賃貸物件を探す際に、敷金・礼金と並んでポイントになるのが更新料です。更新料とは、賃貸物件の契約期間（通常2年）を更新する際に支払う費用のことであり、更新のたびに必要になるのでできれば負担したくないと思うのが心情です。
そこで今回は、更新料の負担がない賃貸物件の魅力をテーマに、更新料なし賃貸物件のメリットとデメリット、更新料なし物件の探し方などについて解説します。「更新料なし賃貸物件の探し方がわからない」「更新料なしの物件どうなの？」といった疑問を持つ人はぜひ参考にしてください。
そもそも更新料はなんのために支払うお金？
多くの人が支払っている更新料ですが、その主な目的は、継続して住まわせてもらっている大家さんに支払う謝礼とされています。更新料に関する法的な定めは特になく、実は地域によって考え方に違いがあり、大阪や名古屋など、更新料なし賃貸物件がほとんどを占めるエリアもあります。
また、更新料の相場は家賃1ヶ月分が一般的です。しかし、賃貸需要が高いエリアになると2ヶ月分を超えるケースもあり、地域や物件によって料金はさまざまです。
更新料の有無は大家さんの意向によって決められます。敷金や礼金と同様、家賃を安く抑えるために設定するケースも珍しくありません。なお、更新料を支払うタイミングはある程度の期間住んだ後になるため、入居付けに対する影響が少ないことから多くの賃貸物件で更新料が設定されています。
更新料なし賃貸物件のメリット
ここからは、本題である更新料なし賃貸物件のメリットについて解説します。
長く住み続けるほどお得になる
更新料ありの物件であれば、契約更新のたびに更新料を支払う必要があります。そのため更新料なし物件は、長く住み続けるほどそのメリットを享受できる物件といえるでしょう。
たとえば、「家賃10万円、契約期間2年で更新料が家賃1ヶ月分の物件」であれば、2年を超えて住み続けると10万円、4年を超えると20万円の更新料がかかります。以下に、居住期間に対する更新料の変化をまとめましたので、あらかじめチェックしておきましょう。
【家賃10万円、契約期間2年で更新料が家賃1ヶ月分の物件】
| 居住期間 | 0年 | 2年 | 4年 | 6年 |
|---|---|---|---|---|
| 更新料（総額） | 0円 | 10万円 | 20万円 | 30万円 |
更新料なしの物件であれば、上記のような更新料がかからずお得といえます。仮に6年間住み続ければ30万円の節約になり、貯蓄や投資に回せる金額を増やすことができます。
更新時期に悩みがちな引越し問題がない
更新料あり物件の場合、更新時期になると、そのまま住み続けるか悩む人が多いですが、更新料なしだとその悩みはなくなります。更新料の支払いは家計にとって大きな出費となり、どこか損に感じてしまうことも少なくありませんが、そのストレスを感じることなく住み続けられる点は大きなメリットといえるでしょう。
引越し費用が最低限に抑えられる
更新料の支払いに抵抗を持ち、更新時期の直前に引越しを検討する方も少なくありません。この点、更新料なし物件に住めば、更新時期に合わせて引越しをするようなこともほとんどなくなります。引越しにかかる費用が抑えられるのも、更新料なし物件の魅力のひとつといわれています。
更新料が不要の物件に住みたい、引越しの回数を減らして費用を抑えたいと考えている方は、「更新料無料」などの条件で探してみてください。
更新料なし賃貸物件のデメリット
次に、更新料なし賃貸物件のデメリットについて紹介します。費用負担が少なくなるなど、メリットの面が多く感じる更新料なし物件ですが、事前に確認しておきたいデメリットもあるためしっかり理解しておきましょう。
家賃や初期費用が高い可能性がある
先述したように、更新料は敷金や礼金と同様、家賃を安く抑えるために設定するという目的があり、そのため更新料なし物件では家賃や初期費用が高くなりがちです。賃貸物件を所有する大家さんも事業として賃貸経営をしているので、更新料を不要としている物件については、トータルの売上が下がらないよう家賃を高くするのが一般的です。更新料なし物件に住む場合、家賃や敷金・礼金の額を一度確認しておいた方が良いでしょう。
人気がないなどの訳あり物件の可能性がある
更新料なし物件は、人気がないなどの訳あり物件の可能性があるため注意が必要です。更新料なしが当たり前の地域であれば心配ありませんが、そうでなければ入居者がなかなか決まらない物件と考えるのが妥当です。
更新料なし物件でありながら家賃が近隣相場と変わらない、または低い物件の場合、訳ありの可能性が高いので、不動産会社に理由を確認することをおすすめします。
更新料なし賃貸物件がおすすめの人
更新料なし賃貸物件は、以下のような人におすすめです。
- 同じ物件に長く住み続けたい人
- 引越しなどのわずらわしい悩みを抱えたくない人
- 少しでも費用を抑えたい人
- 更新料なしが普通である地域に住んでいる人
前述のとおり、更新料なし物件は長く住み続けるほどお得なので、同じ物件に長く住むことを前提に賃貸物件を探している人におすすめといえます。また、更新料の支払いに抵抗がある人も、更新のたびに引越しを考えるわずらわしさから解放されるため、更新料なし物件を選ぶメリットは大きいといえます。
そして、更新料なしが当たり前の地域に住んでいる人は、更新料ありの物件に住んでしまうと損に感じることでしょう。条件によっては難しいかもしれませんが、「更新料無料」をアピールしている部屋をいくつかリストアップし、その中から気に入った物件に住むことをおすすめします。
更新料なし賃貸物件の探し方
最後に、更新料がかからない賃貸物件を探す際の手順をご紹介します。以下の手順に沿って物件を探すことで、失敗しない物件探しをすることができます。
➀探す物件の条件を決める
最低限決めておきたい物件の条件は、「予算」「部屋の条件（広さ・設備など）」「住みたいエリア」の3つです。 特に更新料が不要の物件を探す際には、「更新料無料」をマストの条件と決めておきましょう。自分が生活している姿をイメージしつつ、ほかの条件と見比べながら決めてみてください。
➁物件情報を集める
希望の条件が決まったら、インターネット上にある不動産ポータルサイトや情報誌などで部屋探しをしてみましょう。ポイントは、自分で決めた希望の条件を「絶対に譲れないこと」「それ以外」の2つに分けておくことです。
また、希望通りの物件は、なかなか見つからないため優先順位をつけておくことも大切です。最初から多くの条件を挙げず、物件情報を見ながら1つずつ希望条件を追加して物件を絞っていきましょう。
③不動産会社のお店に行く
不動産会社のお店に連絡をして、訪問の予約を取りましょう。訪問の予約を取る段階で、物件の希望条件も伝えておくと訪問時の対応がスムーズに進みます。また実際に訪問したときは、新着物件の情報やプロからのアドバイスなど有益な情報を得ることができます。
④物件を見に行く
不動産会社で希望する物件が見つかったら、実際に物件を見に行きます。このときに確認すべき点は、主に「部屋の室内」「建物の共用部分」「周辺環境」の3つです。間取図や画像だけでは確認できないこともたくさんあるので、実際に暮らす姿をイメージしながら楽しく内見しましょう。
⑤申込み・契約をする
気に入った物件が見つかった後は、申込みの手続きに入ります。家賃の支払い能力などの審査を受け、問題なければ契約を結びます。期日までに必要書類などを用意し、契約金の支払いが終われば契約成立です。
ここまでおおまかな流れを見てきましたが、人気の物件は問い合わせの数が多く、悩んでいるうちに別の方が契約してしまうというケースも少なくありません。希望の条件に見合う物件があれば、まずは一度不動産会社に相談してみてはいかがでしょうか。
更新料なし賃貸物件の特徴を押さえて、実際に探してみよう！
今回は、更新料なし賃貸物件のメリット・デメリット、更新料なし物件の探し方などについて解説しました。更新料なしの賃貸物件は、金銭的な負担が少ない点が大きなメリットである一方、その分家賃が割高なケースが多いなど、事前に把握すべき注意点もいくつかあります。
おすすめできる人とそうでない人がはっきりと分かれるため、自分が希望する賃貸物件の特徴をしっかり押さえつつ、不動産会社の人にも相談しながら物件探しをしましょう。
