ハーブティーの正しい淹れ方とは?薬膳アドバイザーが、ハーブ別の効果・効能を教えます。

目次

お気に入りの部屋で、素敵なハーブティーをゆっくりと楽しむ…そんな時間に憧れる方も多いのではないでしょうか。「ハーブティー」と一口に言っても、さまざまな種類のハーブがあり、どれも個性的です。

今回は、薬膳アドバイザーで薬剤師の私が、ハーブティーの淹れ方や注意点などをご紹介。ストレスや睡眠に悩む方、免疫力を高めたい方、美肌やダイエットに興味のある方にとって、ハーブティーは心とからだの調和を取り戻す鍵になるかもしれません。

ハーブティーを日常生活に取り入れてみませんか。より健康でリラックスした暮らしを手に入れる参考にしてくださいね。

ハーブティーとは

ハーブティーは、世界中で古くから愛されてきた自然由来の飲み物です。

新鮮な香りによるアロマテラピー効果と、ハーブティーを飲むことでからだの調子を整える薬理効果の2つの主な利点を持っています。

アロマテラピー効果は、ハーブティーが香りによる癒しをもたらす力のこと。ハーブには、花、葉、茎、根から抽出されたエッセンシャルオイルが含まれており、これらのエッセンシャルオイルにより、独自の香りが楽しめます。

香りの効果は感情や気分に深い影響を及ぼします。たとえば、ラベンダーの香りはリラクゼーション効果をもたらし、ペパーミントはスッキリとした気分になることができます。

一方の薬理効果とは、ハーブティーを飲むことでからだの調子が整う効果のこと。ハーブには、抗酸化物質、抗炎症物質、抗菌物質、ビタミン、ミネラルなどが豊富に含まれています。これにより、ハーブティーは免疫力の向上、消化促進、ストレス軽減、睡眠改善、ダイエット効果など、多くの健康上のメリットが得られるといえるでしょう。

ハーブティーと紅茶の違い

ハーブティーと紅茶は同じ、だと思われている方も多いかも知れませんが、実は全く別のものです。

まず、材料の面で、紅茶は茶の木の葉を発酵させて作られるのに対し、ハーブティーは茶葉ではなく、さまざまな植物部位が用いられます。

また、紅茶にはカフェインが含まれますが、ハーブティーには通常含まれていません。ハーブティーはお子さまが飲んだり、夜遅くに飲んだりしても問題がないと言えます。(ただし一部の人には控えたほうがいい点もあり、そちらは後述します)

風味と香りも大きな違いの一つで、ハーブティーは植物の種類や使用部位によって異なる風味と香りを持ちます。対照的に、紅茶は茶葉の種類や発酵度合いによって異なり、アッサム紅茶のような濃厚な風味からダージリン紅茶の穏やかな風味までそれぞれです。

効果の面では、ハーブティーには植物の由来の効能、ストレス軽減、消化促進、リラクゼーション、睡眠改善など、健康や美容に関係するものがあります。一方、紅茶にはポリフェノールやビタミンCなどが含まれ、抗酸化作用や免疫力向上の効果が期待できるとされています。

ハーブティーの基本的な淹れ方

まずは、ハーブティーの基本的な淹れ方を以下にご紹介しましょう。

①お湯を沸かす

ハーブティーは種類によって適切な温度が異なります。パッケージや取扱説明書を参考にしましょう。一般的には80〜100℃が適切です。

②ティーポットやカップにハーブを入れる

1人分のハーブティーにつき、ティースプーン1杯(約2g)を目安にしましょう。

③お湯を注ぐ

適切な温度のお湯を注ぎ、ハーブが浸るようにします。150〜200mlが目安です。

④抽出時間を測って取り出す

ハーブの種類によって抽出時間が異なります。3〜10分間抽出するのが一般的です。抽出時間を調整して、お好みの濃さにすることができます。

ハーブティーは通常、1煎目で成分のほとんどが抽出されるとされています。そのため、基本的には1煎目までがおすすめです。

ただし、ハーブの種類や抽出時間によっては2煎目まで楽しむことができる場合もあります。2煎目以降は味や香りが薄まる傾向がありますが、まだ成分が残っている可能性はあるでしょう。2煎目以降は、お好みで楽しんでください。

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ハーブティーに用いられる主なハーブの効能と淹れ方、保存方法

主なハーブティーの効能と淹れ方、保存方法についてご紹介します。

カモミール

カモミールは世界中で親しまれているハーブの一つです。

カモミールの効能

カモミールは心身をリラックスさせ、抗菌・抗炎症作用、痛みを和らげるなどさまざまな効果があります。まずはカモミールの主な効能をご紹介しましょう。

①殺菌作用

カモミールには殺菌作用があり、とくにカモミール・ローマンの殺菌作用は高いといわれています。

②美肌効果

カモミールには、肌トラブルを緩和してくれるα–ビザボロールが含まれています。防腐効果や保湿効果があるため、化粧品や入浴剤などにも使われることの多い成分です。

③リラックス・安眠効果

カモミールの特徴的な成分であるアンゲリカ酸エステル類は、高い鎮静作用を持っています。自律神経を整え、不安やイライラを和らげてくれるでしょう。さらに、リラックス作用もあることから、安眠効果も期待できます。

④鎮痛・抗炎症作用

カモミールには鎮痛作用があり、頭痛や神経痛、生理痛を和らげる効果が期待できます。また、ニキビや皮膚炎、口内炎などの炎症を抑える抗炎症作用もあるため、肌の調子を落ち着かせてくれるでしょう。

⑤消化機能の改善

ジャーマンカモミールには、胃の粘膜を修復してくれるアズレン誘導体という成分が含まれています。消化器官の不調を改善してくれるとされており、とくにストレスによる胃潰瘍や過敏性腸症候群などに効果的です。

⑥【注意】子宮の収縮作用

カモミールは子宮の収縮を促す作用を持つと考えられています。妊娠中の方は注意が必要なので、医師に相談してから飲みましょう。

カモミールと相性の良いハーブとして、ローズヒップ、エルダーフラワー、リンデン、セージ、ペパーミント、スペアミントなどがあります。これらのハーブをブレンドすることで、カモミールの効果を高めることができますよ。

たとえば、カモミールとペパーミントをブレンドすると、リラックス効果が高まり、ストレス解消に効果的です。また、カモミールとローズヒップをブレンドすると、美肌効果がさらに期待できます。

カモミールティーの淹れ方

①ティーポットにカモミールを入れます。ドライハーブの場合は1杯につき1g程度、フレッシュハーブティーの場合は2杯につき1g程度を目安にします。

②お湯を沸かし、ティーポットに注ぎます。ドライハーブの場合は約200ml、フレッシュハーブティーの場合は約400mlを目安にします。

③ティーポットの蓋を閉め、約5分間蒸らします。

④カップに注ぎ分けてできあがりです。お好みで蜂蜜やレモンを加えてもいいでしょう。

ペパーミント

ペパーミントはさわやかな香りと味わいを持つハーブです。

ペパーミントの効能

爽やかな香りと清涼感、胃の調子を整える効能を持つペパーミント。以下に、ペパーミントの主な効能をご紹介します。

①抗菌性

ペパーミントには抗菌性があり、口内ケアに役立ちます。歯垢中の細菌を殺すだけでなく、歯周病の初期段階である歯肉炎の発症を抑える効果も期待できますよ。

②抗ウイルス性

ペパーミントには抗ウイルス性があり、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染を予防する可能性があります。

③抗酸化作用

ペパーミントには抗酸化作用があるため、体内の酸化ストレスを軽減する効果が期待できるでしょう。

④抗アレルギー作用

ペパーミントの主要な化合物であるロスマリン酸には、アレルギー症状を軽減する作用があるとされています。

⑤鎮静効果

ペパーミントには中枢神経系と末梢神経系に対する鎮静効果があり、不安を和らげる可能性があるといえるでしょう。

⑥呼吸器への影響

ペパーミントに含まれるメントールは、鼻詰まりを改善し、呼吸を楽にする効果があります。

ペパーミントは他のハーブと組み合わせることで、さらなる効果を引き出すことができます。例えば、ペパーミントとカモミールを組み合わせるとリラックス効果が高まり、レモンバームを組み合わせると消化を助ける効果が強まります。

また、ペパーミントとローズヒップを組み合わせると免疫力がより向上し、ペパーミントとジンジャーを組み合わせると風邪やインフルエンザの症状を緩和する効果が期待できるでしょう。

ペパーミントティーの淹れ方

①1人分につき1〜2gのペパーミント葉を用意します。フレッシュなペパーミントの場合は、葉を摘んで洗い、水気を十分に切っておきます。

②カップやティーポットに用意したペパーミントの葉を入れます。

③熱湯を注ぎます。お湯の温度が約80〜90℃が適切です。葉が完全にお湯に浸かるように注ぎましょう。

④カップやティーポットを蓋で覆い、約3〜5分間おきます。

⑤ペパーミント葉を取り除き、できあがりです。そのまま葉を食べてもかまいません。お好みで甘みやレモンを加えて楽しむこともできます。

ローズマリー

ローズマリーは常緑樹のハーブで、初心者でも簡単に育てられ、手軽にハーブティーを楽しめます。

ローズマリーの効能

ローズマリーは、健康や美容に効果があるといわれているハーブであり、以下のような効能があります。

①強い抗酸化作用

ローズマリーには抗酸化物質が豊富に含まれており、体内の活性酸素を中和し、細胞を守る役割があります。細胞の老化を遅らせ、肌の若々しさを保つのに役立つといえるでしょう。

②血行促進作用

ローズマリーは血液の循環を促進し、体内の酸素や栄養分の供給を助けます。

③頭をすっきりさせる効果

ローズマリーの香りは気分をリフレッシュし、集中力や記憶力を高めるといわれています。

ローズマリーを他のハーブと組み合わせると、さらに効果的な効能が期待できます。

・ローリエとの組み合わせ:煮込み料理の香り付けにおすすめです。

・タイムとの組み合わせ:肉料理やスープの風味が引き立つでしょう。

・セージとの組み合わせ:焼き魚や焼き野菜の料理に豊かな香りと風味をつけ、深い味わいを加えます。

ローズマリーティーの淹れ方

①ローズマリーの葉を1杯分(約2g)用意します。

②カップやティーポットに熱湯を注ぎ、ローズマリーの葉を入れます。

③5分程度蒸らしてから、カップに注ぎ分けてできあがりです。

レモンバーム

レモンバームは、柑橘系の香りを持つハーブです。

レモンバームの効能

レモンバームには、リラックス効果と胃腸の調子を整える効能があります。

①リラックス効果

レモンバームはリラックス効果があり、ストレスや不安を軽減するのに役立ちます。

②胃腸の調子を整える

レモンバームには胃腸の不調を改善する作用があり、消化不良や胃の不快感、膨満感などに効果があるといえるでしょう。

③花粉症の症状緩和

レモンバームは花粉症の症状を軽減する効果もあると言われています。

また、レモンバームは他のハーブとも相性が良く、様々な組み合わせが楽しめます。例えば、レモンバームとローズマリーを組み合わせると、リラックス効果が高まり、ストレス解消に効果的です。また、レモンバームとペパーミントを組み合わせると、消化促進効果が高まり、胃腸の不調に効果的です。

レモンバームティーの淹れ方

①レモンバームの葉を1杯分(約2g)用意します。

②カップやティーポットに熱湯を注ぎ、レモンバームの葉を入れます。

③5分程度蒸らしてから、カップに注ぎ分けてできあがりです。

ローズ(ローズヒップ)

ローズ(ローズヒップ)は、バラの果実です。

ローズ(ローズヒップの効能

ローズヒップ(ローズヒップ)は、ビタミンCやビタミンE、ポリフェノールなどが豊富なハーブです。

①美肌効果

ビタミンCがメラニン生成を抑制します。シミを防ぎ、コラーゲン生成を促進して美肌とアンチエイジングに役立つでしょう。

②整腸作用

腸の活動をサポートし、整腸作用があるとされています。

③ストレス軽減

イライラを軽減する効果が期待できます。

④利尿作用

体内の余分な水分を排出し、利尿作用があります。

⑤貧血予防

鉄分を含み、ビタミンCとの相乗効果で貧血予防に役立ちます。

⑥風邪予防

抗菌および抗ウイルス効果があり、風邪の予防に寄与します。

ローズ(ローズヒップ)は他のハーブと組み合わせることで、さまざまな効果を得ることができます。例えば、シナモンを加えると血行促進と体温上昇の効果が期待でき、ジンジャーの場合、消化促進と体温上昇に役立つでしょう。クローブとの組み合わせでは抗酸化作用と抗菌作用が増します。

ローズ(ローズヒップ)ティーの淹れ方

①ローズヒップティーの茶葉(乾燥したローズヒップ)を用意します。茶葉の量はお好みで調整してください。

②ティーポットに熱湯を注ぎ、茶葉を入れます。お湯の温度は80〜90℃が適切です。

③茶葉をお湯に浸して蒸らしましょう。蒸らし時間は5〜10分程度が適切です。

④蒸らし終わったら、ティーポットからカップに注ぎ分けてできあがりです。

ローズヒップティーは酸味があるので、お好みで砂糖やはちみつを加えて甘みを調整してもいいでしょう。フルーツを入れたり、100%ジュースで割ることもおすすめです。冷やしてもおいしく飲めるので、余った分は冷蔵庫で保存しましょう。

各種ハーブの保存方法

ドライハーブの場合は、密封容器に入れて冷暗所で保存します。湿気や直射日光を避けるようにしましょう。なお、今回紹介したローズマリーやレモンバームも乾燥させることは可能です。小さく束ねて風通しの良い場所で陰干しにしましょう。

フレッシュハーブの場合は、葉をぬらしたキッチンペーパーで包み、保存袋に入れて野菜室で保管します。なるべく早めに使い切りましょう。

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ハーブティーを楽しむ際に気をつけたいこと

ハーブティーは基本的に自由に楽しむことができますが、それぞれの茶葉には効能があるため気をつけるべき点もあります。以下に、注意すべきことをご紹介しましょう。

過剰摂取しすぎないようにする

ハーブティーは水溶性の飲み物で、基本的に飲み過ぎてからだに悪いということはありません。しかし、ハーブの中にはリコリスのように飲み過ぎると血圧が上がる可能性のあるハーブティーもあります。パッケージの説明などを確認し、適度な摂取量に気をつけましょう。

妊娠中には飲まない方がよいとされるものがある

妊娠中には、子宮収縮作用があるカモミールティーなど、飲まない方がよいとされるハーブティーが複数あります。妊娠中の方はハーブティーを飲む前に、パッケージなどでそのハーブが安全であるかどうか確認しましょう。

まれにアレルギー反応を起こすことがある

一部のハーブ、とくにキク科に属するハーブ(例: カモミール、カレンデュラ)は、同じキク科のブタクサにアレルギーを持つ方が飲むと、まれに花粉症が悪化することがあります。アレルギーのある場合は注意をしましょう。

ハーブティーのある生活を取り入れてみては?

健康的でおいしいハーブティー。さまざまなハーブティーがあり、それぞれのハーブには独自の特徴があります。ティーバッグや茶葉を購入して手軽に楽しみましょう。実店舗はもちろん、オンラインネットショッピングでも幅広い商品が取り扱われていますよ。

自家製ハーブティーを作るのも楽しいでしょう。特定の商品を選ぶのではなく、自分でハーブをブレンドして自由に作ることができます。有機レモングラス、有機ローズなど、新鮮で高品質な原材料を使用して、自分だけのハーブティーを味わうことができますね。

多くのメリットがあるハーブティーを、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。