賃貸の礼金とは?払わなければならないものなの?
賃貸の礼金というものの意義が良く分からないです。敷金は部屋の原状回復とかに充てられるからまだ分かるんですが…。 払ったら戻ってこないし、要はお礼ですっていうお金ですよね。何のために払わなければいけないの?
Answer
礼金1ヶ月、2ヶ月という表記はごく普通に物件情報に載っていますので、お部屋を借りるにはどうしても必要なものだという「空気」がありますね。現在の礼金は契約条件として機能していると考えたほうがしっくりくるかもしれません。
まずはそもそも礼金とはどういうものなのかを知っておくとよいでしょう。
礼金の始まりは諸説ありますが、昔、「下宿する間色々と迷惑をかけますがよろしくお願いします」という意味をこめて大家さんにお金を渡したことからとされています。かつての日本は出稼ぎが一般的で、そういう人たちの多くは都会に身寄りも頼るものもいません。彼らが頼りにしていたのは、下宿として住まいを提供してくれる大家さんでした。当時の下宿は大家さんが入居者の生活をサポートしてあげていたのです。イメージとしては管理人付きのアパートといったところです。そのように生活の面倒を見てくれるお礼という意味で渡していた金銭が、いわゆる礼金だとされています。
しかし、時代は下って通信手段や交通手段が発達して24時間営業のコンビニがあふれる今、生活の面倒を見るようなかつての下宿はほとんど見られなくなりました。それによって礼金はかつての意味を失い、単なる昔からの慣習、そして契約条件の一つとして設定されるものに変化していきました。
この礼金の意味の変遷を見ていくと、今の人が「大家さんには別にお世話になってもいないのに、礼金を払うのは納得できない」と思うのは必然といえます。その世相を反映しているのか、最近は礼金0円という物件も珍しくなくなりました。
しかし、礼金は全く不必要なもの、とも言い切れません。例えば、繁忙期に条件がほぼ同じで礼金0円のお部屋と、礼金がかかるお部屋があったとすると、普通なら礼金0円の方の倍率が高くなって入居できない可能性が高くなります。もし礼金が付いていれば、初期費用がかかるものの、競争倍率が低くなるので希望のお部屋を早く決めやすくなるというメリットもあります。
蛇足になりますが、大家さんの多くはビジネスとして部屋を貸していますので、人気が出そうなお部屋に礼金を設定して少しでも収入を得たいと考えるのは当然のことです。そういう事情もあると知っておくといいかもしれません。