手取り20万円の額面・年収は?一人暮らしや同棲の生活水準と貯金の仕方をFPが解説

目次

手取り20万円、という数字。多くの人が、一種の収入ラインとして意識している金額です。そのため、この手取りでの一人暮らしや同棲、子育てがどのようなものか気になる人もいるかと思います。実際に一人暮らしや同棲を始めてから生活が厳しいとわかっても遅いので、事前情報は大切です。

今回は手取り20万円の額面や年収、生活水準について解説しています。

通帳などを見て、漠然と「このままでは生活が厳しい」と感じている人もいるかと思います。そのような方に向けて、具体的な対処方法も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

「手取り20万円」の額面と年収の計算方法

最初に、「手取り20万円」の場合の”額面”と”年収”について解説していきます。

額面とは基本給に住宅手当や交通費など各種手当を含めた総支給額です。給与明細の「総支給額」が額面に当たります。

手取りは額面から税金や社会保険料が差し引かれた後に手元に残る金額です。給与明細の「差引支給額」に記載されているケースが一般的です。

求人票や面接の場などで使われる年収は手取りではなく額面の年収を指します。また、ボーナスが支給される場合はボーナスも年収に含まれます。

手取りから額面を計算する方法

次に、手取りから額面を計算する方法について解説します。

額面から差し引かれるものは「税金」と「社会保険料」です。税金や社会保険料には以下のようなものが含まれます。

・所得税

・住民税

・健康保険料

・介護保険料(40歳以上)

・厚生年金保険料

・雇用保険料

これらの金額は勤め先や家族構成、利用している控除などによって変わります。そのため、同じ手取り20万円の人であっても額面や年収が違うケースがあります。

たとえば、同じ手取り20万円の人でも、40歳以上の人は介護保険料も負担するため、39歳以下の人と比較すると額面から差し引かれる金額が大きいです。差し引かれる金額が大きい分、元の額面の金額も40歳以上の人が大きいといえます。

一般的に手取りは額面の75〜85%とされています。そのため、手取りからおおよその額面を求める計算式は「手取り ÷ 75〜85%」です。

手取り20万円に当てはめると額面の目安は「23.5万〜26.7万円」になります。

手取り20万円でボーナスがある場合の年収

次に、ボーナスがある人の年収についてみていきます。ボーナスも年収に含まれるため、12ヶ月分の額面給与とボーナスの合計額が年収です。

とはいえ、ボーナスの支給額や支給回数は会社が独自に決められるため、同じ手取り20万円の人でも年収は変わります。目安としていくつかのパターンを紹介します。

【ボーナスの支給額が支給されない場合】

年収:282万〜320.4万円

【ボーナスの支給額が額面給与の1ヶ月分の場合】

・ボーナスの支給回数が年1回の場合

年収:305.5万〜347.1万円

・ボーナスの支給回数が年2回の場合

年収:329万〜373.8万円

【ボーナスの支給額が額面給与の2ヶ月分の場合】

・ボーナスの支給回数が年1回の場合

年収:329万〜373.8万円

・ボーナスの支給回数が年2回の場合

年収:376万円万〜427.2万円

繰り返しますが、この数字はあくまで目安です。たとえば、インセンティブ手当の割合が多い企業であれば、額面をベースに計算した上記の例は当てはまりません。

また、ボーナスを計算する際のベースとなるのは基本給であり、住宅手当や交通費など各種手当は含まれないため、手当が多い人も上記の目安よりも少ないと考えられます。

全国の平均給与から見る手取り20万円の水準と生活

手取り20万円といっても、ボーナスの支給額や支給回数によって年収は大きく変わります。ここでは、手取り20万円の年収を282万〜427.2万円と仮定し『令和3年分民間給与実態統計調査』をもとに、平均給与と比較していきます。

近い数字は「20〜24歳男性の平均給与287万円」「25〜29歳男性の平均給与404万円」です。このデータから、手取り20万円は20代男性の給与水準に近いといえます。

一人暮らしの生活水準

手取り20万円の一人暮らしの生活水準をみていきましょう。総務省の「2022年度家計調査 家計収支編」を参照します。年収300万〜400万円の勤労単身世帯の支出から一部抜粋します。

支出の内訳1ヶ月の支出額
食費37132円
水道光熱費11156円
保険医療費6961円
通信費7625円
教養娯楽費17843円
交際費7858円
合計88575円

参考:「2022年度家計調査(家計収支編)単身世帯

上記の支出の合計が約9万円で、手取り20万円なので11万円残ります。想定される残りの支出は、家賃や被服費、理美容、嗜好品などです。

一般的な家賃相場は手取りの1/3とされていて、手取り20万円の場合は「6.5万円〜7万円」です。

このように考えると、手取り20万円あれば一人暮らしは十分可能といえます。ただし、将来に向けたコンスタントな貯金を意識する場合は工夫が必要となるでしょう。

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同棲・二人暮らしの生活水準

次に、同棲・二人暮らしの生活水準についてみていきます。こちらも家計調査のデータから一部抜粋します。

支出の内訳1ヶ月の支出額
食費68686円
水道光熱費21092円
保険医療費13904円
通信費12228円
教養娯楽費25421円
交際費20160円
合計161491円

参考:「2022年度家計調査(家計収支編) 総世帯」

先ほどのデータとは異なり、手取り20万円の人以外のデータも含まれているため、実際の支出はもう少し低いと考えられます。

これらを踏まえて、被服費、理美容、嗜好品などを含めた家賃を除く支出を16万円と仮定します。手取り20万円とすると、家賃に使える残りのお金は4万円なので、同棲・2人暮らしは厳しいと言わざるを得ないでしょう。

二人暮らしの場合、1LDKや2DKといった間取りがおすすめです。先ほどと同様に、家賃を相場の6.5万円〜7万円として考えた場合、都内でもお部屋自体はあるため、二人の収入の合計が22.5万〜23万円ほどあれば、生活できる計算です。

逆にいえば、上記の支出から2.5万〜3万円節約したり、家賃を抑えたりするなどの工夫をすると、手取り20万円でもギリギリ生活できると考えられます。とはいえ、貯金する余裕はなく、将来に向けた貯金をしたい場合は世帯収入を増やすしかありません。

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子育てが必要な家庭における生活水準

子育てが必要な家庭の場合、手取り20万円はかなり厳しいといえます。人が増えるほど生活費は多くなり、二人暮らしで節約を意識してギリギリ成立していたことを考えると、厳しいと言わざるを得ません。

家計調査の勤労三人世帯のデータをもとに、生活水準を考えてみます。

支出の内訳1ヶ月の支出額
食費65000円
水道光熱費20000円
保険医療費13000円
通信費7000円
教養娯楽費21000円
交際費14000円
合計140000円

参考:「2022年度家計調査(家計収支編) 総世帯」

三人世帯の平均支出をもとに、節約できそうな箇所を節約し、表でまとめました。たとえば、食費は外食やお酒、お菓子などを極力減らした数字に変更し、通信費は格安SIMを契約した場合の数字に変更しています。

家賃を6万円以下に抑えることができると、なんとか生活できるかもしれません。とはいえ、子どもが成長すると食費や教育費などが大きくなる点や貯金する余裕がなく急な出費や将来必要になる支出への備えができない点など問題を抱えています。

手取り20万円の子育て世帯は、生活がかなり厳しい状態であるため、共働きをしたり、転職や副業などで手取り収入を増やす必要があるといえます。

手取り20万円で貯金するためのポイント

次に、手取り20万円の人が貯金をするためのポイントを解説していきます。

1.家賃を抑える

2.家賃以外の生活費を抑える

3.収入を増やす

基本的には、支出を減らして収入を増やせば自然と貯金できます。そこで、支出を抑える方法と収入を増やす方法について解説していきます。

①家賃を抑える

支出には固定費と変動費があり、固定費は毎月の支出がある程度決まっている費用で、変動費はその月によって支出が変わる費用です。

【固定費の例】

・家賃

・水道光熱費

・通信費

【変動費の例】

・食費

・教養娯楽費

・交際費

支出を減らしたい場合、固定費から見直すと効果的です。固定費の場合、一度見直すと節約の効果が翌月以降も続くからです。

家賃は固定費の中でも割合が高く、毎月数万円単位の支出減につながります。

一人暮らしで家賃を抑える場合のボーダー例

一人暮らしの人が家賃を抑えたいと考えた際のボーダーを紹介します。合わせて手取り20万円の場合の家賃も記載しています。

1.手取りの1/3前後(家賃6万〜7万円)

2.手取りの25%前後(家賃4.5万〜5.5万円)

3.手取りの20%前後(家賃3.8万〜4.2万円)

先ほども紹介しましたが、家賃は手取りの1/3が目安とされています。そのため、最初は1/3を基準に考えてみてください。家賃に6万〜7万円使うと、貯金に回すお金がない場合は、手取りの20〜25%前後の家賃で考えてみましょう。

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家賃を抑えて良い物件を探す際のポイント

家賃を抑えたい場合、お部屋の条件のうち、何かしらを妥協する必要があります。

【お部屋選びの妥協点】

・繁華街から離れたエリア

・駅から遠い

・築年数の古いお部屋

また、引越しの際の初期費用を抑えるポイントも簡単に紹介します。

【引越しの際のポイント】

・敷金礼金0円

・家具・家電付き

・繁忙期を避ける

初期費用は家賃の5〜6ヶ月分とされています。貯金を考えると可能な限り抑えたいと思いますので、以下の記事も参考にしてください。

▼関連記事

家賃1ヶ月分以上の違いが!賃貸契約の初期費用と抑える方法を宅地建物取引士が解説

②家賃以外の出費を抑える

次に、家賃以外の出費についてです。ここでは以下の5項目について、意識した方がいいポイントを解説します。

・水道光熱費

・食費

・通信費

・保険・医療費

・娯楽・交際費

水道光熱費

水道代に関しては、節水の意識が大切です。お風呂やキッチン、トイレなど、水を使うタイミングでなるべく少なく済むように意識しましょう。節水シャワーヘッドに変えることも有効です。

電気代に関しては、古い家電の買い替えや家電の使い方の見直しが有効です。古い家電は消費電力が高く、買い換えると電気代を抑えられます。エアコンなど、家電の使い方を工夫すると消費電力を抑えられ、節約に繋がります。

ガス代に関しても日々の意識が大切です。お風呂の追い焚きの回数を減らしたり、料理の仕方を見直したりすると、節約できます。

また、電気代・ガス代に関しては契約会社やプランを変更すると節約できる場合があります。同じ使い方をしても契約会社やプランが変わるだけで節約につながるので、複数社を比較検討してみてください。

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食費

次に食費です。食費に関しては基本的には意識の問題になります。以下の点を意識してみてください。

・外食を控えて自炊を増やす

・安い食材を把握する

・買った食材を使い切る

・1週間の予算を決める

・食材をまとめ買いする

1週間の予算とメニューをあらかじめ決めると、購入すべき食材の種類と量が決まり、食材の買い過ぎを防ぎやすくなります。

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通信費

通信費は格安SIMの利用をおすすめします。大手キャリアの料金と比較して、スマートフォンの料金を抑えられます。目安ですが、格安SIMの月額は1000〜3000円ほどです。

また、お部屋によってはインターネットを無料で使えます。インターネット無料のお部屋であれば、インターネットを契約する必要がないため、通信費をさらに抑えられます。

大手キャリアでないとダメな理由があったり、家のインターネット環境に投資したい人を除くと、通信費は1000〜3000円ほどに抑えることも現実的です。

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保険・医療費

保険・医療費を抑えたい場合は生命保険の見直しから始めてください。人によっては必要以上の保障内容となっているため、見直しすると毎月の支出を抑えられます。

病院を利用する際に保険証・お薬手帳を必ず持参する、時間外の診療を避ける、といった点を意識してください。また、禁煙や適度な運動を意識して、健康状態を維持できると医療費が発生する機会を減らせるので、結果的に支出を抑えられます。

娯楽・交際費

娯楽費の節約を意識する際は、我慢しすぎないことがポイントです。極端な話をすれば娯楽費がなくても生活は成り立ちますが、我慢し過ぎると反動で使いすぎてしまうこともあります。毎月◯円と決めて、その範囲内でしっかり楽しむようにしましょう。

また、固定費に関連する内容として、利用していないサブスクリプションがあれば解約しましょう。自動更新のものが多いため、利用していないにも関わらず、毎月一定額が支払われている状態が続いてしまいます。

交際費に関しても、無理して節約することはおすすめしません。交友関係や職場関係にも影響が出る可能性がある点や人と交流することの大切さを加味すると、極端に削ることはリスクのほうが大きいでしょう。

飲み会に参加する回数を月単位で決めたり、お金をあまり使わずにできる楽しみを見つけるなど、生活に支障が出ない範囲での節約を意識しましょう。

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③収入を増やす

貯金をしたい場合、支出を抑える方法だけではなく、収入を増やす方法も検討してください。節約には限界がありますが、収入アップには理論上限界はないので、節約だけに囚われてしまうことは危険です。

収入を増やす手段としては以下のようなものが挙げられます。

・昇給・昇進

・転職

・副業

すぐに収入を増やしたい場合は転職や副業がおすすめです。仕事以外の自由な時間を使い、転職活動や副業に取り組んでみてください。

副業を考える場合は自由に使える時間の確保が大切です。そのための手段として、通勤時間を短くできるお部屋への引越しが有効です。職場までの距離が近いお部屋や駅からの距離が近いお部屋であれば、副業に使える時間の確保がしやすくなります。

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手取り20万円で快適に生活・貯金するためのポイントを覚えよう!

一人暮らしであれば、手取り20万円でも快適に生活できます。ただし、貯金する余裕はあまりないため、支出を減らしたり収入を上げたりする必要があります。

二人暮らしや子育て世帯の場合、手取り20万円では厳しいです。家賃を抑えて節約を常に意識すればなんとか生活できますが、一人暮らし以上に貯金が難しいです。パート・アルバイトを含む共働きで世帯収入を増やせると、快適な生活を送れるようになるため、検討してみてください。

住んでいるお部屋は快適な生活や貯金をしやすい環境に大きな影響を与えます。今よりも快適な生活や貯金しやすい環境を求める方は、お部屋の条件を変えることも検討してみましょう。