「落ち着く部屋」って具体的にどういう部屋?インテリアコーディネーターが教えるポイント

目次

忙しい日々を過ごす私たちにとって、家は心と体をリセットする大切な場所。中でも「落ち着く部屋」は、そこにいるだけで自然とリラックスでき、自分を取り戻せるような安心感を与えてくれます。

落ち着くと感じる空間には、共通するインテリアの工夫や整え方があります。色使いや素材の選び方、光の取り入れ方、そして空間の使い方まで、ちょっとしたポイントを押さえるだけで、部屋の印象は大きく変わるものです。

この記事では、インテリアコーディネーターの視点から、「落ち着く部屋」をつくるために知っておきたい基本のポイントをわかりやすくご紹介します。

「落ち着く部屋」ってどんな部屋?

落ち着く部屋には、視覚的・感覚的に心を癒す工夫が施されています。素材の質感や色合い、空間の余白や光の入り方まで、さまざまな要素がバランスよく組み合わさることで、自然とリラックスできる空間が生まれます。その具体的なポイントをひとつずつ見ていきましょう。

すっきりと整然とした印象の部屋

落ち着く部屋づくりの第一歩は、部屋を整理整頓し、空間にゆとりを持たせることです。物が多く散らかった部屋は、視覚的なノイズとなり、無意識のうちにストレスの原因になりやすいです。

視界に入る情報量を減らすことで、心にもゆとりを与えることができます。

穏やかな色彩が使われている

落ち着く部屋に多く使われているのは、ベージュやグレー、ライトグレーなどの彩度を抑えたやさしい色味です。また、こげ茶やネイビーといった深みのある暗めの色調も、お部屋に落ち着いた印象を与えてくれます。

彩度と明度のバランスを穏やかにすることで、落ち着いた空間を作ります。

木材や天然素材など温かみを感じる要素がある

木目の美しい木製家具やリネン・コットンのファブリックなど、天然素材を取り入れることで、空間にぬくもりと安らぎが生まれます。また、観葉植物を取り入れることで、視覚的にも有機的な形のリズムが加わり、心の緊張が自然とほぐれていきます。

人工的な素材にはない触れたときの心地よさも、落ち着く空間を構成する大切な要素です。

人が落ち着きを覚えやすいレイアウト術

家具のレイアウトは、部屋の印象を大きく左右します。視線の抜け感や動線の取り方によって、空間が広く感じられ、心も自然とゆったりと穏やかな気持ちになります。

以下では具体的に、インテリア初心者でも実践しやすい、人が落ち着きを覚えやすいレイアウトについて解説します。

シンプルな家具配置

家具は最小限にとどめ、空間に余白を残すことで、部屋全体に抜け感が生まれます。

特に中央に置く家具は高さを抑え、視線を遮らないレイアウトにすると、視覚的に広がりを感じられ、気持ちも自然と落ち着きます。余計なものは排除し、あえて余白を残すことで、風通しのよい印象に仕上がります

趣味を楽しむコーナーをつくる

小さなスペースでも、趣味を楽しめるコーナーを作ると、好きなものに囲まれて心が安らぎ、気分転換やストレス解消につながります。

お気に入りの本を並べた読書スペース、音楽が聴ける小さな一角、刺繍やドライフラワーを楽しむテーブルなど、自分の「好き」を詰め込んだコーナーをつくることで、日常に豊かさと安心感が生まれます。

広いスペースでなくても、部屋の一角に小さなラグを敷いて、間接照明を添えたりするだけでも、自分だけの心休まるスペースを作ることができますよ。

自然光を活用する

自然光は、落ち着く空間に欠かせない要素のひとつです。自然光は気分を明るくし、体内時計を整え、リラックス効果をもたらします。

窓の近くにリラックススペースを作るなど、家具の配置を工夫すると、より快適な空間になるでしょう。例えば、窓の近くにソファやチェアを置くと、日中は電気を付けなくても明るく、光のぬくもりを感じながらゆったりと過ごせます。また、木製の家具は自然光の中でより映え、空間にもやわらかさが生まれます。

空気を綺麗に保つ

どんなに美しく整った部屋でも、空気がこもっていると、自然と居心地の悪さを感じ、心身の不快感につながりますので、新鮮な空気を取り入れ、清潔にすることも大切です。換気がしやすいように窓周りに家具を置きすぎない、空気の流れを遮らないようにするなど、レイアウトを工夫しましょう。

換気が難しい場合には、24時間換気があると便利です。24時間換気システムが住まいに備わっていると、天候に左右されず、常に新鮮な空気を保てるため、快適な環境を維持しやすくなります。窓開け換気と併用することで、より快適で清潔な空気環境をつくることができます。

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落ち着く部屋を作るためのそれぞれのポイント

お部屋に落ち着きをもたらすためには、色彩のバランス、素材の質感、家具選びなど、さまざまな要素が重なり合っています。どれか一つだけではなく、いくつかの要素を意識して組み合わせることで、初めて心地よく静かな空間が完成します。

ここでは、落ち着く部屋づくりの基礎として押さえておきたいポイントをご紹介していきます。

テーマカラー決め

色は見た目だけでなく、心理的にも影響があります。どんなに素敵な家具や雑貨を選んでも、色の組み合わせがチグハグで、空間に統一感がないと落ち着かない気分になってしまいます。

最初にテーマカラーを決めることで、インテリアアイテムの色選びがしやすくなり、空間全体に一貫性とまとまりが生まれます。ここでは、落ち着いた部屋におすすめの色の選び方を具体的に解説します。

自然の色彩を参考にする

自然界の色には、人の心を和ませる力があり、テーマカラーにすると落ち着いた印象をつくりやすいです。

空や海をイメージさせるブルーは、穏やかで清潔感のある印象を演出し、森林を思わせるグリーンは、安心感と癒しを与えてくれます。これらの自然を感じさせる色をテーマに取り入れることで、目にも心にも優しい落ち着いた空間を作ることができます。

低彩度のカラーを選ぶ

鮮やかすぎる原色は、目に強い刺激を与えるため、リラックス空間には不向きです。グレージュ、スモーキーブルー、ダスティピンクなど、彩度を抑えたトーンの色を使うことで、部屋全体が柔らかく、視覚的に落ち着いていて、穏やかな印象になります。

壁やカーテン、大きな家具など面積の広い部分には特に、低彩度カラーを選ぶことが落ち着いた部屋づくりのコツです。

自分の好みや思い出に基づいた色選び

色には、感情や記憶を呼び起こす力もあります。旅行先で見た風景、子どもの頃に来ていた服の色など、思い出に結びついた色は心を落ち着かせ、懐かしさや安心感を与えてくれるものです。

また、単純に「自分の好きな色」を大切にすることも、落ち着きと満足感を得られるポイントの一つ。テーマカラーを選ぶ際には、自分らしさや心の声に耳を傾けてみましょう。自分の個性をを表現したテーマカラーをお部屋に取り入れることができれば、心地よい空間となるでしょう。

素材選び

心から落ち着ける空間には、手ざわりや質感が心地よい素材が使われています。素材は、見た目だけでなく、触れたときの感覚にも影響を与える大切な要素です。心から落ち着ける空間には、肌ざわりが優しく、温もりを感じる素材が自然と使われています。

ここでは、落ち着きのある部屋づくりに役立つ素材選びのポイントについて解説します。

自然素材の使用

天然素材には、心と体をゆるめる力があります。たとえば、木材のぬくもり、麻やコットンの柔らかな肌ざわり、ウールの弾力などは、どれも人の五感に心地よく響くものです。

視覚的にもナチュラルな風合いが、空間に優しさや柔らかさを与え、日常の緊張感を和らげるとともにリラックス感を高めてくれます。床材や家具、ファブリック類にこうした素材を意識して取り入れると、自然と落ち着いた空間になります。

テクスチャーの組み合わせを意識する

同じ素材ばかりを使うと、空間が単調になりがちなため、異なるテクスチャーをバランスよく組み合わせるとよいでしょう。

たとえば、ガラスや金属のように光を反射する「滑らかな素材」と、ウッドやリネンのような「ざらっとした自然素材」を組み合わせることで、視覚にも触覚にも変化が生まれ、豊かで奥行きのある居心地の良い空間に仕上がります。

音を吸収する素材を選ぶ

見落とされがちですが、音の質も重要です。硬い素材で囲まれた部屋では、音が反響して落ち着きにくくなることもあります。厚手のカーテン、柔らかいカーペットやラグ、クッションや布張りの家具など、音を吸収する素材を取り入れることで、音が吸収され、より穏やかな環境をつくることができます。

特にリビングや寝室のようにリラックスしたい空間では、静かで落ち着いた環境を作ります。部屋が広く、硬い素材が多い場合に効果的です。

家具選び

家具は落ち着く部屋を作る大きな要素のひとつです。毎日目にし、触れ、使うものだからこそ、慎重に選びたいものです。サイズ感やデザイン、快適性など、選ぶ際に押さえておきたいポイントを具体的に見ていきましょう。

サイズと配置を考慮する

部屋のスペースに合わせて家具のサイズを選ぶことが重要です。部屋の広さに対して家具が大きすぎると、視覚的な圧迫感が生まれ、部屋が狭く感じることがあります。反対に、ゆとりのある配置は、空間に「抜け」をつくることで落ち着いた雰囲気をつくりやすくなります。

家具を選ぶ際には、通路スペースを確保できるかどうか、動線がスムーズかどうかを意識しましょう。ソファやベッドなど大きな家具は、最初に配置を決めてから他の家具を選ぶとバランスが取りやすくなります。

シンプルなデザインを選ぶ

家具のデザインは、視覚的な落ち着きに大きく影響します。装飾が多くカラフルなものよりも、線が美しく洗練されたシンプルなデザインの家具は、視覚的に落ち着いた印象を受けやすいです。

色味もナチュラルカラーやモノトーンなど主張しすぎないトーンで揃えるなど、統一感のあるデザインや色味を揃えることで空間全体が調和しやすくなります。

機能性と快適さの優先

長く使う家具こそ、デザインだけでなく、使いやすさや心地よさにも注目しましょう。特に使用頻度が高い家具には、機能性と快適性が感じられる物を選びましょう。

ソファであれば座り心地や背もたれの角度、クッション性が重要です。デスクチェアなら長時間座っても疲れにくいものを選ぶことで集中しやすく、リラックスもしやすい空間づくりに繋がるでしょう。また、収納機能付きの家具など、見た目のすっきり感を保てる工夫も、落ち着いた空間には欠かせない要素です。

インテリアアイテム(小物・植物など)選び

落ち着く部屋作りを完成させるためには、大きな家具だけでなく、小物や植物などのお部屋を飾るアイテムも大切です。落ち着いた印象にお部屋をつくるために、どんなインテリアアイテムを飾ればいいか、意識するとよいポイントを具体的に解説します。

自然の要素を取り入れる

自然は、心を穏やかに整える力があります。その要素を取り入れることで、空間が華やぎ、自然の温かみが感じられ、リラックス効果も期待できます。

観葉植物やドライフラワー、木製トレイや石のオブジェなど、自然素材を使った小物は、空間に有機的なやさしさと安心感を与えてくれます。育てやすい観葉植物も多くありますので、環境に合わせて選びましょう。木製や自然素材の鉢を取り入れると、より心地よい空間になります。

調和の取れた配置と色使い

インテリア小物を選ぶときは、部屋全体のテーマカラーや素材との調和を意識しましょう。統一感のある配色の中に、差し色として小物を取り入れると、空間にメリハリが生まれつつも、落ち着いた雰囲気を保てます。

また、小物の数は多すぎないこともポイントです。お気に入りのものだけをアクセントとして厳選して使用し、余白のあるレイアウトにすることで落ち着いた空間を演出できます。

不要なものを排除し、実用性を重視

空間が散らかっていると、ストレスを感じることがあります。インテリアアイテムをシンプルにまとめると、心が落ち着きやすくなるでしょう。インテリアアイテムを飾る際にも、厳選して点数を絞ることが、落ち着く部屋づくりの第一歩です。

また、生活感をさりげなく隠す工夫を取り入れてみましょう。見た目と使いやすさを兼ね備えた収納ボックスやトレイや実用性の高いアイテムを使えば、見た目と利便性を両立できます。実用性の高いアイテムを選ぶことで、自然と片付けも習慣化しやすく、居心地の良い空間が保てます。

落ち着く部屋を作りやすい物件条件

落ち着ける空間づくりでは、「物件そのもの」にも注目してみましょう。日当たりや間取り、天井の高さ、窓の位置など物件の条件が、実は居心地の良さに大きく関わっていますので、ここでは、落ち着く部屋づくりがしやすい物件の特徴をご紹介します。

静かでセキュリティが充実した環境

落ち着いた暮らしには、静穏で安心できる環境が欠かせません。

静かで安心できる環境は、集中力を高め、ストレスを減らし、心身のリラックスにつながります。安心できる環境は心身の緊張を和らげ、読書や在宅ワーク、睡眠の質にも良い影響を与えてくれます。

また、オートロックやモニター付きインターホンなどのセキュリティ設備が整っている物件は、精神的な安心感が得られ、家にいる時間をよりリラックスして過ごせます。

2階以上の物件であれば、防犯面の不安も軽減され、より安心して暮らすことができます。整った環境とインテリアの工夫で、よりリラックスできる落ち着いた環境を目指しましょう。

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採光と窓の配置

自然光は、私たちの心に大きな影響を与えます。日当たりの良い物件は、室内にやさしい光が差し込み、明るく前向きな気分にさせてくれます。

特に南向きの部屋や、広い窓、複数の面に窓がある物件は、朝から夕方まで光が届き、時間帯ごとの雰囲気の変化も楽しめます。光が部屋にしっかり入ることで、自然と気持ちも穏やかになり、心地よい空間づくりがしやすくなるでしょう。

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適度な広さと間取り

部屋の広さや間取りも、落ち着ける空間づくりには重要なポイントです。部屋が狭すぎると動線がスムーズにとれず、逆に広すぎても、落ち着かなかったり生活がしづらい場合があります。自分のライフスタイルや家具の数に合った「適度な広さ」の部屋を選ぶことで、余白を活かした落ち着いた空間をつくりやすくなります。

特に1LDKや2LDKなど、生活空間とプライベート空間を分けられる間取りは、二人暮らしでも、気持ちにメリハリをつけながら心地よく過ごせます。

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自分だけの落ち着く部屋を作ってみよう

落ち着く部屋づくりには、色や素材、レイアウト、インテリア小物、そして物件選びに至るまで、たくさんの小さな要素で形作られています。

何より大切なのは、「自分が心からくつろげるかどうか」という感覚。どんなに素敵な空間でも、自分にとって落ち着かなかったり、居心地が悪ければ意味がありません。

今回ご紹介したポイントを参考にしながら、自分らしさを大切にしたほっとできる落ち着く場所を、少しずつ整えてみてください。心が落ち着く部屋は、毎日の暮らしにリラックスと安心感をもたらしてくれるでしょう。