建物が古くなって傷んでいるけど、大家さんは直してくれない。どうすればいいの?
今のアパートに居住して十数年、築30年以上も経つので老朽化が激しく、台所の床がきしみ始めて今にも抜けそうな状態です。先日は壁にひびが入り、崩れ落ちて穴が開いてしまいました。あまりにもひどい状態なので管理会社に電話すると、「大家さんの予算がないので直せないし、直す気もないようです。もし本当にまずい場合は連絡してほしい」と言われました。 引っ越そうにも経済的に苦しくてまとまった費用を捻出するのが難しいです。 今まで真面目に家賃を払ってきたのに、黙って我慢するしかないのでしょうか? もし引っ越すと決めた場合、直さないことを理由に引っ越し費用を大家さんに負担してもらう事はできるのでしょうか?
Answer
まず、貸主には修繕義務とよばれる義務があります。
壁に入っているひびの規模にもよりますが、たとえば外から風が入ってくるような穴や、天井から床に達するような大きなひび割れなど、生活に支障をきたすほどの不具合と判断できるものについては修繕を要求できるでしょう。床のきしみは築年数を考えるとある程度はやむを得ないかもしれませんが、床が抜けた場合はその位置や大きさによっては当然修繕対象となります。
大家さんはこれらのような建物の欠陥を修繕しなければならない義務を負っていますので、修繕を求めることは全く問題ありません。もしこれらの修繕要求を拒否された場合は、大家さんに通達した上で入居者自身で修繕し、家賃と相殺することができます。なお、緊急性が高い場合はこの通達をしなくても修繕することが可能です。修繕後に通達しましょう。
ただし、柱や梁などの建物の構造に関わる部分の修繕は大家さんの事前同意が必要になるため、大家さんに修繕の意思がないなら修繕自体が難しいと思われます。
いずれにしろ、このように義務をなかなか果たしてくれない大家さんの物件からは、多少費用がかかってでも退去することをお勧めします。
退去するのは明らかに大家さんの怠慢に原因があるので引っ越し代を請求できそうに思えますが、そう簡単にはいかないでしょう。大家さんの方には、建物の修繕をする義務はあっても退去時の費用を負担する義務はないからです。ただし、修繕義務を果たさない期間が長く、その間に実際に不利益を被ったとみなされれば、今後の家賃の減額や、既に支払った家賃の一部払い戻しを請求することは可能でしょう。
どうしても今の家に居続けたい場合、納得のいかない場合は、弁護士などの専門家に相談してみて下さい。