単身赴任で住民票は必ず移すべき?そのままでも問題ない?注意点や手続き方法まとめ

目次

単身赴任をする場合、多くのケースでは、今まで住んでいた住居ではなく、単身赴任先の住居で生活をすることになります。そのため、単身赴任を行う人の中には、単身赴任先で単身赴任の期間や予算などに合う最適な住居を見つけることができるのか、住民票を移す必要はあるのかといった不安を抱えている方も少なくありません。

そこで今回は、これから単身赴任を行う人に向けて、単身赴任をする場合に住民票を移す必要があるのか、住民票を移すとき注意すべき点や住民票を移す手続き方法などについて詳しく解説をします。

単身赴任をするなら必ず住民票は移さないといけないの?

単身赴任をする際、住民票を移す必要性があるのかについて、疑問を感じる方も多いでしょう。結論としては、住民票については、必ず移さなければならないケースと移さなくても良いケース、及び法律的に必ず移さなければならないわけではないものの移すケースの3つが考えられます。

つまり、住民票を移すか否かの答えはケースごとに変わりますので、住民票を移すかどうかについては、自分の状況との関係で慎重に検討を行う必要があります。

住民票とは

住民票とは、特定の個人の居住関係により、当該個人の氏名・住所・生年月日・性別及び世帯主との続柄などの情報が記載され、世帯ごとに編成される公簿のことをいいます。住民票のデータはコンピュータに保存されているため、厳密にいえば、各自治体で交付される書面は住民票ではなく住民票の写しということになります。

単身赴任で住民票を移さなくても問題ないケース

単身赴任で住民票を移さなくても問題ないと考えられるケースとしては主に以下の2つが挙げられます。

①住民基本台帳法第22条第1項の「転入」に該当しないケース

②住民票を移さないことについて「正当な理由」(住民基本台帳法第52条第2項)が認められるケース(コロナウイルスの感染拡大による措置を含む)

これらの具体例について、次項で詳しく見ていきましょう。

転入に該当しないケース①単身赴任の期間が1年以内である

単身赴任の期間が1年以内の場合、住民基本台帳法第22条第1項の「転入」に該当しないものと扱われることになります。

国や市町村の運用上、1年を超える場合には住民票を移す必要があると判断されますが、1年以内のケースでは基本的に住民票を移す必要はありません。また、1年を超えて海外に滞在するときなどには、住民票がある市町村からの転出手続きを行う必要があります。

転入に該当しないケース②単身赴任の際に生活拠点が変わらない

単身赴任の際に、生活拠点が変わらないケースでも、住民基本台帳法第22条第1項の「転入」に該当しないものと扱われることになります。この場合、新たに市町村の区域内に住所を定めたということにはなりませんので、住民基本台帳法第22条第1項の「転入」に該当しないのです。

住民票が移せない正当な理由があるケース

疾病や災害などによって住民票を移す手続きを行うことが事実上困難であった場合、「正当な理由」(住民基本台帳法第52条第2項)が認められる可能性が高いと考えられます。

「正当な理由」が認められるケースでは、どのような理由においても住民票を移さずとも問題はありません。

コロナウイルスの感染拡大による措置

総務省が令和2年3月6日に公表している「新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響及び感染拡大の防止に伴う住民基本台帳事務等の取扱いについて(通知)」では、以下のように定められています。

『今般のコロナウイルス感染症の感染拡大の影響に伴う諸情勢等に鑑み、当分の間、当該期間を経過した者については、「正当な理由」があったとみなして、「住民基本台帳事務処理要領」第5ー9ー1(1)の通知を要しないものとすること。』

上記の定めから、当分の間は引越しから14日が経過していても「正当な理由」(住民基本台帳法第52条第2項)が認められるものと考えられます。

※引用 総務省 「新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響及び感染拡大の防止に伴う住民基本台帳事務等の取扱いについて(通知)」

住民票を移す必要性があるケース

上記のケースに該当しなければ、単身赴任の際に住民票を移す必要があります。

転入の条件に該当する場合、14日以内に住民票を市町村長に届け出なければならないとされています。正当な理由なく住民票を移すことを怠っていると、住民基本台帳法第52条第2項により、5万円以下の過料に処される可能性があります。

単身赴任で住民票を移す場合のメリットと注意点

単身赴任の際、住民票を移す・移さないで悩む方も多いかと思います。ここからは、単身赴任で住民票を移す場合のメリットと注意点を詳しく解説していきます。

単身赴任で住民票を移す場合のメリット

単身赴任で住民票を移す場合のメリットは主に以下の2つとされています。

メリット①:住民票を移動させた先での制度を利用することができる

住民票を移動させると、住民票を移した先の市町村が実施している行政サービスを受けられます。公共施設の割引サービスなどを行っている市町村もありますので、住民票を移すと公共施設をお得に利用できる可能性があります。

メリット②:選挙の投票権を得ることができる

住民票を移動させると移動させた先の市町村の住民となりますので、選挙の投票権を得ることができます。人によって異なりますが、市町村の政治に参加できるという点を大きなメリットと考える人も少なくありません。

単身赴任で住民票を移す場合の注意点

住民票を移すことについては、メリットだけでなく注意点もあります。以下の2つに抵抗を持つ方も多いので、事前にチェックしておくと良いでしょう。

注意点①:手続きの手間がかかってしまう

住民票を移す手続きにつきましては後述しますが、やはり住民票を移す手続きを手間と感じる人は多いようです。単身赴任当初は、職場環境や生活環境の整備などに時間が取られがちなので、住民票の手続きを忘れてしまう可能性もゼロではありません。

注意点②:住民票があった市町村の制度を利用できなくなる

住民票を移すと、当然のことながら住民票があった市町村の住民ではなくなるため、利用できていた制度が利用できなくなる可能性があります。たとえば、以前住んでいた市町村で印鑑登録を行っていた場合、住民票を移すことで住民票があった市町村の印鑑登録証明書が利用できなくなってしまいます。

単身赴任で住民票を移す場合の手続き方法【転出から転入するまで】

単身赴任で住民票を移す場合、適切な方法により手続きを行う必要があります。手続きの進め方を間違えると余計な手間が発生してしまうため、ここでは正しい手続きの方法をご紹介します。

※一部の自治体では手続き方法が異なる場合があります。各自治体のHPを必ず確認したうえで、手続きをおこないましょう。

手続き方法①:転出届を提出する

住民票を移す場合、まずは現在の住民票がある市町村から転出をする必要があります。そのためには、現在住民票がある市町村に転出届を提出する必要があるので、専用の用紙に必要事項を記入したうえで役所の窓口に提出しましょう。

この転出届は、引越し予定日の14日前から提出することができます。転出届の提出を終え、特に問題がなければ転出証明書が交付されます。

手続き方法②:転入届を提出する

転出届を提出した後は、住民票を移す先の市町村に転入届を提出しましょう。転入届には、氏名・住所・転入をした年月日・従前の住所などの情報を記載します。また、世帯主についてはその旨、世帯主でない者については世帯主の氏名及び世帯主との続柄などを記載することになります。

転入届は、引越しから14日以内に提出を行う必要があり、提出には転出の際に交付された転出証明書が必要となるため持参することを覚えておきましょう。転入届を提出しようとした際に、住民票がある市町村で転出の手続きを行うことを忘れており、転入をスムーズに行うことができなかったという人も多いので注意が必要です。

単身赴任先で暮らす物件の選び方

単身赴任の場合、仕事の関係で物件を探すという関係上、普通に生活をするケースと異なった視点から物件を選ぶ方も多いでしょう。単身赴任先での暮らしを豊かなものにできるよう、以下のような物件を候補の中に入れて検討してみてください。

費用が抑えられる家具や家電付きの物件

新しい生活を始める際には、家具や家電など生活に必要なものをそろえる必要があります。ただ、単身赴任のわずかな期間しか使用しないにもかかわらず、「新しい家具や家電を購入するのはもったいない」と思う方もいるのではないでしょうか。そのような方には、家具や家電付きの物件がおすすめです。

家具や家電付きの物件の場合、必要最低限のものがそろっているため、家具や家電を新しく購入する必要がありません。また、家具や家電を購入する手間や、単身赴任が終了した際に家具や家電を処分する手間を省くことができるので、「家具付き」「家電付き」で検索して良い物件がないか探してみると良いでしょう。

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数ヶ月など比較的短期間の賃貸ができる物件

物件を契約する際には、初期費用として数十万円単位の額のお金を用意しなければなりません。そのため、数ヶ月など比較的短期間の単身赴任のケースでは、最初に大きな初期費用を支払うことに躊躇してしまう人も少なくありません。

数ヶ月であればホテルに宿泊しても良いのですが、場合によってはかえって費用が高くついてしまうことも多いです。そこでおすすめなのが、数ヶ月など比較的短期間の居住ができる物件です。たとえば、定期借家契約の物件であれば最初から住める期間が決められているため、候補のひとつに入れてみてはいかがでしょうか。

Wi-Fi利用の可否など仕事環境が充実できる設備のある物件

最近では、新型コロナウイルスの関係でオンライン会議を行う機会が増えている方が増えてきています。単身赴任の場合でも、在宅でオンライン会議を行うことや、帰宅後に仕事をすることもあるでしょう。

そのため、光ファイバーが備え付けられている物件やWi-Fi利用が可能な物件など、仕事環境が充実できる設備のある物件もおすすめです。

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単身赴任や家庭の状況に合わせて住民票を移すべきか考えよう

法律上、住民票を移さなくても問題にならないケースでも、メリットの点から見て住民票を移した方が良いといえる場合があります。住民票を移動するか否かは、単身赴任の期間のみから判断するのではなく、メリット・デメリットを考え、自分の状況に合わせて適切に判断をする必要があります。

特に行政サービスについては大きな判断要素になるので、現在住民票がある市町村と単身赴任先の市町村をしっかりと比較しつつ、自分の希望を整理したうえで住民票を移すか移さないかを決めるようにしましょう。