猫と一緒に引っ越し!猫のストレスを軽減する準備や動きと心構え

目次

猫は慣れ親しんだ環境が変化することに、非常に敏感な生き物です。また、引っ越しの際の大きな物音や、業者の人など知らない人の出入り、長距離の移動は猫にとって大きなストレスとなることがあります。

今回は、そんな猫に負担をかけずに引っ越しをするためのポイントについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

猫にとって引っ越しはストレス?

猫は慣れ親しんだ環境や、自分のテリトリーの中にいることで安心する、という習慣があります。そのため、テリトリーを離れる引っ越しは、猫にとって非常に大きなストレスになる可能性があるのです。

猫が環境の変化に敏感なことも、引っ越しが大きなストレスになる要因といわれています。

【引っ越し前】猫へのストレスを軽減するための準備と心構え

引っ越し当日は、自分だけでなく猫にとってもスムーズに動けるよう事前に準備をしましょう。猫にストレスを与えず引っ越しするためには、以下の事前準備が大切です。

事前に健康診断を受ける

持病がない場合でも、引っ越し前に猫の体に異常がないか動物病院で健康診断を受けましょう。もし持病がある場合は、動物病院に事情を説明したうえで、転院のための診断書や持病薬を通常より多く処方してもらうなどの準備が必要です。

さらに、引っ越し先の動物病院を事前に調べておくと、猫が引っ越しで体調を崩した際にも、すぐに病院を受診することができます。

キャリーケースに慣れさせる

猫がキャリーケースに入れられるのは、ほぼ動物病院に行くときのため、「キャリーバッグに入れられる=嫌なことが起こる」と学習している子が多いです。そのため、キャリーケースに入れると、興奮したり、粗相をしたりすることもあります。

キャリーケースに慣れさせるために、引っ越し前から常に生活スペースに置いておき、少しずつ慣らすことをおすすめします。そしてキャリーバッグの存在に慣れたら、「キャリーバッグ=楽しい、良いことがある」と学習をしてもらいましょう。

ステップとしては、以下の通りです。

①キャリーバッグのそばで遊んだりおやつをあげる

②キャリーバッグをリラックスできる場所にする

③慣れたらキャリーバッグの中でごはんをあげる

普段の生活の中で無理なく実践し、キャリーバッグに慣れてもらいましょう。

首輪や迷子札、マイクロチップなどの迷子対策をする

猫は外に出たがる習慣があり、引っ越し作業中に出ていってしまったり、新居から前の家に戻ろうと脱走したりする可能性があります。万が一脱走した場合に備えて、首輪や迷子札、マイクロチップなどの迷子対策を実施しましょう。

マイクロチップの埋め込みは、多くの動物病院にて3,000〜5,000円程度で実施できます。

引っ越し作業中の居場所を確保する

引っ越し作業中、家具などを持っていくことに「自分のテリトリーが荒らされている」と、恐怖を感じることが予想されます。また、引っ越し作業の大きな音や、見知らぬ引っ越し業者の人の出入りなども猫にとってストレスとなるのです。

猫にストレスを与えないように、引っ越し作業中の猫の居場所を事前に考えておきましょう。賃貸物件などで、猫専用の部屋が用意できない場合には、事前にケージを用意しておくことが大切です。

猫のストレスサインを知っておく

猫がストレスを感じているときには行動(サイン)として現れます。以下が、猫のストレスサインですので、現れたらストレスを軽減させてあげるよう努めましょう。

・食欲がない

・元気がない

・グルーミングの回数が減る

・トイレの粗相をする

・攻撃的になる

・真空行動を行う(家中を急に走り回ったり、何もないところに飛びついたりなど)

新居では食欲が落ちたり、排泄を我慢したり、隠れて出てこなくなったり、鳴くようになるなどの行動が現れることがよくあります。しかし、通常、数日で今までと変わりなく過ごすようになるのです。

しかし「2日以上ご飯を食べない」や「丸1日排尿がない」「3日以内に排便がない」などのような症状が何日も続く場合には、動物病院を受診しましょう。 

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【引っ越し当日】猫へのストレスを軽減するための動きと心構え

続いて、引っ越し当日の動きです。移動手段によって、猫にかかるストレスや注意点が違います。

少しでもストレスを減らせるポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

静かな場所に隔離する

引っ越し当日は、スペースに余裕があるなら、搬送が終わった部屋などを猫専用にします。もし猫専用の部屋が用意できない場合には、ケージの中に入れ、できるだけ静かな場所に置くようにしましょう。

自動車で移動する場合の注意点

乗車前には、できるだけ排泄をすませるよう促します。また、猫が嫌う芳香剤などを撤去し、車内の温度を猫が快適と感じる温度に保つようにしましょう。

移動中は誰かがキャリーケースやケージを抱え、揺れや急ブレーキによる転倒を防ぐことが大切です。長時間連続の移動は猫の負担になるため、1〜2時間に1回停車するなどして、定期的に心を落ち着かせあげることが大事です。

猫自身の匂いがついているタオルなどを一緒に入れたり、目隠し用にカバーをかけたり工夫することで、より落ち着いて移動することができます。

なお、タクシーを利用することも可能ですが、トラブルを避けるために、乗る前にひとこと猫がいることを伝えましょう。

鉄道や新幹線に乗車する場合の注意点

鉄道会社によって、ペットの乗車可否や乗車料金有無が違うため、当日立ち往生しないよう事前に確認しましょう。自動車同様、乗車前にできるだけ排泄をすませておくようにします。

電車に乗る際には、乗客を見て猫が興奮しないよう、目隠し用にカバーをかけたりなど落ち着かせる工夫をしましょう。なかには猫が苦手な人や猫アレルギーを持っている人もいるため、早朝や夕方など混み合う通勤時間帯は避け、さらに人が少ない車両に乗るように配慮することが大切です。

定期的に様子をみて声をかける

移動中は2時間に1回は水を与え、定期的にこっそりのぞいて様子を確認したり、優しく小さな声で声をかけてあげます。

猫は環境の変化に敏感なので、引っ越しの移動中は特にストレスを感じやすいです。声をかけることで、飼い主の存在を感じて安心感を得ることができます。また、途中でトイレが必要になることもあるので、トイレ休憩も忘れずに取りましょう。

猫引っ越しサービスを利用する

一部の引っ越し業では、「猫専用の輸送サービス」を提供しているため、利用も検討してみましょう。

猫引っ越しサービスでは、空調や送風孔が完備された専用の車両で、猫が入ったキャリーケースを運搬してくれます。また、業者によっては輸送中の事故による猫の怪我に対して保険がかかっており、医療費などを補償してもらうことも可能です。

【引っ越し後】猫へのストレスを軽減するための新居作りと心構え

新居に慣れるには、平均1〜2週間かかるといわれています。ほんの少しの工夫で猫のストレスを軽減できるポイントがあるので、ぜひ試してください。

できるだけ家具を買い替えない

新しい家具には自分の匂いがついていないので、猫を不安にさせてしまう一因となることがあります。そのため、できるだけ家具は買い替えないようにしましょう。

家具の配置も猫が新居に慣れるまでは、できるだけ旧居と同じ配置にするのがおすすめです。

猫が隠れたり、安心できる場所をつくる

初めての場所では緊張や不安から、物陰に隠れたり、ケージに引きこもったりするなど警戒する動きをします。新居に来たら、猫が隠れられる安心できる場所をつくり、ストレスを軽減してあげましょう。

少しずつ慣れてくると、新居の環境に興味を示し、探検するようになるので、慣れるまでは猫のペースに任せることが大切です。

自分の匂いが感じられるものを用意する

猫はにおいによって、縄張り(テリトリー)を把握します。そのため、まだ自分のにおいが付いていない状態の新居は、猫にとって安心できる環境ではありません。

猫にとって安心できる環境を用意するために、猫が愛用していた椅子やキャットタワー、寝場所にしていた布団やカーペットなどは買い替えずに新居に持っていきましょう。

壁や柱に体を擦り付けるなどして「においつけ」を行い、新しい環境に慣れようとする猫も多くみられます。飼い主さんが柔らかい布で猫の頭部を優しくなで、その布で部屋の壁やいすの脚、ソファなどをこすり、「においつけ」を手伝ってあげるのもよいでしょう。

さらに、前日のトイレの処理をせずに、猫自身の匂いがついたままの砂にすることで、新居で排泄もスムーズにしてくれます。

スキンシップを積極的にとる

飼い主さんとの適度なスキンシップは、猫のストレスの軽減にとても有効です。普段より大きいストレスを感じているため、いつもより多めに撫でたり、抱っこしたりなどスキンシップをとり、猫が安心感を得られるようにしましょう。

しかし猫へ過剰なスキンシップは精神的な負担になるため、猫のペースに合わせてあげることが大切です。

獣医師が教える、猫と迎える引っ越しによくある質問

獣医師として動物病院で勤務している私が、よく尋ねられる猫との引っ越しに関する疑問について答えていきます。

引っ越し前日のご飯はどうすればいい?

車や電車などの移動中に乗り物酔いによる嘔吐を防ぐためには、引っ越し前日の夜ご飯は少し少なめに与えます。さらに、引っ越し当日の朝ご飯は少なめにし、移動の2時間前からは何も与えないようにしましょう。

引っ越しのストレスが命に関わることはある?

引っ越しのストレスが原因と見られる死亡例がわずかながら確認されますが、よほどのことがない限り、命に関わることは少ないです。しかし、前述したストレスサインが何日も現れているにも関わらず、放置し続けると命を脅かす場合もあります。

引っ越しは大きなストレスになるため、もし猫にストレスサインが見られたら、早めに動物病院を受診するようにしましょう。

引っ越しで猫の寿命が縮んでしまう?

「引っ越しを経験した猫は寿命が短くなる」という、明確な報告はありません。しかし、上記のような死亡例や、ストレスが原因で体調を崩したり、病気になったりと、結果として寿命を縮めることはあるでしょう。

やはり猫にストレスがかからないよう、できる限り配慮しながら、引っ越し作業を進めることが重要です。

猫が引っ越し先で鳴き続けている場合の対処法は?

新居で猫が鳴き続けたり、夜泣きしたりする場合は、相当なストレスを感じていると思われます。新居に安心して過ごせる場所を作ったり、スキンシップを図ったりして、少しでもストレスを軽減させるようにしてみましょう。

それでも鳴くのが治らない場合には、飼い主さん1人で抱えこまず、動物病院で相談してみるのがおすすめです。

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猫と迎える引っ越しをスムーズに行おう!

引っ越しは猫にとって大きなストレスとなるイベントですが、適切な準備と対応を行うことで、愛猫が新しい環境にスムーズに適応できるようになります。

今回の内容を押さえたうえで、新居への引っ越しを行いましょう。