賃貸物件を探す際、家賃が安くなる時期があるかないかというのは、多くの人が気になる重要なポイントです。
実際に、時期によって家賃や初期費用が大きく変動するため、賃貸契約のタイミングを見極めることが重要です。特に、引越しの費用を抑えたいと考える人にとって、繁忙期と閑散期の違いは大きな意味を持ちます。
そこで今回は、これから賃貸物件を探す人に向けて、不動産業界歴10年のプロが実際の経験を元に「賃貸物件の家賃が安い時期」や「無理のない範囲で安くなる交渉術」を詳しく紹介します。賢く賃貸物件を選び、お得に新生活をスタートさせるための情報が満載ですので、ぜひ参考にしてください。
時期によって賃貸物件の家賃は安くなる?

賃貸物件の家賃は、季節や市場の需要によって大きく変動します。多くの人が引越しを考えるのは新生活が始まる春先ですが、需要が高まるため家賃が高騰しがちです。
一方で、引越しの需要が低い時期には、大家さんも入居者を確保するために家賃を下げる傾向があります。こうした市場の動きを理解することで、賢く物件を選ぶことが可能です。
賃貸物件の価格が変動する理由
賃貸物件の価格は、さまざまな要因によって変動します。要因を理解することで、最適な時期に物件を探すことができ、コストを抑える手助けとなります。ここでは、賃貸物件の価格が変動する5つの理由を詳しく解説します。
需要と供給のバランス
賃貸市場では、需要と供給のバランスが価格に大きな影響を与えます。新年度や新学期が始まる1〜4月、そして春や秋の転勤シーズンには需要が高まり、価格が上昇する傾向です。
一方、夏の終わり(7〜8月)や年末(12月)には需要が低くなり、空室が増えるため、価格が下がる傾向があります。時期による需要と供給バランスを把握しておくことで、賃貸物件をよりお得に契約することが可能です。
季節的な要因
賃貸物件の価格は、季節的な要因も関係あります。たとえば春は、前述の通り学校や企業の新年度が始まる時期です。そのため、学生や新社会人の移動による引越しの需要が高まり、価格が上昇します。
夏は学生の夏休み期間中になり、引越しや家族の移動が少ないため、価格が低くなることが多いです。秋は企業の異動がある時期で、再び引越しの需要が高まり、価格が安定または上昇することがあります。
冬は、寒さから引越しを避ける人が多く、賃貸需要や家賃が下がる傾向にあります。
経済状況
景気が良い時期には所得が増加し、より良い住環境を求める人が増えるため、賃貸需要が高まり物件価格も上昇します。
一方、景気が悪化すると家計の節約を図る人が増え、賃貸物件の需要が減少し、価格が下がりがちです。可能であれば、経済状況によって引越しの時期を見極めることも重要です。
地域の発展状況
鉄道や道路の整備、新たな商業施設の開発などにより、地域の魅力が増すと賃貸物件の需要が高まり、賃貸価格が上昇します。また、再開発プロジェクトにより古い建物のリニューアルが進む地域では、賃貸物件の価値が上がり、価格も上昇する傾向があります。
地域の発展状況をチェックすることで、将来の価格動向を予測することが可能です。
競合物件の数や条件
新築物件が多くなると、古い物件の価格が下がります。また、高級物件が増えると周辺の一般的な賃貸物件の価格にも影響を与え、全体的な価格が上昇します。
適切な時期に物件を探すことで、よりお得に賃貸物件を見つけられるため、知っておくと便利です。
価格変動の理由からわかる、賃貸物件の家賃が安い時期

賃貸物件の家賃が安い時期を見つけるためには、価格変動の理由を理解することが重要です。需要と供給のバランスや季節的な要因が影響し、特定の時期には家賃が下がります。
家賃が安くなる時期を狙って引越しを計画することで、初期費用を抑えることが可能です。ここでは、時期ごとに家賃が安くなる理由を詳しく解説します。
年末年始(12月・1月)
年末年始は、大晦日や正月などのイベントで実家に帰省する人も多いため、引越しをする人が少なく賃貸需要が低下します。年末年始の期間や冬の寒さが引越しを避ける理由となり、物件の空室率が増加することが多い傾向です。
不動産管理会社や大家さんは、空室を埋めるために家賃を下げたり、敷金や礼金を減らしたりすることが多いため、この時期はお得に物件を探すチャンスです。
ただし、少しでも契約などが遅くなると年度末のハイシーズンに入ってしまい、引越しにかかる費用が高くなる傾向にあります。早め早めの決定がポイントになるでしょう。
夏の終わり(7月〜8月)
学生の夏休みや家族の長期旅行の影響で、7〜8月にかけて引越し需要が低下します。この時期は転勤や就職、入学といったライフイベントが少なく、賃貸市場全体の動きも鈍くなるため、家賃も併せて低くなる傾向にあります。
この時期を利用すれば、夏の終わりにお得な物件が見つかるかもしれません。
秋の中頃(10月〜11月)
10月から11月にかけては賃貸需要が落ち着く時期です。冬の前に空室を埋めたい大家さんが家賃を下げることがあるため、この時期に家賃が安くなる可能性があります。
引越しを検討している人は、この時期を狙って物件を探すと良いでしょう。
家賃が最も高くなる「年度末(3月〜4月)」は、エリアによっては狙い目かも
家賃が最も高くなる時期は年度末(3〜4月)です。この時期は、転勤や入学などで引越し需要が高まり、多くの人が新しい住まいを探すため、物件の需要が急増します。その結果、家賃が上がることが一般的ですが、一部の地域や物件では逆に狙い目となることもあります。
たとえば、転勤や入学で空室が増える地域では、急いで空室を埋めたい大家さんが家賃を下げる場合があります。特に、大都市圏以外のエリアや競合物件が多い地域では、この現象が顕著です。そのため、年度末の物件探しではエリアの特性を理解し、割安な物件を見つけることがポイントです。
家賃が安い時期に賃貸物件を探すメリット
家賃が安い時期に賃貸物件を探すことには、家賃自体の安さ以外にもメリットが存在します。ここでは、3つのメリットを詳しく解説します。
引越し費用も安い傾向にある
賃貸物件を探す際、家賃の他に考慮すべき重要なコストが「引越し費用」です。一般的に、家賃が安い時期は引越し業者の需要も低くなり、結果的に引越し費用も安くなる傾向にあります。
たとえば、6〜8月は閑散期となるため引越しをする人が少なく、業者の料金が比較的安くなりやすいです。引越し費用が節約できれば、総合的な初期費用を大幅に抑えられます。このようなタイミングを利用することで、家計に優しい引越しが実現します。
繁忙期に比べてゆっくり検討できる可能性が高い
賃貸物件探しは慎重に行いたいものですが、繁忙期には時間的な余裕が持ちにくいです。2〜3月の繁忙期では、物件が次々と埋まっていくため、迅速な決断が求められます。
一方で、家賃が安い時期には市場の動きが落ち着いているため、ゆっくりと物件を比較検討する時間が確保できます。さらに、不動産会社の担当者も繁忙期に比べて余裕があるため、丁寧な対応が期待できるでしょう。
じっくりと相談し、自分に最適な物件を見つけやすくなるのは大きなメリットです。
家賃や入居日について交渉しやすい
家賃が安い時期には、不動産会社や大家さんとの交渉がしやすくなる傾向です。空室が続くことを避けたい大家さんも柔軟な対応を取ることが多く、家賃の値下げや入居日の調整などに応じてくれることが増えます。特に、引越しシーズン以外の時期であれば、迷惑にならない範囲での交渉を行うことで、さらに有利な条件を引き出すことができるでしょう。
ただし、交渉は相手の立場を尊重し、無理のない範囲で行うことが大切です。自分の希望を適切に伝えることで、より良い契約条件を得ることが可能です。
家賃が安い時期に賃貸物件を探す際の注意点

家賃が安い時期に賃貸物件を探せるのは良いことばかりのように思えますが、実はその時期特有のの注意点も存在します。
選べる物件数自体が少ない傾向にある
家賃が安い時期、特に6〜8月は、賃貸市場全体での物件数が限られている傾向があります。この時期は引越しシーズンではないため、新たな物件の供給が少なくなり、選べる物件数が少なくなりがちです。
この結果、希望するエリアや間取り、設備に妥協する必要が出てきます。理想の物件を見つけるためには、事前にリサーチを行い、複数の不動産業者に問い合わせることで、選択肢を広げることが重要です。また、早めの内見や迅速な決断も必要となるでしょう。
新生活に関わるセール・キャンペーンなどを利用できない
家賃が安い時期には、新生活を始める人向けのセールやキャンペーンが少ないという問題があります。特に新年度や新学期が始まる時期には、多くの企業が引越し関連のサービスや家電製品をセット価格で提供するキャンペーンを実施しますが、6〜8月には少ないのが現状です。
これにより、新生活を始めるための初期費用が高くなる可能性があります。物件そのもののセールやキャンペーンがない場合は、引越し業者が提供する「割引サービス」などを活用するようにしましょう。特に閑散期に値引きすることが多いので、複数の業者に見積もりを依頼して最もお得なプランを選ぶのがポイントです。
退去費用が高くなる可能性がある
家賃が安い時期に賃貸物件を探す場合、多くの物件では初期費用を抑えるために、敷金や礼金がゼロに設定されているケースがあります。入居者にとっては初期費用の負担が軽減されるため、魅力的な条件です。
しかし、このような物件では、退去時にクリーニング費用や修繕費用が別途請求されることがあります。そのため、退去時の費用が予想以上に高額になるため注意が必要です。
敷金礼金がある物件とない物件の具体的な違いは、以下のようになります。
敷金礼金あり物件 | 敷金礼金なし物件 | |
---|---|---|
敷金 | 1ヶ月分の家賃 | 0円 |
礼金 | 1ヶ月分の家賃 | 0円 |
クリーニング費用 | 敷金から充当 | 退去時に別途請求 |
修繕費用 |
実際に、家賃が安い時期に物件を契約する際には、退去時の費用についても仲介業者や管理会社にあらかじめ確認しておくことが重要です。
業界歴10年が考える、より家賃を抑えてお得に契約するポイント

賃貸物件の選び方や契約方法には、工夫次第でコストを抑える方法がたくさんあります。ここでは、それぞれの方法について具体的に解説します。
フリーレントの物件を探す・交渉してみる
フリーレントとは、一定期間の家賃が無料になる契約形態です。フリーレント物件は、特に閑散期に増える傾向があり、初期費用や引越し費用を抑えられます。
たとえば、1ヶ月分の家賃が無料になると、その分の費用を他の必要な出費に充てることが可能です。物件探しの際には、フリーレント物件を積極的にチェックすることをおすすめします。
初期費用(敷金・礼金・仲介手数料)がかからない物件を探す・交渉してみる
初期費用を抑えるためには、敷金・礼金・仲介手数料がかからない物件を選ぶことが効果的です。これにより、数十万円の初期費用を削減できます。
特に、敷金や礼金がゼロの物件は、賃貸市場で見つけやすいです。物件検索サイトや不動産業者に相談し、初期費用のかからない物件を探してみましょう。
仲介手数料がかからない物件を探す・交渉してみる
仲介手数料の支払い方法は、以下の3パターンです。
・大家が1ヶ月分を支払うケース
・入居者が1ヶ月分を支払うケース
・両方が折半するケース
仲介手数料は、通常1ヶ月分の家賃に相当する費用ですが「大家さん負担」にしてもらえば、初期費用を節約することが可能です。
つまり、仲介手数料の負担方法にはさまざまなバリエーションがあります。入居者としては、契約時にどのパターンが適用されるのかをしっかり確認し、自分にとって最適な条件を選ぶことが重要です。
仲介手数料がかからない物件は、引越し時の出費を大幅に削減できます。不動産業者に相談し、仲介手数料がかからない物件について情報を収集するようにしましょう。
家賃が安い時期に賃貸物件を探す際のよくある質問
ここでは、家賃が安い時期に賃貸物件を探す際のよくある質問を2つ紹介します。
繁忙期と比べてどの程度安くなりますか?
具体的な金額の差は物件や地域によって異なるため、具体的な数字は提示できません。また、家賃そのものだけでなく、引越し費用や礼金・敷金の面でも差が生じることが多いでしょう。
たとえば、繁忙期には引越し業者の料金が高騰しがちですが、閑散期には割引キャンペーンを行うことが多いため、総合的なコストを抑えられます。このような理由から、できるだけ閑散期を狙って賃貸物件を探せば、家賃や初期費用が安めの物件を探すことが可能です。
物件自体が少なく、いい部屋が見つかりません。どうすればいいですか?
閑散期には物件の数が少なく、希望に合う部屋が見つかりにくいことがあります。この場合、いくつかの対策を取ることが可能です。
まず、希望条件を少し広げてみることを検討してください。立地や間取り、設備などの優先順位を見直し、柔軟に対応することで選択肢が増えます。
敷金・礼金が0円の物件や仲介手数料無料の物件を探すことで初期費用を抑えることはできますが、物件数は少なくなるので、立地条件・物件条件を優先するのか、金銭面を優先するのかも順序を決めておくのもポイントです。
複数の条件を適宜絞ったり妥協したりして、コストを抑えながら満足度の高い賃貸物件を見つけましょう。
好きな時期に物件が探せるなら、家賃が安い時期がおすすめ!
賃貸物件を選ぶ際に家賃が安い時期を狙うことは、経済的なメリットが大きいです。特に6〜8月は家賃が下がる傾向があり、引越し費用も抑えられるチャンスです。
さらに、繁忙期を避けることで、物件の選択肢が広がり、ゆっくりと検討できる利点もあります。お得に理想の物件を見つけるために、家賃が安い時期を上手に利用して、華やかな新生活のスタートをきりましょう。