賃貸物件は何か月前から契約できる?物件探しを始める時期はいつくらいから?

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就職や進学で一人暮らしを始めたり、結婚などの理由で引っ越しをしたりするとき、いつからお部屋探しをすればよいかに悩む人は少なくありません。スケジュールがタイトになるのは避けるべきですし、半年先のお部屋探しでは今の空室状況が一変しており参考にならないでしょう。

そこで、今回はお部屋探しを始めるのに適した時期について解説します。賃貸契約には実はさまざまな制約や慣習があり、思い通りにならないこともあります。そのため、賃貸契約の実情と裏側を知ることで、有利にお部屋探しを進めることができるのです。

初めてお部屋を借りる人にも、何度もお部屋探しをしている人にも役立つ内容になっています。ぜひ最後までお読みください。

賃貸物件は何ヶ月前から契約(予約)できる?

賃貸契約は、申込をしてから1ヶ月以内に引き渡しまでを終えるスケジュールが一般的です。家主さんや管理会社によっても異なりますが、申込をする日から1ヶ月以上先の契約開始日の設定は交渉となり、家主さんや管理会社の特別な承諾が必要と考えるべきです。

なお、賃貸契約において「予約」という概念は原則ありません。つまり、賃貸物件へ申込書を記入することは、契約に向けてスタートすることと同義です。

もちろん、やむを得ない事情によりキャンセルをすることも可能ですが、キャンセルのタイミングによっては違約金がかかるなど、思わぬトラブルに発展する可能性も否定できません。

賃貸契約のキャンセルや仮押さえについては、以下の記事も参考になります。

▼関連記事

「賃貸物件申し込み後のキャンセルは可能?違約金が発生するタイミングや金額、手順について」

「賃貸物件の仮押さえとは?その手続きとルール、キャンセル違約金について」

「すぐに契約はできないが賃貸物件は早めに押さえておきたい」という人におすすめの物件

「契約したい日は決まっているから早くお部屋を押さえたい」…進学や就職によるお部屋探しでよく聞かれる悩みです。

早く契約してしまうと、カラ家賃を支払う羽目になり、出費がかさんでしまいます。このような事態を防ぐために、どのような物件が早めのお部屋探しに効果的なのかを解説します。

フリーレントの物件

フリーレントを承諾してくれる賃貸物件であれば、無駄なカラ家賃を支払う必要がありません。

そもそもフリーレントとは、契約開始日からフリーレント期間満了日までの家賃支払いが免除される制度のことです。言い換えれば、フリーレント期間は家賃がかからないため「タダ」で賃貸物件に住むことができます。なお、一般的にはフリーレント期間は1ヶ月程度であることがほとんどです。

また、フリーレントの賃貸物件では、解約時期が短期であるときに違約金が発生する可能性があるほか、相場よりも初期費用が高いケースもあります。そのため、不利益な特約が挿入されていないかは必ず確認しておきましょう。

また、「フリーレント」という文字列だけ見て高額な初期費用を支払う羽目になっては意味がありません。近隣との相場についても仲介会社の担当者へよく確認して検討するようにしてください。

家賃スライドが可能な物件

家賃スライドとは、「12月や1月の契約開始だけど、3月や4月からの家賃発生でいいよ」という、「家賃」の発生日を「スライド」してくれる制度のことです。

これは、家主さんや管理会社の募集戦略の観点から利用されることが多い制度といえます。なぜなら、例えば大学の学生をメインターゲットとしている賃貸物件の場合、春の入居を逃すことで1年間空室が続くリスクがあるからです。空室が長期化するリスクを回避するために、家賃スライドを活用することで入居者を確保するのです。

家賃スライドは上述のとおり、学生街や郊外の工場地などでよく用いられる制度であるため、市街地ではあまり見かけないかもしれません。

新築の物件

入居時期が先である人には、新築の物件がおすすめです。なぜなら、新築物件は入居時期がすなわち竣工時期であり、早く契約しても住むことができないため、おのずと家賃発生日が竣工時期になるからです。

希望する入居日と新築物件の竣工時期が近いときは、新築物件をターゲットにお部屋探しをするのも良い手法でしょう。

なお、新築物件は一般的に2月〜3月にかけて竣工される傾向にあります。なぜなら、2月や3月は異動シーズンであり、お部屋探しをする人が多いからです。

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退去予定が出ている物件

気になる賃貸物件に退去する予定が出ていたときは、そのお部屋に申込をするのも一つの手です。

賃貸物件の退去は、おおむね1ヶ月前に家主さんや管理会社に連絡することが定められています。そのため、現在人が住んでいても、退去予告が出たお部屋は募集中として情報が公開され、そのお部屋に申し込むことも可能なのです。

退去したお部屋はリフォームを行うため、おおむね退去してから1ヶ月程度すれば入居が可能になります。リフォームが完了するタイミングと引っ越し予定時期がマッチしていれば、退去予定が出ている物件を狙うのがよいでしょう。

ただし、退去予定が出ているお部屋は現在誰かが住んでいるお部屋ですので、中を見ることができません。同じタイプの他のお部屋を見ることができればよいのですが、それが叶わないときは、写真などをもとに申込をする必要があります。

初期費用が安い物件

希望条件に合致する賃貸物件が少なく、代替物件の満足度が低いときは、そのまま契約することも視野にいれなければいけません。このようなときは、初期費用が安い物件を基準にするのもよいでしょう。

家賃よりも初期費用を重視する人は少なくありません。家賃は毎月の支払いであるため収入から支払いますが、初期費用は「今手元にあるお金」から支払う必要があるからです。敷金や礼金がない物件、仲介手数料がかからない物件などが初期費用の安い物件です。

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一般的な賃貸物件の契約スケジュール

賃貸のお部屋探しでは、限られた物件と時間のなかでお部屋を見つけなければいけません。そのため、どのように賃貸契約が進むかを理解しておくのは非常に重要です。

ここでは、お部屋探しから賃貸契約がどのように進むかを解説します。

【引っ越し2ヶ月以上前】お部屋探しの開始

お部屋探しをスタートさせるタイミングは、遅くとも2ヶ月前には始めておきたいところです。引越し希望日の1ヶ月前からお部屋探しを開始すると、下記のようなデメリットがあるからです。

・今あるお部屋からしか選べないため、選択肢が限られてしまう

・引っ越しまでのスケジュールがタイトになる

多くのお部屋から理想の一室を見つけ、余裕をもった引越しを実現するためにも、お部屋探しは少なくとも2ヶ月前から始めるようにしましょう。

【引っ越し2ヶ月~1ヶ月前】内見して物件を決定・申込

お部屋探しをスタートさせたら、希望するエリアの賃貸物件をポータルサイトなどを通じてチェックしましょう。ここでチェックするポイントは、家賃相場・近隣の状況・交通機関などです。

お眼鏡に叶うお部屋があったら、不動産会社に連絡して実際にお部屋を内見します。内見では時間をかけて、お部屋の中だけでなく外部環境も確認しておくとよいでしょう。ただし、時間をかけすぎてしまうと、他の人にそのお部屋をとられてしまうこともあるため、注意が必要です。

内見してお部屋に問題がなければ、申込をして契約手続きを進めます。申込は仮押さえでも予約でもなく、明確な入居の意思表示です。可能であれば、親や同居者なども一緒に内見したり、内見に同行してもらえないときは事前に相談しておくなどすれば、やりとりが省かれるためスムーズです。

お部屋探しの方法がよくわからない、という人は不動産会社に直接相談することも可能です。

【契約1ヶ月前】契約手続き

申込をして審査に通れば、契約手続きを進めていきます。契約手続きとは、おおむね以下の一連の流れのことを指します。

・重要事項説明を受けること

・本人や連帯保証人が契約書への署名捺印をすること

・契約に必要な公的書類を提出すること

なお、昨今はIT化が進んでいるため、実際に不動産会社に足を運ぶことなく内見から契約手続きまでを行うことも可能です。お部屋探しの相談もWebツールを通じて自宅にいながらする人も少なくありません。ぜひご活用ください。

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【引っ越し2週間前】決済金の入金

決済金とは賃貸契約の締結に必要なお金のことで、敷金・礼金・先払い家賃や共益費・保証料・保険料・鍵交換費用・消毒費・仲介手数料などが含まれています。

家主さんや管理会社によって期日は異なりますが、遅くとも契約開始日より2週間くらい前には支払いを済ませておく必要があります。

入金期日は、家主さんや管理会社は入居に向けてお部屋を整える準備を進める必要があるため、期日が設定されています。鍵の交換・室内の清掃やチェック・消毒や殺虫作業の手配など、お部屋を貸す側にも準備は多数あるため、お互いに余裕を持ったスケジュールを設定することで、イレギュラーにも対応することができ、トラブルを防ぐことにも繋がります。

そしてこれら一連の手続きが完了すれば、契約開始日に鍵を預かって契約手続きはすべて終了となります。満足するお部屋探しには余裕をもったスケジュールが大切だと心得ましょう。

不用な家賃を支払いたくない・引っ越し日が確定できない人向けの契約テクニック

賃貸契約では交渉したりやり方を工夫したりすることで、有利に話が進むことがあります。

ここでは、不用な家賃を支払いたくない人におすすめの契約テクニックを紹介します。

フリーレントや家賃スライドの可否を不動産会社に確認する

地域に根差している不動産会社は、賃貸市場のみならず家主さんや管理会社の「クセ」も知り尽くしています。そのため、その知見を借りないのはもったいないかもしれません。不動産会社に相談することで、普通に借りるよりもお得に契約できる可能性がでてくるかもしれません。

仮押さえできる賃貸物件を探してもらう

家主さんや管理会社によっては、フリーレントや家賃スライドほどのインパクトはないものの、多少の猶予期間をもらえたり、検討期間を設定してくれることがあります。

これは、契約上のフリーレントや家賃スライドとは異なり、あくまでも契約日が先になる希望者に対しての「配慮」程度のものと認識すればよいでしょう。

なお、こういった配慮を獲得するには、不動産会社の協力が欠かせません。また、不動産会社の影響力も重要な要素であるため、不動産会社選びもテクニックの一つといえそうです。

退去予定が出たら連絡をもらえるようにする

不動産会社の担当者から、狙っている賃貸物件で退去予定が出たときに教えてもらうことも効率的です。

退去予告がいつ出るかはわかりませんが、「狙っていたお部屋を契約し損ねた」「契約期日が特に決まっていない」というケースなどでは非常に有効でしょう。

なお、ポータルサイトで特定の新着物件が掲載されると教えてくれる機能がありますが、それでもやはり不動産会社に依頼しておくことをおすすめします。なぜなら、希望物件がそのポータルサイトに掲載される保証がないからです。

情報を漏れなくキャッチするためには、不動産会社が一番といえるでしょう。

「賃貸物件の契約は初めて」という人が知っておくべき注意点

賃貸契約をはじめとして、不動産業界における契約は、法律と慣習によって成り立っています。そのため、一般的な常識や思い込みと異なることも少なくありません。

ここでは、初めて賃貸契約をする人に向けて覚えておいてほしい注意点を紹介します。

一般的に申込から契約開始(家賃発生)までは1ヶ月前後

本項でも何度も触れていますが、賃貸契約は思っているよりスケジュールがタイトです。その最たるポイントとして挙げられるのは、申込をしたら1ヶ月程度で家賃が発生することではないでしょうか。

これには貸主側の事情があります。例えば、あるお部屋を申込した人が、2週間経過してからキャンセルしたとしましょう。そうすると、家主さんや管理会社はあらためて募集活動を再開する必要があります。

インターネットへの掲載・募集資料の再作成・管理会社や不動産会社へのプロモーションなどの実務は意外と多いものです。さらにいえば、申込手続き中はさらに申込を受け取ることはしませんので、入居者獲得機会の損失にも繋がります。

こうした市場原理から、申込から契約開始までは1ヶ月の目安になったものと考えられます。くれぐれもスケジュール管理には気を付けましょう。

決済金の支払い前倒しが交渉の材料になる可能性がある

賃貸契約において「決済金」の存在は非常に大きいものです。なぜなら、決済金が入金されることでキャンセルがなくなることが証明されるため、家主さんや管理会社からすれば契約確定のしるしになるからです。

そんな重要な決済金を交渉に使う方法があります。申込日から契約開始日までが2ヶ月あり、フリーレントや家賃スライドなどの交渉を勝ち取りたいときに、「決済金はすぐにお支払いします」と伝えてみるのです。入居意思が固いことを決済金の先払いという形で伝えることで、交渉が通りやすくなるかもしれません。

なお、決済金の前倒しは、交渉の結果として家主さんや管理会社から依頼されることもあります。

不動産会社によって借主への協力体制は異なる

不動産会社はどこでも同じ、というわけではありません。紹介できる物件数・オンライン体制の整備・教育体制など、実はさまざまな点において違いがあります。

そこで働く営業担当者の品質にも違いがあるのは当然で、この店舗ごとに違う「営業品質」がお部屋探しの満足度が変わると言っても過言ではありません。なぜなら、不動産会社・営業担当者と家主さん・管理会社との繋がりによって、交渉結果に差が出るからです。

こういった良好な人間関係の構築は一朝一夕で実現できるものではありません。長い年月をかけて多くのお客様からの信頼を勝ち取り、多くのお客様を家主さんや管理会社に紹介してやっと得られるものです。

そのため、信頼できる満足度の高い不動産会社選びは、お部屋探しにおいて最重要事項といえるでしょう。信頼できる不動産会社のポイントは以下のような点です。

・上場企業など経営母体が大きいこと

→中小企業はダメ、というわけではありませんが、コンプライアンスの観点から企業の大きさは一定の安心感を得ることができます。(ただし、柔軟性などは中小企業のほうが勝ることもあるでしょう)

・メディアやSNSを運用し更新し続けていること

→ホームページやSNSにより積極的に情報発信をしていることのほか、情報発信が継続的に行われている不動産会社からは、総じて鮮度の良い情報が得られる可能性が高いです。

・IT化やDX化が進んでいること

→不動産業は現状、ITやDXによる効率化が課題です。システムやアプリなどの利用状況はサービス品質にも影響を及ぼすため、不動産会社選びでは参考にしたいところです。

賃貸物件の予約は基本的には不可能!計画的に契約しよう

今回は、賃貸物件において重要なスケジュール感、とりわけ申込における「予約」について解説しました。

賃貸契約では1ヶ月ルールが慣習化しており、借りる側の都合で契約開始日を自由に設定することができません。そのため、余裕をもった契約までのスケジュール管理が求められます。また、不動産会社の営業品質によっても交渉結果に差が出るため、不動産会社選びも重要な要素といえるでしょう。

これらを踏まえ、お部屋探しを始めるときには信頼できる不動産会社と二人三脚で進めることが基本です。インターネットでさまざまな情報を得ることができる今だからこそ、もちは信頼できるもち屋に焼いてもらうことの重要性があるのではないでしょうか。

この記事がお部屋探しの役に立つことを祈っています。