賃貸物件探しで狙い目の築年数とは?不動産業界人が語る良い物件を選ぶポイント

目次

賃貸物件を選ぶ際「築年数が新しい方が良いのか、それとも古い物件の方がお得なのか」と悩む方は多いのではないでしょうか。

新築や築浅の物件は設備が整い、デザイン性にも優れていますが、その分家賃が高めに設定されがちです。一方、築年数が古い物件は家賃が抑えられるものの、見た目の古さ、設備や間取りの使い勝手に不便を感じることがあります。

本記事では、宅地建物取引士の視点から、築年数ごとの特徴や、コストと快適性のバランスを取るためのポイントを解説します。これを読めば、自分にとって最適な築年数の物件を見極めることができるでしょう。

築年数が家賃を左右する理由

賃貸物件の家賃は、築年数によって大きく変動します。築年数が新しい物件ほど設備が充実し、デザイン性や耐震性も向上しているため、多くの人に選ばれやすいことから家賃の設定が高めです。

一方、築年数が古い物件は、設備の老朽化や間取りの使い勝手が現代のニーズに合わなくなることで需要が減少し、家賃が抑えられるケースが多くなります。

ここからは、築年数が家賃にどのように影響を与えるのか具体的なポイントを解説していきます。

建物・外壁の老朽化

築年数が経過すると、建物や外壁の劣化が進みます。外壁は紫外線や雨風の影響を受け続けるため、ひび割れや塗装の剥がれが発生しやすくなります。特にひび割れから雨水が浸入すると内部の鉄筋が錆び、建物の耐久性が低下する原因となります。

屋根も同様に、瓦やスレートがズレたり割れたりすると、雨漏りのリスクが高まります。こうした老朽化が進んだ物件は、見た目の印象が悪くなるだけでなく、メンテナンスの負担が増えることから入居希望者が減少し、結果的に家賃が下がる傾向にあります。

間取りの使い勝手

築年数が古い物件では、現代のライフスタイルに合わない間取りが多く見られます。

例えば、かつては壁付けキッチンが主流でしたが、現在は対面式キッチンやオープンキッチンが人気です。壁付けキッチンは壁に沿って設置されるため、ダイニングやリビングのスペースを広く確保しやすいというメリットがあります。しかし、調理中にリビングやダイニングの様子が見えにくく、家族や来客とのコミュニケーションが取りにくい点がデメリットです。

また一昔前の物件は部屋数の多い間取りが一般的でしたが、現在はリビングを広く取り、開放的な空間を重視する傾向があります。そのため古い設計のままだとリビングが狭く、圧迫感を感じやすくなります。さらに収納スペースが限られていることも多く、家具の配置が難しくなる点も家賃が下がる要因となっています。

内装・設備の古さ

築年数が古い物件では、内装や設備が時代遅れのままになっていることが多く、これが家賃が下がる要因の1つとなります。

例えば、古いキッチンではシステムキッチンが導入されておらず、狭いシンクや不十分な作業スペース、コンロの口数が少ないなど不便な面が多いです。

浴室も昔の物件ではタイル張りが主流で、冬場は床や壁が冷たく感じやすい上、浴槽が狭いことも珍しくありません。また内装のデザインが古く、壁紙や建具の色合いが現代のトレンドと異なるため、古めかしい印象を与えることがあります。加えて和室が多い物件もあり、ライフスタイルによっては使いづらく感じることがあります。

こうした設備やデザインの古さが、家賃が低く設定される理由の1つとなっています。

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耐震基準の違い

日本では1981年と2000年に建築基準法が改正され、耐震基準が強化されました。特に1981年以前に建てられた物件は旧耐震基準に基づいており、大地震時の安全性が現在の基準と比べて十分でない可能性があります。そのため、旧耐震基準の物件は入居希望者に敬遠されやすく、家賃が低く設定される傾向があります。

一方、1981年以降に建てられた新耐震基準の物件は、一定の耐震性能が確保されており、入居付けへの影響は比較的少ないといえます。2000年の改正では、基礎の補強や耐震壁の増設が義務付けられ、より高い耐震性能が求められるようになりましたが、2000年以前の物件については、耐震診断の記録を重要事項説明で提示する義務がないため、築年数のみで耐震性を判断するのは難しい部分もあります。

そのため、特に1981年以前の物件は入居者に不安を持たれやすく、家賃が下がる要因となるケースが多いです。

【宅建士監修】賃貸として狙い目の築年数とは?

賃貸物件を選ぶ際、築年数によって家賃や住み心地は大きく変わります。築年数が古くなると一般的に家賃は下がる傾向にありますが、それだけで物件を選ぶのは危険です。管理状態やリフォームの有無によって快適さや安全性が大きく異なるため、目的に応じた築年数の選び方が重要になります。

ここでは現役の宅建士が、賃貸物件を借りる際に狙い目となる築年数をケースごとに解説します。

とにかく家賃を抑えたいなら築30年以上が狙い目

家賃をできるだけ抑えたいなら、築30年以上の物件が選択肢になります。築年数が経過している分、同じエリアの新築や築浅物件に比べて家賃が低く設定されていることが多く、予算を重視する人にとっては魅力的です。

ただし築30年以上の物件では水回りや給湯設備の老朽化が進んでいることが多く、メンテナンス状況によっては入居後に修理が必要になる場合もあります。また1981年以前の旧耐震基準の物件は耐震性に不安が残る可能性があるため、リフォームや耐震補強の有無を確認し、慎重に物件を選ぶことが重要です。

コスパを重視するなら築20〜30年未満がおすすめ

家賃と住み心地のバランスを重視するなら、築20〜30年未満の物件が狙い目です。築30年以上の物件に比べて建物の劣化が少なく、適切なメンテナンスが施されているケースが多いため、比較的快適に暮らせます。またリノベーションが行われている物件もあり、内装や設備が新しくなっている場合は要チェックです。

さらに新築、築浅物件よりも管理費や敷金・礼金が低めに設定されていることが多く、初期費用を抑えやすいのも魅力です。家賃を抑えつつ快適な住環境を確保したい場合は、設備の状態やメンテナンス状況を確認しながら、コストパフォーマンスの良い物件を選ぶとよいでしょう。

新しさを求めるなら築10年未満

最新の設備や快適な住環境を重視するなら、築10年未満の物件が適しています。

新築や築浅物件はシステムキッチンや浴室乾燥機、オートロックなどの最新設備が導入されており、断熱性や防音性能も高いため、快適な暮らしが実現可能です。セキュリティ設備も充実していることが多く、単身・ファミリー問わず安心の選択肢となります。

ただ、築10年未満の物件は家賃が高めに設定されており、初期費用も高くなる傾向があります。また新築物件では内見ができないケースもあり、実際に住んでみると「想像と違った」と感じることもあるため注意が必要です。

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築年数が古い物件の注意点

築年数が古い物件は家賃の安さや広めの間取りなどのメリットがありますが、老朽化による設備トラブルや快適性の低下といったデメリットもあります。特に入居後の生活に影響を及ぼす要素は事前に確認しておくことが重要です。

ここでは、築年数が古い物件を選ぶ際の注意点について解説します。

水回り設備の老朽化

築年数が経過した物件では、キッチンや浴室、トイレなどの水回り設備が劣化していることが多く、故障や使い勝手の悪さが問題になることがあります。特に排水管の詰まりや蛇口の水漏れ、換気設備の不具合は築年数が古いほど発生するリスクが高く、入居後のトラブルにつながることもあります。

キッチンにおいては、排水の流れが悪いケースや換気扇が十分に機能しないことがあり、タイル張り浴室では床や壁が冷たく、滑りやすいといった課題が見られます。また給湯器の性能が古いとお湯の温度が安定しにくく、トイレでは水圧が低いため流れが悪いケースもあります。さらにマンションの上階では水圧不足が起こりやすいため、内見時に水を流すなどの動作確認をしておくと安心です。

耐震性に不安がある物件が一部存在する

日本は地震の多い国であり、築年数が古い物件では現行の耐震基準を満たしていないケースもあるため注意が必要です。特に1981年以前に建てられた物件は、旧耐震基準で設計されており、大地震時の安全性に不安が残る場合があります。

鉄筋コンクリート造の建物でも、古いものでは鉄筋の配置が不適切な場合があり、大きな地震で損傷を受けるリスクがあります。木造アパートでは、柱や梁が細く補強が不十分な場合があり、倒壊の危険性が高くなることもあります。

物件選びの際は、耐震補強工事の有無や耐震診断の実施状況を確認することが重要です。また建物の耐震性だけでなく、地盤の状態も影響を与えるため、埋立地や軟弱地盤のエリアにある物件では、液状化のリスクも考慮する必要があります。

防音性や断熱性能の低さ

築年数が古い物件は、壁や床の構造が簡素なため、防音性が低く隣室や上階の生活音が響きやすい傾向があります。特に木造アパートや軽量鉄骨造では、会話やテレビの音、足音などが伝わりやすく、騒音トラブルの原因になることも。

対策として、内見時に壁をノックして音の響きを確認したり、実際に住んでいる人の口コミを調べるのが有効です。耳栓や防音カーテンの使用で軽減はできますが、根本的な改善にはならないため、最初から防音性の高い物件を選ぶのが理想的です。

断熱性能の低さも築古物件のデメリットの1つです。断熱材が不十分なことが多く、冬は暖房をつけても暖まりにくく、夏は冷房をつけても室温が下がりにくい傾向にあります。

特に窓ガラスが単層ガラスの場合、外気の影響を受けやすく結露が発生しやすくなるため注意が必要です。二重サッシやペアガラスの導入がされている場合は、一定以上の断熱性が確保できるでしょう。

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新築物件の注意点

新築物件は最新設備が整っており、デザイン性が高い点も魅力ですが、気をつけるべき注意点もいくつかあります。ここではお部屋探しで新築物件を検討する際の注意点について解説します。

家賃が割高になる傾向にある

新築物件は、築年数が経過した物件と比べて家賃が高く設定されることが一般的です。最新の設備やデザイン性に加え、建築コストの上昇も影響しており、特に都市部や駅近の新築物件では相場より高額になるケースが多く見られます。

また新築物件は管理費や共益費が高めに設定される傾向があります。これはエレベーターや宅配ボックス、防犯カメラなどの維持管理費が発生するためです。新築物件を検討する際は、家賃だけでなく管理費や共益費を含めた月々の固定費全体を考慮することが大切です。

賃貸契約時の初期費用も高くなりやすい

新築物件は契約時の初期費用が高額になりやすい傾向があります。特に敷金・礼金が高めに設定されているケースが多く、人気の物件では合計で家賃5ヶ月分以上の費用がかかることも珍しくありません。そのため初期費用の負担が大きくなりやすい点には注意が必要です。

また新築物件は全ての設備や内装が新品の状態で提供されるため、退去時の原状回復費用が高額になる可能性があります。例えば、フローリングや壁紙に小さな傷がついただけでも交換対象となり、築古物件に比べて修繕費用がかさむケースもあります。新築物件を選ぶ際は、契約時や退去時にかかる費用も考慮し総合的に判断することが重要です。

完成前の物件は内見ができないことがある

新築物件の中には、建設が完了する前に募集が開始されるケースがあります。この場合、実際の部屋を確認できないまま契約しなければならず「間取りが想像と違った」「思っていたよりも日当たりが悪い」などのギャップを感じることもあります。

また内見ができないため、周辺の騒音や治安の問題、日当たり、風通しといった重要な要素を事前に確認できない点もデメリットです。図面上では開放的に見えていた部屋が、実際には隣の建物と近すぎて圧迫感があることもあります。

こうしたリスクを避けるには、同じ建築会社が過去に建てた物件を参考にしたり、建設予定地を訪れて周辺環境を確認したりすることが有効です。

工期が遅れる場合がある

新築物件は、工事の進捗状況によって完成が遅れることがあります。天候不順や資材の不足、建築基準法の審査遅れなど、さまざまな要因で引き渡しが遅れることがあり、予定していた入居日に間に合わないケースもあります。

特に、引越しシーズンの3月や9月は工事業者のスケジュールが混雑しやすく、引き渡しが遅れるリスクが高まります。この場合、前の住居を退去した後に新居へ入居できず、一時的にマンスリーマンションやホテルを利用する必要が出てくることもあり、余計な出費が発生する可能性があります。

新築物件を契約する際には、工期遅延が発生した場合の対応について不動産会社と話し合っておくことが重要です。

築年数以外に狙い目になる物件条件

賃貸物件を探す際、築年数は重要な判断基準の1つですが、それだけで物件の良し悪しを決めるのは早計です。築年数が古くても魅力的な物件は多く存在し、逆に築浅や新築でもデメリットがあることもあります。

そこで築年数以外にチェックすべきポイントを解説します。これらの条件を考慮することで、よりコストパフォーマンスの高い物件を見つけることが可能になるでしょう。

リノベーション済物件は狙い目

築年数が古い物件でも、リノベーションが行われている場合は快適な住環境を確保しやすくなります。

リノベーション済み物件では、内装が一新されていることが多く、壁紙や床材が新しくなっていたり、キッチンや浴室などの設備が最新のものに交換されているケースもあります。そのため、築年数が経過していても見た目や住み心地は築浅物件と遜色がなく、新築に比べて家賃も抑えられるためコストパフォーマンスが高い選択といえるでしょう。

またリノベーションの際に間取りの変更が行われていることもあり、従来の狭い部屋をつなげて広々としたリビングを作るなど、現代のライフスタイルに合った設計になっていることが多いです。築年数にこだわらず快適な住まいを求める人にとっては魅力的な物件の1つといえます。

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インターネット無料物件はお得

最近ではインターネット無料の物件が増えており、毎月の通信費を節約できるため、特にテレワークや動画視聴の頻度が高い人には魅力的です。

通常の賃貸物件では入居後に回線契約や開通工事が必要ですが、インターネット無料の物件なら手続きが不要ですぐにネット環境を利用できます。転居直後からオンライン環境が必要な人にとって、利便性の高い条件といえるでしょう。

ただし、物件によっては回線の速度が遅かったり、接続が不安定なこともあるため注意が必要です。特に管理会社が指定したインターネット回線を使うケースでは、自分が希望する速度や通信環境に合っているかを事前に確認しましょう。オンラインゲームや高画質の動画を頻繁に利用する人は、Wi-Fiの有無や回線の種類もチェックしておくと安心です。

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1階や日当たりの悪い物件はリーズナブルな傾向にある

賃貸物件の家賃は、部屋の階数や日当たりの条件によって変動します。特に1階の部屋や日当たりの悪い物件は、同じ建物内でも家賃が低めに設定されることが多く、予算を抑えたい人にとって狙い目です。

1階の部屋は防犯面で不安を感じる人が多いため、一般的に上層階より安くなりますが、オートロックや防犯カメラ付きの物件なら安心感を得られます。またエレベーターがない建物では、1階なら階段の上り下りが不要なため、大きな荷物の持ち運びがしやすくなります。

日当たりの悪い物件も、家賃が安くなる要因の1つです。特に北向きの部屋や周囲に高層ビルがある物件は、採光が制限されるため、相場より安くなりやすい傾向にあります。ただし、日中は仕事や学校で外出している人には影響が少なく、室内照明や明るい色のインテリアを工夫すれば快適に暮らすことも可能です。

家賃を抑えつつ、条件に応じた対策を取ることで、コストパフォーマンスの高い選択肢になるでしょう。

立地や周辺環境も重要な要素

物件選びでは、築年数や設備だけでなく、立地や周辺環境も非常に重要なポイントです。最寄り駅までの距離や交通機関の本数は、通勤・通学の利便性に大きく影響します。

車を所持していない場合は、徒歩圏内にスーパーやコンビニ、病院、銀行などがあるかを確認することも大切です。特に24時間営業の店舗や深夜まで営業しているスーパーが近くにあると、生活の利便性が向上します。

治安の良し悪しも住み心地に大きく関わるため、周辺の雰囲気を昼と夜の両方でチェックしておくと安心。駅からの帰り道が暗い、深夜営業の飲食店や繁華街が近いといったエリアでは、騒音や防犯面での不安が増えることがあります。

また近隣に住んでいる人の層や騒音レベルを事前に把握することで、入居後のトラブルを防ぐことができます。物件の築年数や家賃だけでなく、生活環境全体を考慮して選ぶことで、快適な暮らしを実現しやすくなります。

賃貸で狙い目の築年数物件があるかチェック!

賃貸物件を選ぶ際、築年数は家賃や住み心地に影響を与える重要な要素ですが、それだけで判断するのは避けるべきです。築年数が古くてもリノベーションされていれば快適に暮らせることもありますし、新築物件でも家賃や初期費用が高くなりやすいなどのデメリットがあります。

またインターネット無料物件を選べば通信費を節約できたり、1階や日当たりの悪い物件を選ぶことで家賃を抑えられるといったメリットもあります。さらに立地や周辺環境を重視すれば、生活の利便性が高まり、より快適な暮らしにつながります。

物件選びでは築年数だけにとらわれず、自分にとって何を優先すべきかを明確にし、設備の状態や立地などをバランスよく比較することが大切です。情報収集や内見をしっかり行い、最適な住まいを見つけましょう。