家賃滞納が続くと心配や不安が募るばかりです。しかし、家賃を滞納するほど生活に困窮しているときは、滞納中であっても家賃を見直すことで改善のきっかけになるかもしれません。
今回は、滞納という厳しい状況下で新たな住まいを見つけるための具体的な方法と注意点をお伝えします。
安心して新しい生活をスタートさせるためにも、ぜひ最後までお読みください。
【結論】家賃滞納中でも引っ越しはできる!ただし状況によっては難しいことも
家賃を滞納中であっても引っ越しをすることは可能です。
しかし、滞納家賃は借金と同じことです。家主さんや管理会社からすれば「引っ越す前にこの借金をなんとかしてほしい」と思われる・告げられることは避けられません。また、滞納の履歴があることがバレることで、新居探しが困難になるケースも考えられます。
そのため、原則として家賃滞納は起こさないこと、滞納が発生しそうなときは発生前に連絡をするなどの対処が重要だと心得ましょう。
家賃滞納中の引っ越しが難しい状況
家賃滞納中でも引っ越しをすることは可能ですが、「できる」と「実際に行う」の間には大きな壁があるものです。ここでは、引っ越しが難しい具体的なシチュエーションを解説します。
引っ越しをするための資金がないとき
引っ越しに要する費用の問題が最初に考えられることです。引っ越しには、以下のように様々なお金がかかります。
・新しい部屋を契約するための初期費用
・今のお部屋を解約したときの原状回復費用
・引っ越し会社に支払う費用(レンタカーを借りる費用)
これらのまとまったお金を工面することができなければ、そもそも引っ越しをすることはできません。
家賃滞納に関する取り交わしをしているとき
家賃を滞納していると、家主さん・管理会社・保証会社と返済計画について書面の取り交わしをしていることがあります。書面には返済計画のほか、違約条項が盛り込まれることが一般的です。そのため、今の賃貸契約が終了するときには書面に基づき一括返済する必要性があります。
書面の取り交わしをしているときは、書面の内容に基づいた対応が求められることを覚えておきましょう。
引っ越し先の管理会社や保証会社が同じとき
現在滞納している人や滞納の履歴がある人へ「お部屋を貸してあげよう」と考える家主さんや管理会社は稀です。そのため、滞納の事実を知りうる立場にある管理会社や保証会社が引っ越し先でも関係するときは、引っ越しは困難といえるでしょう。
いずれの理由においてもお金の問題であることには変わりありません。現在の蓄えを滞納の返済に充てたとしても、その後の移転費用が調達できなくなるため、引っ越しの実現性は乏しいように感じます。
家賃滞納中でも引っ越しできる賃貸物件を探すポイント
家賃を滞納中のお部屋探しでは、どのような点に注意すればよいのでしょうか。ここでは、特に気を付けておきたいポイントを紹介します。
家賃が安い物件に限定して探す
もっとも重要なことは、家賃を安い物件に限定して探すことです。理由は大きく2つあります。1つ目は、家賃を下げて必要経費を圧縮するため。もう1つは、家賃が安い物件を選び、大家さん・管理会社・保証会社などの審査を通りやすくするためです。
引っ越しの理由は不動産会社を通じて大家さんや管理会社に伝える必要があります。滞納の履歴まで伝える必要はありません。しかし、経済的な理由で家賃を下げるための引っ越しであると伝えることで、引っ越しの理由に正当性が保たれ、審査に通りやすくなるでしょう。
なお、家賃の滞納に伴う引っ越しをお考えのときは、不動産会社には事前に伝えておいてください。なぜなら、審査に通りやすいお部屋を紹介してくれるほか、予算の歯止めになるからです。「家賃〇〇円までで探してください」と具体的にリクエストしておくことで、スムーズにお部屋探しを進めることができるでしょう。
別の大家さんや管理会社の物件から探す
滞納している事実を知っている大家さん・管理会社・保証会社の関係する賃貸物件以外からお部屋探しをすることも重要です。なぜなら、滞納している人を審査に通すとは考えられないからです。
こういった情報は不動産会社に聞くと教えてくれます。引っ越しの理由や経緯を話しておけば、不動産会社がうまく配慮してくれる可能性があります。
連帯保証人を決めてから物件を探す
保証会社のみならず、連帯保証人になってくれる人を探してからお部屋探しをすることも一つの方法です。連帯保証人の準備があることを伝えることで、家主さんや保証会社からの評価があがり、審査が通りやすくなる可能性があるからです。
別の人に契約者になってもらう
自分以外の人に契約者になってもらう方法も考えられます。当然、通常と異なる契約形態ですので理由などを聞かれる可能性は高いですが、家主さんや管理会社によっては聞き入れてくれることもあります。
なお、ここでいう「別の人」とは、友人や同僚ではなく親族など血縁関係のある人が望ましい傾向にあります。血縁関係のない知人友人では、何かのきっかけで人間関係が希薄になることが考えられるため、家主さんや管理会社から謝絶されるからです。
いずれのケースも、不動産会社との連携が非常に重要です。そのため、不動産会社には隠し事はせず正直に相談したうえでお部屋探しを進めるようにしましょう。
家賃滞納中の引っ越しについてよくある質問
賃貸仲介の現場では、滞納している人や与信に不安がある人からの相談は少なくありません。そこで、ここでは家賃滞納中のお部屋探しをするとき、よくお客様から聞かれる質問について回答いたします。
Q.引っ越し手続きの仕方は変わる?
A.滞納の有無にかかわらず、賃貸借契約の締結に向けた手続きはすべて一緒です。特に変わったことをする必要はありませんし、異なる書類などを提出することもありません。
Q.もし引っ越した場合でも、滞納金を支払う必要はある?
A.引っ越しが完了したあとに、以前の契約で以下のことがあるときは、支払いをしなければなりません。
・家賃などの滞納金が残っているとき
・退去に伴う原状回復費用の負担があるとき
・退去時に支払うべき違約金があるとき
一括払いが理想ですが、困難な場合は家主さん・管理会社・保証会社に支払意思を伝え、分割払いの相談をしましょう。
Q.滞納歴は信用情報機関のデータに残る?
A.滞納すると信用情報に傷がつく可能性は否定できません。厳密にいえば、滞納が長期化すると信用情報に傷がつくことになります。
例えば、家賃振込の数日の遅延や残高不足による引き落とし不備程度で傷はつきません。しかし、未払いが明らかになった後も支払に応じない事態が続けば信用情報に傷がつくことになります。
「家賃の支払ごとき」と考えるのはNGです。家賃滞納は信用情報に影響し、携帯電話の一括購入や住宅ローンが難しくなるなど、今後の生活に大きな支障を与えます。
くれぐれも、家賃の支払いは契約書に基づき適切に行ってください。そのためにも、自分が支払える家賃を考えお部屋探しをすることが重要といえます。
家賃滞納中であっても、引っ越しをすること自体は可能
家賃滞納はすべきでない、ということは言うまでもありません。しかし、もし滞納中に引っ越しを検討せざるを得ない状況に陥ったときは、不測の事態に備えた家賃設定を心掛けることが重要です。
まず、現在の滞納状況を整理し、新しい住まいでは同じ問題が起きないよう、家計を見直すなど、無理のない家賃で賃貸物件を探すことが大切です。また、家主さんや管理会社などに事情を正直に相談し、協力を求めることも検討してみてください。信頼を築きながら着実に前に進むことで滞納問題は必ず解決できます。
引っ越しは新たなスタートの機会でもあります。計画的に、そして前向きに取り組みましょう。