揚げ物後、鍋に残る食用油。使用後の油を何度か使い回す方、一回で処分する方など、その扱い方は人によってさまざまでしょう。
使用後の油は、直接、排水口に流すことはできません。正しい捨て方で処分することが大切です。
今回は、家庭でできる簡単な油の捨て方、破棄する際の注意点を詳しく解説します。一度使用した油を再利用するための保管方法や、処分するかどうか見極めるタイミングについても紹介しているので、揚げ物をよくする方は、ぜひ参考にしてみてください。
使用後の油のゴミの扱い
揚げ物をしたときに出る使用済みの食用油。正しく処分しないと、環境汚染や発火のリスクにつながることがあります。まずは、食用油のゴミの扱いについて紹介します。
使用済みの油は、基本的に「可燃ゴミ」として処分される
使用済みの油は、基本的に「可燃ゴミ」として処分しましょう。ただし、液体のまま可燃ごみとして捨てるのはNGです。
油を液体のまま捨てると、ゴミを回収する際に容器が壊れ、油が周囲に飛び散ったり、気温によっては発火したりする恐れがあるためです。自治体のごみの処理方法に従いつつ、適切な処理をしてから可燃ごみとして捨てましょう。
自治体によっては「資源ゴミ」として回収することもある
自治体によっては、使用済みの油を「資源ゴミ」として回収しているところもあります。使用後の油の回収は、可燃ごみの量の減少、資源の有効活用を目的として行われています。
ボトルに入れたまま回収される場合や、回収場所にある大きな容器に注ぐなど、自治体により回収方法は異なります。お住まいの地域で油のリサイクルがなされているかどうか、各地域のホームページや資料を確認してみましょう。
使用済みの油を処分する方法3選
油を可燃ゴミとして処分するときは、液体の状態で捨ててはいけません。固めたり、何かに吸わせたりして捨てましょう。
使用済みの食用油を捨てる具体的な方法を紹介します。
・固めて燃えるゴミとして捨てる
・紙や布に吸わせて捨てる
・リサイクル施設に持ち込む
上記の方法について、詳しく見ていきます。
固めて燃えるゴミとして捨てる
使用後の油の捨て方としては、油そのものを固めて可燃ごみとして捨てる方法が一般的です。油を固める手段には、市販の凝固剤を使う方法と、片栗粉を使う方法とがあります。
市販の凝固剤を使う
市販の凝固剤を使うのは、油の量が多い場合にも手軽にできる方法です。
油が熱いうちに凝固剤を入れて溶かしておくと、冷めるにつれて固まります。固まった油をポリ袋などに移し、可燃ごみとして処分しましょう。凝固剤は、ホームセンターやスーパー、ドラッグストアなどで手軽に手に入ります。
片栗粉を使う
油用の凝固剤がない場合や、油の量が少ない場合には、片栗粉を使用しましょう。
油が冷める前に、油と同じくらいの量の片栗粉を混ぜておきます。油が冷めるとドロドロとした状態になるので、袋に入れて処分します。
大量の処分したい油がある場合には向きませんが、家庭にあるもので手軽に行える方法です。
紙や布に吸わせて捨てる
油は、紙や布に吸わせて可燃ごみとして捨てることもできます。この場合、気温や日当たりにより自然発火の恐れがあるため、水も一緒に染み込ませるようにしましょう。
キッチンペーパーや新聞紙に染み込ませる
少量の油を処分したい場合には、キッチンペーパーや新聞紙を使用するとよいでしょう。
洗って乾かした牛乳パックの中に、キッチンペーパーや新聞紙を入れ、油をゆっくりと注ぎます。油を注ぎ終わったら、自然発火の防止のために水を染み込ませます。牛乳パックの口の部分をガムテープや輪ゴムでしっかりと閉じ、燃えるゴミとして処分しましょう。
使い古した布やタオルに油を染み込ませる
使い古した布やタオルがある場合には、そちらに染み込ませてもよいでしょう。
牛乳パック、またはビニール袋を二重に重ねたものに布を詰め込み、そこに油を注ぎます。自然発火予防のために水を少量入れてから、牛乳パック・ビニール袋の口をしっかりと閉じ、可燃ごみとして処分します。
リサイクル施設に持ち込む
使用済み油を資源ごみとして回収している施設が身近にあれば、油をリサイクル施設に持ち込むのもよいでしょう。
回収された食用油は精製され、飼料や燃料、工業用に使用されます。環境にやさしい取り組みにつながるため、積極的に参加しましょう。
参照元：農林水産省 油脂・油脂製品化（廃食用油のリサイクルの現状）
使用済みの油を処分する際の注意点
使用済みの油を販売する際には、いくつかの注意点があります。環境への影響や事故を防ぐためにも、しっかりとチェックしておきましょう。
・油を直接排水口に流さない
・油が冷えてから処分する
・暑いところに長時間置いておかない
それぞれ詳しく解説していきます。
油を直接排水口に流さない
油を直接排水口に流してはいけません。油は冷えると固まるため、排水管が詰まったり、悪臭の原因となったりするためです。
また、大雨が降ったときに流した油が直接川や海に流れ込み、水質を汚染する可能性も高まります。環境を守るためにも、油は直接流さず、適切に処理しましょう。
油が冷えてから処分する
油を紙や布に吸わせて処分する場合、また資源回収に出すために容器に移し替える時には、必ず冷ましてから状態で行いましょう。熱い油は火傷の危険があります。
また、油の温度が高いままだと、熱で容器を溶かしてしまう可能性もあります。油がしっかり冷めたことを確認してから、処理するようにしましょう。
暑いところに長時間置いておかない
使用済みの油を暑いところに長時間保管するのは危険です。油の温度が上昇し、発火する危険があるためです。
油は日光の当たらない涼しい場所に保管し、早めに処分するようにしましょう。
油を処分するタイミングの見極めポイント
使用後の油は、正しく保管すれば3〜4回再利用ができます。
ただし、使いまわす回数や処分のタイミングには注意が必要です。古い油を使い続けてしまうと、健康被害につながることもあるためです。
油を処分するタイミングを見極めるには、以下のポイントを確認するとよいでしょう。
・油の色が濃くなる
・生臭いような嫌な臭いがする
・油の温度が下がったとき、ドロドロと粘り気がある
・揚げ物をしたときに小さな泡が出てきて消えない
・180℃程度に達した際に煙が出る
それぞれ詳しく見ていきます。
油の色が濃くなる
油が酸化してくると、色が変化します。
通常、新鮮な油は透明や淡い黄色に近い色をしています。茶色が進むと徐々に茶色っぽくなり、黒ずんでくるのです。
鍋の底が見えないほど黒ずんだり濁ったりしている油は、劣化しているといえます。料理の見た目や味にも悪影響を及ぼすため、色が濃くなった油は処分しましょう。
生臭いような嫌なニオイがする
油から生臭いような嫌なニオイがする場合も、処分のタイミングです。
新鮮な油には、特に強いニオイはありません。ニオイを感じるほど油が古くなっていると、揚げ物の味を損ねてしまいます。違和感を覚えたら、新鮮な新しい油に変えましょう。
油の温度が下がったとき、ドロドロと粘り気がある
油の温度が下がったときにドロドロとした粘り気を感じる場合は、使用せずに処分を考えましょう。
新鮮な油は、冷えてもさらさらとしています。しかし、劣化が進むと粘りを感じるようになるのです。油を再利用する際には、粘りがないかどうかを確認しておきましょう。
揚げ物をしたときに小さな泡が出てきて消えない
揚げ物をしたときに小さな泡が出てきて消えない場合、油の交換時期であるといえます。
食材を入れると細かい泡が大量に発生したり、揚げ物が終わっても泡が消えにくかったりする場合は、油が劣化しています。揚げ物を美味しく作るためにも、新しい油に交換しましょう。
180℃程度に達した際に煙が出る
油の温度が180℃程度に達した際に、白い煙が出てくることがあります。その場合、油が古くなっていると判断できるため、使用しないようにしましょう。
通常、良質な油は230℃〜240℃まで煙は出ません。煙が上がった油を使い続けると火事のリスクも高まります。油の使用をやめ、冷ましてから処分しましょう。
油を使い回す（再利用する）場合の保管方法
使用済みの油を再利用する場合は、正しく保管することで油の劣化を防ぎましょう。使用済み油を保管する際のポイントは以下のとおりです。
・使用した油を必ずろ過する
・きっちり密閉できる保存容器に入れる
・暗くて涼しい場所に保管する
それぞれ見ていきましょう。
使用した油を必ずろ過する
揚げ物後、油にに残った天かすやクズを入れたままにしていると、油が傷む原因となります。油が熱いうちにろ過し、クズや不純物を取り除きましょう。
ろ過の方法は以下のとおりです。
1.濾し器に油こし紙またはコーヒーフィルターをセットする
2.揚げ油をゆっくりと流しこむ
3.油が冷めたら密閉して保存する
油を長持ちさせるためにも、ろ過は必ず行いましょう。
きっちり密閉できる保存容器に入れる
油を保存する際は、密閉できる容器を選ぶことが大切です。適切な容器を使用することで、油の酸化を防ぎ、品質を長く保つことができます。
油こし器が備え付けられているオイルポットを使用すれば、ろ過が手軽にできます。オイルポットがない場合には、ガラス瓶やペットボトルでの代用も可能です。
ガラス瓶やペットボトルを使う際には、容器が清潔であること、紙を巻くなど日光に当たらないような工夫をすることが大切です。
暗くて涼しい場所に保管する
油の保管場所は、暗くて涼しい場所を選びましょう。空気や熱に触れることで、油の劣化が進むためです。
ガス台や火の近い場所、食卓の上に出したままにせず、シンクの下や棚の中など、冷暗所に保管します。
使用済みの油は正しく捨てよう
今回は家庭でできる簡単な油の捨て方、破棄する際の注意点や、長持ちする保管方法について紹介しました。
揚げ物に使った食用油は可燃ごみとして処理することが一般的です。地域によってはリサイクルできる場合もあるので、お住まいの自治体のルールを確認しておきましょう。
また、一度使用した油でも、正しく保管すれば再利用が可能です。油を上手に処理して、環境に配慮しながら料理を楽しみましょう。
