ロフト付きの部屋といえば、普通の部屋に比べて開放感があって便利そうなイメージがある方が多いかと思います。一方で、「具体的に何が良いのかよくわからない」「夏場は暑くてどのように使うべきかわからない」「物置になってしまっている」という人も案外多いのではないでしょうか?
今回は、普通のお部屋とはまた違った空間であるロフト付きの部屋の魅力や、具体的な活用法について解説していきますので、「ロフトってどうなんだろう」と興味をお持ちの方はぜひチェックしてみてください。
ロフトとは
ロフトとは、1つの空間を2分割して部屋の上部に作った新たな空間のことです。はしごを使うことで、ロフト部分と本来の居住スペースを行き来します。建築基準法によれば正しくは「小屋裏物置等」と位置付けられているため、居住スペースとは規定が異なります。
・最高内法高さは1.4m以下であること
・床面積の2分の1未満であること
参照:建築基準法
ロフト床から天井までの高さに制限があるため、大人であればロフト空間で普通に立って歩くことはできません。
ちなみに居住スペースの高さは2.1m以上という定めがあるので、ロフトがあるからといってその分リビングの天井が低くなるということはありません。むしろ天井までの高さがロフト分広くなるため通常の物件よりも開放的で、なおかつ縦の空間を広く使うことができます。
ロフトがある賃貸物件のメリット
ロフトがあることによって通常の物件とは違った雰囲気や恩恵を感じることができます。まずは、ロフト付きの部屋のメリットについて解説していきます。
天井が高いので開放感がある
ロフト付き物件は、通常の物件よりも天井が高く開放感があるのが魅力です。気持ち的な部分ももちろんありますが、背の高い家具を取り入れてみたりオシャレな天井照明を取り付けてみたりとオリジナリティー溢れる部屋に仕上げることも可能です。
また自由度が高いので、とことんデザイン性を重視した部屋に仕上げるのはもちろん、収納豊富で利便性に特化した部屋など幅広く自分好みにアレンジすることができます。
専用趣味部屋や収納スペースとして活用ができる
ロフト部分は寝室として使われることも多いですが、自分の好みや生活スタイルに合わせて居住スペースとの使い分けることができます。趣味が豊富な人であれば、ゲームや漫画などを集めて趣味部屋として活用することもできますし、収納スペースが足りないようならロフト全体を物置として活用することもできます。
住居スペースがゆったりと使える
本来であれば、住居スペースには物を収納するためのラックや棚を置かなければならないため、使える空間は狭くなってしまいます。しかし、ロフト部分に収納することで、居住スペースをより有効に使うことができるでしょう。日用品や小物の数が多い方は、ロフト付きの部屋を部屋探しの候補に入れてみてはいかがでしょうか。
ロフトがある賃貸物件の注意点
メリットも多い反面、ロフトならではの問題点も存在します。ロフトに住むうえで知っておきたいデメリットも一緒にチェックしておきましょう。
階段の上り降りが危険・面倒くさい場合がある
ロフトに上るためには階段やはしごを使用しなければなりません。普通に上り降りをするだけなら問題ありませんが、たとえば、何かを手に持っている場合は両手が塞がっているため落下の危険が伴います。またロフトを寝室として活用している場合、朝起きてからはしごを下りる際にバランスを崩して転倒するリスクもあります。
また、ロフトに物を忘れてしまう、またはちょっとトイレに行くといった用事でも上り降りしなければならないので、面倒くささを感じることもあるでしょう。
エアコンの風が行き渡りにくい
ロフト付き物件は空間自体が広いため、エアコンの風が行き渡りにくく快適な温度になるまでに通常よりも時間がかかってしまいます。また、冷たい空気は下に溜まりやすく、暖かい空気は上っていく性質上、夏場は特に過ごしづらくなる傾向があります。
快適に過ごしたいのであれば、小型の扇風機などを活用するといった工夫が必要かもしれません。
掃除がしにくい
リビングや廊下ならそこまで手間はかからないものの、ロフトは掃除をするために階段を上る必要があります。また掃除機をロフトにわざわざ上げなければならないのは面倒ですし、かといってロフトに置いておくと今度はリビング部分の掃除をする際に困る場合があります。また、ロフトは大人が立てるほどの高さがない場合が多いので、かがみながら掃除をする必要があるかもしれません。
ロフトがある賃貸物件がおすすめの人
高さ制限や広さの制限があるものの、うまく活用できれば生活の幅が広がり、より過ごしやすさを感じることができます。ここからは、ロフト物件がどんな人におすすめなのか詳しく解説していきます。
趣味に大きな道具を使うという人
ゴルフクラブやスノーボードの板、釣り具など大きな道具を家にそのまま置いておくと生活の邪魔になってしまいますが、ロフトがあれば一時的な保管場所として使うことができます。ロフトは生活の導線に影響を与えないため、大きな荷物や道具を保管する場所としてぴったりです。
それ以外にも、リビングに置きづらいコレクショングッズを収納するほか、かさばりがちな漫画や小説もまとめて置いておくことができるので、ロフト付きの部屋は趣味が豊富な人ほどおすすめといえるでしょう。
片づけやものを捨てるのが苦手な人
ロフトは空間を分けて使うことができ、目的用途をしっかりと決めて物を配置することができるので、あちこちに物が散乱してしまうような片づけが苦手な人にもおすすめです。普通の物件では分別もしづらく片づけ作業が億劫に感じますが、ロフトなら趣味部屋、寝室など目的がはっきりしていてわかりやすいです。
また、部屋の中がいつも物で溢れかえってしまうような人でもロフトがあればそこにまとめて保管できるため、余計なストレスを溜めることなく快適に過ごせます。
収納スペースは欲しいけど家賃は抑えたい人
広い部屋でも収納スペースは限られており、またウォークインクローゼットなどの広い収納スペースがある部屋は比較的家賃も高くなってしまいます。一方、ロフトがあれば収納スペース代わりに使えるほか、家賃もそれほど高くない傾向にあるため、手ごろな家賃で大きな収納スペースを求めている人にはまさにぴったりの間取りといえるでしょう。
また、一般的に家賃は立地や専有面積を考慮して計算されます。ロフト部分は屋根裏部屋として扱われるため専有面積に含まれず、収納スペースと同じ扱いになるので、同じ広さの物件と比較すると家賃も安くなる傾向があります。
開放的な部屋に住みたい人
ロフト付き物件の良さは、通常の物件ではなかなか味わうことのできない天井の高さによる開放感です。同じ面積でも、天井が高いロフト付き物件の方が広く感じられるので、狭い部屋ならではの閉塞感が嫌いな人にはまさにうってつけです。
また、空間の一部がロフトになっていることで部屋に奥行きが生まれるので、単純に天井の高いだけの物件よりも広さを感じることができます。収納スペースが確保でき、さらに独特の開放感も味わえるロフト付きの部屋は数に限りがあるので、気になる方は「ロフト付き」を条件に入れて部屋探しを進めてみてはいかがでしょうか。
ロフトがある賃貸物件の活用例
主に寝室としてロフトを活用する方も多いのですが、生活スタイルや間取りに合わせて自分好みにカスタマイズしている方も珍しくありません。最後に、ロフトの具体的な活用法について見ていきましょう。
収納場所
ロフトは生活の導線を邪魔せず、人を呼んだときにも目に入りにくい高い場所に位置するため、収納場所として最適です。捨てることのできない大切な卒業アルバムや、1年に数回しか使うことのないような趣味用具もまとめて収納可能です。クローゼットには入りきらないような大きなものでも、ロフトを使うことで解決できるかもしれません。
私の場合は、冬にしか使用しないスノーボードの板や夏場にしか使わない扇風機、花粉症対策のための空気清浄機などをまとめて収納しています。
また、季節ごとに入れ替える服の保管場所にも適しています。ロフト部分にクリアチェストなど簡易的なタンスを置いておけば、大事な衣類を長く保管することができます。
チェストに入りきらない衣類や畳んでおけないものは、背が低めのハンガーラックを用意して掛けることで厚手の冬物も保管することができます。
子どもの遊び場
ロフトは単身者用物件に多いイメージがありますが、ファミリー向け物件でも採用されており、子どもの遊び場としても最適です。ロフトの高さは建築基準法に則って1.4m以下と定められているため、大人の場合は移動時にどうしても天井の高さを気にしてしまいます。
しかし、小さな子どもであれば天井の高さを気にせず動き回ることができるので、頭をぶつけてしまうことはもちろん、背を曲げて移動することもほとんどありません。また、狭いスペースなのでおもちゃもあちこちに散らばりにくく、片づけにかかる時間も少なくなります。
ただし、高さがあるので子どもが落ちないように安全対策もしっかりおこなうことが必要です。
気になるようであれば柵を設置するなどをして、手前側にチェストを置いて身を乗り出せないようにする対策をすれば、より安全に遊び場として活用することができます。
大人の趣味スペース
ロフトは秘密基地のような空間なので、好きなことだけに没頭できるような趣味部屋にしてしまうのもおすすめです。たとえば、漫画が好きならそれらを背の低い棚に入れて漫画喫茶のような空間にする、また映画が好きなら音響にこだわった映画鑑賞部屋にしても良いでしょう。
ほかにも、住居スペースに置いておくと邪魔になりやすいアンプやギターを置いて音楽部屋にするなど、自分好みの趣味部屋を作ることができます。
通常の物件だとわざわざ片付けないと邪魔になることが多いですが、ロフトなら生活の邪魔にならないので”あえて片付けない”という使い方もできます。
書斎スペース
住居スペースと仕事部屋が兼用になっている人も多いですが、ロフトがあればしっかりとした書斎スペースを作ることも可能です。たとえばリビングで仕事をしている際、ゲームや漫画など娯楽用品が目に入って集中力が途切れてしまうことも少なくありません。しかし、ロフトに書斎スペースを設ければ仕事に関係のないものが排除され、作業により集中できるようになります。
上記のように、ロフトは単なる寝室・収納場所ではなく、アイディア次第で活用の幅を広げられるのが大きな魅力です。ロフト付きの部屋を検討している方や、すでにロフトを使って生活をしているという方は、オリジナリティー溢れる使い方を考えてより自分らしい暮らしを叶えてみてください。
洗濯物干しスペース
ロフトは部屋の中でも暑くなりやすいですが、これを逆手にとって洗濯物干しスペースとして利用するのもおすすめです。
通常の賃貸物件では部屋干しするスペースがないため、ラックを購入したり、ドアノブやカーテンレール等を使ったりするしかありません。
洗濯物が生活を送る上で邪魔に感じたり、見栄えも悪いのでちょうど友人を招くタイミングだったりすると、特に困ります。
ロフトを利用すれば洗濯物を干しても生活の邪魔にならず、部屋の見栄えが悪くなることもないので急な来客時にも活用することができます。
また、ロフト部分に手すりや柵がついていればハンガーラックを使わなくてもそのままかけられるという点も便利です。
洗濯物を干す際はサーキュレーターやエアコンを併用することでより早く乾かすことができます。
畳でつくる和の空間
普段使いの部屋はフローリングが良いけど、畳の空間が恋しくなる、という人にはロフトに畳マットを敷いてみるのもいいかもしれません。ロフト自体、それほど広さがないケースも多く本格的な畳は置けないと思いますが、簡易的な畳マットであれば広さに合わせて敷くこともできるため、和の空間を取り入れることが可能です。
畳に寝転がり、のんびりするのが目的であれば天井が低くてもそれほど気になることもないと思うので、ロフトの活用手段として考えてみるのもいいですね。
トレーニングスペース
自宅トレーニングを趣味としている人であれば、ヨガマットを敷いたり、簡易的なトレーニンググッズを置いたトレーニングスペースにするのもいいでしょう。本格的なトレーニングマシンなどはスペース的におけませんが、ヨガをしたり、自重系のトレーニング、ストレッチなどをするくらいのスペースは設けられるはずです。
ロフトが常にトレーニングスペースであれば、トレーニングのたびにマットを敷いて、道具を用意して、という手間もなくすことができ、続けにくい日々のトレーニングも継続できるかもしれませんね。
また、ロフトは暑く、夏はサウナ状態だと言われるスペースですが、その暑さをポジティブに捉えて、ホットヨガをしてみるのもいいですよね。もちろん、水分補給をしっかりして脱水症状には気を付けてください。
ロフトの魅力を押さえたうえでお部屋探しをしよう
ロフト付き物件は、狭い部屋でも十分な収納スペースを確保できるのが大きな魅力。趣味部屋や仕事部屋など、幅広い用途として活用することもできて非常に便利です。また、ロフト付きの部屋といってもはしご式や収納階段などさまざまなタイプのお部屋があるので、自分が求めるロフト付き物件の条件を一度整理してから部屋探しを進めていきましょう。