お部屋探しは、原則「早い者勝ち」。そのため、いいお部屋が見つかったらすぐに申込を入れることが必要です。しかし、さまざまな理由によってすぐに申込手続きに進めることができないことも珍しくありません。
そのとき、あったら嬉しいのが「仮押さえ」のシステム。さまざまな業界で仮押さえのシステムは存在していますが、お部屋探しにおいて仮押さえは可能なのでしょうか?今回は、お部屋探しにおける「仮押さえ」について解説します。
- 転勤でお部屋探しをしているが、会社の承認が必要な人
- 一人暮らしをするために、親が納得する部屋を見つけないといけない人
- 異動や合格発表前にお部屋探しをする必要がある人
このような事情をお持ちの人に役立つ内容になっています。ぜひ最後までお読みいただき、お部屋探しにお役立てください。
【結論】賃貸物件の仮押さえは「入居申し込み」と同じ意味を持つ!

賃貸仲介におけるお部屋探しの過程で、「仮押さえ」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。仮押さえは、一見すると予約や一時的な確保のように思えるかもしれませんが、実際には「入居申し込み」とほぼ同じ意味を持っています。
つまり、「一応確保はしておいてもらったけど、他に良い物件が見つかったり引っ越しという気分ではなくなったりしたから後からキャンセルする」といったことはできないのでご注意ください。
あくまでも「前向きに入居する意思があるとき」かつ「やむを得ない事情があるとき」に仮押さえができるとご理解ください。
賃貸物件を仮押さえ(入居申し込み)する流れ
実際に気に入ったお部屋が見つかったけれども、即決できない事情があるときに「仮押さえ」をする流れは以下のとおりです。
- 仮押さえの意思表示をする
- 申込書を記入する
- 申込金や手付金を支払う
- 仮押さえの問題が解決したら入居手続きを進める
それぞれの項目について、詳しくみていきましょう。
①仮押さえの意思表示を行う
気に入ったお部屋が見つかっても即決できないときは、仮押さえをしたいことを賃貸仲介会社の営業担当者に伝えましょう。
このときに、以下の内容も合わせて伝えてください。
- 本申込ではなく仮押さえである理由
会社や両親の確認のため、合格発表や辞令を待つため、など具体的な理由を伝えます。他の物件も見たいという理由では仮押さえはできません。
- 仮押さえの期間
いつまで仮押さえをするのか、その期間も自分で期日を切る必要があります。なお、仮押さえは数日程度、長くても1週間以内しか認められません。
②申込書を記入する
仮押さえのために、申込書に必要な内容を記入して提出します。申込書に記載する内容のなかにわからないことがあるときは、一旦空欄にしておき、わかり次第担当者に伝えれば問題ありません。
なお、申込書の提出と合わせて身分証明書の提出も済ませておくと、あとの手続きがスムーズです。なぜなら、保証会社の審査や家主さんへの説明で必ず求められるからです。
③申込金や手付金を支払う
申込書の提出に付随して申込金や手付金の入金を求められたときは、速やかに支払いを行います。
申込金や手付金の相場はおおむね家賃の1ヶ月分程度。万が一仮押さえしていたお部屋をキャンセルすることになっても基本的には返却されるお金ですので、安心してお支払いください。
④仮押さえの問題が解決したら、手続きを進めよう
仮押さえをしなければならない問題が解決したら、その旨を担当者へ伝え手続きを進めます。もし仮押さえの問題が解決しなかったとしても、同様に担当者へ連絡してキャンセルの手続きを行ってください。
いずれのケースであっても、重要なことはすぐに連絡をすることです。連絡を放置しておくと、申込手続きが進んでしまったり、連絡が取れないことを理由に一方的にキャンセル扱いになったりすることも考えられます。どちらにしても悪いことしか起きませんので連絡は欠かさないようにしましょう。
なお、問題が解決するか、解決しないことが明確になるまでは連絡はしづらいものです。ましてや、途中経過をまめに電話することなどは、仕事や家庭の事情もあるなかで負担になることが容易に想像できます。
そのようなときはハウスコムの「マイボックス」を検討してはいかがでしょうか。マイボックスではチャット形式で担当者とやりとりができるほか、オンライン内見や電子契約にも対応しています。お部屋探しから賃貸契約までをスマートフォンで完結させることが可能ですので、ぜひお部屋探しにお役立てください。
賃貸物件の仮押さえ後のキャンセルはできる?違約金はある?

せっかく見つけて仮押さえしたお部屋ですが、キャンセルせざるを得ないこともあります。このとき、キャンセルすることはもちろん可能です。ただし、キャンセルするタイミングによっては違約金などが発生することもあるので注意しましょう。
ここでは、仮押さえしたお部屋をキャンセルしたときに違約金がかかるタイミングについて解説します。
違約金がかからないタイミング
申込書を提出した時点から入居審査が始まりますが、審査完了前であれば違約金がかかることはありません。なぜなら、「借りたい」という意思表示を申込書で示したうえで、「貸します」という意思表示が返ってきていないため、契約がそもそも成立していないからです。
審査完了前であれば、支払った手付金や申込金も返金されますので安心してキャンセルしてください。
違約金がかかるかもしれないタイミング
入居審査に通過して契約書類が手元に届いているタイミングでキャンセルをすると、違約金がかかる可能性が出てきます。なぜなら、家主さんや管理会社が入居に向けた手続きを進めている可能性があるからです。
具体的には以下のような手続きや作業が考えられます。
- 鍵の交換を実施した実費相当額
- 畳の入替を行った実費相当額
- 入居前の消毒作業を実施した実費相当額
- 契約書類の作成を行った事務手数料相当額
もちろん、これらの作業を実施したからといって必ず違約金の対象になるわけではありません。ただし、契約書類を発行してからのキャンセルでは家主さんや管理会社によっては上記を理由に費用を請求される可能性があることを覚えておいてください。
違約金がかかるタイミング
契約書類を提出し、初期費用を振り込んだ後は、かなり高い確率で違約金がかかります。なぜなら、この時点で申込から1ヶ月程度が経過しており、その間は募集をストップしているわけですから、機会損失として違約金を請求される可能性が高くなるからです。
また、入居に向けての手続きも着々と進んでいることが予想されますので、違約金額も高額になることが予想されます。
いずれにしても、キャンセルしたときの違約金が心配なときは仲介会社に確認しておくことをおすすめします。仲介会社であれば、賃貸物件・家主さん・管理会社の傾向を知っていますので、キャンセルしたときに違約金が請求されるかどうかを教えてくれる可能性があるからです。
仮押さえをするときは、こういった賃貸物件の状況も仲介会社とのコミュニケーションから参考にしたいところです。
仮押さえを含む入居申し込みの基本的なルール

賃貸契約は借主と貸主の信頼関係によって成り立っています。そこで、ここでは入居申し込みにおいて守っておきたい基本的なルールについて解説します。
とりわけ仮押さえによる申込は、仲介会社・家主さん・管理会社にとって不安定な申込です。そのため、あまり受けたくない気持ちがあることを理解して、失礼のない申込を心がけましょう。
住む気がないのに仮押さえや申込をしてはいけない
本意ではない申込は絶対にしてはいけません。仲介会社はもちろんのことですが、家主さんや管理会社にも多大な迷惑がかかるからです。
また、仮押さえとキャンセルを繰り返していると、本当に住みたいお部屋に住めなくなる可能性があります。なぜなら、仲介会社のみならず家主さんや管理会社が同じであったとき、信用できないという理由で入居を断られることがあるからです。さらに、仲介会社からも相手にされない可能性も否定できません。
何一つ良いことはありませんので、住む気がないのに仮押さえすることは絶対にやめておきましょう。
入居申し込みは原則「早い者勝ち」となる
賃貸物件の入居申し込みは、基本的に「早い者勝ち」の原則が適用されます。気に入った賃貸物件が見つかったときは、できるだけ早く申し込みを行うことが重要です。
早く申し込むことで、競争の激しい賃貸市場で希望する物件を確保できるため、引っ越し準備を安心して進められます。
しかし、焦って申し込むと物件の詳細を確認せずに契約するリスクがあります。内見で物件の状態を確認し、家賃・敷金・礼金などの契約条件のほか、生活に必要な施設や交通の便などの周辺環境も詳細にチェックしましょう。
誠実な対応を心がける
賃貸物件の申込や契約手続き、さらには入居後の対応を含めて、誠実に対応してください。なぜなら、賃貸契約は貸主と借主の信頼関係によって成り立っているため、不誠実な対応では信頼関係が築けず、トラブルに発展する可能性が高くなるからです。
仮押さえをするときなどはまさに誠実さが求められます。なぜなら、仮押さえは正式に契約する前の予約段階だからです。
- 正しい情報の提供
- 期日を守ること
- こまめに連絡をとること
これらを守り、無断でキャンセルしたり、連絡を怠るのは避けましょう。
誠実な対応は入居後においても必要なことであり、お部屋を借りている人にとって当然守るべき内容です。言いにくいことであっても正直に伝えることで仲介会社・家主さん・管理会社は信頼してくれ、ときには味方になってくれます。くれぐれも誠実な対応を忘れないようにしましょう。
賃貸物件の仮押さえは慎重に決めよう
賃貸物件の仮押さえはあくまでもやむを得ない手段ですので、無断キャンセルや連絡不足などは絶対に避けるべきです。賃貸物件の状態・契約条件・周辺環境を十分に確認したうえで、仮押さえするかどうかは慎重に判断しましょう。
そして、貸主との信頼関係を申込段階から築くことで、新しい生活で良いスタートを切ることができます。
仮押さえをうまく活用して、より良いお部屋を見つけてください。