、水道光熱費、通信費など、夫婦の生活に使用するお金を共有口座にまとめておくと、家計の支出の内訳が視覚化されるためおすすめです。
口座履歴を見ると、毎月何にいくら使ったかがある程度わかるようになります。そのため、家計を見直す際や家計簿をつける際などに役立ちます。
貯蓄口座とは
貯蓄口座は、その名の通り、貯蓄をするための口座です。貯蓄専用の口座で、生活費やお小遣いと分けて管理することにより、確実に貯蓄できるようになります。加えて、自動送金サービスや積立定期預金のように、お給料が振り込まれたタイミングで毎月一定額を送金する仕組みを作っておくと、より確実に貯蓄できます。
共有口座を作って、お互いの給料から生活費を入れる管理方法
2つ目のパターンは、共有口座を作って、夫婦それぞれが生活費を入れる管理方法です。
メリット | 注意点 |
---|---|
家計の支出が視覚化される管理する口座の数が減る | お互いの貯蓄額がわからない計画的な貯蓄が難しい |
メリットは、先ほどと同様に、生活費の内訳が可視化される点です。加えて、増える口座が共有口座のみであるため、管理の手間を抑えられます。夫婦がそれぞれしっかりと貯蓄できるのであれば、生活費用の共有口座だけで十分です。
一方で、貯蓄する癖がない方の場合、気がついたら貯蓄に回すお金がなくなってしまうため、計画的な貯蓄が難しいといえます。さらに、それぞれが個人で貯蓄することになるので、お互いの貯蓄額が把握しにくいという注意点もあります。
【おすすめポイント】
・支出が可視化されるため、家計の改善がしやすい
・口座管理の手間を抑えられる
共有口座は作らず、項目ごとに支払う管理方法
3つ目は、共有口座を作らず、項目ごとに担当者を決める管理方法です。
夫(固定費) | 妻(変動費) |
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家賃水道光熱費通信費 | 食費日用品費 |
上記のように、項目ごとに支払いの担当者を決めて、管理する方法になります。
メリット | 注意点 |
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役割を明確化できるバランスの取れた負担になる予算管理や節約のスキルが向上する | コミュニケーションが必要柔軟性が欠如しやすい |
メリットは、役割が明確化されることです。責任者が決まっているため、家賃や水道光熱費などの支払いの見落としを防ぎやすく、食費や日用品費などの変動費も使い過ぎを防ぎやすいです。
また、夫婦に収入差がある場合は、比率に応じて担当する項目を決めると、バランスの取れた負担にできます。加えて、担当領域の予算管理や、節約のスキルの向上も期待できます。たとえば食費であれば、食材を安く購入したり、無駄な買い物を防いだりするなどです。
ただし、家計管理にコミュニケーションが必須な点には、注意が必要です。それぞれの担当領域について報告がない場合、生活費の支出の全体像を把握できないため、誤解や不満が生まれてしまう恐れがあります。
また、それぞれの担当領域のみに固執してしまう可能性もあり、そうなると状況の変化や予期せぬ支出に対する夫婦での対応が難しくなります。
【おすすめポイント】
・夫婦の収入差があるケースでは、比率に応じて割り振れるため、夫婦間の公平性を保ちやすい
・節約や効率を意識しやすい
片方の口座を生活費用に、もう一方を貯金用にする管理方法
最後に、夫婦の口座を生活費用と貯金用に、完全に分けてしまう管理方法です。たとえば、夫のほうが収入が多い夫婦の場合、夫の口座を生活費の決済に使用し、妻の口座を貯金用にするといったケースになります。
メリット | 注意点 |
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わかりやすく明確な分担できる貯蓄しやすい | 不公平感の発生金銭感覚の不一致 |
一番のメリットは、シンプルでわかりやすい点です。夫の口座を見ると支出を見返せて、お給料を別の口座に移動させる手間も必要ありません。加えて、妻のお給料をすべて貯金に回せるので、貯蓄のスピードが早くなります。
ただし、特に生活費を負担する側がしっかり納得している状態でないと、不公平感からトラブルに発展してしまう懸念があります。お給料の大部分を生活費として消費する人と、大部分を貯蓄に回して手元に残る人が生まれるため、金銭感覚の不一致が生じてしまうかもしれません。
この方法を採用する場合は、夫婦間でのオープンなコミュニケーションが重要です。
【おすすめポイント】
・家計管理の手間を最小限にできる
共同利用を想定した口座の作り方

ここでは、共同利用を想定した口座の作り方をご紹介します。特に何も考えず、近くに支店がある銀行やネット銀行で作成してもいいのですが、より効果的に共同名義の口座を作るためのポイントをまとめます。
【注意】基本的には銀行口座を連名作成できない
まず前提として、基本的に夫婦連名での口座は作成できません。連名の口座を作成すると、誰のお金かがはっきりせず、出金や振込などの際に、夫婦それぞれの同意が必要になってしまいます。国や金融機関にとって管理が複雑になる点から、連名での口座は作成することが不可能です。
また、離婚をしてしまった際など、連名の口座のお金をどう分けるかで問題が起こる可能性もあります。このような理由から連名での口座は作成できず、共有口座といっても、夫婦どちらかの名義の口座を作成することになります。
STEP1. どちらの名義で作るか話し合う
連名の口座を作成できないため、夫婦どちらかの名義で口座を作成する必要があります。そのため、どちらの名義で作るか、話し合いをしてみてください。
基本的にはどちらの名義で作成しても問題ありませんが、口座作成や住所変更、解約などは、本人が手続きを行うことが望ましいです。そのため、時間に余裕がある方、特にネット銀行でない場合は、平日のお昼に余裕のある方の名義で作成することをおすすめします。
STEP2. 家族カード(代理人カード)が作れるかどうか確認する【銀行口座のみ】
次に「家族カード(代理人カード)」を作成できるかどうかの確認をしましょう。家族カードや代理人カードと呼ばれるカードを作成すると、キャッシュカードとは別で作成した家族カードで、入出金などを行えるようになります。
配偶者や親・兄弟など、一定範囲内の親族かつ生計を共にしていることが条件です。生計を共にするとは、生活費を同じ財布から出していることを意味します。そのため、単身赴任などで別居しているケースでも、生活費を同じ財布から出している関係であれば、家族カードを作れます。
家族カードを作るメリットは、事実上キャッシュカードを2枚保有できる点です。夫婦それぞれで共有口座のキャッシュカードを保有できるため、管理が楽になります。ただし、口座名義人が亡くなった際に家族カードも使用できなくなる点や、家族カードにはクレジット機能がつけられない点などが注意点です。
注意点を踏まえても、キャッシュカードを夫婦それぞれで保有できるため、共有口座の管理が楽になります。家族カードを作れる金融機関で、共有口座を作成することをおすすめします。
STEP3. 自分たちの生活スタイルに適しているか最終確認をする
最後に、夫婦の生活スタイルに適しているかどうかを確認します。
<確認する点>
・店舗の有無
・最寄りの支店までの距離
・最寄りのATMまでの距離
・引っ越しの頻度
・手数料
最低でも、上記の点は確認しておきましょう。
店舗の有無
まずは、店舗が必要かどうかという点が重要です。店舗がなくてもいい場合は、手数料や金利の観点からネット銀行をおすすめします。特に貯蓄用の口座の場合、10万円・100万円以上の残高になるかもしれないので、金利の高いネット銀行がおすすめです。
最寄りの支店やATMまでの距離
店舗が必要な方であれば、最寄りの支店やATMまでの距離も重要です。生活費用の口座の場合は、支店やATMまでの距離が近いほうが便利といえます。
一方で、貯蓄用の口座は、あえて家から遠い金融機関を選ぶ選択肢もあります。遠いほうが、支店やATMに行くことが億劫になって、不要な出金を防ぎやすいという方もいるでしょう。ご自身の性格から、貯蓄用の口座は支店やATMが近くにないほうがいいと考える方は、少し距離が離れた金融機関を選択してもいいかもしれません。
引っ越しの頻度
また引っ越しの頻度も、チェックすることをおすすめする項目です。別の都道府県に引っ越しをした場合、地方銀行や信用金庫などの口座は、ネットバンキングによる操作を除くと、ほとんど使用できなくなってしまいます。メガバンクも、各都道府県の主要地以外は支店やATMが少ないケースが多いため、注意が必要です。
そのため、引っ越しが多い方は、ゆうちょ銀行やコンビニ銀行など、どこにでもATMがありそうな金融機関やネット銀行などがおすすめです。
手数料
手数料の値段はもちろん、手数料無料で使える条件や回数も重要です。貯蓄用であればそこまで気にしなくてもいいかもしれませんが、生活費用の口座となると、出金の回数が多くなります。手数料無料で、利用しやすい金融機関がおすすめです。
多くの金融機関のATMでは、平日の日中は手数料無料で出金できるため、自宅や職場の近くにATMがあるかどうかがポイントになります。逆に、クレジットカードでの決済が中心という方であれば、出金の回数はあまり多くないので、そこまで気にしなくてもいいかもしれません。
共同名義の口座にはいくらずつお金を振り込む?

次に、共同利用の口座に、お金をいくらずつ振り込むかについてです。前提として明確な正解はないので、夫婦で話し合いをして、お互いが納得する条件を設定してください。
そのうえで、一般的な例をご紹介します。夫婦であることから、一般的には収入の割合に応じて入金することが多いです。
たとえば、夫の収入が手取り30万円、妻の収入が手取り20万円の場合、収入の比は3:2です。このケースで、生活費の予算が月20万円だった場合、夫は12万円、妻は8万円を生活費用の口座に振り込むことになります。そして、残りの収入を貯蓄やお小遣いとして、使用するといったイメージです。
共同名義の口座をトラブルなく運用するポイント
口座を複数人で管理していると、トラブルが発生したり、継続できなかったりするケースがあります。ここではトラブルを防ぐため、共有口座を継続するためのポイントを解説します。
きちんと話し合い運用方法やルールを決める
1つ目は、運用方法やルールについて、話し合いをしたうえで決めることです。きちんと話し合いをし、双方が納得した運用方法やルールがあるかないかは、大きな違いになります。
共通認識の運用方法やルールがないと、それぞれのやり方に不満を持ちやすく、トラブルに発展する可能性が高くなってしまいます。そのため、事前に話し合いのうえで、共通認識の運用方法やルールを決めておきましょう。
緊急用の出費も考えて貯蓄する
2つ目は、緊急用の出費を考えて貯蓄しておくことです。緊急用の出費をどちらが負担するかという点は、トラブルに発展しやすいです。生活費・貯蓄・お小遣いでお給料のほとんどがなくなってしまうと、緊急用の出費への対応が難しくなります。
・夫婦共有の貯蓄口座から緊急用の出費を捻出する
・緊急の出費専用の貯蓄口座も作成する
上記のような解決方法があるので、運用方法やルールを話し合う際に、緊急用の出費への対策も夫婦で決めてみてください。
目標額を設定したうえで運用する
3つ目は、目標額を設定したうえでの運用です。目標額の設定の仕方は、主に2パターンあります。
・毎月〇万円の貯蓄
・目標額から逆算した貯蓄
明確な目標がない場合は、家計の状況から無理のない範囲で、毎月の貯蓄額を設定してください。夫婦で毎月2万円、4万円といった形です。
一方で、貯蓄の目的がある場合は、目標額から逆算して毎月の貯蓄額を決めてください。目標額に到達するための毎月の貯蓄額をシミュレーションできるサイトもありますので、簡単に決められます。
貯蓄額に関しても、ルールを決めたほうが継続しやすいため、最初に話し合いで決めましょう。
定期的に話し合いをする
4つ目のポイントは、定期的な話し合いをすることです。定期的な話し合いをすることで、当初決めたルールが守られているか、現在はどのくらいの成果が出ているかといった点を共有できます。加えて、生活費に無駄がないか、無理な貯蓄になっていないかといった点を話し合いで確認すると、トラブルを未然に防ぎつつ、継続的な運用が可能になります。
月に1回や3ヶ月に1回など、定期的に話し合いをして、家計の改善や計画的な貯蓄の実現を目指しましょう。
共同名義の口座でお金を管理し、2人の将来に備えよう
夫婦のお金の管理方法として、共同利用を想定した名義の口座の利用がおすすめです。共有口座を利用することで、家計管理が楽になったり、計画的な貯蓄がしやすくなったりするといったメリットがあります。上手く利用すると無駄な支出がわかり、節約につながったり、無理のない貯蓄が可能になったりします。
夫婦のお金の問題を解決する手段として、共有口座の利用を検討してみてください。