引越しは荷造りや片付けに追われるうえに、インターネット回線の移転手続きやガスの開栓などやらなければならないことがたくさんあります。なかなか落ち着かない状況かとは思いますが、住民票の異動手続きも済ませておく必要があります。
手順通りに進めることができれば、住民票の手続きはそこまで難しいものではありません。同じ市区町村内で引越しする場合と、違う自治体へ引越す場合は手続きが異なりますので、今回はそれぞれの手順の違いと必要書類の種類について解説します。
住民票とは?
ご存じの方も多いかとは思いますが、住民票には主に以下の内容が記載されています。
・住所、氏名、生年月日、性別
・世帯主の氏名、世帯主との続柄
・戸籍の表示
・住民となった日
・届出の年月日、前住所
・住民票コード
また、現在住んでいる市区町村で行政サービスを受けるためには現住所の住民票が必要で、住民票の異動をしないと対象外となってしまいます。主に以下のようなサービスが受けられなくなるので、忘れずに手続きを済ませておかなければなりません。
・国民健康保険
・介護保険
・後期高齢者医療
・国民年金
・児童手当
・生活保護
・子ども医療費助成
・予防接種(定期予防接種、コロナワクチン接種など)
・印鑑登録
・マイナンバーカード登録
・がん検診
・婦人科検診
・各種補助金
行政サービスは自治体によって多少異なるため、引越しを検討する際など自治体のホームページなどで確認してみると良いでしょう。
引越し後は絶対に住民票を移す必要がある?
実は引越しをした場合、住民票を移す義務があるとされる場合と、基本的には移す必要がなく、任意とされているケースがあります。それぞれ以下の通りです。
住民票を移す必要があるケース
住民票を移す必要がある場合は以下のようなケースです。
・引越しが定住を目的とする場合で、おおむね1年以上を想定している場合
・生活の拠点が変わる場合
住民票を移さなくても良いケース
住民票を異動することは義務であるものの、以下のような正当な理由がある場合は住民票を移す必要がなく、任意とされています。
・引越しが一時的なもので、期間が1年未満を想定している場合
・単身赴任や通学のために引越しをしたが、週末は自宅(実家)に帰るため生活拠点が変わらない場合
状況によって住民票を移す・移さないが変わってくるので、手続きの前に確認しておきましょう。また、住民票の手続きと一緒に引越し業者探しも進めておく必要があります。信頼と実績が豊富にある業者であれば安心して任せられるので、見積もりやプランなどに不安を抱えている方は一度相談してみてはいかがでしょうか。
引越しで住民票を移さないことによるデメリット・注意点
正当な理由がないのにもかかわらず、引越しをした日から14日以内に住民票の異動の届出をしない場合、5万円以下の過料に処されることがあります。(住民基本台帳法第52条第2項)。また、このほかにも以下のようなデメリットがあるので、忘れずに手続きを済ませておく必要があります。
①各種証明書を発行してもらう場合、旧住所の役所に出向く必要がある
各種証明書とは以下に挙げる書類のことで、旧住所が遠方の場合はとても手間がかかります。
・住民票の写し
・住民票記載事項証明書
・戸籍証明書、戸籍の附票の写し
・印鑑証明書
郵送で取得する方法もありますが、急いでいる場合は日数がかかるので注意が必要です。
②選挙に行く場合、旧住所での投票となる
住民票が移っていない場合、選挙の投票は旧住所の自治体へ出向く必要があります。また郵便物の転送手続きをしていない方は、そもそも投票所入場券が届かないためご注意ください。なお、投票所で選挙人名簿に登録されている本人であることの確認ができれば投票そのものは可能です。
住民票を移してから3ヶ月経過後は、引越し先の市区町村で投票できますが、3ヶ月に満たない場合は、旧住所の市区町村で投票しなければなりません。これは、選挙人名簿登録基準日において3ヶ月経過していることが条件になります。
③運転免許証の更新も旧住所の管轄地で行う必要がある
運転免許証の更新も旧住所の警察署や運転免許更新センターなどになり、これもまた郵便物の転送手続きをしないと更新の通知が届きません。万が一更新を忘れてしまった場合、運転免許証は失効となるため注意してください。
引越しで住民票を移す流れ
ここからは住民票を移す流れについて解説します。元の住所と同じ市区町村に引越しするケースと、元の住所と違う市区町村に引越しするケースでは多少異なります。また、手続きに必要となるものも紹介してきますので参考にしてみてください。
(なお、ここで紹介しているものは”一般的に”必要とされるものであり、自治体によっては準備するものや申請方法が異なる可能性があります。引越し元、引越し先それぞれの自治体で確認・問合せをすることをおすすめします)
同一市区町村内での引越しを行う場合
同じ市区町村内で引越しを行う場合は、最寄りの役所へ「転居届」を提出します。これで住民票を移したことになります。
本人が役所の窓口で行う場合
自分で役所へ出向いて行う場合は、役所の窓口に用意されている「住民異動届」の転居届の欄にチェックを入れ、その後必要事項を記入して提出します。転居届が受理された時点で住民票を異動したことになります。なお、届出自体は無料ですが、住民票の写しの交付手数料は1通につき300円です。
<準備するもの>
・本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
・マイナンバーカード(持っている方)
・印鑑(自治体によっては不要)
このとき、顔写真がついていない健康保険証や年金手帳であれば2種類必要です。また、印鑑が必要ではない市区町村もありますが、念のため持参することをおすすめします。
代理人が役所の窓口で行う場合
同一世帯の場合は本人以外の人が手続きをすることは可能ですが、親戚や友人などが行う場合は委任状が必要になります。委任状の書式は一般的なもので構いませんが、自治体の窓口もしくはホームページに用意されていることが多いのでご確認ください。
<準備するもの>
・委任状
・引越しをする人の本人確認書類
・マイナンバーカード(持っている場合)
・印鑑(自治体によっては不要)
・代理人の本人確認書類
・印鑑(自治体によっては不要)
他市区町村への引越しを行う場合
他の市区町村へ引越す場合は、旧住所と新住所の市区町村の役所に対し、それぞれ手続きが必要になります。
本人が役所の窓口で行う場合
まずは旧住所の役所に出向き、転出証明書を受け取りましょう。自治体によって異なりますが、引越しの2週間前から転出届を提出することができます。引越し当日に提出する必要はありませんので、早めに提出しておいた方が良いでしょう。
この転出届は前述の通り郵送でも可能ですが、転入届は実際に役所にて行う必要があります。なおマイナンバーカードとネット環境が整っていれば、オンライン申請ができる市区町村もあります。詳しくは管轄の役所へお問い合わせください。
<準備するもの>
・本人確認書類
・マイナンバーカード(持っている場合)
次に新住所の役所へ出向き、転入届を提出します。住み始めてから14日以内に届出を行う必要がありますが、引越し予定の日付では届出することができませんのでご注意ください。
<準備するもの>
・旧住所の市区町村で入手した「転出証明書」
・顔写真付きの本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
・印鑑
先述したように、顔写真がついていない健康保険証や年金手帳であれば2種類必要なので、上記3つの中から選んで持参すると良いでしょう。印鑑も同様に、念のため持参することをおすすめします。
代理人が役所の窓口で行う場合
同一世帯の人以外が行う場合は、委任状が必要になります。また新住所で同一世帯になる場合でも旧住所で別の世帯の場合は委任状が必要ですのでご注意ください。
基本的には本人が役所に出向いて行う方法と同じです。旧住所の役所で転出届を行い、新住所の役所へ転入届を提出します。
<準備するもの>
・委任状
・転出証明書(旧住所の市区町村で発行されたもの)
・引越しをする人の本人確認書類
・マイナンバーカード(持っている場合)
・印鑑(自治体によっては不要)
・代理人の本人確認書類
・印鑑(自治体によっては不要)
住民票以外にも住所変更が必要なもの
ここまで住民票の手続きについて解説しましたが、住民票以外にも住所変更が必要なものがあります。一般的には以下のようなものが挙げられるので、漏れがないようにリストアップしておくようにしましょう。
・運転免許証
・国民健康保険(加入者のみ)
・国民年金(加入者のみ)
・マイナンバーカード
・車庫証明
・車検証
・電気、ガス、水道
・携帯電話
・NHK
・生命保険
・クレジットカード
・銀行
・オンラインショッピング、サブスクリプションサービス
・学校や勤務先
上記の住所変更と同時に、引越しの準備も進めておかなければなりません。以下で紹介している大手の業者なら比較的リーズナブルな価格で引越すことができるため、「どの引越し業者を選べばいいかわからない…」と悩んでいる方は一度問い合わせてみてください。
引越ししたら住民票を移すのを忘れずに!
引越しの前後は荷造りや掃除などに追われ、面倒な住民票の手続きをつい後回しにしがちです。しかし、決められた期間内に住民票を移さないと過料に処されることがありますので気をつけましょう。
また、郵便局への住所変更手続き(転送サービス)を忘れてしまい、請求書が届かず滞納してしまうといったトラブルも少なくありません。清々しい気持ちで新生活のスタートを切れるよう、住民票の異動や各種住所変更などの手続きは忘れずに行いましょう。