入居してみたら部屋が意外と汚れていた。不信感を持ったので解約したい!
内見の時には気付かなかったのだが、入居してみると部屋のあちこちがホコリやら虫の死骸やらで汚れていた…。常識的に考えれば、新しい入居者のために少しでも綺麗に掃除しておくべきだと思います。気を遣えない大家側に対して不信感を抱いたので契約を解除したいです。
Answer
結論から言いますと、部屋が汚いからといって即契約を解除することは難しいと思われます。仮に内見時に気付いて大家側に伝え、入居するまでには綺麗にしておくと聞いていたとしても、解除はおそらく出来ないでしょう。
賃貸借契約を解除するパターンはいくつかあります。
例えば建物自体が火災で燃えて住む場所が物理的に存在しなくなった場合は、契約の「履行自体が不能」なので解除が可能です。
引っ越ししてみたら別の人が居住していて、立ち退かせるよう大家側に依頼しても進展しない場合は、契約開始しているのに「履行が遅滞」している状態となります。何度か掛け合っても事態が変わらないなら契約を解除することができます。
では、引き渡された部屋がひどく汚れていたという時はどうなるのか。部屋自体は引渡しが済んでいるため契約はしっかりと履行されています。よって先述の解除のパターンには当てはまらず、解約することは難しいのです。本ケースは部屋の状態に問題があることになり、契約の「不完全な履行」と言うことができます。
また、契約文面や特約などで「現況での引き渡し」が定められていれば、汚れたままでの状態で引き渡すことに同意していたとみなされます。この場合は損害賠償を請求すること自体が事実上不可能となります。
いずれにしろ、汚れていた程度では即解除できる可能性は低いと言わざるを得ません。事前に大家さんから入居するまでの間に掃除して綺麗にした状態で引き渡すと確約されてもいなければ、損害賠償はおろか部屋のクリーニングを要求することも難しいでしょう。