安心するいい匂いの部屋とは?香りのプロが教える消臭と匂いづくり術

目次

玄関に入るとほのかに爽やかな香り、リビングに行けばかわいらしいフレグランスインテリアがある家は素敵だと思いませんか?人は、好きな香りを嗅ぐと「ほっ」と安らいだり体からエネルギーが湧いてきたりするものです。そこで今回は、部屋をいい匂いにする方法や、素敵な香りにふさわしい物件などをご紹介します。

部屋の雰囲気は匂いで決まる?いい匂いだと居心地が良いと感じるワケ

ローズの香りやシャンプーの香りなど、私たちは日々さまざまなにおいを感じ取りながら生活を送っていますが、このにおいの特定を行っているのは鼻ではなく脳といわれています。空気中に漂う香りは人の鼻から入り脳へ伝達され、それが何なのかを特定します。

人によって異なるものの、ガソリンやカビなどのにおいを嗅ぎ、気分が悪くなったという経験を持つ方も多いのではないでしょうか。これはそのにおいから危険を感じ、身を守るよう脳が指示を出すためとされています。

このような理由から、人は好きな匂いがする部屋に安心感を覚えるといえます。一方、嫌いなにおいがする部屋は危険を感じて大きなストレスを受けてしまうので、まずは部屋の中に漂っている嫌なにおいを改善させるところから始めましょう。

部屋をいい匂いにするには汚れを落とすのが基本

好きな香りを嗅ぐとリラックスできるため、「○○の香りがあるだけで幸せ」という方も多いでしょう。しかし、日々の暮らしの中にいい香りを取り入れるためには、まずは片付けや掃除をして部屋をきれいにする必要があります。生活臭をコントロールできれば好きな香りを広げやすくなるので、これから解説する掃除・消臭のポイントを押さえておきましょう。

掃除・消臭のポイント

掃除と消臭の主なポイントは、部屋別に発生する汚れやにおいの原因を取り除くことです。たとえば、キッチンのシンクでは野菜の皮や切りくず、水分などから微生物が繁殖し悪臭の原因になります。

生ゴミは新聞紙やチラシに包んで処分し、悪臭の原因を取り除きましょう。また、シンクは熱湯消毒するだけで消臭につながります。

掃除や部屋の消臭におすすめの天然素材

軽い汚れの場合、強力な洗剤を使う必要はありません。重曹やクエン酸など天然素材の洗剤で十分にきれいになり、人にも環境にも優しい掃除ができます。このとき、重曹やクエン酸に好きな精油を加えれば香りが広がり、掃除が楽しくなります。

重曹やクエン酸、精油の特徴を押さえ、効率よく掃除を行いましょう。

<重曹(炭酸水素ナトリウム)>

  • 高い消臭効果がある
  • キッチンの油汚れや水回りのぬめりを落とす
  • 研磨作用があるためクレンザーとして使用可能

<クエン酸>

  • クエン酸がない場合は食酢でも可能
  • キッチンや浴室のカルキ汚れ、石けんカスやぬめりなどを落とす効果がある
  • クエン酸小さじ1杯と水200CCを混ぜてクエン酸スプレーを作り、仕上げの水拭きにする

<精油(エッセンシャルオイル)>

  • 花、葉、木などの芳香成分を取り出した液体
  • 100パーセント天然植物成分のもの
  • 芳香成分によって痛みを和らげたり気持ちを穏やかにしたり心身の健康に役立つ
  • 高濃度のため注意して使用する

なお、アロマオイルやルームフレグランスという名称の商品はエタノールや合成香料が調合されている場合があり、この場合精油とは異なるため注意しましょう。

場所別!消臭と香り付けのポイント

家の中で発生しているにおいの原因を突き止め、掃除をして消臭しましょう。ここからは、消臭と香り付けのポイントについて解説していきます。

玄関

靴が持ち運ぶホコリや泥を取り除き、空拭きを心がけましょう。特に汗のにおいがこもりやすい下駄箱は、扉を開けて風の通り道を確保するのがポイントです。

湿気やカビ臭が気になる場合、重曹を器に入れて消臭剤として活用するのがおすすめです。このとき、重曹に好きな精油を数滴落とせば芳香剤に早変わりします。

リビング

リビングの大敵はホコリです。特に、テレビや照明器具は静電気からホコリがつきやすいため丁寧に払いましょう。

居心地が大切なリビングには、ラベンダー精油やスイートオレンジ精油の優しい香りがおすすめです。バケツに水を張り精油を数滴加え、タオルを浸してしぼって水拭きすればリビング全体にほのかな香りが漂います。

寝室

湿気が発生しやすいクローゼット、また汗や皮脂がつきやすいベッドマットなど、寝室は嫌なにおいがこもりやすい場所です。窓を開けて換気を行うほか、シーツや枕カバーなどは定期的に洗濯しましょう。なお、クローゼットやタンスに後述するサシェを入れて置くのも有効です。

トイレ

トイレは便器だけではなく、壁やドアノブもしっかり拭き掃除するのが大切です。便器内に重曹を振りかけ、さらに専用のトイレブラシでこすることでピカピカに仕上がります。また、抗菌効果・殺菌効果のあるティートリー精油やユーカリ精油を重曹に混ぜて使用してもいいでしょう。

アロマテラピーアドバイザーが教える、部屋で香りを楽しむ3つのポイントと5つのアイテム

続いて、部屋でいい香りを楽しむために私がお伝えしたい3つのポイントと5つのアイテムをご紹介します。ただし、いきなり無理に全てを試すのではなく、無理のない範囲で順番に取り入れてみてくださいね。

部屋で香りを楽しむ3つのポイント

まずは、部屋を良い香りで満たすために覚えておきたいポイントから解説していきます。

<ポイント1>柑橘系の香りからスタート

最初は爽やかでフルーティーな柑橘系の香りを選びましょう。この柑橘系の香りは、リビングや玄関などどんな場所でも対応可能なので、オレンジ・レモン・グレープフルーツなど普段慣れ親しんでいる香りを選んでみてください。

<ポイント2>部屋の素材やカラーと香りのタイプを合わせる

【木目調のリビングや和室】

森林の中にいるような樹木系(ヒノキ・ユーカリ・ジュニパーなど)

【パステルカラーやくすみカラー、花柄の壁】

甘く華やかなフローラル系(ラベンダー・ローズ・ゼラニウムなど)

上記のように、部屋のイメージやカラーと香りのタイプを揃えると、統一感が生まれてより洗練された空間ができあがります。

<ポイント3>個性的な香りは一人で過ごす部屋に

南国にいるようなオリエンタル系や、エキゾチックなスパイシー系など個性的な香りは好き嫌いがハッキリ分かれます。なかには不快に感じる方もいるため、玄関やキッチンではなく、一人で過ごす部屋に使用しましょう。

部屋の香り付けアイテム&グッズ5つ

アロマショップや雑貨店に行くとさまざまな商品が並んでいるため、「何を購入すればいいのかわからない」と悩んでしまう方も少なくありません。ここからは、スプレータイプやスティックタイプなど手頃で使いやすい市販のグッズとともに、植物由来の精油から香りアイテムを手作りする方法をご紹介します。

①フレグランススプレー

フレグランススプレーとは香料を配合したスプレーのことで、こちらは部屋の窓を開けて換気してから使うようにしてください。手作りする場合は、無水エタノールに好きな精油を数滴加え、そこに精製水を混ぜてスプレー容器に入れます。精油の芳香成分によって、リラックス・ストレス解消・安眠などの効果が期待できます。

②リードディフューザー

リードディフューザーとは、瓶の中に入った香料をスティックに入れ、そこから香りを部屋全体に広げるアイテムです。香りの濃度はスティックの本数で調整できます。また香りの種類やデザインが豊富にあり、部屋のアクセントとして使用するのもおすすめです。

手作りする場合は、ガラス瓶に無水エタノールと精油数十滴を入れ、さらに竹串をカットしてガラス瓶に差し込むとできあがります。

③アロマディフューザー

アロマディフューザーとは、香りを空間に広げる芳香拡散器です。適量の水に専用の香料や精油を加え、スイッチを入れると部屋に香りが広がります。

このアロマディフューザーは間取りや温度、湿度によって香りの漂い方が変わります。特に、ペパーミント精油を拡散させると部屋全体に清涼感が広がるため、暑さの厳しい夏場や日差しがつらいときに使ってみてください。

④アロマキャンドル

アロマキャンドルとは香料を配合したロウソクのことで、炎のゆらぎはもちろん、空気感も体感できます。見た目もかわいらしく部屋のインテリアにもピッタリですが、火を使うため取り扱いには注意しましょう。

⑤サシェ

サシェとはドライフラワーや香料を入れた香り袋のことです。ドアノブにかける、タンスに入れて衣類を香り付けする、トイレや玄関に置くなど使用用途はさまざまなので、自分に合った活用法を探してみてください。

アロマアイテムを楽しむ上で注意したい点

部屋の香り付けアイテム&グッズを安全に楽しむために、まずは説明書をしっかり読み注意事項を守りましょう。そして、「使用する人」「設置場所」「香りの強さ」にも気を付けましょう。

<注意事項1>使用する人

同じ香りでも、人によって香りの快・不快は異なります。また、健康状態や体質によっても香りの感じ方は変わります。違和感や不快感がある場合は、使用を中止してください。

<注意事項2>設置場所

アロマディフューザーやアロマキャンドルなど高温になるアイテムは、熱に弱い樹脂加工やオーディオの上での使用は避けましょう。落下防止のために風の強い場所は避け、まわりに燃えやすい物を置かないようにしましょう。

<注意事項3>香りの強さ

香りは蒸気によって広がり、部屋の壁や床に付いてしまいます。特に賃貸物件の場合、原状回復に影響を与えるケースもあるため、香りの作り方・強さに注意し長時間の使用は避けましょう。精油を使用する場合は3滴以下が目安です。

いい匂いが維持しやすい物件の条件

人は「慣れる」生き物であり、いい香りにも慣れてしまうといわれています。人によってはより強い香りを求めるようになってしまうため、香りの濃度が調整できるよう、換気システムがしっかりしている物件に住むのがおすすめです。最後に、いい匂いが持続する物件の条件について解説していきますので、現在部屋探しをしている方は参考にしてみてください。

前の住人のにおいが残っていない新築物件

他人の家に足を踏み入れた瞬間、自分の家と違うにおいに違和感を覚えた、という経験はないでしょうか?どんな家でも、人が暮らせばその人のにおいがつくものです。

また、長期間住人が住んでいない物件であってもにおいはするもの。例えば排水溝に水が溜まったままの物件だと、悪臭が発生している場合もあるでしょう。全ての部屋がそうなるというわけではありませんが、長期間空室だった部屋に住む場合、キッチンや浴室、洗面所などの水を一度流してから使うことをおすすめします。

なお、いずれも引越す前のクリーニングできれいに消臭されることがほとんどです。内見時点で変なにおいがしなければ問題ありません。ただ、どうしてもにおいに敏感だという方は新築物件を中心に部屋探しを行うことも検討してみてください。

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換気性能が高い物件

香りは空気中に蒸発する性質があり、時間の経過とともに気体に変化していきます。また、空気の流れや人の動きによっても香りの漂い方が変わります。

外気を室内に取り込み、室内の空気を外に出す「24時間換気システム」は、窓を開けずに換気ができる便利な機能です。新鮮な空気を取り入れながら好きな香りを循環させられるので、このような空調システムのある物件もおすすめです。

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収納力がある物件

オンライン生活が続き、部屋のにおいやインテリアにこだわるあまり、自宅に荷物が増えてしまったという声をよく聞きます。その際、香りに関係するアイテムは保管場所がとても重要になります。

香りは湿気・温度・紫外線などの影響で劣化してしまうので、香りを広げるアイテムはできるだけ温度や湿度が一定の冷暗室のような場所に保管してください。土間収納やウォークインクローゼットなど、収納が充実している物件だとより安心といえるでしょう。

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部屋をいい匂いにして快適な生活を楽しもう!

香りは雄大な自然を連想させてくれるものでもあり、都心にお住まいの方や遠出できない方でも、香りの使い方次第では森林浴の気分が味わえます。また、少し手間をかけてオリジナルの香りアイテムを手作りし、自分なりの楽しみ方を見出している方も少なくありません。

香りのある暮らしに興味がある方は、今回ご紹介したポイント押さえて部屋の中に自分の好きな香りを取り入れてみましょう。また、部屋探しの際は換気や湿気の面も確認してから契約する物件を決めてみてください。