今まで洋室にしか住んだことがないから、和室での生活が不安。
家賃もロケーションもぴったりな部屋を見つけたのですが、洋室ではなく和室なので少しためらっています。 和室なんて旅館に泊まった時ぐらいにしか使う機会がないから、洋室とどう違うのかちょっと分からないです。何か気を付けた方がいいことってあるんでしょうか。
Answer
確かに、今はどこの家も洋室が一般的になっています。賃貸でも和室から洋室へとリノベーションする事例はよくありますが、逆に洋室から和室にするというケースはまれなことからも、和室があまり好まれないのは明らかです。
和室が敬遠される理由はいくつかありますが、最大の理由は畳のメンテナンスが大変、これに尽きます。
畳の表面にはイグサという植物が使われており、水気や湿気などを吸い込むと変色します。また、柔らかめの素材のために重いものを置くとすぐにへこんでしまいます。汚れに弱いというのも欠点の一つで、コーヒーなどの匂いがするものをこぼすと中に染み込み、なかなか匂いが取れなかったりします。
なお、畳の修繕にはイグサを張り替えなければいけないのですが、洋室が主流になるにつれて畳の需要が減ったことで、かつてどこの町にもあった畳屋さんは姿を消してしまい、手軽に修繕ができなくなりました。
一般的な洋室に使われるフローリングではこれらの欠点がありません。畳と違って傷が目立ちやすいですが、カーペットなどを敷けば防げますし、水物をこぼしてもさっと拭き取れば大丈夫です。このようにメンテナンスが容易というメリットの方が大きいことから、和室はいつしか洋室にとって代わられてしまいました。
和室に住む際にはこれらのデメリットを考慮したうえで、カーペット等を敷いて畳への汚れを防ぎ、へこみにくくなるように接地面が広い家具を置く、といった工夫をしてください。
…とここまで畳のデメリットばかり挙げてきましたが、利点ももちろんあります。
イグサが音を吸収してくれるために音が響かない。湿気を吸い込むので空気がこもらない。イグサの独特の香りが気分を落ち着けさせる。これぞ「和」だと感じさせる。…などの点に魅力を感じ、和室を選ぶという方もたくさんいらっしゃいます。
旅館の畳部屋にごろっと寝転がるとなんとなく落ち着く感じがしますよね。もしかしたら、何百年も畳と共に過ごしてきた日本人のDNAがそう感じさせてくれるのかもしれません。