ガスコンロに火がつかないと、日常生活においてかなりの不便を強いられますよね。その原因には、簡単に解決できるものから専門業者の対応が必要なものまでさまざまです。たとえば、ガス漏れが原因である場合には素早い対応と正しい対処法が求められ、放置したり誤った対応をしたりすると火災や爆発といった重大な事故につながる危険性があります。
今回は、火がつかない原因とその危険性、さらに賃貸物件での適切な対処法について詳しく解説します。安全を最優先にしながらトラブルを解決するための具体的な方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
【まずは確認!】ガスコンロの火がつかないときに絶対してはいけないこと
ガスコンロが点火しない場合、慌ててしまうと間違った対処法を選び、危険を伴う可能性があります。火がつかないときには、まず冷静になり、以下のような行動を避けることが重要です。具体的にみていきましょう。
力任せの操作
ガスコンロの火がつかないからといって、つまみを力任せに回すのは非常に危険です。力を入れすぎることで機器内部に損傷を与えたり、つまみが破損する原因となる可能性があります。
特に最新型のコンロでは、センサーや電子制御が組み込まれているため、乱暴に扱うことで故障が悪化することがあります。
また、つまみの奥にある部品が破損すると、修理費用が高額になる場合もあります。火がつかない場合は無理に力を入れず、原因を慎重に探るようにしましょう。
ライターやマッチで強制点火
点火しないときにライターやマッチで火をつけようとする行為は、特に危険です。ガスが漏れている状態で火を近づけると、引火して火災や爆発を引き起こす可能性があります。ガスは無色透明で目に見えませんが、わずかな量でも周囲に広がり、思わぬ大事故につながることがあります。
また、換気を行わないまま強制的に点火を試みると、一酸化炭素中毒などの健康被害を引き起こす可能性もあります。強制点火を試みるのではなく、まずはガス漏れがないか確認してください。
ガス漏れの可能性の軽視
ガス漏れは重大な事故の原因となりますが、その可能性を軽視してしまう方も少なくありません。特に、ガスの臭いがしなくても微量な漏れが発生している場合があります。ガスコンロが火を噴かない場合は、まず元栓を閉じて換気を行い、近くに火気を持ち込まないようにしましょう。
また、ガス漏れの疑いがある場合には、自分で解決しようとせず、速やかにガス会社や専門業者に連絡することが大切です。
ガスコンロの火がつかなくなったらまず確認したいポイント

ガスコンロが点火しない場合、慌てずまず基本的なポイントを確認することが解決への近道です。これらの確認項目を順番にチェックすることで、多くの場合は自力で問題を解決することができます。
ここでは、火がつかない際に最初に確認すべき基本的なポイントを詳しく解説します。
ガスの元栓が開いているか確認する
ガスコンロの火がつかないよくある原因の一つとして、元栓が閉まっていることがあります。元栓が閉まっているとガスが供給されず、点火することができません。特に掃除や引っ越し後、元栓を閉めたまま忘れてしまうケースがよく見られます。
元栓を確認する際は、無理に回そうとせず、ゆっくりと適切な方向に回してください。また元栓が劣化している場合は、ガス会社などに相談して修理や交換を依頼しましょう。元栓を確認するだけで、問題がすぐに解決する場合も多いため、最初にチェックするべき重要なポイントです。
ガス料金の支払い状況を確認する
ガス料金の支払いが滞っている場合、ガス会社は安全面や運営管理の観点からガスの供給を停止することがあります。ガスコンロが突然使えなくなったときは、ガス料金の支払い状況を確認してみましょう。
支払いが未完了の場合、速やかに支払いを済ませ、ガス供給の再開手続きを行う必要があります。ガス会社に直接連絡することで、供給停止の理由や再開までの手続きがスムーズに進むでしょう。
乾電池が切れていないか確認する
ガスコンロの点火装置は乾電池で動作する仕組みが一般的です。点火ボタンを押しても「カチカチ」という音がしない場合、電池切れが疑われます。乾電池の交換は簡単で、コンロの下部や側面にある電池ボックスを開けて新しい乾電池を入れるだけです。
ただし、古い乾電池を長期間放置していると液漏れが発生することがありますので、その場合は乾電池を取り外し、電池ボックス内を清掃してから新しい電池に入れ替えてください。
電池切れが原因でガスが点火せずに慌ててしまうケースは結構多いので、常に確認することを心がけましょう。
ガスコンロの火がつかないときに考えられる原因と対処法
ガスコンロの火がつかない原因は、単純なものから専門的な修理が必要なものまでさまざまです。それぞれの原因を理解し、適切な対処法を実施することで、安全かつ確実に問題を解決できます。以下では、代表的な原因とその対処法を詳しく解説します。
バーナーキャップに問題がある

バーナーキャップは、空気とガスを混ぜて炎を作り出す役割を担っています。このキャップが正しく設置されていなかったり、汚れていたりすると、ガスが正常に流れず火がつかなくなることがあります。
特に掃除後にキャップを外して、そのまま戻し忘れるケースが多いです。またキャップの隙間に油やゴミが溜まると、ガスがスムーズに供給されなくなります。
【対処法】バーナーキャップを正しく設置する
バーナーキャップを取り外し、キャップの下や周囲に汚れが溜まっていないか確認してください。汚れがある場合は、柔らかい布や歯ブラシを使って丁寧に清掃します。その後、キャップを正しい位置に戻し、しっかりと固定してください。
掃除の際にキャップの状態を定期的にチェックすることで、故障を未然に防ぐことも可能です。
点火プラグに汚れがついている

点火プラグは、火花を飛ばしてガスに着火させる重要な部品です。この部分に油汚れや水滴が付着していると、火花が弱くなり、点火できなくなる場合があります。特に日常的な料理や揚げ物などで飛び散った油が点火プラグに付着すると、点火機能に支障をきたします。
また、水拭き後にしっかり乾燥させていない場合も、プラグに水分が残り点火しづらくなる原因となります。これらの汚れや水分を放置すると、最悪の場合プラグが故障して交換が必要になることもあります。
【対処法】水気や汚れを取り除く
まず、ガスコンロの電源を切り、火が完全に消えていることを確認してください。次に、点火プラグを点検し、汚れや水滴がないかを確認します。汚れがある場合は、柔らかい布や綿棒を使って優しく拭き取ります。汚れがひどい場合は、少量の中性洗剤を布に含ませて汚れを落とし、その後しっかり乾燥させてください。
また、水分が原因の場合は乾いた布で丁寧に拭き、完全に乾燥するまで放置してください。これらの作業を行った後、再度点火を試みましょう。プラグを定期的に清掃することで、長期的な使用でも安定した点火を維持できます。
チャイルドロック・安全装置の作動

最近のガスコンロには、子どものいたずらや事故を防ぐためのチャイルドロックや、火災を防ぐための安全装置が搭載されています。これらの機能が作動していると、ガスの供給が制限され、火がつかない仕組みになっています。
【対処法】チャイルドロックの解除と掃除
まずチャイルドロックの状態を確認し、解除操作を行ってください。ロック解除ボタンがコンロ本体に付いている場合は、取扱説明書を参照して正しい手順で解除を行いましょう。また、安全装置が作動している場合、コンロ全体を掃除し、汚れや障害物がないかを確認します。特にバーナー周りや点火装置周辺を重点的に掃除してください。
掃除後も問題が解決しない場合は、一度電源をリセットし、再起動してみましょう。それでも火がつかない場合は、メーカーに問い合わせて点検を依頼することをおすすめします。
ガスの供給が停止している

ガスの供給が停止している場合、いくら正しい操作をしてもガスコンロは点火しません。ガス漏れ防止装置が作動している場合や、ガス供給元で問題が発生している場合に起こります。特に震災や停電後には、安全のために自動的にガス供給が止まる仕組みになっていることがあります。
【対処法】供給元や設備を確認する
まずガスメーターの表示を確認してください。ガスメーターには、ガス供給が停止している際にエラー表示がされる機能がある場合があります(都市ガスの場合は赤いランプが点滅)。
エラーが表示されている場合は、元栓を閉じ、ガスメーターをリセットする操作を行いましょう。リセット方法はガスメーターに付いている説明書やガス会社のホームページを確認してください。
リセット後、元栓を再び開けて点火を試みましょう。これで解決しない場合は、ガス会社に連絡し、供給状況を確認する必要があります。専門家の指示に従い、安全を最優先に対応しましょう。
ガスホースが折れている

ガスホースが折れたりねじれたりしていると、ガスの流れが妨げられ、点火しなくなることがあります。また、長期間使用しているとホース自体が硬化し、柔軟性を失うため、折れ曲がりが発生しやすくなります。この状態を放置すると、ガス漏れやさらなる故障の原因になることもあります。
【対処法】ゴム管を伸ばす、定期的に交換する
ガスホースが折れている場合は、無理に引っ張らず、慎重に手で伸ばしてください。ホースが硬化している場合は、速やかに新しいものに交換することをおすすめします。交換の際は、適切な長さと径のホースを選び、ホースバンドなどを使用して確実に取り付けてください。
取り付け後は、ガス漏れ検知スプレーや石鹸水を使用して、接続部分に漏れがないことを確認しましょう。定期的なホースの点検と交換は、安全な使用を続けるためにとても大切です。
部品の経年劣化

長年使用しているガスコンロは、内部部品が経年劣化している可能性があります。特に点火装置やバーナー、ホースなどは劣化が進みやすく、正常な動作に支障をきたすことがあります。経年劣化は見た目では判断しづらいため、使用年数を基に判断することが必要です。
【対処法】部品の交換、修理する
部品の劣化が疑われる場合は、メーカーや専門業者に問い合わせて点検を依頼してください。使用年数が10年以上の場合、部品の交換やコンロ全体の買い替えを検討することも選択肢の一つです。
また、コンロの寿命を延ばすためには、日々の手入れと定期的な点検が欠かせません。定期的なメンテナンスで、ガスコンロの寿命を最大限に延ばしましょう。
ガスコンロの一般的な寿命
ガスコンロの寿命は一般的に10年程度とされていますが、使用頻度やメンテナンス状況によって大きく異なります。
定期的に掃除を行い、部品の交換や修理を行うことで、寿命を延ばすことも可能です。ただし、長期間使用していると、安全性や効率性が低下するため、寿命を過ぎた場合は買い替えを検討することが推奨されます。
ガスコンロの劣化は目に見えない部分で進行することが多いため、見た目に異常がなくても定期的な点検が必要です。特に点火装置やバーナー部分、ゴムホースなどの消耗部品は、寿命に応じて交換することを忘れないようにしましょう。また、最新のガスコンロは省エネ性能が向上し、安全機能も充実しているため、古いコンロからの買い替えは利便性の向上にもつながります。
寿命を過ぎたガスコンロを使い続けると、火力が安定しなくなる、点火しづらくなる、部品の劣化によるガス漏れなどのリスクが高まるため、安全面でも注意が必要になります。安全に使用するためには、ガスコンロの購入時期や使用年数を把握し、定期的な点検と適切な買い替えを心がけましょう。
ガスコンロの火がつかない原因がわからない場合の対処法

ガスコンロの火がつかない原因がわからない場合は、自己判断で無理に修理しようとせず、安全な方法で対応することが大切です。以下では、原因不明のトラブルに直面した際の適切な対処法について解説します。
メーカーの取扱説明書を確認する
まずは、ガスコンロの取扱説明書を確認しましょう。取扱説明書には、トラブル時の基本的な対処法や点検箇所が記載されています。具体的な操作方法や確認ポイントを参考にすれば、自分で解決できる場合もあります。
また、説明書には製品の型番やメーカーの問い合わせ先も記載されているため、必要に応じて問い合わせができるよう準備しておきましょう。
専門業者に相談する
自己対処で解決できない場合は、専門業者に相談するのが最善です。専門業者は正確な原因を特定し、安全かつ迅速に修理を行ってくれます。
業者を選ぶ際は、メーカーの正規サービスセンターや信頼できるガス専門業者に依頼することをおすすめします。修理依頼の際には、症状や使用年数、これまでに試した対処法を伝えると、スムーズに対応してもらえます。
賃貸の場合は管理会社・大家さんに相談する
賃貸物件でガスコンロが故障した場合は、自分で修理を試みず、まずは管理会社や大家さんに相談してください。賃貸物件では、設備の修理や交換の費用負担が管理会社や大家さんの責任であることも多いため、勝手に修理を行うとトラブルになる可能性があります。トラブルを避けるためにも、速やかに状況を報告し、指示を仰ぎましょう。
ガスコンロの故障修理を依頼する際の一般的な相場
ガスコンロの修理費用は、故障の原因や必要な部品交換によって異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。
・ガス会社による故障診断 ※点検・確認のみ 4,400円〜
・各種部品の交換 数千円〜20,000円程度
・ガスコンロ交換(2口据え置き型) 20,000円程度〜
・ガスコンロ交換(ビルトイン型・工事費含む) 80,000円程度〜
※参考:東京ガス「ガス機器の修理費用」
これらはあくまで目安であり、具体的な費用はメーカーや修理業者によって異なります。また、保証期間内であれば無償修理が可能な場合もあるため、購入時の保証書を確認することをおすすめします。
高額な修理費用が必要な場合や、寿命を迎えたコンロの場合は、新品への買い替えも検討すると良いでしょう。
ガスコンロの火がつかない場合は原因を一つ一つ確かめよう!
ガスコンロの火がつかない原因はさまざまですが、一つ一つ丁寧に確認していくことで、問題を解決できることがほとんどです。まずは簡単に確認できる基本的なポイントからチェックして、それでも解決しない場合は専門業者や管理会社に相談してください。
安全を最優先に考え、無理な対処を避けることが重要です。特に賃貸物件では、管理会社や大家さんの指示に従い、トラブルを未然に防ぎましょう。また、ガスコンロの寿命や状態を定期的に見直し、必要に応じて新しい製品に買い替えることで、快適で安全な生活を続けることができます。
問題解決には冷静な判断と適切な対応が不可欠です。この記事を参考に、ガスコンロのトラブルに迅速かつ安全に対処してください。