毎日のヘアケアにおいて、正しいシャンプー方法を実践していないと、思わぬ頭皮トラブルを引き起こしてしまうことがあります。今回は、頭皮トラブルを防ぐ正しいシャンプーの仕方をご紹介します。美容師歴20年の私が推奨する洗髪ステップを取り入れることで、健康な髪と頭皮を守ることが可能です。
また、日々の経験上、上手にシャンプーができていない人にありがちなことの1つに、お風呂場(洗髪スペース)が狭いことが挙げられます。ヘアケア全般を行いやすくするためには、お風呂場の大きさも重要なので、物件選びの際に参考にしてみてください。
正しく髪が洗えていないと起こる5つの頭皮トラブル
シャンプーの方法を間違えてしまうと、さまざまな頭皮トラブルを引き起こす可能性があります。ここでは、正しく髪が洗えていない場合に起こりうる、頭皮トラブルを5つご紹介します。
ベタつき
シャンプー後に髪がベタつくのは、洗浄不足やすすぎ残しが原因です。シャンプーが頭皮に残ってしまい、皮脂や汚れがしっかりと洗い流されていないことから起こります。ベタつきは不快感を引き起こすだけでなく、毛穴が詰まりやすくなるため、ほかのトラブルにもつながりやすいです。
かゆみ
頭皮のかゆみは、シャンプーのすすぎ不足や、過度な洗浄によって必要な皮脂まで落としてしまうことが原因です。乾燥した頭皮はバリア機能が低下し、刺激に敏感になりやすくなります。また、適切に洗えていないと、細菌やフケが頭皮に残り、かゆみを引き起こすことがあります。
フケ
フケの原因は、頭皮の乾燥や過剰な皮脂分泌です。シャンプーを間違って行うと、頭皮のバランスが崩れ、乾燥や皮脂分泌が異常に増えることがあります。特に、強い洗浄力のあるシャンプーを使いすぎると、頭皮が乾燥してフケが発生しやすくなります。
臭い
頭皮の臭いは、汚れや皮脂が頭皮に残っていることが原因です。シャンプー後にしっかりとすすぎを行わないと、雑菌が繁殖しやすくなり、不快な臭いが発生します。また、洗いすぎによって皮脂が過剰に分泌されることも、臭いの原因となります。
薄毛(抜け毛)
シャンプーの誤った方法は、薄毛や抜け毛の原因にもなり得ます。頭皮を強く擦りすぎたり、シャンプーの成分が頭皮に残ってしまったりすることで、毛根が弱くなり、抜け毛が増えるリスクがあります。
また、頭皮環境が悪化すると、髪の成長に必要な栄養が行き届かなくなり、薄毛の進行を助長することもあるのです。
【美容師監修】髪の正しい洗い方9ステップ
ここからは、美容師が推奨する正しいシャンプーの手順を9ステップに分けて紹介します。シャンプーは単に髪を洗うだけでなく、頭皮を健康に保つための重要なプロセスです。以下のステップを実践して、健康な髪と頭皮を手に入れましょう。
STEP①ブラッシング
まずは、シャンプー前に必ず髪をブラッシングしましょう。ブラッシングをすることで、髪の絡まりを解き、髪の表面についたホコリや汚れをあらかじめ取り除けます。また、ブラッシングにより頭皮の血行を促進し、髪が健やかに成長するための準備を整えることが可能です。
STEP②お流し
シャンプー前に、髪をしっかりとお湯で流すことが大切です。このお流しだけで、表面の汚れや皮脂の70%が落ちるといわれています。時間をかけて丁寧に流すことで、次のシャンプー工程が効果的になります。
STEP③シャンプー(1回目)
1回目のシャンプーでは、軽く髪全体を泡立てて、表面の汚れを浮かせることを意識しましょう。シャンプーは、手のひらでしっかりと泡立ててから髪に乗せるようにすると、頭皮への負担を軽減できます。強く擦らず、指の腹で優しくマッサージするように洗ってください。
STEP④すすぎ
シャンプー後は、しっかりとすすぐことが大切です。シャンプーの成分が頭皮に残っていると、後でトラブルの原因となるため、最低でも1〜2分は時間をかけて、ぬるま湯で洗い流しましょう。後頭部や耳の後ろなど、すすぎ残しが多い箇所は特に注意が必要です。
STEP⑤シャンプー(2回目)
2回目のシャンプーでは、頭皮の汚れをしっかりと落とすことを目的に行います。1回目で表面の汚れを落としているため、このステップでは指の腹を使い、頭皮を優しくマッサージするように洗いましょう。泡立ちが良くなり、より深い洗浄が可能です。
STEP⑥すすぎ
再度、しっかりとすすぎを行います。この工程でも、髪や頭皮にシャンプー成分が残らないよう、特に根元部分を丁寧に流すよう心がけましょう。洗い残しがあると、頭皮トラブルの原因になるので、入念にすすいでください。
STEP⑦トリートメント
トリートメントは、毛先を中心に塗布し、髪全体になじませましょう。髪のダメージを補修し、保湿する役割があるため、乾燥やパサつきが気になる方は特に重要です。ただし地肌にトリートメントがつかないように注意し、頭皮にはなるべく触れないようにしてください。
STEP⑧すすぎ
トリートメント後も、しっかりとすすぎを行います。トリートメントは髪に浸透させた後、軽く流す程度で十分です。ただし頭皮についたトリートメントはしっかりと洗い流し、髪の表面に残るベタつきを防ぎましょう。
STEP⑨髪を正しく乾かす
髪を洗った後は、正しい方法で乾かすことが大切です。髪が濡れている状態ではキューティクルが開いているため、ダメージを受けやすくなります。自然乾燥ではなく、ドライヤーを使って適切に乾かすことがポイントです。
ヘアドライのポイント①タオルでポンポンと水分を取る
髪を乾かす前に、まずはタオルで優しく水分を吸い取ります。ゴシゴシと擦るのはNGです。タオルでポンポンと押さえるようにして、髪に余計なダメージを与えないようにしましょう。
ヘアドライのポイント②必ずドライヤーを使う
自然乾燥は、髪にダメージを与えやすいです。髪が濡れたままだと雑菌が繁殖しやすくなり、頭皮トラブルの原因にもなります。ドライヤーを使って、根元からしっかりと乾かすことが大切です。
ヘアドライのポイント③地肌を先に乾かすイメージを持つ
ドライヤーを使う際は、まず地肌を乾かすことを意識しましょう。温度としては、80度前後の温風を使用してください。髪の毛全体を乾かす前に頭皮の水気を取ることで、髪が乾きすぎることを防ぎ、ふんわりと仕上がりやすくなります。ドライヤーは20cmほど離して使うと、ドライヤーの熱が分散するので、ダメージも軽減されます。
なお、正しい方法でシャンプーをするためには、脱衣場とお風呂場にそれなりのスペースがあるのが理想的です。狭いスペースでは、ブラッシングをしたり、髪を乾かしたりする際に、ムラができてしまうかもしれません。正しいヘアケアをしたい人は、バス・トイレ別の物件を選ぶなどして、お風呂の環境を整えることが大切な一歩となります。
髪を洗うときに気をつけたい5つのNG行為
髪を間違った方法で洗い続けると、頭皮や髪にダメージを与えてしまいます。ここでは、避けるべき5つのNG行為を紹介するので、意識して正しい洗髪を実践しましょう。
はじめのお流しを雑にしてしまう
シャンプー前の「お流し」を雑にすると、髪や頭皮に残った汚れがシャンプーでしっかりと落ちません。お流しはシャンプー前の重要な工程で、最低でも1分以上かけて丁寧に行うことが推奨されます。
ゴシゴシと頭皮上を擦るように洗う
頭皮を強く擦って洗うのはNGです。強い摩擦は頭皮を傷つけ、炎症や乾燥を引き起こす原因となります。指の腹を使い、優しくマッサージするように洗うことが大切です。
髪の毛同士を擦り合わせるように洗う
髪同士をゴシゴシと擦り合わせるのも避けましょう。髪の表面のキューティクルが傷つき、パサつきや切れ毛の原因となります。髪を洗う際は、手のひらで優しく包み込むようにして、負担をかけないように心がけましょう。
シャンプーのすすぎ残しがある
すすぎ残しは、頭皮トラブルの大きな原因です。シャンプーやトリートメントが頭皮に残ってしまうと、毛穴が詰まり、かゆみや炎症、臭いの原因となります。十分な時間をかけて、しっかりとすすぐことが大切です。
トリートメントを地肌につける
トリートメントは髪に潤いを与えるためのものであり、地肌に付着すると毛穴を詰まらせる原因になります。特に脂性肌の方はトリートメントを頭皮につけないよう注意し、髪の毛先にだけ使うようにしましょう。
朝シャンと夜シャンはどちらが髪に良い?
「朝シャン」と「夜シャン」のどちらが髪に良いのか、悩む方も多いのではないでしょうか。ここでは、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。生活習慣や髪質に合わせて、適切なタイミングで洗髪することが大切です。
朝シャンの場合
朝シャンプーをすると、1日のスタートに爽快感を得られます。また、寝ている間にかいた汗や皮脂を洗い流せるため、髪がサラサラに仕上がりやすいというメリットもあります。
しかし、時間に余裕がないと、すすぎが不十分になりがちです。ドライヤーで髪をしっかりと乾かさないと、外出時の紫外線やホコリから髪がダメージを受けやすくなります。
特に一人暮らしの人など、ヘアドレッサーで朝シャンを済ませるような場合は、これらの注意が必要になります。ヘアドレッサーで朝シャンしている人は、ある程度の時間は覚悟して、お風呂でしっかりシャンプーすることがおすすめです。
夜シャンの場合
夜シャンプーは、1日の汚れや皮脂を寝る前にしっかりと落とせるため、頭皮にとっては最適です。また、夜は髪と頭皮がリラックスした状態になるため、トリートメントの効果も高まりやすくなります。
ただし、夜遅くにシャンプーをすると、湿った状態で寝てしまう可能性があり、抜け毛やフケの原因になることがあります。髪をしっかり乾かしてから、寝るようにしましょう。
正しいシャンプーの仕方を守るなら、お風呂の時間は短くても30分以上かかるはずです。住んでいる間取り的にバス・トイレが別々であれば良いですが、バス・トイレが一緒の場合は、かかる時間も考えておくと良いでしょう。
正しく髪を洗って日々を快適に過ごそう!
正しいシャンプーの方法を実践することで、頭皮トラブルを防ぎ、健康的な髪を維持しやすい環境ができます。シャンプーの前の準備や洗い方、すすぎ方に気を配り、髪に余計なダメージを与えないようにしましょう。
また、避けるべきNG行為を意識して取り除くことで、トラブルを未然に防げます。毎日のヘアケアを見直し、美しい髪と健康な頭皮を保ちましょう。