ドッグトレーナーが教える、賃貸マンションで飼いやすい3つの犬種と飼育上の注意点まとめ

目次

近年、コロナ下で犬を飼育する人が増加傾向にあります。実際、2019年に比べて2021年は約22%増加しており、その中にはマンションで犬を飼育する方も含まれています。私自身、「マンションでの飼育」に関するご相談を度々受けていますが、特に決まった正解がないというのが現状で、その人に合った方法を考えていかなければなりません。

※参考 一般社団法人 ペットフード協会 「2021年(令和3年)全国犬猫飼育実態調査 結果」

そこで今回は、マンションで犬を飼うときに注意すべきポイントについて詳しく解説します。おすすめの犬種や、実際に寄せられたお悩み相談のエピソードなども紹介していきますので、お困りの方はぜひチェックしてみてください。

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賃貸マンションで飼いやすい犬の特徴

マンションで飼いやすい犬の特徴は、主に3つあります。

・小型犬

・落ち着いた性格

・鳴き声が小さい

外見や好みなども重要ですが、マンションで犬を飼育したいと考えている人は上記のような特徴を持つ犬かどうか確認してみてください。

特徴①:小型犬

小型犬は、マンションでの限られた空間でも飼育しやすい犬種が多いです。また、多くのマンションにはエレベーターがあり、ここでは抱っこやキャリーに入れての移動となるため大型犬ではなく小型犬が良いといえるでしょう。

特徴②:落ち着いた性格

落ち着いた性格の犬は問題行動(無駄吠えや嚙みつく癖など)が少ない傾向にあり、マンション内でのトラブルが起こりづらいというメリットがあります。もし落ち着きがない犬でも、日々のしつけによって落ち着きを覚えさせることは可能です。

特徴③:鳴き声が小さい

鳴き声は犬にはつきものですが、無駄吠えは近所トラブルになりやすい問題行動のひとつです。無駄吠えについては、うるさいだけではなく恐怖を感じる人もいるでしょう。

もし無駄吠えが気になる犬でも、鳴き声が比較的小さい犬種であれば大きなトラブルにはなりにくい傾向があります。また、壁の防音性も重要なポイントになるので、部屋探しの際は「ペット可」の条件はもちろんこと、壁のチェックも忘れないようにしてください。

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賃貸マンションで飼いやすい犬種とおすすめの人

続いて、賃貸マンションで飼いやすい犬種を紹介していきます。また、それぞれどんな人におすすめなのか、具体的な特徴も解説していきますので、家族構成や収入面などをイメージしながらチェックしてみてください。

トイプードル

トイプードルは、とても賢く物事を覚えるのも早い犬種です。大きさもそこまで大きくないので室内でも十分に飼育可能ですし、においや抜け毛なども少ないので初めて飼う人にもおすすめです。

体重(kg)3~7
カラー・ブラック
・ホワイト
・ブラウン
・グレー
・フォーン(レッド・ペール・オレンジ)

トイプードルは、トリミングとブラッシングが特に必要な犬種のひとつです。1ヶ月~1ヶ月半に1回の頻度でトリミングをおこない、また1日1回のペースでブラッシングをする必要があります。2~3ヶ月に1回の頻度でトリミングに出す方もいますが、それだとトイプードルの負担が大きく皮膚や被毛の健康維持が難しいので注意が必要です。

そしてトイプードルはコンパニオンドッグ(家庭犬や伴侶犬)ですが、1日20~30分の散歩を行うことをおすすめします。トイプードルは膝が緩い子が多い傾向にあるので、適度に運動して筋力をつけてあげる必要があります。また、好奇心旺盛な性格を持つ犬が多い傾向もあるので、しつけの時間を十分に確保しましょう。

<トイプードルがおすすめの人>

・定期的(1~1ヶ月半に1回など)にトリミングに出せる人

・毎日散歩に行ける人

・しつけに意欲がある人

パグ

パグは大人しい性格の子が多く、人懐っこいです。鳴き声も小さく、体も丁度良い大きさですので室内で飼育するにはぴったりの犬種といえます。

体重(kg)6.3~8.1
カラー・フォーン
・ブラック
・シルバー
・アプリコット

パグは暑さや寒さに敏感な犬種なので、ほかの犬種に比べて暑さや寒さ対策に気を配る必要があります。夏はエアコンや扇風機、冬は暖房器具を使って調整する必要があるので、光熱費の支払いが高くつく可能性があります。また抜け毛が多い犬種でもあるので、毛に敏感で皮膚が痒くなりやすい方や喘息持ちの方は注意してください。

<パグがおすすめな人>

・室温の調整に気を配れる人

・抜け毛対策ができる人

・1日1回程度散歩にいける人

シーズー

シーズーは温厚な子が多く、小さいお子さんいる家庭でも安心して飼うことができる犬種です。また、体の大きさは小型犬の中では比較的大きい方ですが、2LDKなどファミリー層向けの間取りであれば特に問題ない大きさだといえます。

体重(kg)4.5~7.3
カラー・ゴールド&ホワイト
・ブラック&ホワイト
・グレー&ホワイト

シーズーはトリミングやブラッシングが必要な犬種で、1ヶ月~1ヶ月半に1回程度トリミングを行うのが理想です。2~3ヶ月に1回のトリミングだとにおいが気になるほか、皮膚の健康維持が難しくなり、シーズーの負担も大きくなります。どんなに忙しくても、1ヶ月~1ヶ月半に1回程度のトリミングを行うようにしましょう。

また、暑さにも弱いので夏場の暑さ対策を行う必要があります。エアコンはもちろん、扇風機やサーキュレーターなどを使って調整する必要があります。なお、長時間の散歩は必要ありませんが、1日30分前後は必要ですので、その時間を確保できる方が望ましいです。

<シーズーがおすすめの人>

・定期的にトリミングに出せる人

・小さな子どもを持つ人

・散歩、ブラッシングの時間を確保できる人

上記のように、マンションでの飼育に向いている犬種は比較的たくさんあるので費用やしつけの面などさまざまな点を考慮しながら選んでみてください。また、実際に飼う犬種が決まった後は「ペット可」の条件を入れて検索するなど、部屋探しの方も進めていくようにしましょう。

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賃貸マンションで飼育をするのに向いていない犬の特徴

マンションでの飼育に向いている犬種がある一方、向いていない犬種(特徴)もあります。

・繊細な性格の犬

・30キロ以上の大型犬

・名前の最後に「テリア」がつく犬種

上記3つの特徴について、詳しく見ていきましょう。

特徴①:繊細な性格の犬

繊細な性格を持つ犬の場合、インターホンの音などに反応して吠えてしまう場合があります。音に慣れるトレーニングをする必要性がありますが、これには手間と時間を要するため、性格がおおらかな犬を選ぶ方が無難でしょう。

特徴②:30キロ以上の大型犬

マンションの間取りによって異なりますが、30キロ以上の大型犬は体も大きく、十分なスペースが必要です。また、階下に足音が響きやすい場合があるので、賃貸マンションで飼育をするのには向いていないでしょう。

特徴③:名前の最後に「テリア」がつく犬種

名前の最後が「○○テリア」となっている犬種は鳴き声が大きくアグレッシブな子が多いです。また、穴を掘る習性を持つ犬も多いので、原状回復義務が発生する賃貸マンションには向かないでしょう。

賃貸マンションで犬を飼育する際に注意すべきポイント・注意点

賃貸マンションで犬を飼育する場合、大家さんに犬を飼育していることの報告を行うなど、事前に注意すべきポイントがたくさんあります。余計なトラブルを起こさないよう、以下に解説する内容を頭に入れておくようにしてください。

注意点①:入居条件の確認

犬は何頭まで飼育可能か、管理会社などに提出する書類はどんなものが必要なのかなど、入居条件の確認は必ず行いましょう。ここを疎かにすると大きなトラブルが起こるおそれがあるので、不安な方は管理会社に聞いて確かめておきましょう。

注意点②:共有スペースのルールを把握

共有スペースのルールは必ず守りましょう。汚した際はそのままにしないできれいにする、汚れたまま利用しないなどほかの住人に配慮する姿勢が重要です。

注意点③:ご近所さんに挨拶・報告

犬を飼育し始めたら、隣接している部屋の入居者や上の階・下の階の入居者に犬を飼育したことを報告しましょう。報告をする際は軽く挨拶をして犬を飼っていることを伝えつつ、「迷惑をかけるようなことがあればすぐに知らせてください」などの一言を添えるとより丁寧です。

賃貸マンションで犬を飼う前に整えるべき飼育環境

賃貸マンションで犬を飼うにあたり、整えるべき飼育環境について解説を行っていきます。

飼育環境①:仕切りの設置

玄関、バルコニーなど飛び出しや脱走の危険性がある場所や、普段料理を行うキッチンスペースには仕切りを設置した方が安全です。仕切りの高さは犬の約3倍の大きさが妥当といわれているので、飼っている愛犬の大きさに合わせて設置しましょう。また、マンションの間取りによっては仕切りがいらない場合も多く、事前に確認しておくと余計な手間をかけずに済みます。

犬のサークルについては、特にテレビや玄関、キッチンスペース、窓の近くに設置するようにしましょう。特にテレビの近くや玄関の周りは大きな音が発生しやすく、サークルがないと走り出して部屋を散らかしてしまう可能性があります。

飼育環境②:床に滑り止めやマットを敷く

フローリングはすべる危険性があるので、犬が骨折や捻挫など怪我をする可能性があります。滑り止めマットやヨガマット等を敷くことで、これらの怪我を防ぐことができるので必ず敷くようにしましょう。

飼育環境③:壁に傷がつかないように工夫を行う

愛犬が部屋の壁をひっかく可能性があるので、傷対策も考えておく必要があります。クロスの上から交換可能なシールタイプの壁材を張るなど、手軽にできる対策がたくさんあるので、自分に合ったものを取り入れてみてください。なお、最初から傷対策が施された物件も多くあるので、物件情報を細かくチェックし、内見のときに実物を見て確かめておきましょう。

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賃貸マンションで犬を飼うために必要な道具

賃貸マンションで犬を飼うためには、餌やトイレといった基本的なもののほかに専用の道具が必要になります。事前に近所のペットショップなどで購入しておきましょう。以下に、多くのケースで必要になる見落としがちな道具を2つご紹介します。

キャリーケース

外出時は、マンションの住人に迷惑をかけないようキャリーケースを利用することをおすすめします。キャリーケースを使うことで、誰かとすれ違ったときに犬が吠えるリスクや飛びかかり洋服を汚してしまうリスクなどを減らすことができます。

なお、キャリーケースは自然に慣れるものではないので、事前にトレーニングを行ってから外出するようにしましょう。

知育玩具

暇な時間ができてしまうと無駄吠えしたり、室内を走り回ったりする可能性が高くなります。そうなると近隣の迷惑になるだけでなく、部屋の修繕を行う必要があるかもしれません。知育玩具は長時間遊べるものが多く、犬にとって暇な時間が少なくなるので、知育玩具をひとつ購入しておくと良いでしょう。

実際に私が見聞きした賃貸マンションにおける犬の飼育で苦労した事例

10年以上ペットショップで勤務、現在はドッグトレーナーをしている私が実際に見聞きした事例を紹介していきます。決して稀なケースではなく度々起こるトラブルでもあるので、今後の参考にしてみてください。

収入に合わない犬種を購入してしまったために、最終的に里親に出してしまったケース

ペットショップで働いてたとき、トイプードルを飼っているお客様(Aさん)がよく来店されていました。Aさんは愛犬のことをとても可愛がっていましたが、「お金がない」という理由で愛犬のトイプードルをトリミングに出すことなく長い間放置していました。1ヶ月~1ヶ月半に1回の頻度でトリミングをおこなう必要性がある旨を何度も伝えたのですが、その結果むなしくAさんの愛犬は皮膚病にかかってしまったのです。

Aさんの収入面は不安定で、治療費を満足に払えない状態が長く続きました。その後院長とAさんは話し合いを行い、保護団体の協力のもと里親に出すという判断を行ったそうです。

毎日散歩ができないために飼い犬が問題行動を取ってしまったケース

お客様(Bさん)が飼っていたミニチュア・ダックスフンドはもともと運動量がとても多い犬種でした。しかし、Bさんは日々仕事に追われ、散歩の時間を十分に取ることができていませんでした。

このような時期が長く続いた結果、無駄吠えや噛み癖がひどくなってしまったそうです。医師に相談したところ、「散歩ができないことによるストレス」ということがわかり、それから散歩を毎日10分ほど行うようになりました。この結果、問題行動が少しずつ改善されていき、今では特に大きなトラブルを起こすことなく暮らしているそうです。

上記のようなトラブルは決して他人事ではありません。自分の都合で振り回すのではなく、愛犬の目線になって行動することが重要です。起こりうるトラブルを事前に知っておけば対策も立てやすくなるので、このようなことも考えながらペット可の賃貸物件を探してみてはいかがでしょうか。

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賃貸マンションで犬を飼う際は、慎重に考えたうえで決断を下そう

今回は、賃貸マンションで犬を飼うときに注意すべきポイントについて詳しく解説しました。賃貸マンションで犬を飼う場合、飼育条件や間取り、マンションでのルールを把握して飼育しないほかの住人に迷惑がかかります。また、大切な命を預かっているという意識を持たないと大きな事故を引き起こしてしまうおそれがあるので、自分の収入や生活環境、ライフスタイルなど考慮したうえでどんな犬を飼うのかを決めるようにしてください。