お部屋探しの段階において、もっとも気になるのは「初期費用」ではないでしょうか。
敷金や礼金、仲介手数料、前家賃などを含めると数十万円になることも珍しくありません。その後の毎月の家賃のことも考えて、希望の賃貸物件をあきらめた人は少なくはないでしょう。
今回は、もっとも気になる賃貸の初期費用の分割支払いについて解説します。そのほか、分割で支払う方法や初期費用を抑えるポイントなども解説をしていきます。
ぜひ最後まで読んで、満足のいくお部屋探しのヒントにしてくださいね。
賃貸物件における初期費用とは

賃貸契約において、「初期費用」とは契約締結時に支払うお金のことをいいます。契約締結時に支払う初期費用の内訳は以下のようなものです。
具体的にイメージしやすいように、以下の内容でシミュレーションしてみましょう。
【シミュレーション条件】
家賃:50,000円
敷金:1ヶ月
礼金:2ヶ月
項目 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
敷金 | 50,000円 | 退去時に返ってくる預り金、滞納家賃や退去時の汚損破損があれば充当されます。 |
礼金 | 100,000円 | 入居のお礼に家主さんに支払うお金です。 |
前家賃 | 75,000円 | 当月分の日割り家賃と翌月分の家賃を初期費用で先払いします。 |
火災保険料 | 20,000円 | 家具家電・建物・家主さんに対して加入する保険料です。 |
鍵交換代 | 20,000円 | 入居時の鍵交換費用です。 |
保証委託料 | 25,000円 | 保証会社利用時の保証委託料です。保証会社により金額が異なりますが、一般的には月額総支払額の50%が目安です。 |
仲介手数料 | 55,000円 | 仲介業者に支払う仲介手数料です。家賃の1ヶ月分に消費税を乗じた額が法定上限額です。 |
合計 | 345,000円 | ー |
このように、初期費用だけで結構な金額が必要になります。そのため、初期費用の節約を検討することは誰にとっても重要なことでしょう。
賃貸物件の初期費用は分割で支払える?
賃貸物件を契約するときの初期費用は、分割で支払うことが可能です。また初期費用の全部ではなく、一部のみを分割することもできます。
ただし、初期費用の分割払いに対応していない賃貸物件もあるため、事前に予算を決めておき、分割払いが可能かどうか確認しておくことが重要です。気に入った物件を見つけた後に分割払いを相談すると、関係者に迷惑がかかる可能性がありますので注意しましょう。
ここからは、具体的に初期費用を分割で支払う方法について解説します。
クレジットカード払いにして分割で支払う方法
初期費用の支払方法をクレジットカードにし、クレジットカードの支払いを分割にすることで、初期費用を分割払いにすることができます。
このとき、賃貸仲介会社がクレジットカード払いに対応している必要がありますので、必ず事前に確認しておいてください。
初期費用分割サービスを利用する方法
賃貸の初期費用を立て替えてもらい、分割で返済する専用のサービスを利用する方法もあります。
銀行や信販会社より審査が緩く、LINEで手続きが簡単に完結し、既定の分割回数までは返済手数料がかからないなど、充実したサービス内容が魅力です。
直接不動産会社に初期費用分割が可能な物件を探してもらう方法
家主さんや管理会社によっては初期費用の分割に応じてくれることがありますので、不動産会社に相談してみるのも一つの手です。
初期費用の分割に応じる家主さんや管理会社は一部に限られますが、交渉次第で安価な初期費用の物件を見つけられる可能性があります。初期費用に制約がある場合は、不動産会社に正直に相談してみましょう。
賃貸物件の初期費用を分割払いするメリット

賃貸物件の初期費用を分割払いすると、いくつかのメリットを得ることができます。それぞれ、詳しく確認していきましょう。
まとまったお金がなくても引っ越しできる
初期費用を分割払いにすることで、初期費用がなくても引っ越しすることができます。
家庭の事情や防犯面の不安で急な引っ越しが必要な場合など、初期費用を分割払いにすることで金銭的な心配を減らしたうえで引っ越しができます。
手元にお金を残すことができる
初期費用を分割払いにすることで、手元にあるお金を別のことに使うことができます。
引っ越しには引っ越し会社への支払いや家具・家電の購入など、多くの費用がかかります。初期費用の分割払いは生活環境の変化に伴う費用に対応でき、新しい生活を充実させるのに役立ちます。
ポイントを貯めることができる
初期費用をクレジットカード払いにすることで、クレジットカードに付与されるポイントを貯めることができます。
クレジットカードの還元率は一般的に1%と低いですが、新規作成時のポイント付与や特定店舗での高還元があります。引っ越し時の生活圏に合わせてクレジットカードを新しく作成すると、より大きな効果が期待できるでしょう。
また、最近では保証会社が提携するクレジットカードの加入を勧められることもあります。気になる賃貸物件があったら、初期費用のことも一緒に相談しておくとよいでしょう。
賃貸物件の初期費用を分割払いする注意点・デメリット

初期費用の分割払いにはデメリットや注意すべきポイントもあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
月々の支払額が増加する
初期費用を分割で支払うことにより、毎月支払う金額が大きくなる点には注意が必要です。
初期費用を分割払いにすると、家賃と分割分の両方を支払う必要があります。事前に、月々の支払い可能額をよく考えてから分割払いを検討するようにしましょう。必要に応じて分割期間を伸長させるなど、支払が滞る事態を避けるように努めることが大切です。
条件によっては金利手数料が発生する
初期費用の分割は誰かが立て替えてくれることと同義にあたるので、多くの場合で金利手数料が発生します。
金利手数料も決して安くはありません。クレジットカード会社の分割払いを利用するとおおむね12%から15%程度の金利手数料が発生します。
350,000円の初期費用を分割払いしたときの支払いシミュレーションを紹介します。金利手数料や返済期間の参考にされてください。なお、金利は12.5%で試算しました。
返済期間12ヶ月 | 返済期間24ヶ月 | 返済期間36ヶ月 | |
---|---|---|---|
初回の返済額 | 32,050円 | 17,890円 | 12,005円 |
月々の返済額 | 31,100円 | 16,500円 | 11,700円 |
金利総額 | 24,150円 | 47,390円 | 71,505円 |
総返済額 | 374,150円 | 397,390円 | 421,505円 |
このように、初期費用の分割は返済期間によって総返済額が大きく変わることがわかります。返済期間や返済可能額はシミュレーションのうえ、慎重に決定してください。
また、クレジットカードや初期費用分割サービスでは、一括返済や部分返済が可能ですが早期返済には事務手数料がかかることが一般的です。利用前には必ず確認しておきましょう。
賃貸物件の初期費用自体を抑えるためのポイント

ここでは、初期費用を抑えるためのポイントを解説していきます。
仲介手数料無料の物件を探す
まずは、仲介手数料が無料の賃貸物件に絞ってお部屋探しをする方法です。
仲介手数料は家賃の1ヶ月分を上限としてかかるお部屋探しに必要な経費です。しかし、不動産会社が貸主の物件や、家主が仲介手数料を支払ってくれる賃貸物件では仲介手数料を借主が支払う必要はありません。
こういった情報は不動産会社でないと知りえませんので、不動産会社に相談してみるとよいでしょう。
敷金・礼金が0円の物件を探す
初期費用の大半を占める敷金や礼金が0円の物件に特化してお部屋探しするのも、初期費用を減額する良い方法の一つです。
賃貸物件によっては、もともと敷金や礼金が設定されているものの、家賃を数千円アップさせたり、保証会社へ加入したりすることによって、敷金や礼金が0円にしてくれるケースもあります。
キャンペーンを実施している賃貸物件を探す
家主さんや管理会社によっては、キャンペーンによって初期費用を減額していることがあります。
キャンペーンの内容は、主に以下のようなものです。
・初期費用を10万円など一律の金額まで減額してくれる
・鍵交換費用や保証会社加入料を貸主が負担してくれる
・フリーレント(1~2ヶ月間の家賃支払いが免除される)がついている
このようなキャンペーンがある場合はぜひ活用してみるのも一つの手でしょう。物件を申し込む前に、ぜひ不動産会社に相談してみてください。
不要な付帯サービスを外す
初期費用では鍵交換費用・保証会社加入料・消毒費用などの付帯サービスも盛り込まれます。これら付帯サービスを外せないか交渉してみる方法があります。
あくまでも交渉になるほか、正規のサービスを受けることができないというデメリットも発生しますが、問題ないときは不要な付帯サービスを外すことで初期費用を減額させることが可能です。
繁忙期を避けて部屋探しをする
賃貸業界は1月から3月にかけてが繁忙期になるため、繁忙期を避けてお部屋探しをすることで、交渉を通しやすくする方法も実践したいところです。
実際に、繁忙期を明けても申込が入らなかったお部屋が値引きされたり初期費用が見直されたりすることは珍しくありません。お得なお部屋探しを考えるとき、時期は非常に重要な要素になると覚えておきましょう。
賃貸物件の初期費用は分割で支払える!
賃貸物件の初期費用を分割で支払うことは、引っ越し費用を軽減し、新生活をスムーズに始めるために必要な選択肢の一つです。
ただし、事前に分割払いの可否を確認し支払計画を立てることは忘れないようにしてください。そのためには、毎月いくら支払えるかを検討し、手数料や返済方法についても事前に確認しておくことが重要です。
そのほか、初期費用に不安があるときはさまざまな方法で初期費用を減額することが可能です。分割払いをするほどでもないけど初期費用が不安という人も、気軽に不動産会社に相談してみてください。
せっかくの新生活をより充実したものにするためにも、不動産会社の協力を得てお得なお部屋探しをしましょう。