賃貸 初期 費用

家賃1ヶ月分以上の違いが!賃貸契約の初期費用と抑える方法を宅地建物取引士が解説

目次

賃貸契約を結ぶ際には、初期費用としてまとまったお金が必要です。新生活の始まりや転勤などを理由に引越しが必要な方の中には、初期費用の準備に困っている方もいるでしょう。

そこで今回は、賃貸契約の初期費用の相場と抑える方法を解説します。少しでも抑える方法を知り、いずれ訪れる引越しの機会に役立ててください。

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賃貸契約にかかる初期費用は「家賃の5〜6ヶ月分」!その内訳とは

賃貸 初期 費用

初期費用とは、入居する前の賃貸契約を結ぶ段階で支払う必要がある費用のことです。賃貸契約にかかる初期費用には、敷金や礼金など、聞き覚えのある費用のほかにも、仲介手数料や前家賃などがかかります。数十万円単位のお金が必要になる初期費用について、次項で詳しく見ていきましょう。

敷金

引越しの際には、借りていた部屋を修理・修繕して退去するのが一般的です。これを原状回復といいます。敷金とは、貸主が原状回復にかかる費用をあらかじめ確保する目的で初期費用として徴収するお金です。

敷金は初期費用ではありますが、原状回復にかかる費用を貸主に預けるイメージになります。敷金として預けたお金は、退去時に原状回復にかかった費用が差し引かれ、残った金額が返還されます。ただし、原状回復にかかる費用が敷金よりも高いケースや、家賃を滞納してしまったケースでは敷金が返還されないためご注意ください。

また、国土交通省の「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」によると、令和3年度の敷金は家賃の1ヶ月分が65.9%、家賃の2ヶ月分が19.0%でした。よって、敷金の相場は家賃の1〜2ヶ月分と考えられます。

※参考:国土交通省 住宅局 「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」

礼金

礼金とは、文字通り貸主に支払う謝礼のお金です。賃貸契約を結び、部屋に住まわせてもらうことへの感謝の意味合いのお金であるため、敷金とは異なり、退去時に返還されることはありません。

「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」によると、礼金の額は家賃の1ヶ月が72.1%、家賃の2ヶ月が14.7%でした。一方、礼金なしの物件も増えており、礼金があった世帯となかった世帯はほぼ同数でした。そのため、礼金の相場は0〜2ヶ月と考えられます。

※参考:国土交通省 住宅局 「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」

仲介手数料

仲介手数料とは、借主と貸主の賃貸契約を仲介する不動産会社に支払う手数料のことです。物件の案内や重要事項の説明、交渉など、不動産会社が賃貸契約を結ぶ手助けをしてくれたことへの対価です。そのため、不動産会社を利用せずに、借主と貸主だけで賃貸契約を結ぶ場合には仲介手数料は発生しません。

仲介手数料は宅地建物取引業法によって、家賃の1ヶ月分とその消費税までが上限とされています。また、不動産会社が借主と貸主の双方から受け取る仲介手数料の合計額が、家賃の1ヶ月分と消費税までと定められています。さらに、先ほどの「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」によると、仲介手数料が家賃の1ヶ月分と回答した人が69.3%、1ヶ月未満と回答した人が20.6%でした。

※参考:国土交通省 「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」
※参考:国土交通省 住宅局 「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」

日割り家賃

契約書の内容次第ですが、日割り家賃が発生します。日割り家賃とは、入居日から月末での日数に応じて支払う家賃です。

たとえば、4月21日が入居日の場合は、10日間だけ住むことになるため、4月の家賃は本来の1/3です。一方で、契約書に月割りと記載されている場合は、どのタイミングで入居しても1ヶ月分の家賃が発生します。

ただし、契約書に「日割り」ではなく「月割り」と記載されているケースでは、入居日に関係なく1ヶ月分の家賃を負担することになるため、契約書は隅々まで確認しましょう。

前家賃・前管理費

契約日の翌月以降の家賃・管理費を入居前に支払うことがあります。このお金が前家賃・前管理費です。日本では、家賃は前払いで支払うことが一般的であるため、初期費用に前家賃・前管理費が発生すると考えておきましょう。

前家賃・前管理費の相場は1〜2ヶ月とされています。しかし、法律で明確に定められているわけではなく、前家賃・前管理費の額は不動産会社や貸主次第です。

初期費用に含まれるお金ではありますが、前家賃・前管理費として支払った期間の家賃・管理費は支払う必要はありません。家賃・管理費を余計に負担しているわけではないため安心してください。

その他かかる可能性のある費用

上記の初期費用とは別で、かかる可能性のある費用について解説します。以下の費用が挙げられます。

  • 家賃保証会社の保証料
  • 鍵の交換費用
  • 消毒料
  • サポート料
  • 火災保険料

まず賃貸契約を結ぶにあたって、家賃保証会社を利用する場合は保証料が発生します。利用する保証会社によって、保証料は変わりますが、家賃の0.5〜1ヶ月分が相場です。ただし、最低保証金額として、20,000円や35,000円といった金額を設定している保証会社もあります。

鍵の交換費用に関しては、鍵の種類によって費用が異なります。相場の目安は10,000〜20,000円ですが、高性能の鍵であれば、それ以上の費用がかかるケースもあるでしょう。

消毒料は部屋の害虫駆除や消毒殺菌、消臭除菌する際にかかる費用です。相場は15,000円からとなっており、部屋の広さによって変動する場合もあります。

サポート料は、賃貸物件で起きたトラブルに対応してくれるサービスです。鍵を紛失して部屋に入れなくなった際や、水回りのトラブルが発生した際などに対応してくれます。契約する会社によって受けられるサービスや費用は異なりますが、15,000円からが相場となります。

火災保険とは、建物や建物内にある家具・家電などの動産が、火災による損害を受けた際に補償する保険です。火災だけではなく、落雷や破裂・爆発も補償対象としている火災保険が一般的です。また、加入する保険によっては風災・雪災・水災・盗難も補償対象となり、15,000〜20,000円が相場とされています。

【補足】引越し料金や家具・家電の購入費用も考慮しておこう

引越しの際には、賃貸契約にかかる初期費用のほかにも、引越し料金や家具・家電の購入費用も発生します。引越し料金は引越し先までの距離や荷物の量、引越しの時期によって、家具・家電の購入費用は購入する家具・家電の種類や求める性能によって大きく変動するため、必要資金は人によって大きく差が生じるといえます。

賃貸契約の初期費用を抑える方法

賃貸 初期 費用

賃貸契約の相場は家賃の5〜6ヶ月分ですが、ここからは家賃1ヶ月分以上の初期費用を抑える方法を紹介していきます。物件選びや賃貸契約を結ぶ際に意識し、行動に移すことで初期費用を抑えられる可能性があるため、ぜひ参考にしてください。

敷金・礼金なし物件を選ぶ

現在では、敷金・礼金なしの物件が増えています。先ほどご紹介した「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」によると、引越しの際に敷金がなかった人は32.3%、礼金がなかった人は46.4%でした。

※参考:国土交通省 住宅局 「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」

ただし、敷金・礼金なし物件を選ぶ際には注意点があります。本来であれば、退去時の原状回復にかかる費用が敷金から支払われるため、敷金なしの物件では退去時に修繕費の支払いを求められる可能性があります。契約書には退去時にかかる費用について記載されているため、契約時によく確認しましょう。

また、敷金・礼金なしの物件は、初期費用が抑えられる点はメリットですが、ほかの物件の家賃や管理費などと比較する必要があります。家賃や管理費などがほかの物件と比較して高い場合、初期費用は抑えられますが、月々の固定費の負担が大きくなる点に注意が必要です。

初期費用が気になる方は「敷金・礼金なしの物件」で検索し、ほかの物件と比較しながら希望に合う物件をお探しください。

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仲介手数料が安い物件を選ぶ

一般的に、不動産会社は借主と貸主から得る仲介手数料の合計が家賃の1ヶ月分までという法律を守らなければなりません。そのため、仲介手数料を不動産会社に多く支払う場合、借主が負担する仲介手数料は少なくなります。

貸主が仲介手数料を多く負担する理由として、空室対策が挙げられます。仲介手数料の負担よりも、空室による家賃収入の減少の方が被害が大きいからです。また、「仲介手数料無料」の物件もあるため、仲介手数料の費用が気になる方はそのような物件を探してみてください。

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家具・家電付き物件を選ぶ

家具・家電付き物件を選ぶと、家具・家電の購入費や引越し料金を抑えられます。家具・家電一式を揃えるとなると、単身者であっても10万円を超えるケースもあるため、初期費用をかなり抑えられるでしょう。また、引越し後にすぐに生活を始められる点や、退去時の荷物が少ない点などもメリットです。

注意点としては、部屋の家具・家電を自由に選べない点や、家賃が相場よりも少し高く設定されている点が挙げられます。そのため、長期間同じ部屋に住み続けるのであれば、初期費用はかかるものの、家具・家電をご自身で準備した方が良いケースもあります。短期間に再度引越しする可能性がある方は、家具家電付き物件への入居を検討してみてはいかがでしょうか。

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値下げ交渉をする

初期費用を抑えるために、貸主に値下げ交渉する選択肢もあります。さまざまな費用のベースとなる家賃は、最終的には貸主が自由に設定できるため、状況次第では家賃の値下げも期待できます。周辺エリアの類似物件の家賃を確認し、家賃が低い物件を見つけた際や空室が散見される際は、値下げ交渉の根拠となり、交渉がしやすい状況です。

家賃のほかにも、敷金や礼金も交渉次第では抑えられる可能性があります。ただし、先ほども解説しましたが、敷金を抑える際は退去時にかかる費用にご注意ください。値下げ交渉ができそうな物件を見つけた場合、節度ある態度で交渉に臨み、自分の意見や希望を提示しましょう。

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フリーレント物件を選ぶ

フリーレント物件とは、入居から一定期間の家賃が無料に設定されている物件のことです。家賃無料の期間は物件によってそれぞれ異なり、日割り家賃が無料になるケースや、1ヶ月後・2ヶ月後までの家賃が無料になるケースがあります。フリーレント物件を選ぶことで、日割り家賃や前家賃を抑えることが可能です。

また、フリーレントではない物件に、フリーレントをつけてもらうよう交渉する選択肢もあります。こちらは家賃や敷金・礼金の値下げに比べ、ハードルが低いといわれています。

ただし、家賃や管理費などがほかの物件よりも高いケースや、契約内容がより厳しくなるケースがあることを頭に入れておかなければなりません。フリーレント物件には、契約期間が定められていることがあり、契約期間内に退去する場合に高額な違約金が発生するケースがあります。

初期費用の相場や抑え方を理解して賢く引越ししよう!

賃貸 初期 費用

賃貸の初期費用の相場は家賃の5〜6ヶ月分ほどですが、それぞれの費用の相場や抑え方を知っておくと賢く引越しができます。希望する物件や利用する不動産会社によって、どこまで初期費用を抑えられるかは変わります。初期費用を抑えやすい物件や、値下げ交渉しやすい物件を探すことで、家賃1ヶ月分以上の初期費用を抑えることができるでしょう。