気がつけば、部屋の片隅にダンボールが山積みになっているといった経験はありませんか?オンラインショッピングの利用や引越しなどで、ダンボールはあっという間に増えてしまいます。とくに引越しの後は、大量のダンボール処分に困ってしまうこともあるでしょう。
実は、ダンボールをそのまま放置しておくと、思わぬリスクを招くことがあります。そこで今回は、ダンボールを適切に処分する方法をご紹介します。リサイクルやエコを考えた捨て方も合わせてご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
ダンボールを放置しておくとどうなる?
ダンボールは食べ物と違って賞味期限があるわけではないため、「少しくらい放置しても問題ないのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし、ダンボールを放置することには、次のようなリスクが潜んでいます。
害虫やカビの原因になる
ダンボールの素材は紙であり、もともと湿気を吸いやすい特徴があります。そのうえ、ダンボールは構造上、湿気を溜め込みやすい性質を持っています。とくに、断面の隙間や折り重なった部分はカビが発生しやすく、ゴキブリやダニといった害虫が身を隠したり、繁殖したりするのに最適な環境です。
放置されたダンボールは害虫の温床となり、カビの発生によって健康リスクが高まる可能性があります。さらに、湿気を多く含んだダンボールが壁や家具に接触することで、ダメージを与えてしまうこともあります。こうしたリスクを避けるためには、適切な管理が欠かせません。
生活スペースを圧迫してしまう
溜まったダンボールは、見た目の印象を損ねるだけでなく、片付いていない部屋がストレスの原因になることもあります。
また「変な匂いがする原因を探ると、ダンボールにたどり着いた」という経験をしたことはありませんか?湿気を吸収したダンボールは、不快な匂いの元になることがあります。さらに、部屋が狭くなることで、地震などの災害時に避難経路がふさがり、避難しにくくなる恐れもあります。
火災リスクが増える
隙間がある構造のダンボールは空気を含みやすく、紙類のなかでもとくに燃えやすい素材です。ダンボールを溜め込むと、万が一火災が発生した際に、火が燃え広がるスピードが速まり、消火が困難になります。
大きな被害を招く原因にもなりかねないので、ダンボールを保管するときは、暖房器具や火気の近くに置かないよう十分に注意しましょう。
ダンボールの適切な処分方法

ダンボールを適切に処分するためには、地域の回収方法に合わせて、正しいルールを守ることが大切です。ここでは、実際の回収例をもとに、処分のポイントを具体的にご紹介します。
ルールを確認して自治体に回収してもらう
ダンボールを処分するもっとも簡単で費用がかからないのは、自治体に回収してもらう方法です。ただし、引越したばかりの場所では、これまでのゴミ回収ルールと異なる場合があるため、注意が必要です。
たとえば、以前は朝早く回収されていたのに、新居では昼頃に回収されるといったケースも少なくありません。そのほかにも、自治体特有の細かなルールがある場合もあります。まずは、自治体に回収頻度や分別方法、回収時間などを確認することから始めましょう。
資源ごみとして出すダンボールの判断基準
ダンボールを資源ごみとして出せるかどうかは、自治体ごとに異なるルールがあります。多くの場合、汚れたり濡れたりしたダンボールは「可燃ごみ」とされ、きれいな状態のダンボールのみが「資源ごみ」に区分されます。詳細は、自治体の分別ルールを事前に確認することが大切です。
資源ごみに適したダンボールの具体例
資源ごみに適したダンボールは、汚れが付着していないなど状態が良いものに限ります。たとえば、宅配ピザの箱は油が付着しているため、資源ごみとしては出せません。また、子どもが工作で使った絵の具やクレヨン、ボンドなどが付着したダンボールも同様です。さらに、食品や調味料、雨などで大きく湿ったり、汚れたりしたダンボールも資源ごみに適していません。
自治体のクリーンセンターを活用する
大量のダンボールを一度に処分する方法として、自治体のクリーンセンターを利用するのも、便利な手段のひとつです。有料になりますが、あまり費用をかけずに処分できます。
一度に大量のダンボールをゴミ置き場に持っていくと、近所の目が気になることもあるでしょう。そういうときに、自治体のクリーンセンターが役立ちます。ただしクリーンセンターを利用する際は、自家用車での運搬が必要なことに注意しましょう。クリーンセンターに持ち込むついでに、分別に迷うような大型の家具などの不用品もまとめて処分できるので、断捨離したいときにも向いています。
古紙回収業者・不用品回収業者に依頼する
古紙回収業者・不用品回収業者に依頼するのも、ダンボールを処分するときに有効です。古紙回収業者が古紙として回収したダンボールは、新しいダンボールや紙製品に再生されるため、環境保護につながるメリットがあります。
不要なダンボールを回収してくれるだけでなく、量に応じてトイレットペーパーと交換してくれる場合もあります。ただ、量が少ない場合は対応してもらえなかったり、限られた日にしか回収していなかったりするので、ダンボールを早めに処分したい人には向かないかもしれません。
不用品回収業者を利用する方法もありますが、有料の場合が多く、なかには悪質な業者もいるため、注意が必要です。利用する前に、直接問い合わせて見積もりを確認するなど、事前に複数の業者を比較することをおすすめします。自治体から「一般廃棄物収集運搬業」の許可を受けている業者なら信頼性が高いので、安心して利用できるでしょう。
リサイクルボックスを利用する
一部のスーパーやドラッグストア、ホームセンターでは、店舗前にリサイクルボックスを設置しているところがあります。ダンボールを直接持っていくため手間はかかりますが、無料で利用でき、紐で縛らなくても良い点がメリットです。さらに、溜まったリサイクルポイントは、買い物で使えるポイントと交換する嬉しいサービスも提供されています。
回収できるダンボールは、リサイクル可能なものだけです。濡れたり、汚れたりしているものは持ち込まないようにしましょう。リサイクルボックスを設置しているスーパーやドラッグストア、ホームセンターを一部ご紹介します。
<リサイクルボックスを設置している店舗>
・イオン系列のスーパー(マックスバリュ・カスミ・ダイエーなど)
・イトーヨーカドー系列のスーパー(ヨークマート・ヨークベニマルなど)
・ドラッグストア(マツモトキヨシ・ウエルシア薬局・サンドラッグなど)
・ホームセンター(カインズホーム・コメリ・コーナンなど)
引越しの際に引越し業者に回収を依頼する
引越しの荷解きは、とくに大量のダンボールが出てしまうので、処分が大変なものです。そこで、事前に引越し業者に、ダンボールの回収について確認しておくと良いでしょう。
たとえば私の経験では、引越し作業中に荷解きを進めておくと、作業終了時に業者がその場でダンボールを無料で回収してくれたことがあり、とても助かりました。1回限りや期間限定で、無料回収サービスを提供している引越し業者もあります。回収ダンボールの処分をスムーズに行えば、新生活をより快適にスタートできるでしょう。
ダンボールは売却もできる?

ダンボールを無料もしくは有料で処分する方法を紹介しましたが、逆にダンボールを売ることによって、お金に換えることも可能です。
たとえば、大手のフリマアプリでは、引越し業者専用のダンボールや、未使用の無地のダンボールがまとめて売られています。中古であってもタイミングがあえば、同じ業者を使って引越しを予定している人などに、買ってもらえることもあるようです。ただ、早く処分したい人には、あまり現実的な方法ではないかもしれません。
ダンボールを処分するときのまとめ方
ダンボールを処分するときに盲点になりがちなのが、まとめ方です。縛ったはずのダンボールが、ゴミ置き場に向かっている途中で解けてしまい、大変な目にあってしまうことも少なくありません。しっかりと束ねられたダンボールは、持ち運びが簡単になり、処分もスムーズに行えます。
ここでは、ダンボールをまとめるコツや注意点について詳しく紹介します。
ダンボールをまとめるのにあると便利なグッズ
ダンボールを片付ける際、以下のものがあると便利です。

※コンパクトに収納できるダンボールストッカー
・紐
紐は、紙や麻といった自然素材のものから、ナイロン製まで種類があります。エコの観点から「自然素材が良いのでは?」と考えて自治体に確認したところ、私の住む地域では、使う紐の素材に制限はありませんでした。
自治体のルールに沿っていれば、どんな素材でも問題ないでしょう。ナイロン製の紐は強度があって切れにくいうえ、しっかりと束ねられます。
・結束バンド
結束バンド(PPバンド)は、簡単にダンボールをひとまとめにできます。家電やタイヤの梱包にも使われるため、丈夫さは折り紙付きです。運搬中に、紐が切れてしまう心配もありません。紐に比べて少しコストがかかりますが、重いダンボールをしっかりまとめたいときに利用すると良いでしょう。
・ダンボールストッカー
ダンボールは寝かせて置くとスペースを取り、立てかけてもずり落ちてしまうなど、ストレスを感じたことはありませんか?このアイテムがあれば、ダンボールを束ねずに、立てたままスッキリ保管できます。一時的な保管はもちろん、溜めすぎを防ぐ目安にもなるので、整った部屋をキープするのに最適です。宅配を利用することが多い家庭や、スペースを有効活用したい方におすすめです。
ダンボールをまとめるコツ
ダンボールをまとめるときは、以下のポイントを意識すると簡単に片付けられます。
・ダンボールを折りたたんで、できるだけ同じ大きさにそろえる
・小さいダンボールが紐の間から落ちないようにする
ダンボールの大きさをそろえると、紐で縛る際に緩みにくくなります。しかし、大小さまざまなダンボールをまとめるのは、少し手間に感じることもあるでしょう。
そこで、ダンボールをまとめる便利な方法をご紹介します。
1.まず、大きめのダンボールをひとつ選び、底部分を内側に折り込む

2.小さいサイズのダンボールを折り込んだ部分に挟む

このやり方なら、大きいダンボールの内側の羽根が、小さいダンボールをしっかりと固定してくれます。紐をかけた際に散らばりにくくなるので、紐の間から小さいダンボールが落ちてくることもなくなるでしょう。見た目も整いやすく、持ち運びも楽になります。
【補足】ダンボールについたガムテープは除去すべき?
乾燥する時期は、ダンボールに触れると、手が余計に乾燥してガサガサになったり、傷ついたりしてしまうことがあります。そのため、ダンボールを開封する際に、ダンボールカッターを使って開封している方も多いのではないでしょうか。
ダンボールカッターを利用すると、切り込みを入れるだけで簡単に開封できるため、テープを剥がす手間が省けます。しかし、処分する際には、ガムテープがついたままの状態になってしまうのが難点です。ダンボールについたガムテープは、どの程度取り除けば良いか迷ってしまうでしょう。
行政に問い合わせたところ、以下のような回答を得ました。
・紙製のクラフトテープは多少残っていても、リサイクルに支障はない
・布製テープやビニール製テープは可能な限り取り除くのが望ましいが、どうしても取れない場合はそのままでも構わない
・ホチキスの針などの金属部分は必ず取り除く
ただし、このルールは私が住む行政の場合です。具体的なルールは、お住まいの自治体によって異なるので、不安な場合は自治体に直接確認すると安心して処分できます。
ダンボールを処分する際の注意点

ここでは、ダンボールを処分する際に気をつけたいポイントについて、詳しく解説します。
住所や名前の漏洩を防ぐ
ダンボールを処分する際に忘れてはいけないのが、個人情報の漏洩防止です。伝票に記載された住所・名前などは、小さくて目立たないことが多いため、うっかり見落としてしまうこともあります。取り残しがないよう、しっかり取り除いてから処分しましょう。
伝票やカーボン紙を取り除く
送り状や伝票を剥がす理由は、個人情報を保護することだけではありません。送り状に使用される裏側が黒い紙で加工されたカーボン紙は、リサイクルに適さない素材です。そのまま出してしまうと、リサイクル効率が低下するため、資源ごみとして処分する前に必ず剥がしておきましょう。
自治体のルールに従いトラブルを未然に防ぐ
自治体のゴミ出しルールを守ることは、ご近所トラブルを防ぐためにも重要です。たとえば、一度に大量のダンボールを出してしまったことで、収集所を占領して、ほかのゴミが置けなくなったという苦情が寄せられることもあります。
私自身、回収済みだと知らずに収集所に出してしまい、ご近所の方に指摘されたことがありました。また、回収日と違う日に出してしまい、回収されていないことに気づいて持ち帰ったこともあります。大きなトラブルに巻き込まれる前に、ルールを守って適切に処分することが大切です。
通販などをよく使う人は要チェック!ダンボール処分が困らなくなる物件条件
通販やネットショッピングを利用するたびに、ダンボールは溜まってしまいます。回収頻度が少ないことも多いので、処分方法や保管場所に困ることも多いでしょう。そんな悩みを解消するために、ダンボール処分がスムーズにできる、物件選びのポイントを押さえておきましょう。
24時間ゴミ出しOKの物件
ダンボールが溜まってきたとき、すぐにゴミ出しができる環境はとても便利です。とくに通販を頻繁に利用する方にとって、24時間ゴミ出し可能な物件は大きなメリットです。
ただし、地域や物件によってゴミ出しルールが異なる場合もあるので、内見時にゴミ捨て場の場所やルールを確認しておくことをおすすめします。
処分するまで一時的にダンボールを保管できるスペースがある物件
ゴミ出し日まで、保管場所に困らない物件も要チェックです。広めの収納スペースや屋内の専用保管スペースがあれば、ダンボールを一時的にまとめて置いておけます。ダンボールを置くスペースがあると、家のなかをスッキリ保てるのも嬉しいポイントです。
都度の処分が楽になるエレベーター付きの物件
ダンボールは、一度に大量に処分すると重くなりがちです。マンションやアパートで階段しかない場合は、運ぶのに手間がかかることもあります。エレベーター付きの物件なら、重い荷物を運ぶ負担が軽減されるため、ダンボール処分もスムーズです。
ルールを守ってダンボールを処分しよう
今回は、ダンボールの処分方法について詳しく解説しました。資源ごみに出されたダンボールの約90%以上は、新しいダンボールとしてリサイクルされ、残りはトイレットペーパーなどに再生されています。
ダンボールは、木から作られる限りある資源です。適切にリサイクルして有効活用することで、貴重な資源を大切にしていきましょう。
日頃からゴミ出しルールや保管場所を意識しながら、効率的に適切にダンボールを処分する習慣をつけることで、環境にもやさしい生活ができます。ダンボールを処分するときに困ったら、この記事を参考にぜひ実践してみてください。